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混合診療をめぐる議論
2014年05月25日(日)
一般の方にはおそらく非常にわかりにくいと思うのが昨今の混合診療議論。
さまざまな人がさまざまな意見を言われていて、超難問であると思う。
ネットからこの1ケ月間に流れた分り易い記事を拾ってみたい。
さまざまな人がさまざまな意見を言われていて、超難問であると思う。
ネットからこの1ケ月間に流れた分り易い記事を拾ってみたい。
患者に優しい選択肢増やす 現行制度では救いきれない 「論戦・混合診療」
規制改革会議の岡素之議長 共同通信社 2014年5月15日(木) 配信
保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」の拡大をめぐり、政府
内の調整がヤマ場を迎えている。立場の異なる3人に意見を聞いた。
× ×
現在は混合診療を受けると、法律で原則禁止されているため、公的保険がき
く診療まで全額が患者の負担になってしまう。保険外の診療で治る可能性があ
るのに、負担が高額になるため諦めざるを得ない人たちがいる。
私の知人は妻ががんで余命3カ月と診断され、保険外診療に希望を託して混
合診療を選んだ結果、1千万円以上を負担しなければならなかった。彼は「こ
んな制度はおかしい」と訴えていた。
現行制度でも、一部の先進医療などに限って混合診療を認める「保険外併用
療養費制度」があるが、受けられる治療法は決められている。症状などにも条
件があり、患者を救いきれていない。
困難な病気で苦しんでいる人に優しい制度にしよう、選択肢を増やそうと、
規制改革会議は「選択療養制度(仮称)」という新しい仕組みを提案している。
現行制度との最大の違いは"患者起点"であることだ。患者が希望し、医師がき
ちんとした診療計画をつくった場合は、その都度、個別に混合診療を認める。
安全性や有効性を懸念する声があるが、保険外併用療養費制度とほぼ同等の
医学的根拠を求め、全国統一の専門家ネットワークで審査する。現在は先進医
療の審査に半年程度かかっているが、その期間は短くする。選択療養の条件を
クリアできる保険外診療がどれだけあるかは分からないが、1人でも救えるな
ら、やる価値はある。
「選択療養で先進的な医療が受けられるようになると、保険が適用されにく
くなる」という反対意見もある。私はむしろ逆だと思う。現在は医療機関を替
えたりして見えない形で混合診療が行われているが、選択療養を導入すれば実
績データが集まるようになる。保険適用へのプラス要因になるだろう。
患者に専門知識がないのをいいことに、医師が金もうけのために安全性や有
効性に疑問のある医療を施す危険性は、現状の不透明な自由診療でも存在する。
選択療養の導入で不正の排除が期待できる。
× ×
おか・もとゆき 43年生まれ。住友商事社長、会長を経て同社相談役。1
3年1月から規制改革会議議長。
※混合診療の拡大論議
公的医療保険がきかない自由診療と保険診療を組み合わせる混合診療は原則
禁止で、患者の負担は保険診療部分も含め全額自費となる決まりだ。患者の負
担を抑え選択肢を増やすべきだとして、全面解禁や拡大を求める論議が度々起
き、2004年に当時の尾辻秀久厚生労働相と村上誠一郎規制改革担当相が「保
険外併用療養費制度」を設けることで合意。同制度は06年に始まった。国が
認めた一部の先進医療などは保険適用を目指す「評価療養」、差額ベッド代な
ど保険適用を前提としない「選定療養」の2分野がある。併用した保険診療は
1~3割の自己負担で利用できる。政府の規制改革会議は今年3月、第3の分
野として「選択療養」の創設を提言。患者と医師が選択した自由診療を、幅広
く併用可能とするよう求めている。
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安全、有効なら保険適用を 医療の格差広げないで 「論戦・混合診療」
日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表理事
共同通信社 2014年5月16日(金)配信
