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認知症や老衰でも最期まで食べられる!
2015年04月18日(土)
今朝の産経新聞の連載には、普段思っていることを書いた。
老衰や認知症でも最期まで食べられるということはあまり知られていない。
安易な胃ろう造設にも警鐘を鳴らしたが、来週はこの続きを書こう。
老衰や認知症でも最期まで食べられるということはあまり知られていない。
安易な胃ろう造設にも警鐘を鳴らしたが、来週はこの続きを書こう。
産経新聞・生と死シリーズ第13回 生きることは食べること
認知症や老衰でも最期まで食べられる!
90歳代の認知症の女性を在宅医療で診ていました。ある日、38度台の発熱があり、心配した遠くの長男が救急車を呼ばれました。結局、私が知らないうちに救急隊に遠くの病院に運ばれて入院されました。肺炎だったそうです。3ケ月後、その病院から「退院時カンファレンスをするので来なさい」と連絡がありました。病室に伺うと、彼女は変わり果てた姿で横たわっていました。痩せこけてうつろな目で私を見ました。入院前は室内を自力で歩いていたし、ご飯もちゃんと食べていた。しかし知らないうちに胃ろうが造設され、もはや言葉を発しない寝たきり老人になっていました。
若い主治医は、在宅での痰の吸引を心配していました。痰が多いので吸引できる資格を持つヘルパーはいるのか?と何度も聞きてきました。私は経験的に自宅に帰ると多くの例で痰の量が激減することを知っているので、あまり気に留めませんでした。それよりも、胃ろうから注入する栄養剤が液体であることが気になりました。液体の栄養剤は胃から喉に逆流して誤嚥してしまう可能性が高いからです。できれば半固形の栄養剤に変えて欲しいと提案すると、主治医は健康保険が効く半固形の栄養剤があることを知りませんでした。仕方がないので、痰の吸引も半固形栄養剤も家に帰ってからご家族と在宅チームで考えることになりました。
退院して自宅に帰られた直後に患者さん宅を訪問しました。自宅に帰った瞬間から全ての責任が在宅主治医の私にあるからです。病院からの退院とは、私にとっては入院です。患者さんはすでに安心しきった表情になっていました。そして私の顔を見ると言葉を発しました。「食べたいですか?」と聞くと、「食べたい!」と大きな声で返しました。ハッキリ発音できることは食べられるということです。その場でパンの耳を手に持たせました。すると自分の手で口に運び、モグモグと食べ始めました。1分程咀嚼して、ゴクッと飲み込みました。次にプリンとスプーンを持たせてみました。するとこれも「美味しい!」とペロッと食べました。そしてなんと退院日の夕食から、3ケ月前と同じように普通の食事を食べたと聞きました。
しかし病院からの紹介状には、「誤嚥するので食べさせたらダメ」、「嚥下内視鏡検査で食べられないことが判明した」と書かれていました。しかしもう目の前でご飯を食べているので、現実のほうが説得力があります。結局、退院後は胃ろうも半固形栄養剤も吸引器も一切不要なまま、以前と同じ様に口から食べて在宅療養を楽しんでおられます。
実はこうした経験を何度もしてきました。詳しくは拙書「胃ろうという選択、しない選択」(セブン&アイ出版)を参照ください。生きるとは食べること!食べられるのに食べさせないのは、殺生というものです。どうか「認知症や老衰でも最期まで食べられる!」という尼崎の町医者の言葉を忘れないでください。決して胃ろうを否定しているわけではありません。口から食べることが主で、食べられない分を補う便利な道具。胃ろうは神経難病、喉が麻痺する脳梗塞や脳出血、先天性食道閉鎖症の赤ちゃんに使うものです。
キーワード 胃ろう
口から食べられない人の胃に留置して栄養剤を入れる数cmの管。内視鏡を用いて15分程度で造設できる。腸管を使うので人工栄養法の中で一番優れており40万人の人に造設されている。
認知症や老衰でも最期まで食べられる!
