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がん手術患者に「治療拒否」同意書?

2015年02月12日(木)

がん手術患者に「治療拒否」同意書をとる病院があると報道されている。
この記事、なんじゃこりゃ!? 
またこうした報道の意味は一体なんなのか、一緒に考えてみたい。
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━━━━━━━━━━━━━
毎日新聞ニュースメール
http://mainichi.jp/
2015年2月10日(火)昼
━━━━━━━━━━━━━
 
がん手術患者に「治療拒否」同意書
 
■注目ニュース■
 
 「ここにサインをしてもらえますか」。2013年8月、奈良県内にある公立病院
の乳腺外来の廊下。3週間前、この病院で乳がんを告知された玲子さん(68)=仮
名=は、看護師からA4判の紙1枚を渡された。今後、病院が玲子さんの乳がんに関
する一切の治療を行わないことを明記した同意書だった。文書の末尾に、男性主治医
の名前と押印があった。
 
▽がん:全摘出手術に迷う患者 医師から「治療拒否」同意書
http://mainichi.jp/m/?nW3S0e



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

医師はわずかでも訴訟の危険を感じたのだろう。
仕方が無いし、誰もその医師を責めることはできない。。


記事がどういう意味か考えてみた。

1 「がん放置療法」本の影響?  
  本人は放置でOKでも、家族があとで訴える可能性がある。
  同意書が無いと裁判では負ける可能性あり。
  つまり、インフォームドコンセント無しでは、手術も放置もできない時代に。
  同意書は医師を守るためにやむを得ないのであるが、どっかおかしい?

2 なんでも同意書の時代?
  医療訴訟や介護訴訟を避けるため、防衛医療としての同意書が必要な時代へ。
  しかしそんな医療にしたのは、事故でもなんでも無いことまで1面で報じてきた新聞の責任。
  しかもその新聞が、今度はこうした記事を載せるとは、、
  自作自演の悪いドラマであることをマスコミ自身が気がついてほしい。


ステージ4のがんを放置する場合は、いくらでもある。
要介護5であったり、超高齢者なら放置が妥当だろう。

ただ「すべてのがんを放置せよ」というから、話がおかしくなる。
それが大発見だと勘違いしている人がまだいるのが超不思議。

洗脳とはそんなものか。
いや、所詮人ごとだから、極論を楽しんでいる人も支持をする。

がん放置療法を肯定的に書いている記者自身が、イザがんになると
血相を変えて、手術や抗がん剤が上手な病院を探し回っている。


「まさか、自分ががんになるとは思わなかった・・・」

全員がそう言う。

要は、所詮ひとごとである人が、本や記事を書いているから気をつけないと。
がんと闘っている人はまさに命をかけているのでそんな邪本など眼中にない。


いずれにせよ、こんな同意書の報道で、新聞社は何を訴えたいのか?
医師が悪い!と言いたいのあろう。

・放置療法がまだ認められていないのでけしからん!
・こんなこと同意書をとる病院はけしからん!
・同意書自体がおかしい!

どれなのだろう?

こうした記事を書いている記者に答えはどれか本当に質問してみたい。
きっと書いている本人も、何を言いたいのかよく分かっていないのかも。

医者を叩けば新聞が売れる時代はもうとっくに終わったのに、
まだなんとか叩こうと待っているヘンなメデイアがまだいる。。

私はこんな病院には行かないほうういいのでは、と思った。
その医者、その病院を選んだのは自己責任でもある。

「そんな病院にははかからないようにしましょう!」と言いたいのか。
それとも深読みか・・・

書いたマスコミも、少しは踏み込んでほしい。

こんな紙にサインさせられたら患者さんも、気分が悪いだろうから
早く緩和ケアに精通した医師に相談されたらいいかと思う。

不思議な記事だ。


そもそも世の中に同意書をとりたい医師など一人もいない。
そうしないと身を護れないから、取らざるを得ないだけ。

そこまで追い込んでいるのは、実はマスコミと患者さん。

このことに気がついてほしい。
  

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この記事へのコメント

長尾先生はお疲れだと思います。長尾先生は記事の最初のページだけ見て勘違いなさっているのではありませんか?

患者の味方である長尾先生なら、患者の「玲子さん」の立場に立って感じてください。
記事ページhttp://mainichi.jp/select/news/20150210k0000e040166000c2.html の写真の下に、『「患者は医師に気持ちを分かってほしいだけなのです」と話す玲子さん』と書いてあります。また、「あのとき、私の目を見て丁寧に説明してもらえれば、夫の反対を振り切ってでも手術したかもしれません。医師には患者の気持ちを分かってほしい。寄り添ってもらいたいのです」という記述もあります。

同意書を取った医師は、後々の訴訟の可能性に備えたかったのでしょう。でも玲子さんにはそんな気は全くなかった。けれどもそれこそいつも長尾先生も怯えているように、患者本人にその気がなくても後々になって家族が訴訟を起こすかもしれない。