混合診療の拡大を主張する政府の規制改革会議は「わらをもつかむ患者の気
持ち」「患者の視点」を強調しているが、会議の委員の多くは大企業の役員だ。
私たち一般の患者のことを本当に考えてくれているのか非常に疑問に思う。
治療に伴う月に数千円の負担ですら払えない難病患者がたくさんいる。規制
改革会議が念頭に置いているのは(保険適用外の高額医療を受けるために)数
百万円ものお金を払うことができる人だろう。「裕福な患者の視点」ではない
か。違う世界の話をされているように感じる。
私は4歳のころ難病の重症筋無力症になった。治療や薬で今は回復したが、
戦後間もない当時は、国民皆保険の仕組みはなかった。妹も同じ病気で、父は
治療費を稼ごうと炭鉱作業員になったが、それでも高額過ぎて賄いきれず、幼
くして妹は亡くなった。
今でも地域によっては高度な医療を受けられないといった格差がある。混合
診療の拡大は成長戦略に資するというが、こうした格差を是正せずして何のた
めの成長なのだろうか。私たちが望むのは、安全性と有効性が認められた先進
医療については、一般の人が広く受けられるよう、速やかに公的保険が適用さ
れることだ。
混合診療拡大論の裏には、ニーズがある高所得者向けに民間医療保険を広げ
たいという、経済界の狙いがあるのではないか。先進医療は規制改革会議が提
案する「選択療養制度」や、民間保険でカバーすればいいという風潮になった
ら、公的保険を適用しようという力は弱まる。患者の階層化につながりかねな
い。
確かに、がん患者らの中には「混合診療を認めてほしい」という声がある。
だが(一部の混合診療を国が例外的に認める)現行の「保険外併用療養費制度」
を活用すれば、対応していけると思う。新しい制度をわざわざつくる必要性は
感じない。
× ×
いとう・たてお 45年生まれ。内閣府の障害者政策委員会委員なども務め
る。
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スマホで健康管理情報 ローソンとルネサンス
共同通信社 2014年5月16日(金) 配信
ローソンとフィットネスクラブ大手のルネサンスは15日、スマートフォン
を通じて健康管理の情報を顧客に提供するサービスを共同で今秋にも始めると
発表した。
ローソンは健康志向の客を囲い込み、コンビニ商品の販売拡大につなげるの
が狙い。東京都内で記者会見した新浪剛史(にいなみ・たけし)会長は「民間
の力で(介護を受けずに自立して生活できる)健康寿命を延ばしたい」と語っ
た。
ローソンなどで使えるポイントカード「Ponta(ポンタ)」の会員約6
200万人と、ルネサンスが契約する約1200の法人会員がサービスの対象
で、スマホのアプリ(応用ソフト)で食事と運動のデータを管理する。
ローソンは食事内容や摂取カロリー、歩数を記録、管理するサービスを提供
し、利用者の健康状態に応じた食事メニューを提案する。ルネサンスは、運動
による消費カロリーや、手軽な運動方法の情報を紹介する。
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混合診療拡大に反対決議 日本医師会など
共同通信社 2014年5月15日(木) 配信
日本医師会(日医)などでつくる「国民医療推進協議会」は14日、総会を
開き、公的医療保険がきかない自由診療と保険診療を組み合わせる混合診療を、
政府の規制改革会議が拡大するよう求めていることに対し「断固反対する」と
の決議を採択した。
協議会会長の横倉義武(よこくら・よしたけ)・日医会長は「患者が安全性、
有効性が定まらない治療を選択させられる恐れがある」と批判した。自由診療
が広まれば、所得によって受けられる医療に差が生じるとの懸念も示した。
混合診療は原則禁止だが、国が認めた一部の先進医療などに限り保険診療と
併用できる「保険外併用療養費制度」がある。規制改革会議は、患者と医師の
合意を基に幅広く混合診療を認める「選択療養」(仮称)の創設を提案。厚生
労働省は慎重姿勢だ。政府は調整を進め、6月にまとめる新たな成長戦略に結
論を盛り込む見通し。
