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誤嚥性肺炎は夜作られる

2015年04月19日(日)

筑波大学呼吸器内科の寺本信嗣教授による有益な講義を受けた。
「誤嚥性肺炎と肺炎球菌ワクチンー誤嚥性肺炎は夜作られる」
やはり誤嚥を恐れずに口を綺麗に保ち、食べることが大切だ。
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誤嚥性肺炎は夜作られる
 
1 WHOによる高齢化の定義
  ・高齢化社会 高齢者が7~14%
  ・高齢社会 14~21%
  ・超高齢社会 21%以上  =現在の日本
   実は、28%以上の社会への言葉はない。=近未来の日本
 
2 肺炎が日本人の死亡率の第3位へ!
  肺炎と脳卒中の動向は鏡面関係にある
  脳卒中が減少すれば、肺炎が増加する
 
3 オスラー先生の名言 肺炎は老人の友
 
4 高齢者肺炎は、ほとんどが誤嚥性
  ・市中肺炎CAP
  ・院内肺炎HAP
   医療介護関連肺炎とは?
  ・長期療養病床群ないし介護施設に入所中
  ・90日以内に退院した患者
  ・介護老人、身障者の肺炎
 
5 介護の後ろには必ず肺炎があると思っていたほうがいい
  但し食事の誤嚥では肺炎にならない!
  夜間睡眠中の微量誤嚥で肺炎になる
 
6 嚥下評価を過信しない
  息を止めないと嚥下ができない
  VF(嚥下内視鏡)をしても実は肺炎のリスクは分からない

7 肺炎は、病原微生物で起きるが、食塊でおきるわけではない!
  →VFで異常なしでも肺炎はおこる
  つまりVF正常でも誤嚥は起きる
  VFでも夜間の不顕性誤嚥は検出できない
 
8 誤嚥性肺炎をおこした患者さんの嚥下反射は出にくい
 
   簡易誤嚥誘発検査を行うと分かる
  細い経鼻管で喉の奥に少量の水を置く実験
    0.4mlの水で反応する人→誤嚥しない
    2mlでも反応しない人→誤嚥する
 
9 口腔咽頭内容物の微量誤嚥は、ほとんどの高齢者に起きている!
  歯垢1mg中に10億個の雑菌がいることは有名な話
 
10 呼吸器科医や感染症医は、誤嚥を評価できない
   アメリカには、誤嚥性肺炎という概念がない。(診断できない)
 
11 通常の肺炎と誤嚥性肺炎の違い
  ・通常の肺炎は24~72時間でおこり、あっという間に悪くなる
  ・誤嚥性肺炎は、7~21日かけてゆっくり育つ
   元気が無い、食欲が無い、ではじめて分かる
 
12 NHCAPは、誤嚥で起こるが、普通の菌で起きる
   8割はペニシリン製剤で治療できる。
   2割は何を使っても治らない。
   難治性=免疫能が大いに関係している
 
13 治ったと思ったのに再発するのが誤嚥性肺炎
   抗菌剤+αが大切。
   αとは口腔ケアと嚥下リハが必須 直接、間接
 
14 嚥下リハで悪い誤嚥が減る  
   口腔ケアだけでは限定的
   両方が必要
   
15 胃ろう(PEG)と肺炎の関係
   PEGのほうが肺炎が多い!
   そもそも欧米には延命のためのPEGという発想が無い
   PEGを入れても不顕性誤嚥は起きる
 
16 PEGをして食べていなくても、口腔ケアを続けることが重要

17 脳卒中での早期栄養介入は予後改善する
   脳梗塞を起こすと肺炎リスクは10倍に上がる
 
18 嚥下改善薬
   ・ACE=サブスタンスPを上げて咳を誘発
     咳が出ることではなく、嚥下が良くなる
     肺炎が半分になる
     その効果は白人ではない、アジア人だけの現象
   ・シロスタゾールには、もっと強い嚥下改善効果がある
 
19 意識レベルも関係している
   ・睡眠剤は肺炎を起こす
   ・ネズミも麻酔をかけると誤嚥をする
   ・老人マウスは軽い麻酔でも肺炎が起きる
    →高齢者への睡眠薬は誤嚥性肺炎を起こす
 