長尾先生の疑問である「こんな同意書を報道して新聞社は何を言いたいのか?」にあえて答えるなら、前記同ページの末尾の
『インフォームドコンセント  患者が納得して治療を受けるため、医師が患者に病状や治療法を十分に説明し、両者の話し合いを経て治療法を決めること。本来は、話し合ったうえでの合意(コンセント)に重きが置かれるが、日本では医師が一方的に治療法を説明するだけ、あるいは説明後、選択は患者に任せる場合が多いのが実情とされる。』
の部分が答えです。

この、本来ならば、医師と患者が対等の人間として正面から視線を交えながら合意に至るまでじっくり話うべきである「インフォームドコンセント」が、あまりにも軽視されている医療界に警鐘を鳴らすことが記事の目的だと思います。

この同意書が報道されたことが、長尾先生は不愉快なのですか?
こういった同意書を求められたという事実が報道されるということは、日本にまだ自由が残っているということです。まだ、医療専制国家になっていない証明だということです。
読売オンラインの「イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常」にも、『医療も「言論の自由」が大事』という記事があります。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=110542
また、「極端な意見も…将来は正しいかもしれない」
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=110004
「近藤誠さんが発言できる社会」
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=108206
という記事もあります。
長尾先生は、とても人が良くて目前の患者さんに一生懸命親身に接している故に、助かる命を捨てるような選択を促している「医師」を許せないのだと思います。
けれどももう少し、一歩引いて対峙なさらないと、本当に大切なものが見えなくなります。

今回も長尾先生の逆鱗に触れてしまうのだろうと思いつつ、あえて投稿しました。
だって、私の方がお姉さんですから。

朝が遅くても良い立ち場とはいっても、また寝不足です。

Posted by komachi at 2015年02月12日 03:46 | 返信

「自作自演の悪いドラマである…マスコミ」
その通りだと思います!
情報操作されているこの社会では、疑問ばかりが出るだけで正答は期待できない。
ゆえに、自己責任という事では、個人個人が「考える」その結果で「生きる」を認めたいと
願います。
コメント欄「けれどももう少し、一歩引いて対峙なさらないと、本当に大切なものが見えなくなります」
。。。本当に大切なもの。。。ってなんなんでしょう?永遠に見えないのかもしれません。
長尾先生は長尾先生らしく、そのままで発信し続けてください!
そのことを心から願い、楽しみに読ませていただきます。
生ある限り、正答の出ないこの世界で「考えるヒト」として生きていくための課題を、今は、長尾先生の言葉から頂くのが楽しみな毎日ですので(^^♪

Posted by あい at 2015年02月12日 11:41 | 返信

先生、お疲れさまです。

毎日新聞社の報道が、通常、どこまで正常なのかは私にはわかりません。「客引きパンダねた」なのかどうかもわかりません。 それは、新聞だけではなく、国民の放送局であるNHKに関しても、そのまま信じたりはできないということと同じだと思っています。

私は、ガンは命に関連する病気のため、病院が「同意書」を取ることが悪いことだとは思いませんが、その前にきちんと話し合うことはできないでしょうか。

大病院が忙しいことはわかりますが・・・「手術をしない」ということは、患者側の希望ですから、それでいいと思いますが、その際には家族も一緒に確認をして、医師と相談の上、決めたことを「文章」に残しておくということでいいのではないかと思います。「同意書」という名目は大きすぎます。

私にとって、今回の内容で最も、驚いたのは、緩和ケアも受けさせないという部分でした。

がん治療で、手術も放射線も行わなければ死を意味します。

乳癌の場合は、しこりを自分で感じると聞きます。この方のように出血をしたり、場合によっては、内部が出て異臭がすると聞きます。

医師なら、そうした今後がわかるはずです。
「緩和ケア」の道は作っておいてあげるのが、医師として、その道を知る「人」として考えるべきことだったのではないでしょうか。

開業医に相談をしたということからも、患者側は何らかのことはしたかったのだと思います。

「私が決める、手術・標準的抗がん剤、を受けないなら、今後は一切来ないで。」というような、冷たい対応を医師も看護師もしているのであれば、問題ではないでしょうか。

辞めたから関係ないというような病院側の経営意識も、問題だと思います。

今、食品業界では、異物混合や雇用問題によりネットが炎上して、売上が下がり会社の存続が危ぶまれるという声もあります。

それはこの業界だけではなく、他の業界も同じです。 そして医療においても同じではないでしょうか。

●患者が医師の暴言を撮影…


●「ネット掲示板に当院の悪口が!」の意外な真相


相手にしているのは標本ではなく、生きている人であり、その人には家族や親戚がいます。
パソコンばかりを見ていれば、そこに信頼関係は無く、訴訟しか起こらないと思います。