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医療40団体、「選択療養」に反対決議
朝日新聞 2014年5月15日(木) 配信
医療関係の40団体でつくる「国民医療推進協議会」(会長・横倉義武日本
医師会長)は14日、政府の規制改革会議が提案した混合診療の拡大案「選択
療養」に対し、「断固反対」とする決議を採択した。今後、政府や与野党に申
し入れる。選択療養は、医師と患者の合意を条件に混合診療の対象を大幅に広
げる内容。
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混合診療拡大へ調整指示 首相「大きく変える」 成長戦略に反映
共同通信社2014年4月17日(木) 配信
安倍晋三首相は16日、保険診療と保険外診療を併用する混合診療の拡大に
向け、関係閣僚に調整を急ぐよう指示した。政府の経済財政諮問会議と産業競
争力会議の合同会議で「(混合診療を例外的に認めている現行の)保険外併用
療養費制度を大きく変えるため、協力して案をまとめてもらいたい」と述べた。
混合診療の拡大をめぐっては、政府の規制改革会議が患者と医師が合意すれ
ば個別に適用を認める「選択療養制度(仮称)」の創設を既に提案。ただ、厚
生労働省は現行制度の拡充で対応する考えで、意見の違いが残っている。政府
は今後、調整を本格化させ、6月にまとめる新たな成長戦略に具体策を盛り込
む見通しだ。
この日の合同会議では、産業競争力会議が混合診療について(1)国内で未
承認の薬を患者が早く使えるようにする(2)費用対効果が低い医療技術でも
現行制度の枠内で混合診療を認める―との拡大策を提案した。
田村憲久厚労相は、この提案と同様の方向で検討を進める考えを表明。抗が
ん剤については未承認薬が迅速に使用できるよう、審査期間を通常の半年程度
から約3カ月に短縮する仕組みを昨年11月に導入しているが、厚労相は再生
医療や医療機器でも審査を迅速化させる方針を示した。
一方、規制改革会議はこれに先立つ同日の会合で、中立的な専門家が安全性
や有効性を評価するルールを設けた上で、選択療養制度の導入により混合診療
の対象を広げるべきだと提言。これを受け、稲田朋美行政改革担当相は合同会
議で「前向きで積極的な対応」を厚労相に求めた。
規制改革会議は3月に同制度の導入を提案したが、日本医師会や難病患者団
体などが安全性の確保を疑問視。混合診療のなし崩し的な解禁を招くと批判し
ている。
※混合診療
公的医療保険が適用される保険診療と、保険適用外の自由診療を併用する方
法。現在は原則として禁止されており、自由診療を受けると保険適用部分まで
全額自己負担となる。保険外の治療法も使いたいがん患者らから解禁を求める
声が出ている一方、難病患者団体は「利益を得られるのは裕福な患者だけ」と
反対し、患者間でも意見が分かれている。国は例外的に混合診療を認め、先進
医療を受けられる「保険外併用療養費制度」を設けており、審査の迅速化を進
めている。
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混合診療 首相、大幅拡充に意欲 厚労省「再生医療も対象に」
毎日新聞社 2014年4月17日(木) 配信
混合診療:首相、大幅拡充に意欲 厚労省「再生医療も対象に」
安倍晋三首相は16日、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、
保険の利く治療と利かない治療を併用する「混合診療」を限定的に認めた保険
外併用療養費制度の見直しについて「大きく変えるための改革案を関係閣僚で
まとめていきたい」と述べた。田村憲久厚生労働相は、重篤患者が未承認薬を
今より早く使えるようにすることや、今年度中に再生医療を同療養費制度の対
象とする考えを示した。
厚労省は混合診療をすれば、本来保険が利く部分も含め全額患者の自己負担
としている。効果や安全性が不明な治療がはびこりかねないほか、高額医療に
保険を適用しない流れが強まり、所得によって医療格差が生じるとみているか
らだ。ただし、保険外併用療養費で認めた約100の先進技術などは例外的に
