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「ボケ」か、「認知症」か

2015年10月03日(土)

月刊DAYの10月号には、ボケか、認知症か、で書いた。→こちら
なんだか言葉狩りのようで、認知症という言葉はしっくりこない。
そんな私は、ボケなのか。
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月刊DAY11月号   「ボケ」か、「認知症」か?
  
 認知症という言葉は誕生してまだ10年たらずです。10年前までは「ボケ」や「痴呆」でした。なのに最近「ボケ」がなぜか差別用語になると聞き耳を疑いました。あるいは、「私を認知症と呼んで!ボケとは呼ばないで」という人もいます。知らない間に「ボケ」は肩身が狭い言葉になりました。
 
 私は頑固なのか「認知症」という新作造語にまだ慣れません。もし「認知機能障害」なら分かるのですが、途中を省略して「認知症」という短縮型になっています。よく「ニンチが進んだ」と言いますが、本来なら認知機能が改善して、良いことなのですが、反対の意味だというのです。
 
 なぜ「ボケ」をわざわざ病気にしたのか。その理由のひとつはお薬を投与する必要が生じたからでしょうか。実は病気に昇格した途端に巨大なお薬の市場が生まれます。ボケが「医療化」されたのです。お薬を使うからには病気でないといけないし、そのためには病名が必要なのです。そこで「認知症」という言葉が誕生したのでしょう。たしかに若年性認知症の方を見ていると、間違いなく病気であると感じます。しかし90歳の陽気なおばあちゃんが10分前のことを忘れる様子を見ていると、私にはとても病気に見えません。この場合は「ボケ」と表現した方が相応しい。
 
 認知症と単なる物忘れは別物です。日常生活に支障が来す状態ではじめて認知症となります。ただ両者には連続性があります。認知症の前段階の病態をMCIと呼びます。またひとつ病気が増えましたね。そもそも認知症は何十もの病気の総称です。そのなかでも四大認知症と呼ばれるアルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭型、脳血管性認知症などの総称であることを忘れてはいけません。
 
 認知症ケアに医療が占める割合はどうれくらいでしょうか?医者の中には9割が医療、つまりお薬だと考えている人もいます。一方、私は5%以下。みなさまはどれくらいの割合ですか?
 
 

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この記事へのコメント

私も認知症というより「呆け」と言ったほうが良いと思っています。「チホウ」と言う言葉は嫌いですが・・。
医療の関与ですが、私は30~50%程度関与していると思っています。最も対象の殆どは、レビーやLPCです。
アルツハイマーは、医療の関与は殆どいらないケースが多いと重います。MCIレベルで治療を開始しても、半年~1年で短期記憶は全くないに等しいと言うレベルに落ちてしまいます。最もこの地味に感じる不安を軽減することが出来るのは、メリットかも知れませんが・・・。
私の手元に、前医から抗認知症薬を処方されているケースが多いのですが、多くのケースで問題を起こしているのも事実です。薬をやめるとそれだけで良くなることが多いのも事実です。不適切な治療で悪化しやすいのが、レビーやLPCdなので当然なのかも知れません。
グループホーム等施設での仕事も有りますが、認知症ケアの能力が高い施設だと、治療を必要としない場合が多いのも事実です。多くのケースで、ケアが適切であれば治療の介入する必要がないと思います。
せん妄や激しい前頭葉症状は、治療で対応していくしか無いでしょう。せん妄の多くは、治療で改善しますから。
こういうケースは多くないので、最終的には長尾先生の言う5%程度に落ち着いていくのかも知れません。
「認知症」と診断されたから治療をしなければいけないと言うのは、大きな誤りだと思います。

Posted by 小関 洋 at 2015年10月03日 12:36 | 返信

長尾先生、こんにちは。
今日も、アピタルの連載同様、
こちらでのブログも読ませて頂いています。

言葉狩り。
日本人は本当に そういったこと
多いですよね。

その言葉を言われて
嫌だと不快感や差別的な感覚を
現す人がいるのは
勿論 理解できますし、
当然と言えば 当然でもあるし、
そう思ってしまった方々自身が
それを主張することこそに
意味があったり、
だからこそ、その方々たちこそが
変更を願う行動もすべきだとも思います。

でも、結局は
どんな言葉に変わって表現されても
その単語を使う人の人間性や、
言い回しというか、会話のトーンというか
モラル的なことがなってないと
どんな言葉に変わっても
その新たな言葉が根付いた途端
また同じ不快感が当事者の方々に
起こってしまうことだと思うんです。

昔、スチュワーデスさんと
呼ばれていた方々が今は、
客室乗務員や、キャビンアテンドさん
と呼ばれ、
看護婦さんと呼ばれていた方々が
看護師さんと呼ばれるようになって
だいぶ根付きましたよね。

それでも、知ってか知らなくてか、
昔 呼ばれていた呼び方で
今も表現する人たちは まだまだいるし
そのスチュワーデスさんや、看護婦さん
に関して言えば、
そう古い表現をしてしまった今でさえ、
然程 苦情や、大きな問題にはならない。
(私が知らないだけかもしれませんが...)

