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55歳の開業

2014年06月04日(水)

”神の手”と呼ばれる天才心臓外科医が、開業した。
私と同じ55歳。
凄い話だと、感心した。
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天皇陛下の手術をされた天野先生の「熱く生きる」には感動した。
こうありたい、と思った。

しかし3日たったら、忘れていた。
この渡辺先生の業績も凄い。

同世代の医師の活躍には刺激を受ける。
開業された限りは、成功してほしい。

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心臓手術の“神の手”、東京で開業
 
日本記者クラブ会員
石岡  荘十
 
2014年6月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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日本で唯一人、ロボットを使って心臓を手術する金沢大学の心肺総合外科の渡邊剛教授(55)が大学を辞任し、12日、東京・杉並に新しい病院をオープンした。病院は彼の名前を冠して「ニューハート・ワタナベ国際病院」とした。
 
東京・杉並区の井の頭沿いにある鉄筋コンクリート構造5階建ての既存の建物をそっくり買い取り、昨年夏から内装を開始、40億円をつぎ込んで病院に改装した。
 
病室は37すべて個室、ICU9ベッド、手術室2。こじんまりした規模だが、最先端の治療をウリにしている。診療科は心臓血管外科、循環器内科を中心とする専門治療を行うとしているが、最大の特徴は、患者への負担が小さく安全性の高いロボットを使った心臓手術を行う日本でただ一つの病院だということだ。渡邊医師が「総長」の肩書きで総指揮を執る。
 
渡邊医師については、心臓手術ではゴッドハンド(“神の手”)を持つドクターとか、“ブラック・ジャック”として、新聞雑誌、テレビなどマスコミでも紹介しつくされた観があるが、ともかく目立つのは手術症例実績の多さと、次々と繰り出した斬新な手術法だろう。
 
東京・府中の出身で、麻布高校時代に手塚冶虫の漫画「ブラック・ジャック」にあこがれて金沢大学医学部に進学。卒業後、大学医局からドイツに留学、2年半の臨床留学中に2000例にのぼる心臓手術を経験した。その数もすごいが、30歳とちょっとの若造がチーフレジデントとして心臓移植手術を手がけるなど、短期間に日本ではあり得ないキャリアを積んだ。帰国後、98年、全身麻酔が常識だった心臓手術を局所麻酔(アウエイク手術)だけで、患者と会話を交わしながら、胸を切り開く開胸手術をやってみせる。2003年には人工心肺を使わず、心臓を動かしたままのバイパス手術(心拍動下冠動脈バイパス手術:OPCAB)を成功させた。41歳で金沢大学心肺総合外科の教授となった。そして極めつけは外科手術用ロボット(ダ・ヴィンチ)を使った心臓手術を2005年、日本で初めて成功させたことだ。
 
ロボット手術といっても、機械が自動的に手術をするわけではない。患者の胸に1センチほどの4つの孔をあけ、そこから電気メスや内視鏡が組み込まれたアームを挿入して、このアームを少し離れたところにあるコンソールと呼ばれるコントローラーから指でリモ-ト操作する。医師が5ミリ動かすと、ロボットのアームが1ミリ動くので、人の手より精密な手術ができる。内視鏡手術で使っていたカメラの映像が2次元だったのに対し、ダヴィンチは3次元で見える。先端にカメラが2つあるため、映像が立体的に見え、実際より10~15倍に拡大される。ダヴィンチを使って、2センチ四方の紙で鶴を折ることもできる。
 
胸を大きく切り開く従来の術式に比べ安全な上、患者への負担は少なく、術後も開胸手術の半分、1週間で退院できる。そんないいことずくめの術式がなかなか普及しないのは、ロボット心臓手術は保険の適用外になっているためだ。2009年、ロボットを使った冠動脈バイパス手術が「先進医療」に指定されたが、費用は全額自己負担になる。これでは安全で患者に優しいとはいえ、手術方法を選ぶとき、患者が高額ロボット手術を選択するかどうか、難しいところだろう。病院サイドからいうと、ロボットが高額であることが、普及にブレーキをかけている。今回、病院が購入したロボットは一式2億7000万円だった。
 
日本では今年1月現在、東京医科大学病院(東京・新宿)や国立循環器病研究センター(大阪・吹田市)など国内で40台が導入されているが、保険が適用される泌尿器疾患の手術をしているだけで、最先端の心臓手術を行っているのは、日本では渡邊医師唯一人だ。しかし一般消化器外科、心臓外科を除いた胸部外科、泌尿器科、及び婦人科の領域で、安全性と有効性が確認され始めている。いずれ、保険診療として認められるという展望を渡邊医師は持っている。
 
日本の冠動脈バイパス手術の患者平均死亡率は1.15%なのに対して渡邊医師在職中の金沢大学の「チーム・ワタナベ」の残した心臓手術実績の中で、患者死亡率は0.43%という驚異的な数字を残している。そんな実績、勲章を胸にぶら下げて、何が不満で大学を飛び出したのか。それは「大学病院に限界を感じたからだ」(渡邊医師)と言う。
 
公立であれ私立であれ、大学病院は例えば許・認可事項、医師の教育、時間外の緊急手術、何もかもが中途半端だ。10年前から、「大学病院には限界がある。自由に自分の理想・能力を思いっきり発揮できる環境を実現したい」と考えていたという。
 
そうは言っても、おいそれと先立つものを調達する才能・才覚、コネはなかった。そんなときのアベノミックス。「これからの成長戦略は医療と教育、農業」という安部総理の発言が効いた。大手の銀行からはすべて、担保がない実績がないと門前払いを食らったが、地方銀行である北國銀行と群馬銀行が”昨年3月、手を上げた。「民主党政権が続いていたら実現しなかっただろう。形が見えない医療の将来性を一番評価する能力のないのは金融機関だ。大手銀行は土木工事と公共工事しか評価する能力がない、と皮肉る。
 
渡邊医師は今後2年ほどをかけて、年間400例以上の心臓手術を中心とした最先端医療を実現したいと言っている。これが実現できたら、同じくらいの規模の病院をあと二つは作りたいと夢を語っている。
 
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MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp
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