90歳代の認知症の女性を在宅医療で診ていました。ある日、38度台の発熱があり、心配した遠くの長男が救急車を呼ばれました。結局、私が知らないうちに救急隊に遠くの病院に運ばれて入院されました。肺炎だったそうです。3ケ月後、その病院から「退院時カンファレンスをするので来なさい」と連絡がありました。病室に伺うと、彼女は変わり果てた姿で横たわっていました。痩せこけてうつろな目で私を見ました。入院前は室内を自力で歩いていたし、ご飯もちゃんと食べていた。しかし知らないうちに胃ろうが造設され、もはや言葉を発しない寝たきり老人になっていました。
若い主治医は、在宅での痰の吸引を心配していました。痰が多いので吸引できる資格を持つヘルパーはいるのか?と何度も聞きてきました。私は経験的に自宅に帰ると多くの例で痰の量が激減することを知っているので、あまり気に留めませんでした。それよりも、胃ろうから注入する栄養剤が液体であることが気になりました。液体の栄養剤は胃から喉に逆流して誤嚥してしまう可能性が高いからです。できれば半固形の栄養剤に変えて欲しいと提案すると、主治医は健康保険が効く半固形の栄養剤があることを知りませんでした。仕方がないので、痰の吸引も半固形栄養剤も家に帰ってからご家族と在宅チームで考えることになりました。
退院して自宅に帰られた直後に患者さん宅を訪問しました。自宅に帰った瞬間から全ての責任が在宅主治医の私にあるからです。病院からの退院とは、私にとっては入院です。患者さんはすでに安心しきった表情になっていました。そして私の顔を見ると言葉を発しました。「食べたいですか?」と聞くと、「食べたい!」と大きな声で返しました。ハッキリ発音できることは食べられるということです。その場でパンの耳を手に持たせました。すると自分の手で口に運び、モグモグと食べ始めました。1分程咀嚼して、ゴクッと飲み込みました。次にプリンとスプーンを持たせてみました。するとこれも「美味しい!」とペロッと食べました。そしてなんと退院日の夕食から、3ケ月前と同じように普通の食事を食べたと聞きました。
しかし病院からの紹介状には、「誤嚥するので食べさせたらダメ」、「嚥下内視鏡検査で食べられないことが判明した」と書かれていました。しかしもう目の前でご飯を食べているので、現実のほうが説得力があります。結局、退院後は胃ろうも半固形栄養剤も吸引器も一切不要なまま、以前と同じ様に口から食べて在宅療養を楽しんでおられます。
実はこうした経験を何度もしてきました。詳しくは拙書「胃ろうという選択、しない選択」(セブン&アイ出版)を参照ください。生きるとは食べること!食べられるのに食べさせないのは、殺生というものです。どうか「認知症や老衰でも最期まで食べられる!」という尼崎の町医者の言葉を忘れないでください。決して胃ろうを否定しているわけではありません。口から食べることが主で、食べられない分を補う便利な道具。胃ろうは神経難病、喉が麻痺する脳梗塞や脳出血、先天性食道閉鎖症の赤ちゃんに使うものです。
キーワード 胃ろう
口から食べられない人の胃に留置して栄養剤を入れる数cmの管。内視鏡を用いて15分程度で造設できる。腸管を使うので人工栄養法の中で一番優れており40万人の人に造設されている。
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この記事へのコメント
まったくおっしゃるとおり同感です。
「誤嚥するので食べさせたらダメ」、「嚥下内視鏡検査で食べられないことが判明した」と断言する医療者は、そのほうが医療・介護業者が楽できて収益増になることを知っているのです。
苦痛を伴う無意味な「嚥下内視鏡検査」を半ば強制的に行って(医者の勧めを拒否できる老人・家族はごくわずかです)検査料を稼いで、「食べられないことが判明した」と、さも科学的なお墨付きを作って「誤嚥するので食べさせたらダメ」。
次はお決まりの「胃瘻にしなければ餓死ですよ。あなたは親を家族を飢え死にさせるのですか?」と脅して胃瘻造設に同意させて手術料金を稼ぐ。
あとは定時に栄養剤を流し込めば、食事介助の手間を省ける上に胃瘻管理料を稼げる、本人が嫌がって胃瘻を引っこ抜けばまたやり直しで「医療行為」が増えて医者の仕事が増える。胃瘻の周囲がただれて本人が苦痛でも何らかの「医療処置」が生じて医者は大繁盛。栄養剤が合わなくて下痢や便秘になっても栄養剤を変更加減する以前に対症療法として下痢止めや下剤を処方するアホな医者も堂々と医者をやっている。
要するによけいな医療行為をやればやるほど医者は稼げて医療費が増大し国民皆保険制度が危機に瀕するるわけであります。
Posted by komachi at 2015年04月19日 06:02 | 返信
89歳の母が12月30日から県立病院に入院中です。入院前は3度の食事と2回のおやつを食べて極めて健康でした。室内での自力歩行も出来ておりました。処が30日に2回目(一年半前に一回目を発症)の誤嚥性肺炎を発症し、現在も入院中です。一度回復して食事も出来ておりましたが、また熱が出て現在絶食中です。本人は食事を欲しがりますが喉の動きが悪い為現在も絶食中です。このままでは老衰で死を待つだけです。自己責任で食べさせる事も考えておりますが、現在どうしたらよいかわかりません。出来ましたら先生のご意見をお伺い支度メール致します。
Posted by matuzaka mikio at 2017年01月19日 03:38 | 返信
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