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誰のための介護保険制度?

2014年09月30日(火)

毎日、毎日、密かに思っている。
介護保険制度、ケアマネ制度(ケアマネさんでは無い)が、間違っている!!と。
批判は覚悟の上で、医療タイムス9月号に大胆な意見を書いてみた。→こちら
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医療タイムス9月号    誰のための介護保険制度?    長尾和宏
 
 日々、外来診療と在宅医療に従事していて感じることは、日本の社会保障システムは果たして多死社会のピークとされる2025年までもつのだろうか、という素朴な疑問である。国家システムとはいえ、所詮は現場の寄せ集めであるので、システムの末端にいるもののこのような皮膚感覚は正しいと信じている。人口減少、経済の縮小、超高齢・少子化の進行が確実な社会において、2000年に制度設計された介護保険制度は、今こそその骨格を大幅に改変する時期に来ていると感じている。
 
 具体的な論点を2、3挙げてみたい。独居高齢者を訪問すると、どこもエプロンをかけたヘルパーさんが買い物をして来て旨そうな料理を作っている。正直、羨ましい限りである。1食あたり何千円かかるのか正確には知らないが、生活保護の場合、全額公費からの拠出である。しかしこんな贅沢制度は、誰がどう考えても存続できるはずがない。
 
 ケアマネさんの行動様式にもかなりの課題がある。最大の難点は、大半の訪問看護や訪問リハビリはケアマネさんの裁量傘下にあるために、ヘルパー最優先となりケアプランに入れてもらえないことだ。有識者は必ず「それはケアマネの資質の問題だ」と一蹴するが、私は制度の問題であると思っている。事の本質は営利優先の企業の営業マンにならざるを得ないケアマネさんではなく、制度設計にこそある。こうした土台の組み間違いは、居宅のみならず、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者住宅、お泊まりデイ、ショートのロングなど広範囲に及ぶ。医療と介護を完全に分けて制度設計することにどだい、無理がある。高齢者を集合建物に隔離する限りは医学的管理が必須となる。介護スタッフは医療への憧れや信仰が強いため、また管理意識が強く働くため、通常の自宅療養より医療ニーズが必ず高くなる。在宅療養継続の最大の障害はケアマネ制度にあると思う。
 
 混合診療はあれほど厳しく取り締まれているのに、混合介護は大歓迎だという。多くの開業医は、医療保険と介護保険の両方に関与するが、両者の世界観のあまりの違いに呆れるのは筆者だけだろうか。講演会で「医療と介護の連携」などと美辞麗句を並べるのは容易だ。しかし現場は、どうであろうか。これ以上書くと刺されるかもしれないので、ほどほどにしておくが、どう考えても介護保険制度の当初の理念と遠くかけ離れている気がしてならない。利権に群がる業者のうち、質の悪い業者になぜ行政のメスが入らないのか不思議でしょうがない。誰のための介護保険制度なんだろう、といつも思う。

 開業医がいじめ易いのはよく分かるが、これ以上いじめることは国家の損失だ。医師という職能集団をモラルハザードが最も担保された職種として、介護保険制度の倫理面を担保できるような仕組みに組み替えられないものか。本気で地域包括ケアシステムを目指すのであれば、医療法人と社会福祉法人の「非営利型ホールデイングズ法人構想」を早急に具体的に押し進めるべきだ。これも国家制度の問題である。以上は、たいへん過激で諸先輩にはたいへん失礼な意見なのかもしれない。しかし在宅現場にいて、いつもそう感じている。今号のテーマが「介護改革」であるのに免じて、少しでも今後の介護保険改革の参考にして頂ければ幸いである。

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ちなみに、私の提案は、アピタルに
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この記事へのコメント

 過激でもなんでもなく 崩壊制度が目に見えていることは現実ですから当然のご意見だと思います。

Posted by 薬剤師 井澤康夫 at 2014年09月30日 05:39 | 返信

私も、ヘルパー2級を取ったのですが、「お料理の上手なヘルパー」が求められると言うので、アウトでした。料理上手な年配の主婦が腕を、ふるいました。
全部、宅配のお弁当にしてくれたら、ヘルパー2級で、入れたのにと思います。
でも、長尾先生は、現在の介護保険制度をどうすれば良いと仰っているのかよくわかりません。
医療法人と社会福祉法人の「非営利型ホールディングス法人構想」が良いのですか?
社会福祉法人の中に、医療機関のある施設はありますけど、非営利型というと、ボランティアのNPO法人のことですか?よくわかりません。

