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百寿者の8割が寝たきり

2014年07月07日(月)

一昨日の産経新聞兵庫版の連載「健康長寿シリーズ」第2話は。
骨粗しょう症について書いたが、これが寝たきりの原因になる。
みなさんがんを怖がるが、骨粗しょう症も結構怖いと思う。
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産経新聞健康長寿シリーズ第2回  百寿者の8割が寝たきり
                       骨粗しょう症ががんより怖い理由
 
 百歳まで生きる人(百寿者)が、5万人を超えて全人口の0.04%、2500分の1の比率だそうです。まだ珍しいかもしれませんがが、年々増えています。百寿者は、長寿の家系の人が多いような気がしますが、やはりそのようです。本人の努力もさることながら、遺伝も相当の関係しているようです。そもそもなぜ百歳まで到達できたのかを考えると、死ぬような病気にかからなかったからです。たとえば「がん」という病気は、全身に広がると死に至ります。60歳~80歳台をがんにならずに過した方には、百歳という大台が見えてきます。80歳を過ぎてがんになる人もいくらでもいますが、若い人よりゆっくりしか進行しません。80歳以上の方の剖検をすると1割以上の方に、小さな甲状腺がんや前立腺がんが見つかるそうです。これらのがんはゆっくりと進行し、寿命にあまり影響しないがん、「天寿がん」と呼ばれています。百寿にはまずは「がんの壁」でしょうか。

 一方、百寿者の8割が寝たきり生活だそうです。なぜ8割なのかというと百寿者の9割が女性だからです。女性は閉経後、急速に女性ホルモンが低下するため骨粗しょう症になり易いと言われています。命に関らないけど寝たきりになる「骨粗しょう症」と、命に関わる「がん」とどちらが怖いと思いますか?講演会でこんな質問をすると、みなさん「骨粗しょう症」のほうに手を挙げます。たしかに「がん」より「骨粗しょう症」のほうが介護負担、介護費用がかかることを経験的に知っています。
 
 骨粗しょう症になればなるほど骨折し易くなります。くしゃみや咳をしただけでも、あばら骨が折れたり、立ち上がっただけで背骨がクシャッと折れることがあります。代表的な骨折としては、背骨が折れる脊椎圧迫骨折、足の付け根の大腿骨頚部骨折、腕の付け根の上腕骨頚部骨折、手首の橈骨遠位端骨折などです。橈骨遠位端骨折は女性では50歳位から転倒して手をついた時に折れます。大腿骨頚部骨折も多くは転倒した時に折れますが、やや年齢が高く、70歳頃から急激に増加します。この骨折の多くは手術を必要とし、歩行が困難になったり、寝たきりの原因になり易いので、転倒予防の意義が高い骨折です。

 そもそも骨粗しょう症とは骨の中身が、スカスカになること。骨密度というものを測定し、それが減少した状態をいいます。骨密度の測定方法にもよりますが、骨粗しょう症の患者数は、女性 約767万人、男性356万人、合計で約1100万人と推計されています(2007年)。50歳以上の女性は、腰椎で25-35%、大腿骨頚部で9-13%、50歳以上の男性は、大腿骨頚部で4%が骨粗しょう症と診断されるそうです。日本人では腰椎骨の密度は45-49歳から低下が始まり、70-74歳で若年成人値の74%まで、80-84歳でその69%まで低下します。この変化に比例して骨折の危険度が増加します。しかも、いったん骨折するとそれ自体が、年齢や骨密度から独立して新たな骨折の危険因子となるため、別の骨折が重なるという悪循環に陥ることをよく経験します。先日、あと一歩で百寿者、という時に転倒、骨折した方を見ました。ここまで来たからには、なんとか骨折しないで百歳を迎えさせてあげたかったのですが・・・。では、骨粗しょう症にならないためには、どうすればいのでしょうか?(続く)
 
キーワード 骨粗しょう症
骨の微細構造が変化して、脆弱性が引き起こされて、その結果骨折しやすくなった病態。骨量(骨密度)が若年成人平均値の80〜70%を骨量減少、70%未満を骨粗しょう症と診断する。骨密度の測定は腰の骨、股関節近くの骨、腕や指の骨、踵の骨などで行われる。

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この記事へのコメント

母方の一番上の伯母は100歳です。
小柄ですが、耳は遠いですが、頭も年相応にちゃんとしています。
自分で歩き、食べ、トイレもいき、最近は流石に減ったようですが、娘や孫の車で、一日200キロドライブも平気、編み物も。
90代半ば、干していた座布団を取り込もうとして、足元が見えず転倒、大腿骨骨折、しかし、手術を受けて、すぐ退院、杖なしでスタスタ歩いてきたので、化け物か?!でした。
昨年また転び、骨折はなく打撲傷のみ、流石に外出時は杖を持つようにしたようですが、自分で歩きます。
何故元気なのか?
子供時代は貧乏人の子沢山生活、野菜や自家製納豆など大豆製品、たまーに川魚の食事、子守や家事の手伝いで動き回る。
自分の子供は6人いますが、戦後はやむなく植木屋となった伯父と一緒に働き、力仕事も子育ても。70~80代は娘の仕事の高校売店を手伝い、立ち仕事と暗算、若い生徒とのやりとり。
どうすれば骨粗鬆症にならないか?
伯母の人生、答があるでしょうか?50代の私より骨密度は高いかも、、、。

Posted by 小畑ふみこ at 2014年07月07日 02:49 | 返信

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