混合診療を可能とし、保険の利く部分の自己負担を抑えている。
同療養費には先進的な治療を対象とする「評価療養」と、差額ベッドなど「選
定療養」の2分野がある。選定療養は保険適用を前提としない「上乗せサービ
ス」なのに対し、評価療養には保険適用か否かの判断を待つ新たな治療技術が
並ぶ。専門家の評価が出るまで混合診療を認める。
しかし、成長戦略の目玉がほしい首相は、医療分野の規制緩和を狙っている。
政府の規制改革会議は現行制度では患者の選択肢が広がらないとして、6月
の答申に向け第3の分野「選択療養」(仮称)の新設を求めた。
医師と患者の合意で混合診療の対象を個別に決める案で、16日は海外での
承認実績などの要件を満たさない技術は外す方針を示したものの、治療内容や
医薬品は限定していない。
選択療養案に対し、厚労省は「患者は医師に従わざるを得ない」と批判し、
企業や市町村など保険料を払う側も反対だ。とはいえ、再生医療の普及など今
後医療費を押し上げる要因は目白押し。省内では「適正価格に下がるまで保険
適用をしない技術」といった分野をつくる構想などが浮上している。
【佐藤丈一、中島和哉】
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混合診療の拡大検討 患者希望で可能に 政府
朝日新聞 2014年4月17日(木)配信
公的な医療保険が使える診療と、使えない自由診療を組み合わせる「混合診
療」について、政府が対象を広げる検討に入った。高度ながん治療などを担う
一部の病院で、重症の難病患者が希望する未承認薬などについて、幅広く混合
診療を認める案が軸だ。対象病院は段階的に増やす方向で、将来の大幅な拡大
につながる可能性がある。
混合診療は原則できないが、例外的に一部の先進医療で認める制度がある。
政府の規制改革会議は、医師と患者の合意を条件に対象を大きく広げる新制度
「選択療養」を提案。これを受け、安全性に配慮した案を厚生労働省がまとめ
た。
厚労省案は今の制度と選択療養の中間的な内容だ。がんなどの難病を想定す
るが、病名や治療法は限定せず、個々の患者の希望に沿って実施できる点は選
択療養と同じ。一定数の症例を研究目的で集めないと申請が難しい現行制度に
比べ、患者のニーズにこたえやすくなるとみている。
一方、安全性や効果が疑わしい治療を防ぐため「歯止め」を入れる。今の制
度と同じく、厚労省の専門家会議のチェックを受けることを義務づける。審査
期間は申請から1~2カ月とし、今の3~6カ月より短くする。実施できる医
療機関も、臨床研究で実績のある中核病院など(現在は国立がん研究センター
や東大病院など15カ所)に絞る。ただし中核病院などと協力関係にある病院
では、一度認められた混合診療をできるようにし、実施病院を増やしていく。
規制改革会議の案には関係団体の反対が強く、厚労省案を軸に調整が進んで
いる。6月までに決着させ、来年の法改正をめざす。
(高橋健次郎、石松恒)
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皆保険形骸化を懸念 混合診療の拡大
共同通信社 2014年4月17日(木) 配信
【解説】保険診療と保険外の診療を併用する「混合診療」をめぐっては、国
民皆保険制度の形骸化を懸念する厚生労働省など慎重派と、治療費の負担軽減
を求めるがん患者らの主張が対立してきた。
厚労省が恐れているのは、混合診療の拡大により、新たに開発された先進的
な医療が公的医療保険の対象になりづらくなることだ。新薬には膨大な開発費
がかかるようになっており、先進医療の治療費は今後、ますます高価になると
予想される。
一方で、公的医療保険の担い手である国や企業には財政的な余裕がない。混
合診療が大幅に認められ、基本的な治療は保険、自分が望む治療は自費という
流れが定着すれば「お金のかかる治療を保険で認めるのはやめ、混合診療のま
までいい、という声が強まるのは確実だ」(厚労省幹部)。さらに未承認の薬
などが広く使われるようになれば、薬害などの責任を誰が取るのかという問題
も起きてくる。
これに対し、患者らは「新しい治療を試すと、それまで保険で賄われてきた