それは、
雑な言い方になるかもしれませんが
健康な人に対する呼び名の違いと
そうでない人の呼び名の違い が
受け取る側に大きく
影響を与えてるからですよね。

どれもこれも、
言葉を変化させていった経緯は
言われてしまう側の方々が
嫌で不快感を持つからという
同じ理由なのに
なんとなく許されて
話が大きくならないのが
健康な方々の呼び名で、
問題になり易いのが
そうでない方々の呼び名。

結局、
呼び方を変えても
一時のことの治まりに過ぎず、
たいして意味がないように思うので、
呼ばれて不快に感じる方々が
普段から感じている疎外感などの不安を
取り除くための環境作りと
言葉というものを(どんな言葉でも)
相手の人柄と状況にあった選び方ができる
モラルを作り上げていく形を
取った方が意味があると思います。

それは決して簡単なことではないし、
すぐに反映されるものでもないけど
だからこそ、
地道にしていくべきことである気がします。

私は私なりに
そういった言葉選びをして会話し、
それでも不快な思いを
相手にさせてしまったら
素直に謝るように努力をしているつもりです。

Posted by ゆこ at 2015年10月03日 02:58 | 返信

90歳のおばあちゃま とっても かわいいです うちの利用者さまです
寝たきりです でも ちゃんと ご飯を食べています
脱水 肺炎を起こして 寝たきりに しちゃったんでしょうか
ベッド上での生活です
でも ヒップアップができます すごいです
訪問看護指示書の病名に 老衰とある
90歳のおばあちゃまは アリセプトを飲んでいます
痛いって言わないのに 朝晩 ロキソニンを飲んでいます
なんでだろう???
ハテナがいっぱいです

ご家族は 先生がお薬をくれるから
飲まなきゃいけないと決めつけています
確かに 医師の指示です
医師の指示→神様の言うことには 逆らえないってことでしょうか
困ったね…です

Posted by 宮ちゃん at 2015年10月03日 08:40 | 返信

"ボケ"は関西でよく使われる、ボケとツッコミであるとか、人に対しても「ボケ」と呼ぶとかが
あるように、現代のそれも、ある種の情が含まれている人間味を感じます。
認知症の前段は痴呆症でしょう。介護保険法制定時期の頃に言葉を見直し定義付けしたのでしょうか。
それ以前の年代では 小説や映画 ”恍惚の人”の登場により、そういった症状の人、存在があると世間を
一世風靡した記憶があります。まだ、身近かには余り存在しなかったから、社会的な衝撃だったと
子供心に印象が残っています。
食生活や生活習慣の変化によって、当たり前に増えたのでしょうか?それともクローズアップしないと
誰かが困る事態が生じていたのでしょうか? いずれにしても、”いつの間にか” 社会問題のように
扱われる事態になっていた気がします。
健康志向に意欲ある現代人に、ある種の恐怖心を植え付けているようにも感じてしまいます。

Posted by もも at 2015年10月03日 11:01 | 返信

「認知機能障害」を「認知症」と呼ぶのが大嫌いな医者も少なくないようです。矛盾した呼称ですから。
英語でDementia(デメンチア)とでも呼んだほうがいいかもしれません。
私個人としてはATD,DLB,FTDを一括して「認知症」とか呼ぶのがよく理解しがたいですね。
記憶障害、幻覚・せん妄、脱抑制・行動異常とすべて主症状が違いすぎますからね。これらを同じ疾患群として扱うというのはあまりに無理がありすぎる気がします。

Posted by ある実践医 at 2015年10月04日 12:03 | 返信

「ボケ」と「認知症」に関して、私の夫(79歳、認知症歴約13年)は「ボケ」という言葉はよく
わかっていて、「この頃ボケたなぁ~」とよく言いますが「認知症」は分かっていなくて、テレビで放映される「認知症」番組を見て、「「認知症」ってなんだかいやだね~こわいね~なりたくないね~」と申します。

Posted by 本と音楽 at 2015年10月04日 03:57 | 返信

 私が介護を仕事にしだした頃は「痴呆症」と呼ばれており、その意味はアホのアホという意味であることを問題視するようになり、新しい呼び方を考えようということになり、できたのが「認知症」です。
 経緯を知っているので、痴呆症より認知症のほうがずっと良いと思います。

 認知症という言葉が出来る前は痴呆症老人とは言わずに痴呆老人やボケ老人と呼ばれ、まるでその人の全てが痴呆やボケだと言うかのような表現をされる事が多かったです。誰も糖尿老人とか、癌老人とか言わないのに、なぜ痴呆症だけ痴呆老人と言われるのか? そういったことがボケた人に対する差別意識のあらわれであったと思います。

 今は認知症になり認知老人と言う言葉はありません。それだけでも進歩だと思います。もちろん今でもニンチと呼ぶ人たちはいますが。。。

 痴呆症と言われていたときは痴呆症に効く薬は無かったので、薬で治療する発想はありませんでした。呼び方云々より、アリセプトができた事が一番薬を使うことになった理由だと思います。アリセプトができた時、今まで介護で何とかしてきたことが薬で何とかできると国民の意識が変換されたのだと思います。

Posted by みるく at 2015年10月04日 09:28 | 返信

前略
74歳のアルツハイマー型軽度認知不全症患者です。
私も認知症と言う言葉が大嫌いです。認知不全症が良いと思います。
この二つは、意味が全く違うからです。「~症」と言う病名命名方法として間違っているからです。
国語の勉強もしないで親の七光りで医学部に入った無教養な医師達が考え出した言葉でしょう。
あなたは、ボケか認知症かについて言及されていますが、大いなる違和感を感じます。
ボケは語源的にバカと同じです。ボケナスと言う言葉に見られるように、慣用的にも同位置にあります。
早々

奥井正雄から小関 洋への返信 at 2016年04月28日 06:26 | 返信

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