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「国立介護再教育機関」

2015年10月29日(木)

介護施設で頑張っている人たちの力になりたいがどうすればいいのか。
叶うならば「国立介護再教育機関」で、介護職とまじくりたい。
そんな夢のまた夢を医療タイムス10月号に書いてみた。→こちら

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医療タイムス10月号  介護スタッフの質の向上は医師の負担軽減になる  長尾和宏
 
 ご縁あり、数ケ所の介護施設の入所者の主治医を拝命していている。24時間対応の携帯電話が鳴る大半は、夜間の介護施設からである。携帯に電話がかかる確率は施設が在宅の数倍多い。微熱、不眠、軽い転倒のたびに真夜中でもおかまいなしに施設から電話がかかってくる。夜間の介護施設は無医村ではないが、医療者がいない。せめて看護師さんがいてくれたらなあ、と思うのは私だけではないだろう。「施設は診たくない」という医師は、診療報酬の低さだけでなく、夜間対応の煩わしさが理由だろう。

 昼間に回診する時に看護師さんの姿を見るとホッとする。しかし営利企業が運営するグループホームでは企業所属の看護師が回診しているらしいがその姿を見ることは少なく、形式的であまり意味が無い。一方、介護職員の量と質の課題も深刻だ。しかし絶対的に不足している介護現場に苦言を呈するのは憚られる。もし介護ロボットであれば、少しは手なずけられるのかもしれない。介護施設の入所者とは「比較的元気で医療が要らない老人」だろうが、そんな老人は幻想だと思う。ほとんどの人が複数の合併症を有し、認知症やがんがある。そしてそれらの高齢者を看取りまでやりなさい、という国の方針は現在の介護スタッフや在宅医の夜間対応体制だけではどう考えても無理があると思う。

 個人的には医療重要の高い人が増えているので、多くの介護施設を療養病床化して頂いたほうが利用者も幸せだと思う。オンコールの医師と当直の看護師さんが各施設(病院?)に1人いるだけでも、利用者さんも介護スタッフもどれだけ心強いだろう。療養病床廃止の議論を聞く毎に、逆方向を向いているような気がしてならない。

 もうひとつ提案させて頂きたいことがある。勝手な私の夢である。介護スタッフの質の向上が謳われているが実現は難しい。そこで、中核都市毎に公立の介護スタッフの再教育機関を作ってはどうだろうか。週5日勤務のうちの1日を研修日に充てることを管理者に義務づけるのだ。「国立介護再教育機関」とでも呼ぼうか。そこで、認知症をはじめ様々な合併症の見方から発熱の対応、リハビリ、看とりまでを実践的な教育を行う。休暇に研修させては過重労働になるので、勤務日の1日だけを研修日に充てるのだ。社会福祉法人の内部留保が問題視されることになり、社福の社会貢献が謳われている。しかし何をしたらいいのか分からない、という声をよく聞く。であれば余裕のある社福には、介護スタッフの再教育を義務付けてはどうだろうか。当然、彼らのモチベーションも上がるだろう。学校の運営費用がかかるが、介護報酬に加算をつける施策より実効性が高いと思うのだが如何だろうか。

 特定看護師の研修が10月から開始された。世の中には反対意見をはじめ様々な意見があるだろうが、時代の流れではないかと思う。というか、もう始まっているので如何に良いものにしていくのか医療界を挙げて知恵を絞る時だ。同時に、介護スタッフの質の底上げにも本腰を入れないと2025年問題は乗り切れないのではないか。地域包括ケア政策が医療資源のみでなく、介護資源にももっと光を当てないと、結局は医師の負担増となって返って来る。今こそ、悪循環に陥らないよう先取りした施策を練る時ではないだろうか。

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