部分まで自費になるのは理解できない」と訴える。標準的な療法で効果が出な
い場合、外国で使われている新薬や免疫療法などに頼らざるを得ないからだ。
厚労省は、新薬が外国で認められてから日本で承認され、保険診療の対象に
なるまでの時間差を極力短縮する方針を示しているが「現に治療を受けている
患者には間に合わない」との切実な声が上がっている。
規制改革会議の岡素之議長 共同通信社 2014年5月15日(木) 配信
保険診療と保険外の自由診療を併用する「混合診療」の拡大をめぐり、政府
内の調整がヤマ場を迎えている。立場の異なる3人に意見を聞いた。
× ×
現在は混合診療を受けると、法律で原則禁止されているため、公的保険がき
く診療まで全額が患者の負担になってしまう。保険外の診療で治る可能性があ
るのに、負担が高額になるため諦めざるを得ない人たちがいる。
私の知人は妻ががんで余命3カ月と診断され、保険外診療に希望を託して混
合診療を選んだ結果、1千万円以上を負担しなければならなかった。彼は「こ
んな制度はおかしい」と訴えていた。
現行制度でも、一部の先進医療などに限って混合診療を認める「保険外併用
療養費制度」があるが、受けられる治療法は決められている。症状などにも条
件があり、患者を救いきれていない。
困難な病気で苦しんでいる人に優しい制度にしよう、選択肢を増やそうと、
規制改革会議は「選択療養制度(仮称)」という新しい仕組みを提案している。
現行制度との最大の違いは"患者起点"であることだ。患者が希望し、医師がき
ちんとした診療計画をつくった場合は、その都度、個別に混合診療を認める。
安全性や有効性を懸念する声があるが、保険外併用療養費制度とほぼ同等の
医学的根拠を求め、全国統一の専門家ネットワークで審査する。現在は先進医
療の審査に半年程度かかっているが、その期間は短くする。選択療養の条件を
クリアできる保険外診療がどれだけあるかは分からないが、1人でも救えるな
ら、やる価値はある。
「選択療養で先進的な医療が受けられるようになると、保険が適用されにく
くなる」という反対意見もある。私はむしろ逆だと思う。現在は医療機関を替
えたりして見えない形で混合診療が行われているが、選択療養を導入すれば実
績データが集まるようになる。保険適用へのプラス要因になるだろう。
患者に専門知識がないのをいいことに、医師が金もうけのために安全性や有
効性に疑問のある医療を施す危険性は、現状の不透明な自由診療でも存在する。
選択療養の導入で不正の排除が期待できる。
× ×
おか・もとゆき 43年生まれ。住友商事社長、会長を経て同社相談役。1
3年1月から規制改革会議議長。
※混合診療の拡大論議
公的医療保険がきかない自由診療と保険診療を組み合わせる混合診療は原則
禁止で、患者の負担は保険診療部分も含め全額自費となる決まりだ。患者の負
担を抑え選択肢を増やすべきだとして、全面解禁や拡大を求める論議が度々起
き、2004年に当時の尾辻秀久厚生労働相と村上誠一郎規制改革担当相が「保
険外併用療養費制度」を設けることで合意。同制度は06年に始まった。国が
認めた一部の先進医療などは保険適用を目指す「評価療養」、差額ベッド代な
ど保険適用を前提としない「選定療養」の2分野がある。併用した保険診療は
1~3割の自己負担で利用できる。政府の規制改革会議は今年3月、第3の分
野として「選択療養」の創設を提言。患者と医師が選択した自由診療を、幅広
く併用可能とするよう求めている。
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安全、有効なら保険適用を 医療の格差広げないで 「論戦・混合診療」
日本難病・疾病団体協議会の伊藤たてお代表理事
共同通信社 2014年5月16日(金)配信
混合診療の拡大を主張する政府の規制改革会議は「わらをもつかむ患者の気
持ち」「患者の視点」を強調しているが、会議の委員の多くは大企業の役員だ。
私たち一般の患者のことを本当に考えてくれているのか非常に疑問に思う。
治療に伴う月に数千円の負担ですら払えない難病患者がたくさんいる。規制
改革会議が念頭に置いているのは(保険適用外の高額医療を受けるために)数
