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コレステロールの薬のやめどき
2015年06月12日(金)
朝日新聞アピタルに1ケ月に渡り抗がん剤のやめどきを連載中である。→こちら
抗がん剤のみならず、降圧剤、インスリン、抗認知症薬などすべての
薬に”やめどき”があることを全ての講演で必ず話をするようにしている。
抗がん剤のみならず、降圧剤、インスリン、抗認知症薬などすべての
薬に”やめどき”があることを全ての講演で必ず話をするようにしている。
昨年は、糖尿病専門の医師に”インスリンのやめどき”という講演もした。
しかし多くの医師は、イビデンスが無いからと言って信じてもらえない。
コレステロール低下薬(スタチン)も同様だ。
私は在宅医療に移行して余命が限られていたら、徐々にスタチンを切る。
介護施設に入所する方は、たいてい10種類以上の薬を持ってこられる。
入所を契機に、スタチンをはじめ要らない薬をどんどん切って行く。
余命1週間の末期がん患者さんにスタチンなど10数種類の薬を持たせて
自宅に帰す大病院の医療を見るたびに、ため息をついてしまう。
そういえば、先日の午後も、NHKさんと在宅を回りながら多剤投与を考えた。
そして、ついに、スタチンを中止しても問題は無い、という論文が出ている。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
緩和ケア対象患者のスタチン中止に問題はない
Kutner JS, Blatchford PJ, Taylor DH Jr, Ritchie CS, Bull JH, Fairclough DL et al. Safety and benefit of discontinuing statin therapy in the setting of advanced, life-limiting illness: a randomized clinical trial. JAMA Intern Med 2015;175(5):691-700.
内容
スタチンの有益性は年余にわたると推測できる。ということは、余命が短い場合のスタチンの有益性について検証することが必要となる。そこで、緩和ケア中の患者におけるスタチン中止の影響を多施設で2011年から2013にかけて検討した。
対象は余命が1ヵ月から1年と予測され、心血管系疾患の一次または二次予防目的で3ヵ月以上スタチンを服用し、直近に心血管系疾患がみられなかった患者である。中止群と継続群に無作為に分けられ、その後1年間、毎月検診された。一次評価項目は「60日以内の死亡」で、生存、心血管系疾患、パーフォーマンス・ステータス、QOL、症状、スタチン以外の服薬、医療費削減効果も調べられ、統計結果はITT法による。
平均年齢74.1歳(SD、11.6)の計381人が対象となり、189人が中止群、192人が継続群に組み入れられた。22%は認知症、48.8%はがん患者だった。「60日以内の死亡」は中止群と継続群に有意差はなく(23.8%対20.3%、P =0.36)、非劣性エンド・ポイントの基準に合致しなかった。QOLは中止群の方が有意に良好だった(マックギルQOL尺度、平均7.11対6.85、P =0.04)。心血管系疾患には中止群の13人、継続群の11人が罹患した。医療費削減効果は平均3.37ドル/日、716ドル/人だった。
結論として、スタチン中止は安全でQOL改善などの有益性があり、他の薬も減る傾向にあって、医療費削減効果も大きい。緩和ケアの対象患者には、このような事実を説明して適切な方針を選択できるよう支援することが大切である。
しかし多くの医師は、イビデンスが無いからと言って信じてもらえない。
コレステロール低下薬(スタチン)も同様だ。
私は在宅医療に移行して余命が限られていたら、徐々にスタチンを切る。
介護施設に入所する方は、たいてい10種類以上の薬を持ってこられる。
入所を契機に、スタチンをはじめ要らない薬をどんどん切って行く。
余命1週間の末期がん患者さんにスタチンなど10数種類の薬を持たせて
自宅に帰す大病院の医療を見るたびに、ため息をついてしまう。
そういえば、先日の午後も、NHKさんと在宅を回りながら多剤投与を考えた。
そして、ついに、スタチンを中止しても問題は無い、という論文が出ている。
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緩和ケア対象患者のスタチン中止に問題はない
Kutner JS, Blatchford PJ, Taylor DH Jr, Ritchie CS, Bull JH, Fairclough DL et al. Safety and benefit of discontinuing statin therapy in the setting of advanced, life-limiting illness: a randomized clinical trial. JAMA Intern Med 2015;175(5):691-700.
内容
スタチンの有益性は年余にわたると推測できる。ということは、余命が短い場合のスタチンの有益性について検証することが必要となる。そこで、緩和ケア中の患者におけるスタチン中止の影響を多施設で2011年から2013にかけて検討した。
対象は余命が1ヵ月から1年と予測され、心血管系疾患の一次または二次予防目的で3ヵ月以上スタチンを服用し、直近に心血管系疾患がみられなかった患者である。中止群と継続群に無作為に分けられ、その後1年間、毎月検診された。一次評価項目は「60日以内の死亡」で、生存、心血管系疾患、パーフォーマンス・ステータス、QOL、症状、スタチン以外の服薬、医療費削減効果も調べられ、統計結果はITT法による。
平均年齢74.1歳(SD、11.6)の計381人が対象となり、189人が中止群、192人が継続群に組み入れられた。22%は認知症、48.8%はがん患者だった。「60日以内の死亡」は中止群と継続群に有意差はなく(23.8%対20.3%、P =0.36)、非劣性エンド・ポイントの基準に合致しなかった。QOLは中止群の方が有意に良好だった(マックギルQOL尺度、平均7.11対6.85、P =0.04)。心血管系疾患には中止群の13人、継続群の11人が罹患した。医療費削減効果は平均3.37ドル/日、716ドル/人だった。
結論として、スタチン中止は安全でQOL改善などの有益性があり、他の薬も減る傾向にあって、医療費削減効果も大きい。緩和ケアの対象患者には、このような事実を説明して適切な方針を選択できるよう支援することが大切である。
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