20 胃透視時のバリウム誤嚥 
   メンデルソン症候群=抗菌剤は不要、自然治癒する
 
21 結局、終末期には食事を取るか、延命を取るか?という選択になる
 
22 胃切除後肺炎=LESの消失
   予防策としては寝る前に食べないこと
   胃ほうが見えないとダメ
 
23 GERDと肺炎、
   メタボとの関連
   30度の上半身挙上、体位が大切
 
 
24 びまん性誤嚥性細気管支炎の発見
 
25 食事のたびに誤嚥していてもそう簡単には肺炎にはならない!
   CT画像は、肺結核と間違うことあり
 
 
26 肺炎球菌ワクチンは有効
   誤嚥性肺炎は予防できる
   インフルワクチンと肺炎ワクチンで肺炎死亡率は、半減する
   特に75歳以上、COPD、歩行困難者には有効
   誤嚥性肺炎(内因性肺炎)にも、ワクチンは有効だが
   肺炎全体に効果があるかどうかは分らない
 
   肺炎球菌ワクチンの接種率
   ・日本17%
   ・アメリカ65%
   PPV23が推奨される
 
27 100歳まで肺炎ワクチンを勧めたほうがいい
   インフルでは肺炎にならない
   インフル後の二次性の細菌感染で細菌性肺炎になる
 
28 インフルエンザ+睡眠薬で重症肺炎になる
 
29 肺炎がなぜ死亡率第3位になったのか?
   →誤嚥性肺炎が増えたから
 
30  肺炎は老人の友!
    繰り返す、終わらない闘い
 
まとめ
・口腔ケア 嚥下リハ
・胃切後かどうか
・体位
・GERD
・睡眠薬
・定期予防接種

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この記事へのコメント

自分が高齢者の仲間入りをした時から
日常生活で特に気をつけていることが
3つあります。

① 転ばないこと:転倒 → 骨折 → 入院
→ 寝たきりとならないこと
② 風邪をひかないこと:〔風邪は万病の元〕
無理をしないこと
③ 誤嚥しないこと:誤嚥性肺炎を発症しないこと

今回は上記3点の1点:誤嚥性肺炎について書かれて
いたので、繰り返し拝読しました。

記事のキーワードは:

1)誤嚥性肺炎は夜つくられる
2)誤嚥を恐れずに口を綺麗に保ち、
   口から食べることが大切
 3)誤嚥性肺炎の予防には、口腔ケア
   と嚥下リハが重要

と私には読めました。

私は、水やお茶を何気なく飲んだ時に時折気管支
に入りむせることがあるので、その時水分と一緒
に口内にあった食べ物や糖分を含んだ飲料が一緒
に気管支に入り込み、それらが細菌の栄養分とな
り、細菌が繁殖して肺炎を発症するとばかり考え
ていました。

今回の記事を読んで、私の考えている誤嚥では
肺炎を発症することはなく、むしろ睡眠中に口内
の唾液が気管支に少しづつ入り込んで、じわじわ
と肺炎が進行することの方が大問題と知り、驚い
ています。

では、夜に原因をつくっている誤嚥性肺炎を防止
するにはどうしたら良いか? とその対策を記事
に求めましたが、“口腔ケア”と“嚥下リハ”と
書かれているばかり・・・・・・。

誤嚥性肺炎が夜作られていて、防止する肝が
“口腔ケア”と“嚥下リハ”と指摘するので
あれば ・・・・・・・・

“口腔ケア”も“嚥下リハ”も、解説すると
なると、その項目だけで1本のブログとなる
内容ではあると思うのですが、長尾先生が考
える“せめて、これだけでも励行して(気を
つけて)・・・・・!”という示唆まで本ブログ
で紹介して戴けたら有難い ・・・・・・・ と感じ
ました。

“口腔ケア”と“嚥下リハ”については、ネット
で探せば情報を得られるとは思うのですが、長尾
先生ご推奨のサイトを、リンクで紹介して戴けた
ら、警鐘を鳴らす効果が更に高まったのでは?
と思いました。 

誤嚥性肺炎は夜作られるを説いた本ブログの続編
として、“口腔ケア”と“嚥下リハ”のワンポイ
ントアドバイス: ~ これだけは励行して!! ~
の投稿を期待して待ちたいと思います。 

依頼心が強過ぎますね! ・・・・・ ごめんなさい!