百万円ものお金を払うことができる人だろう。「裕福な患者の視点」ではない
か。違う世界の話をされているように感じる。
私は4歳のころ難病の重症筋無力症になった。治療や薬で今は回復したが、
戦後間もない当時は、国民皆保険の仕組みはなかった。妹も同じ病気で、父は
治療費を稼ごうと炭鉱作業員になったが、それでも高額過ぎて賄いきれず、幼
くして妹は亡くなった。
今でも地域によっては高度な医療を受けられないといった格差がある。混合
診療の拡大は成長戦略に資するというが、こうした格差を是正せずして何のた
めの成長なのだろうか。私たちが望むのは、安全性と有効性が認められた先進
医療については、一般の人が広く受けられるよう、速やかに公的保険が適用さ
れることだ。
混合診療拡大論の裏には、ニーズがある高所得者向けに民間医療保険を広げ
たいという、経済界の狙いがあるのではないか。先進医療は規制改革会議が提
案する「選択療養制度」や、民間保険でカバーすればいいという風潮になった
ら、公的保険を適用しようという力は弱まる。患者の階層化につながりかねな
い。
確かに、がん患者らの中には「混合診療を認めてほしい」という声がある。
だが(一部の混合診療を国が例外的に認める)現行の「保険外併用療養費制度」
を活用すれば、対応していけると思う。新しい制度をわざわざつくる必要性は
感じない。
× ×
いとう・たてお 45年生まれ。内閣府の障害者政策委員会委員なども務め
る。
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スマホで健康管理情報 ローソンとルネサンス
共同通信社 2014年5月16日(金) 配信
ローソンとフィットネスクラブ大手のルネサンスは15日、スマートフォン
を通じて健康管理の情報を顧客に提供するサービスを共同で今秋にも始めると
発表した。
ローソンは健康志向の客を囲い込み、コンビニ商品の販売拡大につなげるの
が狙い。東京都内で記者会見した新浪剛史(にいなみ・たけし)会長は「民間
の力で(介護を受けずに自立して生活できる)健康寿命を延ばしたい」と語っ
た。
ローソンなどで使えるポイントカード「Ponta(ポンタ)」の会員約6
200万人と、ルネサンスが契約する約1200の法人会員がサービスの対象
で、スマホのアプリ(応用ソフト)で食事と運動のデータを管理する。
ローソンは食事内容や摂取カロリー、歩数を記録、管理するサービスを提供
し、利用者の健康状態に応じた食事メニューを提案する。ルネサンスは、運動
による消費カロリーや、手軽な運動方法の情報を紹介する。
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混合診療拡大に反対決議 日本医師会など
共同通信社 2014年5月15日(木) 配信
日本医師会(日医)などでつくる「国民医療推進協議会」は14日、総会を
開き、公的医療保険がきかない自由診療と保険診療を組み合わせる混合診療を、
政府の規制改革会議が拡大するよう求めていることに対し「断固反対する」と
の決議を採択した。
協議会会長の横倉義武(よこくら・よしたけ)・日医会長は「患者が安全性、
有効性が定まらない治療を選択させられる恐れがある」と批判した。自由診療
が広まれば、所得によって受けられる医療に差が生じるとの懸念も示した。
混合診療は原則禁止だが、国が認めた一部の先進医療などに限り保険診療と
併用できる「保険外併用療養費制度」がある。規制改革会議は、患者と医師の
合意を基に幅広く混合診療を認める「選択療養」(仮称)の創設を提案。厚生
労働省は慎重姿勢だ。政府は調整を進め、6月にまとめる新たな成長戦略に結
論を盛り込む見通し。
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医療40団体、「選択療養」に反対決議
朝日新聞 2014年5月15日(木) 配信
医療関係の40団体でつくる「国民医療推進協議会」(会長・横倉義武日本
医師会長)は14日、政府の規制改革会議が提案した混合診療の拡大案「選択
療養」に対し、「断固反対」とする決議を採択した。今後、政府や与野党に申