マスコミだけが悪いのではなく、放置本を出している人だけが悪いのではない、と私は思います。 

人を診るお医者様が増えることを願います。

Posted by よしみ at 2015年02月12日 01:14 | 返信

 治療ではなく検査なのですが、アルコール性肝硬変の患者さんに肝がんの可能性を考え検査するように勧めたところ患者さん側が拒否した、という事例があります。その後患者さんは肝がんで亡くなったのですが、遺族が「あの時もっと検査を勧めてくれたら結果は違っていた」と訴えました。なんと、病院側が敗訴しています。
現在記事はWEB上に残ってないので、以下に貼り付けます。

******************************
●●「検査怠り肝がんで死亡」と 日赤と医師に賠償命令 ●●

 肝硬変を患っていた北海道北見市の男性=当時(67)=が肝がんで死亡したのは日
本赤十字社(東京)が開設する病院の医師が検査を怠り、がんの発見が遅れたためだと
して、妻子が計約6400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は18日、
日赤と医師に計約3600万円を支払うよう命じた。
 判決理由で笠井勝彦(かさい・かつひこ)裁判長は「肝がん発症の可能性が高い肝硬
変を患っていたにもかかわらず、がんを早期発見するための検査をしなかった」と医師
の注意義務違反を認定。日赤の使用者責任も認めた。
 病院側は「検査を勧めたが断られた」と主張したが、笠井裁判長は「患者から断られ
た場合、検査の重要性を十分説明すべきだ。1度断られたことが検査を怠ったことを正
当化するものではない」と退けた。
 判決によると、男性は1990年8月、北見赤十字病院(北海道北見市)の内科を受
診し、肝硬変と診断され、毎月1回通院していた。医師は2カ月に1度は腫瘍(しゅよ
う)マーカーの検査をしなければならなかったが、98年12月の検査後、約7カ月間
検査しなかった。この間に数値が増加し肝がんの兆候が出ていたのに早期に発見できず
、男性は2000年1月に死亡した。
 北見赤十字病院は「判決を踏まえ、今後の対応を検討したい」としている。
******************************

このような判決が出る以上、同意書を取った医師の気持ちも理解できます。

Posted by u-cat at 2015年02月12日 05:44 | 返信

怖いですね
治療拒否しておきながら同意書求められたらマスコミにリンクする
この病院同意書取っておいて正解!

Posted by ノバ at 2015年02月14日 12:45 | 返信

 そもそも、長尾先生が意図するのは二極化の論争では無かった気がしていました。
 >この記事、なんじゃこりゃ!? 
 >書いたマスコミも、少しは踏み込んでほしい。
 >そこまで追い込んでいるのは、実はマスコミと患者さん。
 >このことに気がついてほしい。
このようにブログ中各所にあるように、一番にはマスコミ、記者への疑念が趣旨だったように読みました。この事例で同意書を取った賛否に関して、私の気持ちは中立派な立場でコメントするのですが、
(立場というよりも真剣に受け止めていません。そのような事態はあったのかも知れませんが、記事は悪戯に風潮を煽るような意図を含むように私も感じたのです。マスコミにとって、医療が国民の関心事の筆頭という旨み感があるのでしょうね。長尾先生が安易なマスコミに対して怒りを強くお持ちでいらっしゃる心情を理解します。)
ネット内記事に関しては医療記事に限った話ではなく、内容の真偽を疑うところから入った方が懸命だと思います。記者レベルに関しても、昔のように『文屋』という心意気の自負を持ちながら、何かの信念を貫いて書くという、そういった記者、ライターが世にどの位存在するのかは疑問です。インターネットは便利ですが、玉石混合の世界である事は否めません。

Posted by もも at 2015年02月21日 07:09 | 返信

あいさん、同感です。
ですが、毎日新聞社の報道は、正常であると、今、現在進行形で実感しているところです。
私の親が肝がんと判明し、さすがに、病院の「同意書」を求められませんでしたが、
病院の担当医には治療拒否をされました。
地方の大きな病院でしたので、悪い病院だったのかな?と思い、別の大きな病院へとかかりつけの
医師に紹介状を書いてもらったところ、その病院の担当医師からは、診察拒否及び治療拒否を言われ
ました。
この先生のサイトを読んで、どうしてなのか?考えて見ました。
・後で親族に訴えられるリスクが高いからでしょうか?
・高齢者は、お金をかけても、財政難から無駄と国自体が決めているのでしょうか?
・高齢者は、もう国のために働けないから、役に立たないから何の治療もせず、死ねと言う
 ことでしょうか?

私も、人を診るお医者様が増えることを、切に願います。


>がん治療で、手術も放射線も行わなければ死を意味します。
そのとおりです。
>「緩和ケア」の道は作っておいてあげるのが、医師として、その道を知る「人」として考えるべき
>ことだったのではないでしょうか。
同感です。

>相手にしているのは標本ではなく、生きている人であり、その人には家族や親戚がいます。
>パソコンばかりを見ていれば、そこに信頼関係は無く、訴訟しか起こらないと思います。
>マスコミだけが悪いのではなく、放置本を出している人だけが悪いのではない、と私は思います。 
>人を診るお医者様が増えることを願います。
そのとおりです。

福岡県民からあいへの返信 at 2015年05月13日 12:51 | 返信

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