Posted by 小林 文夫 at 2015年04月19日 08:13 | 返信

誤嚥性肺炎は夜作られる!!
怖いですね。
小林さんが言われるように、口腔ケアと嚥下リハは大事。

口腔ケアは、歯科衛生士さんに毎日でもお願いしたいところですが、そうはいきません。
唾液、鼻水は、それぞれ1日1.5ℓ生成されると聞いたように思いますが、いずれも胃に流し込めばOKとか。
そこで、ぼくの属する老人クラブでは、嚥下リハに関心があります。

まず、口呼吸をなくし、100%鼻呼吸にすること。
毎日1回、コップに40度のお湯、そこに少々の塩を入れ、両鼻ですいあげ、口から吐き出します。

天井を向かず、横向きで寝ること。
左右、自然に寝返りがうてるようにお祈りしてから、寝入ります。

肛門、お腹を引き締め、口から舌を精一杯、出すこと。
はやりの「ア、イ、ウ、ベー」もいいですね。

以上、三つを大事にしています。
今日、ネパールのネワール人僧舞(チャルヤー)公演を観ましたが、身口意・三密の舞踊の中に、口から舌を出す所作もあり、ハッとしました。
手首の脈で、その人の健康状態が分かると言われるように、5本指と手首をさまざまに絶妙に繰り返し回したり、かかとをドンとついて、背骨、脳を刺激するなどの解説に、なるほど、なるほどと感じ入りました。

絶滅が危惧されているネワール僧舞にも、古来からの人類の叡智が脈々と受け継がれていたのですね。
すたれゆく身体技法の中にも、生活や健康に役立つヒントがありそうです。

Posted by 鍵山いさお at 2015年04月19日 06:59 | 返信

すごいです

うちの利用者さまで PEGなんですが…
誤嚥性肺炎で 入退院をくりかえしています

しっかり 勉強して いい看護を提供したいと思います

Posted by 訪問看護師 みやちゃん at 2015年04月19日 09:58 | 返信

嚥下リハのワンポイントは食べることです

私は10代のころに難病になり今年還暦を迎えますが2年前に入院するまで低いところででも病状が安定していたので数十年特別に治療せずに過ごしていました
でも、入院してしまったら抵抗むなしくPEGを入れられてしまいました
3か月も何も口にしていなくていきなり(STの先生の指導は受けていましたが)嚥下造影検査したので何も飲めませんでした

2週間後にもう一度検査というときにはSTの指導は無視して少しずつ水を飲んで液体だけは飲めるようになっていました

私の場合どんなに訓練しても、ある程度は良くなっても病気がよくならないかぎり嚥下造影検査に合格することはできないので、先生の言うことを聞いていたら一生何も口にできないことになります
治療して呼吸苦もなくなって楽になったのにです
そして今よりひどい時にでも誤嚥性肺炎に一度もなったことないのにです

口が閉じなければ手で押さえればいいし、ゴクンとできなければあごの下を指で押せばいい
飲み込む前に空気を吸ってムセそうになったら息を吐き出したり
私はそうやって食べてきたので退院してからは自己責任で食べています


食べるときは意識して飲み込むので大丈夫でも寝てる時は横を向いていないと唾液が気管に入ってしまうんですよね
だから横を向いていたり抱き枕抱えて顔を下向きっぽく寝るようにしています
寝る前は口の中を吸引してクリアにしています

