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命しかない。けれど、命がある

2015年03月11日(水)

昨日は寒い1日だった。
今日で、あれから4年。
あの時間に、静かに祈りを捧げたい。
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3月10日(月)  その日を前に、静かに祈る
 
今日は、全国的に寒い1日になると天気予報は言う。
関西でも雪が舞うかもと聞いて、セーターを出した。
 
この日が来るのが少し怖かったことを正直に告白しておこう。
あの日から4年目の東北に何も出来ていない自分がいるから。
 
先週からテレビや新聞は、被災地の報道で溢れている。
4年経過したが復興はあまり進まないというニュース。
 
現在、被災地の方の4割がPTSDの可能性があるという。
実は、今が、一番心が落ち込む時期。
 
うつ、アルコール依存、引きこもり、孤独死・・・
阪神で経験したことが、東北でもやはり繰り返されている。
 
仮設住宅の諸問題や復興住宅の遅れ。
そしてなんといっても仕事やお金の問題。
 
阪神の経験が、何一つ役立っていないのが悔しい・・・・
 
 
あの年の4、5、6、7月は必死だった。
 
4月末から5月のGWにかけて被災3県をクリニックの
スタッフと彷徨いながらいろんな人と知り合いになった。
 
その情報を持ち帰り、尼崎、西宮、神戸で復興イベントを開催した。
震災孤児への募金が順調に集まり、少し役に立ったような気がした。
 
震災から4ケ月後の7月11日に必死で書いて世に出した、拙書
「共震ドクター 阪神そして東北」に書いた提言は、無駄だった。
 
2012年の元旦は、故・黒田裕子さん達と気仙沼で迎えた。
面瀬中学の仮設だけでなく周辺の住宅を回ったら皆が抱きついてきた。
 
夏には、相馬野馬追いを相馬で観て、泣きながら飲んだ。
相馬市長・立谷秀清氏の話にまた涙した。
 
クリニックの隣に家を流されて長く避難していたいわき市の人々を
訪ねドライブに連れ出したらとても喜んで頂き、本当に嬉しかった。
 
2013年夏は、南相馬での野馬追いを観ることができた。
私が企画した映画「無常素描」が、世界各地で公開された。
 
2014年春には、石巻市に呼ばれて講演させて頂いた。
駅前のスナック「くるくる」で仮設から通うホステスさんと語った。
 
2014年秋、同志であった黒田裕子さんがたった1ケ月で旅立った。
災害看護師としての壮絶な生きざまをテレビで見直してため息が出た。
 
今週、石巻からクリニックに来てくれた女性と遅くまで語った。
仮設住宅はまだまだ大変と聞き、返す言葉が見つからなかった・・・
 
 
心の復興にも、まだまだ時間が必要だ。
でも、泣きながら、諦めないで欲しい。
 
阪神の経験から、5年目の壁をなんとか乗り越えて欲しい。
4年目あたりが一番つらい。
 
阪神の我々は、東北を忘れない。
年に最低1回、いや2回は、被災地に遊びに行く。
 
美味しい海の幸、畑の幸を存分に味あわせて頂く。
新しい農業など、希望の光も沢山あると知った。
 
4年目のその日を前に、静かに祈りたい。
 
東北にぬくもりの炎が絶えないことを。
 
 
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
 
3月11日(水) 命しかない。けれど、命がある。
 
今日という日になにかを書くことがとても怖い。
なにをどう書いても上から目線の3人称になるから。
 
私は小説家の団鬼六先生の大ファン。
以下は団先生が2011年4月10日のブログに遺した、最期の長文。
 
団先生はこの日に、隅田川に屋形船を出して花見をしながら、
どんちゃん騒ぎをして、5月6日に順天堂医院で亡くなりました。
 
今日という日に、団先生が遺された言葉を東北のみなさまにお届けしたい。
 
【命しかない。けれど、命がある。これが希望である】
 
震災の映像がテレビで放映されるたびにこんなことがあっていいのかと目を覆いたくなるような心境である。
老婆が泥だらけになった孫のランドセルを手にしながら、孫の姿を懸命に探していたり、震災で親をなくした
子供たちが里子に出されるなどという報道を聞くと、まさに戦後さながらの殺伐とした状況に戦慄さを覚えるのである。
自ずと遠い昔、私が中学生であった当時の戦後に自然と思いは馳せる。
 