Posted by 大谷佳子 at 2014年10月01日 02:33 | 返信

 介護サービス事業者認定に関しても疑問です。
「腰痛治療にマッサージや整体は医学的根拠なし」ですのに、営業競争が激しいリラクゼーション業界の中で、施術内容もどうかと思う、ぱっとしない店舗であったにも拘わらず、いつの間にか「通所リハビリテーション業者」の指定を受けたらしく、数台の送迎車を忙しく走らせているのを見ると、いらっとします。業者認定審査基準は知りませんが、「通所リハビリ」の概念の中で当てはまるとしたら「娯楽」と「社会的孤立感の解消」の部分でしょうか?
 不況の真っ只中を、超厳しい労働環境下で全速力で働いてきましたから、自分にムチ打つために、リラクゼーションスポットは各種利用してきましたけど、45分5000円の高価な出費です。今や介護保険費用充当で、ご利用者様は一割負担の500円で済むのですね。出費額にひがんでいるのではありません。
 真面目に真摯に神聖に介護を考え、御自分の命を縮める程の働きをしている世界もあれば、市内を縦横無尽に「商売!商売!」と言わんばかりに走る看板車を見るにつけ、別世界の話、別次元の取り組みなのですね、と皮肉りたくもなります。

Posted by もも at 2014年10月02日 04:31 | 返信

先生はカジノ風デイサービスをご存じですか?♪
介護保険は終わってます。
デイサービスってなんだろう…

Posted by とっと at 2014年10月03日 01:38 | 返信

先生の著書を読ませていただきました。内科開業医です。
 私は、介護保険は国営貧困ビジネスだと認識しています。ですから、行政は後押しこそすれ、監督規制は名目だけです。元々在宅介護のほうが多額の費用が発生する事は判り切っていたのです。しかし、自民党政権時代に「在宅のほうが安上がり」と嘘をついて、政官民の癒着ででっち上げた制度ですから、どんどん費用が膨らみ、業者が参入し、高齢者の蓄えを吐き出させます。そして、金の切れ目が介護の切れ目になるような仕組みです。しかし、高齢者の蓄えも限界があり、金の切れ目になると、関連政官民が干上がるので、消費税で賄おうと画策しているように見えます。介護の名目でやれば、「何でもアリ」の方向に行くのではと危惧します。
 カジノ風デイとかもあるようですが、そのうち、マッサージ嬢による入浴サービスなんかが登場するような気がします。

Posted by 近藤信介 at 2014年10月05日 03:38 | 返信

日経新聞の10月4日の朝刊で、「介護事業、偏る利益」と言う記事がありました。
”新サービス参入の壁”
介護サービス事業者への利益配分に偏りが目立ってきた。厚労省が3日発表した経営実態調査によると、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームが高い収益率を上げる一方、在宅介護を支援するサービスは低迷し、参入の妨げにもなっている。介護事業者の利益は国の公定価格に左右され、見直しが欠かせない。
特養の利益率;8.7%
在宅支援低迷;0.9%
厚労省が3日発表したのは、今年3月時点の介護事業者の経営実地調査だ。全国の介護施設.事業所約3万3千を対象とし、約1万6千(48%)から回答を得た。
調査によると、介護サービス全21種にうち16種類が、年間収入に対する利益率で5%以上と「安定的に経営できる水準」(厚労省)だった。
中身を見ると、より特定のサービスに利益が集中した状況がみてとれる。
一つが特養ホームだ。
利益率は8.7%と、前回の2011年の調査結果からわずかに下がったが依然として高い。特養ホームはもともと公定価格である「介護報酬」が高く設定され厚労省が徐々に引き下げてきたものの、利益率は高止まりしたままとなっている。
特養ホームには毎年生じる黒字をため込んだ「内部留保」が1施設あたり3億円、総額で2兆円もあるという指摘がある。
特養ホームを運営する社会福祉法人の団体は「施設の修繕や将来の建て替えに必要なお金だ」と主張するが、サービスや職員の給与にかかるコストを低く抑え利益を生んでいるとの見方もある。
自宅で介護を受ける人が運動や趣味のため通うデイサービスは、利益率が10.6%に上る。零細企業でも手掛けやすいため事業所数は10年で3倍の3万9千に膨らんだが、サービスの中身が伴わないとの指摘が多い。
半面、12年度に新設した24時間対応の定期巡回訪問介護サービスは、利益率が0.9%と低い。
自宅でも特養ホームのような手厚い介護が受けられるようにと作った新サービスだが、事業者数は今年3月末で400超とまだ少ない。
デイサービスのように通えるだけでなく、宿泊や訪問介護もまとめて一ヶ所で提供する「小規模多機能型居宅介護」サービスも、利益率は6.1%と高くない。採算性が低いままだと大手企業などの参入が進まず、在宅介護を支えるサービスが不足することになる。公定価格を調整して、利益が適切にされるよう見直すことが欠かせない。
財源の税金や保険料に利用者負担を加えた介護費は、全体で今年度10兆円に達し、25年度には21兆円と倍に膨らむ見込みだ。持続可能なサービスをするため、限られた財源を有効に使う必要がある。
                                           以上。