Posted by ノバ at 2015年04月20日 12:38 | 返信

私の父は、9年前に圧迫骨折で、一年近く寝ていたので、すっかり弱っていました。
インフルエンザの予防注射は、その年に一回打って頂きました。
理学療法士の女性が「御熱ありますよ」と言ってくれてたのに微熱だったので何の手当もしませんでした。2~3日して私がケアマネジャーの講習会に行く前は元気だったのに、帰ってきたら父が「ウンウン」唸っていて高熱(38℃)を出していました。在宅医に電話すると看護婦さんが「今晩は座薬を使って熱を下して朝一番に、先生が行きます」と言いました。それでお医者さんが、鼻腔検査をして検査会社に出したらインフルエンザと出たと言っていました。看護婦さんが2名来て一時間以上点滴をして抜針をしました。お医者さんが「明日(土曜日)の朝、熱が下がったら電話しなさい」と言いました。
土曜日の朝熱が下がっていたので、直ぐ電話して「おかげ様で熱が下がりました。有難うございました」とお礼を申し上げるとお医者さんは「熱が下がったのだから、私はもう点滴には行かなくて良いですね」と言って電話が切られました。私はしばらくして熱を測ると少し上がってきたので、12時前にお医者さんに電話して「もう一度点滴をしてもらえませんか」と頼むと看護婦さんが「先生はもういないわよ!」と言いました。土曜日に出かけるとは、全く聞いていませんでした。しばらくしてもう一度電話すると看護婦(医師の母親)が出て「熱が下がってももう一度点滴をするのが大事なんだ。そんなことも知らないのか!裁判で訴えるなよ。訴えてもこっちが勝つに決まってんだ!」と怒鳴りました。
「熱が39度のなっているんですどうしたら良いのですか?」とすがる思いで聞くと「救急病院へ行け」と言うので救急車で救急病院へ行きました。アルバイトのお医者さんが「うちではインフルエンザとは出てないぞ。誤嚥性肺炎に違いない」と言ってカルテに「誤嚥性肺炎」と書きました。X-Pは右肺が真っ白に映っていました。
10日立ってから病院の看護婦から電話で「お父さんは、MRSAにかかっています。直ぐ来て下さい」と言いました。行くとそれまで入れられていた尿道カテーテルは抜かれていました。
70代の男性と80歳代の女性外国人と同室で父も嫌がりました。
70代男性は、MRSAの菌が、無くなったとのことで一般病室に行きましたので希望を持ちました。
でも父は87歳だったので、苦しみました。最後に心臓に来たらしく夜の11時ごろ「お父さん死んでるよ。何分で来れるの?」と看護婦から電話がありました。
行ってみると担当医が、わざとらしく心臓マッサージをしていました。母と私は待合室に行かされて、「うちの病院は葬儀社のBと契約している。お通夜も、葬式もBで執り行うようにしなさい」と看護婦が言いました。父は「ワシの葬式はCOOPに頼んでくれ」と言っていたのでCOOPに電話したら、すぐ来てくれて父の亡骸を抱いて家に中に運んでくれました。coopのアドバイスでお通夜は家でして葬式無しで焼き場で焼いて貰いました。葬式はしないと言うのは父の遺言でもありました。
インフルエンザから肺炎にならないと長尾先生が書いていらっしゃるので、アルバイト医師の言う通り誤嚥性肺炎だったのかなあと、ぼんやり考えています。歯は、毎日私が磨いていましたけど。父は最後までタバコを吸っていましたけどね。

Posted by にゃんにゃん at 2015年04月21日 12:05 | 返信

25日、ネパール現地正午前、阪神淡路大震災の30倍という、巨大地震がありました。
たまたま、その5日前、民博で、ネパールのネワール人僧舞(ヴァジュラ・チャルヤー・ヌリティ)を観たばかりでした。(ネパールは、50以上の民族で構成されているそうです。)

ヒマラヤ山脈とチベット高原の間の盆地(湖跡)を襲った首都直下型地震。
翌朝には、日本の国境なき医師団が出発し、緊急援助物資を手配し、支援を呼びかけています。
日に日に1000人単位の犠牲者が発見され、増え続けています。

今朝は、気功ヨーガの例会。太極棒を使った認知症予防ストレッチで、さっそく、ネワール人僧舞で覚えた手首曲げを工夫してみました。
五指と手首に刺激をあたえることで、自分たちの体細胞を活性化しつつ、地球の屋根と言われる、カトマンズ地方の人々に、想いを馳せました。

Posted by 鍵山いさお at 2015年04月27日 05:39 | 返信

チベット高原とあるのは、タライ平原の誤りでした。
訂正の上、お詫び申しあげます。

鍵山(訂正)から鍵山いさおへの返信 at 2015年04月29日 12:02 | 返信

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