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療養病床への期待
2014年11月25日(火)
医療タイムス11月号 頑張っている療養病床の強化こそが病床再編の核 長尾和宏
2011年末の廃止が宣言されていた介護療養病床の廃止期限は2017年まで延長されていた。しかし11月6日の介護給付費分科会で療養機能強化型(仮称)が提唱され、事実上、存続が決まったようだ。当然だと思う。年齢構成、疾病構成、医療経済などどのような角度からどう見ても、最も力を入れないといけないのは慢性期医療の充実だろう。日々、90歳代の要介護認知症の方が肺炎で7:1病院に入院する現実には強い違和感を覚える。医療資源は限界なのだから病床再編は必須のはずだ。今、頑張っている療養病床にもっと目を向けないといけない。在宅誘導政策が始まってもはや10年以上が経過した。しかし在宅医療に取り組む医師は全国各地で伸び悩んでいる。どこに行っても「在宅医療を担う医師がいない!」という声だけは共通だ。また在宅医の高齢化が常に話題になる。実は、在宅医療の主役である訪問看護ステーションも、同様に伸び悩んでいる。
今夏に台湾で講演したが、台湾では末期がんにのみ在宅医療が許されていた。ただし台湾厚労省の許可を得るのに1週間もかかることや、非がんの在宅医療は許可されていないなど、在宅医療制度はまだ始まったばかりだった。そんな台湾に学ぶべき点をひとつ発見した。それは台湾の在宅医は9時~5時だということ。主治医(開業医)は24時間体制では無かった。夜間対応は、地域の緩和ケア病棟の医師や看護師が対応、往診していたのだ。時間外は病院スタッフが対応するので在宅医の負担は、移動の手間だけだという。とても合理的なやり方だと驚き、感心した。
在宅医療が厚労省の思惑どおりに広がらない理由のひとつは、365日24時間対応にある。私は開業以来20年間、24時間365日1日も休まずに働いてきたが、いつまで続けられるか分からない。在宅医も訪問看護師も真面目なスタッフほど早くバーンアウトするという悪循環から抜け出す策を真剣に考えるべきだ。在宅医療の裾野が広がらないのは、マインドの問題ではなく、制度の問題にあると考える。
日本には、ホスピスは少ないが療養病床はまずまずある。そして日本慢性期医療協会の療養病床のように従来の老人病院から“脱皮”した療養病床があちこちに増えてきた。そして今春からは“地域包括ケア病棟”も立ち上がった。実は、療養病床や地域包括ケア病棟が、在宅患者さんのバックベッドであるだけでなく、休日夜間の対応もほぼ全面的に担ってもらってはどうか。そして急性期病床と同等に手厚い報酬をつける。もし休日・夜間の負担さえ無くなれば、在宅医療に取り組む医師は増えるはず、と提案いたい。すると「在宅をやりたくても家庭との両立ができない」などとこぼす開業医は居なくなり、いまだに在宅医療に反対している郡市医師会は絶滅するはずだと思うが、いかがだろうか。
今こそ、急性期病床重視から療養病床重視へ大転換を急いでほしい。急性期病院への投資の一部を、夜間の在宅対応を担う療養病床にシフトさせる。現在、在宅医の24時間加算を、在宅主治医では無く療養病床に払うべきコストへ転化。頑張っている療養病床の強化こそが病床再編の核ではないか。療養病床存続のニュースを読みながら、そう夢想した。
2011年末の廃止が宣言されていた介護療養病床の廃止期限は2017年まで延長されていた。しかし11月6日の介護給付費分科会で療養機能強化型(仮称)が提唱され、事実上、存続が決まったようだ。当然だと思う。年齢構成、疾病構成、医療経済などどのような角度からどう見ても、最も力を入れないといけないのは慢性期医療の充実だろう。日々、90歳代の要介護認知症の方が肺炎で7:1病院に入院する現実には強い違和感を覚える。医療資源は限界なのだから病床再編は必須のはずだ。今、頑張っている療養病床にもっと目を向けないといけない。在宅誘導政策が始まってもはや10年以上が経過した。しかし在宅医療に取り組む医師は全国各地で伸び悩んでいる。どこに行っても「在宅医療を担う医師がいない!」という声だけは共通だ。また在宅医の高齢化が常に話題になる。実は、在宅医療の主役である訪問看護ステーションも、同様に伸び悩んでいる。
今夏に台湾で講演したが、台湾では末期がんにのみ在宅医療が許されていた。ただし台湾厚労省の許可を得るのに1週間もかかることや、非がんの在宅医療は許可されていないなど、在宅医療制度はまだ始まったばかりだった。そんな台湾に学ぶべき点をひとつ発見した。それは台湾の在宅医は9時~5時だということ。主治医(開業医)は24時間体制では無かった。夜間対応は、地域の緩和ケア病棟の医師や看護師が対応、往診していたのだ。時間外は病院スタッフが対応するので在宅医の負担は、移動の手間だけだという。とても合理的なやり方だと驚き、感心した。
在宅医療が厚労省の思惑どおりに広がらない理由のひとつは、365日24時間対応にある。私は開業以来20年間、24時間365日1日も休まずに働いてきたが、いつまで続けられるか分からない。在宅医も訪問看護師も真面目なスタッフほど早くバーンアウトするという悪循環から抜け出す策を真剣に考えるべきだ。在宅医療の裾野が広がらないのは、マインドの問題ではなく、制度の問題にあると考える。
日本には、ホスピスは少ないが療養病床はまずまずある。そして日本慢性期医療協会の療養病床のように従来の老人病院から“脱皮”した療養病床があちこちに増えてきた。そして今春からは“地域包括ケア病棟”も立ち上がった。実は、療養病床や地域包括ケア病棟が、在宅患者さんのバックベッドであるだけでなく、休日夜間の対応もほぼ全面的に担ってもらってはどうか。そして急性期病床と同等に手厚い報酬をつける。もし休日・夜間の負担さえ無くなれば、在宅医療に取り組む医師は増えるはず、と提案いたい。すると「在宅をやりたくても家庭との両立ができない」などとこぼす開業医は居なくなり、いまだに在宅医療に反対している郡市医師会は絶滅するはずだと思うが、いかがだろうか。
今こそ、急性期病床重視から療養病床重視へ大転換を急いでほしい。急性期病院への投資の一部を、夜間の在宅対応を担う療養病床にシフトさせる。現在、在宅医の24時間加算を、在宅主治医では無く療養病床に払うべきコストへ転化。頑張っている療養病床の強化こそが病床再編の核ではないか。療養病床存続のニュースを読みながら、そう夢想した。
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この記事へのコメント
長尾先生の夢想に同感、賛同いたします。
小さい50床の療養病床専門病院(在宅からのレスパイト入院を受けながら、亡くなられるまでの長期療養も可能にしています)で医療ソーシャルワーカーとして働いています。
急性期、一般病院からのおこぼれ的な転院患者さんで支えられているだけの病院で、医療スタッフも事務方も経営者も限りなく疲弊しています…。
地域包括ケアの推進で果たすべき当院の在り方を、一人ワーカーの立場から、多職種支援者、地域の方々に力説しています。
患者さん、家族にとって、利用してもらってなんぼのもん!というくらい融通効かせて、安心して、この地域で暮らしていただけたらと願いつつ(^^♪
Posted by あい at 2014年11月26日 02:22 | 返信
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