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失敗と成功は同価
2014年11月25日(火)
飛行機が無事飛ぶのと、墜落するのと、どちらが不思議か。
実は、飛ぶことも、墜落するのと同じくらい不思議なことだ。ことだ。
医療安全の世界では、失敗と成功は同価と考えることから始まる。
実は、飛ぶことも、墜落するのと同じくらい不思議なことだ。ことだ。
医療安全の世界では、失敗と成功は同価と考えることから始まる。
失敗と成功は同価
医療の質と安全学会でのシンポジウムのトップバッターとして
大阪大学医学部付属病院中央クオリティマネジメント部部長の
中島和江氏が講演されました。
演題は「レジリエンス・エンジニアリングの医療安全への展開:
うまくいっていることから学び、うまくいくことを増やす」。
レジリエンス・エンジニアリング?
はじめて聞いた言葉でした。
なんこのとでしょうか。
以下、少々耳慣れない言葉が並びますが、医療安全の世界で
どんな議論がなされているのか是非知って頂きたいのでご紹介します。
中島氏は、これまでの医療安全への取り組みは、
(1) さまざまな機能(人やモノなど)が関係する医療は、
複雑系のシステムの代表格であり、機能が及ぼす結果の予測が困難、
(2)「失敗には必ず原因がある」との発想を前提にしている
などの理由から限界があり、発想を転換する重要性を強調しました。
「失敗には原因があるという発想は、言い換えれば、
有害事象が起きるまで、何も行動しないこと。
原因を探すといっても、『後知恵バイアスがかかり、犯人探し』になる」と。
これからの医療安全は、(1)複雑系を前提、(2)失敗と成功は等価、
(3) 必ずしもはっきりとした原因がない、(4)安全の定義を動的
(想定内の状況でも、想定外の状況でも、システムが求められた機能を果たしていること)、
(5)許容されるアウトカムを増やす、
(6)先行的、という視点での取り組みが求められるとしました。
日常臨床業務の大半は、同じことをやっても成功しているのであり、
その成功例から対策を見いだすことが求められます。
その際のポイントは、日常臨床業務の複雑性を理解する、
機能(function)に着目する、頭の中で考える仕事(work-as-imagined)と
実際の仕事(work-as-done)を近づける。
これら3つが、レジリエンス・エンジニアリングの中核であり、
臨機応変、柔軟な対応が必要である、と述べられました。
異型輸血の事故が報告されるが、なぜ救急センターや、
ICUで繰り返し起きるのかを考えてもらいたい、と問いかけ、
何らかの対策を講じた場合、それを検証、フィードバックし、
対策の妥当性を評価する必要性も指摘しました。
日常臨床業務の複雑性を記述する方法に、
「FRAM(Functional Resonance Accident Model )」があります。
「I:input(入力)、O:output(出力)、P:precondition(前提条件)、
R:resource(リソース)、T:time(時間)、C:control(制御)」の
6つの要素から業務を把握するやり方のことです。
中島氏は、FRAMの考え方を社会システムに広げました。
「犯人を特定し、罰を与える」刑事司法は、
患者の「P(前提条件)」に「不信感」を与えてしまいました。
医療提供者には、「C(制御)」が働き、医療が持っている大事な機能が止まり、
診療拒否など、よくない状況に陥る懸念があります。
モデル事業も同様であり、刑事司法と同様に、「work-as-done」ではなく、
「work-as-imagined」になっている上、調査にもかなりのマンパワーが割かれています。
中島氏は、最後に新しい医療事故調査制度について、
(1)患者と医療者の信頼関係を前提とし、これを壊さない、
(2)複雑系を理解した調査、報告書作成、提言が行われること、
(3)本来診療にあてるべきリソースを消費しないこと、を求めました。
失敗と成功は同価という指摘には、目からうろこ。
飛行機が無事離発着するのが不思議でしたが、
なんとなく、そう感じることは当たり前だと分りました。
「犯人を特定し、罰を与える」刑事司法には限界があるという指摘は、
今後、たいへん重要になる視点でしょう。
考えてみると日常、かなり複雑なことをしているのだなと思いました。
医療の質と安全学会でのシンポジウムのトップバッターとして
大阪大学医学部付属病院中央クオリティマネジメント部部長の
中島和江氏が講演されました。
演題は「レジリエンス・エンジニアリングの医療安全への展開:
うまくいっていることから学び、うまくいくことを増やす」。
レジリエンス・エンジニアリング?
はじめて聞いた言葉でした。
なんこのとでしょうか。
以下、少々耳慣れない言葉が並びますが、医療安全の世界で
どんな議論がなされているのか是非知って頂きたいのでご紹介します。
中島氏は、これまでの医療安全への取り組みは、
(1) さまざまな機能(人やモノなど)が関係する医療は、
複雑系のシステムの代表格であり、機能が及ぼす結果の予測が困難、
(2)「失敗には必ず原因がある」との発想を前提にしている
などの理由から限界があり、発想を転換する重要性を強調しました。
「失敗には原因があるという発想は、言い換えれば、
有害事象が起きるまで、何も行動しないこと。
原因を探すといっても、『後知恵バイアスがかかり、犯人探し』になる」と。
これからの医療安全は、(1)複雑系を前提、(2)失敗と成功は等価、
(3) 必ずしもはっきりとした原因がない、(4)安全の定義を動的
(想定内の状況でも、想定外の状況でも、システムが求められた機能を果たしていること)、
(5)許容されるアウトカムを増やす、
(6)先行的、という視点での取り組みが求められるとしました。
日常臨床業務の大半は、同じことをやっても成功しているのであり、
その成功例から対策を見いだすことが求められます。
その際のポイントは、日常臨床業務の複雑性を理解する、
機能(function)に着目する、頭の中で考える仕事(work-as-imagined)と
実際の仕事(work-as-done)を近づける。
これら3つが、レジリエンス・エンジニアリングの中核であり、
臨機応変、柔軟な対応が必要である、と述べられました。
異型輸血の事故が報告されるが、なぜ救急センターや、
ICUで繰り返し起きるのかを考えてもらいたい、と問いかけ、
何らかの対策を講じた場合、それを検証、フィードバックし、
対策の妥当性を評価する必要性も指摘しました。
日常臨床業務の複雑性を記述する方法に、
「FRAM(Functional Resonance Accident Model )」があります。
「I:input(入力)、O:output(出力)、P:precondition(前提条件)、
R:resource(リソース)、T:time(時間)、C:control(制御)」の
6つの要素から業務を把握するやり方のことです。
中島氏は、FRAMの考え方を社会システムに広げました。
「犯人を特定し、罰を与える」刑事司法は、
患者の「P(前提条件)」に「不信感」を与えてしまいました。
医療提供者には、「C(制御)」が働き、医療が持っている大事な機能が止まり、
診療拒否など、よくない状況に陥る懸念があります。
モデル事業も同様であり、刑事司法と同様に、「work-as-done」ではなく、
「work-as-imagined」になっている上、調査にもかなりのマンパワーが割かれています。
中島氏は、最後に新しい医療事故調査制度について、
(1)患者と医療者の信頼関係を前提とし、これを壊さない、
(2)複雑系を理解した調査、報告書作成、提言が行われること、
(3)本来診療にあてるべきリソースを消費しないこと、を求めました。
失敗と成功は同価という指摘には、目からうろこ。
飛行機が無事離発着するのが不思議でしたが、
なんとなく、そう感じることは当たり前だと分りました。
「犯人を特定し、罰を与える」刑事司法には限界があるという指摘は、
今後、たいへん重要になる視点でしょう。
考えてみると日常、かなり複雑なことをしているのだなと思いました。
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