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高血圧の正常値問題
2014年04月27日(日)
産経新聞検診シリーズ第8話 血圧の正常値を巡る議論
検診結果をセルフケアに活かそう!
検診についてこれまで、あれこれ書いてきましたが、今回まとめてみましょう。
検診での異常=病院受診=嫌なこと、だと思っている人が大半でしょう。
検診のやりっ放しは、もちろん論外で、事後処置が大切です。
軽い異常なら、“かかりつけ医”のアドバイスのみで改善することが大半です。
問題は、食事や運動や禁煙に関するアドバイスを実行できるかどうかです。
事後処置は自助努力、すなわちセルフケアが土台になり、“かかりつけ医”は
助言者、支援者となります。その中で、とりあえずお薬を使うこともあります。
高血圧を例に説明しましょう。
現在、血圧の正常値を巡る議論が交わされています。
というのも、これまで140/90以上(合併症のある人は、130/85以上)は
日本高血圧学会の基準では高血圧とされてきました。
しかし最近、日本人間ドック学会が、150万人もの膨大な検診データを
解析した結果、147/94までは正常であると発表したのです。
僅かな違いに思えるかもしれませんが、この間にくる人は実に多い。
従来の病院基準では「病人」だったのに、人間ドック学会の新基準では「正常」と
判定される人がたくさん出てきます。
「病人」と「正常」では真反対ですから、各医学会を中心としたさまざまな見地から
議論が始まっており、その行方を注目しています。
「血圧が高いほど脳卒中や心筋梗塞が増える!」。
これは紛れもない事実です。
しかしどこで正常と異常の間に線を引くのかは、実はとても難しい問題。
さらに「年齢」という因子ももっと考慮しなければいけないというのが私の考えです。
同じ140という血圧でも、60歳なら「少し、様子を見ましょうか」となるし、
20歳なら「ちゃんと調べて、ちゃんと対処しましょう」となります。
私は産業医としても多くの働く人々の検診データを見る立場にいます。
検診や人間ドックには「有所見率」というものがあります。
多くの検診項目にひとつでも異常を認めると「有所見者」という烙印が押されます。
しかし有所見者の割合は年代によってかなり変わります。
ある職場検診の有所見率は、20歳代は20%、40歳代は60%、
60歳代では80%を超えていました。60歳以上のほとんどの人に「病人」という
烙印を押すのは実に忍びない想いです。
というのも、その多くは加齢現象、生理的現象であることを
町医者として知っているからです。
血圧しかり、コレステロールしかり、です。
大切なことは「正常」か「病人」か、ではありません。
自分の数値が、どんな位置にあるのか。
しかも同年代の中でどの程度なのかを自分自身が知っておくことです。
たたしがん検診での異常や、正常を大きく逸脱していれば
早急に医療機関を受診してください。
しかしもし軽微な異常値であるならば、まず“産業医”や“地域産業保健センター
の相談医師”や“かかりつけ医”などに相談してください。
町医者はそうした相談に乗ることが仕事です。
決して安易に薬を出して金儲けをしている訳ではありません。
しかし貴方がもしそう感じたならば、“かかりつけ医”を変えることもできます。
検診結果を、セルフケアに上手に活かして欲しい!
そう願い、本シリーズを終えます。
キーワード 産業医
従業員が50人以上の事業所には産業医の配置が法律で義務づけられている。
産業医は、法律で定められた各種健康診断の結果判定や事後処置、職場巡回、
安全衛生委員会への出席と助言、職員の健康相談など
労働者の健康を守るための活動を行う。
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