し入れる。選択療養は、医師と患者の合意を条件に混合診療の対象を大幅に広
げる内容。
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混合診療拡大へ調整指示 首相「大きく変える」 成長戦略に反映
共同通信社2014年4月17日(木) 配信
安倍晋三首相は16日、保険診療と保険外診療を併用する混合診療の拡大に
向け、関係閣僚に調整を急ぐよう指示した。政府の経済財政諮問会議と産業競
争力会議の合同会議で「(混合診療を例外的に認めている現行の)保険外併用
療養費制度を大きく変えるため、協力して案をまとめてもらいたい」と述べた。
混合診療の拡大をめぐっては、政府の規制改革会議が患者と医師が合意すれ
ば個別に適用を認める「選択療養制度(仮称)」の創設を既に提案。ただ、厚
生労働省は現行制度の拡充で対応する考えで、意見の違いが残っている。政府
は今後、調整を本格化させ、6月にまとめる新たな成長戦略に具体策を盛り込
む見通しだ。
この日の合同会議では、産業競争力会議が混合診療について(1)国内で未
承認の薬を患者が早く使えるようにする(2)費用対効果が低い医療技術でも
現行制度の枠内で混合診療を認める―との拡大策を提案した。
田村憲久厚労相は、この提案と同様の方向で検討を進める考えを表明。抗が
ん剤については未承認薬が迅速に使用できるよう、審査期間を通常の半年程度
から約3カ月に短縮する仕組みを昨年11月に導入しているが、厚労相は再生
医療や医療機器でも審査を迅速化させる方針を示した。
一方、規制改革会議はこれに先立つ同日の会合で、中立的な専門家が安全性
や有効性を評価するルールを設けた上で、選択療養制度の導入により混合診療
の対象を広げるべきだと提言。これを受け、稲田朋美行政改革担当相は合同会
議で「前向きで積極的な対応」を厚労相に求めた。
規制改革会議は3月に同制度の導入を提案したが、日本医師会や難病患者団
体などが安全性の確保を疑問視。混合診療のなし崩し的な解禁を招くと批判し
ている。
※混合診療
公的医療保険が適用される保険診療と、保険適用外の自由診療を併用する方
法。現在は原則として禁止されており、自由診療を受けると保険適用部分まで
全額自己負担となる。保険外の治療法も使いたいがん患者らから解禁を求める
声が出ている一方、難病患者団体は「利益を得られるのは裕福な患者だけ」と
反対し、患者間でも意見が分かれている。国は例外的に混合診療を認め、先進
医療を受けられる「保険外併用療養費制度」を設けており、審査の迅速化を進
めている。
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混合診療 首相、大幅拡充に意欲 厚労省「再生医療も対象に」
毎日新聞社 2014年4月17日(木) 配信
混合診療:首相、大幅拡充に意欲 厚労省「再生医療も対象に」
安倍晋三首相は16日、経済財政諮問会議と産業競争力会議の合同会議で、
保険の利く治療と利かない治療を併用する「混合診療」を限定的に認めた保険
外併用療養費制度の見直しについて「大きく変えるための改革案を関係閣僚で
まとめていきたい」と述べた。田村憲久厚生労働相は、重篤患者が未承認薬を
今より早く使えるようにすることや、今年度中に再生医療を同療養費制度の対
象とする考えを示した。
厚労省は混合診療をすれば、本来保険が利く部分も含め全額患者の自己負担
としている。効果や安全性が不明な治療がはびこりかねないほか、高額医療に
保険を適用しない流れが強まり、所得によって医療格差が生じるとみているか
らだ。ただし、保険外併用療養費で認めた約100の先進技術などは例外的に
混合診療を可能とし、保険の利く部分の自己負担を抑えている。
同療養費には先進的な治療を対象とする「評価療養」と、差額ベッドなど「選
定療養」の2分野がある。選定療養は保険適用を前提としない「上乗せサービ
ス」なのに対し、評価療養には保険適用か否かの判断を待つ新たな治療技術が
並ぶ。専門家の評価が出るまで混合診療を認める。
しかし、成長戦略の目玉がほしい首相は、医療分野の規制緩和を狙っている。
政府の規制改革会議は現行制度では患者の選択肢が広がらないとして、6月
