このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

開業医も医療事故調議論に参加しよう

2015年06月23日(火)

医療タイムス6月号の連載は、医療事故調について書かせて頂いた。→こちら
予期せぬ死亡事故(医療事故)がおきた時、どんな調査が行われるのか。
本気で医療をより安全なものにするためには、様々な叡智を集める必要がある。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 
この議論は極めて難しい。
正直、どうしたらいいのか全く見えない。

しかしもっとも本質的な議論であると思うので
わかる範囲で勉強していきたい。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@


医療タイムス6月号   開業医も医療事故調議論に参加しよう  長尾和宏
 
 高齢者の多剤投与(ポリファーマシー)についての取材を受けた。どうして後期高齢者が10種類以上もの薬を飲むことになるのか?さまざまな要因が重なった結果だが、そのひとつに医学会のガイドラインがあるという。ガイドラインから外れた投薬を行うと、訴えられた時に不利になるというのが若い医師達から発せられた理由だった。どんな医者でもできれば「訴訟」とは無縁で目の前の医療に専念したいと願っている。だから外科や産科や小児科などのハリリスク科だけでなく、内科系の診療科においても訴訟対策が頭から離れない。患者さんの利益より保身が優先すると様々な歪みがドミノ倒しのように起こる。過剰医療や無駄な医療と呼ばれるものの根底には常に訴訟リスクがある。医療安全は病院だけとは限らず、開業医においても常に意識しなければならない最重要課題である。

 医療界で起きることは介護界でも必ず起きる。すなわち介護裁判も増えていると聞く。誤嚥性肺炎の訴訟リスク回避には胃ろうを、転倒骨折の訴訟リスク回避には身体拘束をと、尊厳や倫理よりもリスク回避や現世利益が優先するのは仕方がないのかもしれない。デイフェンスメデイシンのみならず、デイフェンスケア一色の中で、地域包括ケアシステム構築が謳われているが、医療安全の立場から見て本当に大丈夫なのだろうか。

 一方、医療事故調査制度が議論されているが、その目的は医療事故の再発防止である。WHOのドラフトガイドラインでは、報告システムは「学習を目的としたシステム」と「説明責任を目的としたシステム」に大別される。学習を目的とした報告システムでは、懲罰を伴わないこと(非懲罰性)、患者、報告者、施設が特定されないこと(秘匿性)、報告システムが報告書や医療機関を処罰する権力を有するいずれの官庁からも独立していること(独立性)などが必要とされている。我が国の医療事故調査制度は、同ドラフトガイドライン上の「学習を目的としたシステム」にあたり、責任追及を目的とするものではなく、医療者が特定されないようにする方向にある。調査結果は警察や行政に届けるものではない。同制度を医療者個人の責任追及ではなく、真に医療安全に資する制度として運営していく重要性が説かれている。しかし今後、その具体的運用について在宅現場も含めて広く議論する必要がある。

 こうした医療事故調査制度は医療において極めて本質的なテーマでありながらも内容が複雑で法律的側面もあるため、現場の医師がそれを学ぶ時間は少ないかもしれない。また多くの開業医にとっては遠い世界の話かもしれない。しかし前述したように日常診療のみならず、在宅現場や介護との連携の中で今後、医療安全というテーマは大きくなる一方である。そして不幸にして医療事故が起きた時、事故調査制度の具体的運用に関しては、今後様々な議論が必要である。一部、意見が相反している医療事故調議論にできるだけ多くの開業医も加わるべきだろう。世界標準から遥かに遅れている我が国の医療安全システムの本格的推進には、多くの現場の叡智と意見交換が必要であると考える。

2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