当時は日本政府なんてものはあってなきにしの如くで、アメリカ人の管理下に置かれた不甲斐ない状態で、
当時の飢え、貧困をはじめ、不衛生、犯罪、人の安否、求職などの不満を一体どこにぶつければいいのかもわからなかった。
家も、食べ物も、親戚も、金もない、という人間がいたるところに溢れていた。あるのは命だけだった。
原爆を落とされ、戦争に負け、日本人としてのプライドをズタズタにされた。
それでも日本人は経済大国と言われるまで成長し、医療、科学、経済等全てにおいてトップを争う位置にのし上がってきた。
 
 
現在被災地には各地からのボランティア、義援金、救援物資が届き、次第に復興の兆しが見え始めている。
体育館の端で、毛布に包まりながら、私は元気です、心配しないで、と家族を思いやる姿、家が流され、
思い出諸共流されても、命が助かったんだから、自分たちよりももっと大変な人たちがいる、と数々の辛さをこらえ、
自分よりも他人を気遣う心に日本人の謙虚さと美徳を感じずにはいられない。
 
日本人は希望を失わない。決してへこたれない立派な国民だと思う。
戦後を見ている世代は必ず日本が復興することを信じて疑わない。
その姿を目の当たりに見てきたのだから。それでもこれだけ迅速に立ち直ろうとする姿は想像できなかったのではなかろうか。
世界各国からの支援や、米国自衛隊が「友達」の腕章をつけて救援活動を行っている姿など戦後では想像もできない心温まる話であった。
 
命しかない。けれど、命がある。これが希望である。
この震災で多く尊い命を失ったがここにある命はそして経験は脈々と受け継がれ大河となるだろう。
希望を絶やしてはいけない。
 
世間では各方面で自粛ムードが漂うが、私は元気な者は元気に過ごすことが今出来ることなのではないかと思う。
野球、サッカー、大いにいいではないか。さくら祭りいいではないか。
こんなときだからこそ、楽しさがなければいけない。
 
楽しさは生きる喜びであり、希望に繋がる、と快楽主義者の私は思うのである。
生きていることを実感し、共に同じひとときを分かち合うことが出来る喜びを味わおうではないかと思う。
下を向いているばかりでは何も始まらない。
 
東北にもこれから桜が咲くだろう。どんなに寒い冬でも必ず春が来るように、必ず桜は咲くように、
どんなに辛い時でも、必ず日は昇る。
津波や、放射能に侵された地にもやがて鳥が種を運び、花を咲かすだろう。
 
今東京は桜が満開である。桜は日本の心である。
桜を愛でることは日本人を愛でることだと今年は一層強く感じるのである。(4月10日記)

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この記事へのコメント

震災の時から黒田さんに支えていただいてました。2012・和先生のブログを拝見してると伝えたら、黒田さんが和先生と自宅に来てくれて、息子と4人で楽しい時間を過ごさせていただきました。自宅避難民だった私たちに日ホスの支援は救世主でした。主人は今、和先生のお父様と同じ病です。黒田さんの事を私も主人も受け入れる事が出来ずにいます。

Posted by 村上久美子 at 2015年03月11日 08:36 | 返信

命しかない命が、ある。
名言
ですね。
少し落ち着いた、報道に、
ほっと
しています。
やはり
厳しい。
メルケルさん

あべさんには、
どこ吹く風?
残念、悔しい

おこらんど
おぎようこ
墨あそび詩あそ土あそび

Posted by おこらんど at 2015年03月11日 10:36 | 返信

 午後2時46分、テレビ映像画面の前で手を合わせ、黙祷を捧げました。
他人ごとになってしまいそう、軽薄になってしまいそうな気がして、今多くの文字は書けません。
時事通信社報道:東日本大震災 100枚の記録 写真特集を拝見しました。
 合掌、そして被災地の復興をお祈り申し上げます。
 

Posted by もも at 2015年03月11日 06:39 | 返信

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