の答申に向け第3の分野「選択療養」(仮称)の新設を求めた。
医師と患者の合意で混合診療の対象を個別に決める案で、16日は海外での
承認実績などの要件を満たさない技術は外す方針を示したものの、治療内容や
医薬品は限定していない。
選択療養案に対し、厚労省は「患者は医師に従わざるを得ない」と批判し、
企業や市町村など保険料を払う側も反対だ。とはいえ、再生医療の普及など今
後医療費を押し上げる要因は目白押し。省内では「適正価格に下がるまで保険
適用をしない技術」といった分野をつくる構想などが浮上している。
【佐藤丈一、中島和哉】
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混合診療の拡大検討 患者希望で可能に 政府
朝日新聞 2014年4月17日(木)配信
公的な医療保険が使える診療と、使えない自由診療を組み合わせる「混合診
療」について、政府が対象を広げる検討に入った。高度ながん治療などを担う
一部の病院で、重症の難病患者が希望する未承認薬などについて、幅広く混合
診療を認める案が軸だ。対象病院は段階的に増やす方向で、将来の大幅な拡大
につながる可能性がある。
混合診療は原則できないが、例外的に一部の先進医療で認める制度がある。
政府の規制改革会議は、医師と患者の合意を条件に対象を大きく広げる新制度
「選択療養」を提案。これを受け、安全性に配慮した案を厚生労働省がまとめ
た。
厚労省案は今の制度と選択療養の中間的な内容だ。がんなどの難病を想定す
るが、病名や治療法は限定せず、個々の患者の希望に沿って実施できる点は選
択療養と同じ。一定数の症例を研究目的で集めないと申請が難しい現行制度に
比べ、患者のニーズにこたえやすくなるとみている。
一方、安全性や効果が疑わしい治療を防ぐため「歯止め」を入れる。今の制
度と同じく、厚労省の専門家会議のチェックを受けることを義務づける。審査
期間は申請から1~2カ月とし、今の3~6カ月より短くする。実施できる医
療機関も、臨床研究で実績のある中核病院など(現在は国立がん研究センター
や東大病院など15カ所)に絞る。ただし中核病院などと協力関係にある病院
では、一度認められた混合診療をできるようにし、実施病院を増やしていく。
規制改革会議の案には関係団体の反対が強く、厚労省案を軸に調整が進んで
いる。6月までに決着させ、来年の法改正をめざす。
(高橋健次郎、石松恒)
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皆保険形骸化を懸念 混合診療の拡大
共同通信社 2014年4月17日(木) 配信
【解説】保険診療と保険外の診療を併用する「混合診療」をめぐっては、国
民皆保険制度の形骸化を懸念する厚生労働省など慎重派と、治療費の負担軽減
を求めるがん患者らの主張が対立してきた。
厚労省が恐れているのは、混合診療の拡大により、新たに開発された先進的
な医療が公的医療保険の対象になりづらくなることだ。新薬には膨大な開発費
がかかるようになっており、先進医療の治療費は今後、ますます高価になると
予想される。
一方で、公的医療保険の担い手である国や企業には財政的な余裕がない。混
合診療が大幅に認められ、基本的な治療は保険、自分が望む治療は自費という
流れが定着すれば「お金のかかる治療を保険で認めるのはやめ、混合診療のま
までいい、という声が強まるのは確実だ」(厚労省幹部)。さらに未承認の薬
などが広く使われるようになれば、薬害などの責任を誰が取るのかという問題
も起きてくる。
これに対し、患者らは「新しい治療を試すと、それまで保険で賄われてきた
部分まで自費になるのは理解できない」と訴える。標準的な療法で効果が出な
い場合、外国で使われている新薬や免疫療法などに頼らざるを得ないからだ。
厚労省は、新薬が外国で認められてから日本で承認され、保険診療の対象に
なるまでの時間差を極力短縮する方針を示しているが「現に治療を受けている
患者には間に合わない」との切実な声が上がっている。
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