Posted by にゃんにゃん at 2014年10月05日 03:45 | 返信

私の家の老人は「アルツハイマー」と診断された正常圧水頭症と思われるのですが、尿路感染症由来の微熱が取れませんでした。ケアマネジャー(元訪問看護師)の命令で入浴介助サービスを、受ける事になりました。始めは、老人が怖がって、清拭しかできなかったのですが、ケアマネジャーのさらなる助言で、自分から「お風呂に入りたい」と言いだして、入浴介助会社の社長自らお風呂に入れて下さって、すっかり、微熱が取れました(平熱35.8℃)。やはりケアマネジャーには、居て欲しいと思います。
調べて見ましたら、ドイツと韓国の介護保険制度には、ケアマネジャー制度は無いそうです。
でも、私達ケアマネジャーはオーストラリアのケアマネジャー(社会福祉学博士)には、「ストレングス」(強みを活かす)と言うケアプランの方向性を、教えて貰って大変勉強になりました。
ドイツの様に、在宅介護がほとんど無くて、99%施設介護になる介護保険制度でケアマネジャーが居ない方式が良いのか、日本の様に、在宅介護に重点を置いて、ケアマネジャー制度を保持する方が良いのか、長い目で見ないと結論は軽軽に出ないと思います。
「日本の介護保険制度がうまくいかない。その犯人はケアマネジャーだ」と直ぐ結論を出すのは、「ユダヤ人が諸悪の根源だ」とか「朝鮮人が関東大震災の原因だ」と結論を出すのと変わらないのじゃないでしょうか?
しかし「ケアマネジャーの資質の問題」を(どう底上げしていくのか?)が解決されない以上、長尾先生のイライラは、爆発しそうですね。

Posted by 大谷佳子 at 2014年11月11日 03:26 | 返信

私も間違っていると思います。身内に独居老人がいます。要介護2です。でも認定を更新するとき何もできなくてと 大袈裟に言います。ヘルパーさんは毎日1時間半来てくれ料理、買い物、掃除をしてくれます。
一人でそとにはいけない人ですのでありがたいですが、本当は料理も洗い物も出来るのにあえてしません。どんどんヨボヨボになって行きます。さびしいのでデイサービスを週2回行ってます。来年からあと1回増やすそうです。非課税所帯は15000円以上はかえってくるからです。
請求書を見てびっくりしました。ヘルパーさん在宅請求は8万円 デイサービスは8万円合計16万円ですが本人は、15000円です。国が一人の老人に月15万円以上も払って国が持つ訳がありません。自分の出来ることはの努力して工夫してやるべきです。大きく何かが間違っていると思います。絶対行き詰まります。

Posted by 北澤妙子 at 2015年12月24日 01:33 | 返信

北澤妙子様へ
 ケアマネジャーをしております、みるくです。
 身内の方の介護保険の支援が、北澤様から見て過剰だと感じておられるのですね。
 
 介護保険はどれだけ点数が残っていても、必要性が無いサービスをつける事は違法です。
 ですので、お身内の方の介護保険の利用の仕方は違法である可能性があります。
 お身内の方がお住まいの市町村役所の介護保険を担当している部署にご連絡ください。

 介護保険において特に訪問介護は厳しく制限されております。
 色んな手を考えて他に手が無い場合に限り訪問介護は受けることが出来ます。
 私が担当している方では、買い物にいけないからヘルパーさんに行ってほしい。との依頼があれば、まずは宅配弁当で済ませることはできないか? 生協で買い物が出来ないか? 同居していない家族や近所の人に買い物ついでにその人の分の買い物を頼めないか? などを吟味してどうしてもヘルパーで無いと出来ない場合のみヘルパーを使うことにしています。
 掃除にしても、調理にしても、一つ一つ確認して、ヘルパーで無いと出来ないと判断されないと、サービスを入れる事はできません。
 また、掃除は1回で充分ですし、調理は2.3日分まとめて作るのが普通なので、毎日家事援助に入るサービスは私のケアプランではありえません。

 介護保険は必要性が重要なので、それが答えられないケアプランであれば、市町村より返戻の命令が下ると思います。それだけ厳しいのが介護保険です。でも、めったに監査に入られないので、大丈夫だと勘違いしているのでしょう。
 その訪問介護事業所やケアマネが早めに勘違いを修正できるように、ぜひ市町村に通報してください。

Posted by みるく at 2015年12月26日 09:38 | 返信

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