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鉄欠乏性貧血ががん発見のきっかけに
2015年11月04日(水)
今週から産経新聞兵庫版の連載が火曜日に変わった。
今日は、鉄欠乏性貧血とがんについて書いた。
この連載は、11月8日(日)から中四国版にも載ることになった。
今日は、鉄欠乏性貧血とがんについて書いた。
この連載は、11月8日(日)から中四国版にも載ることになった。
さらに、福井県阪、三重県版にも掲載されるとのこと。
主に、西日本の産経新聞の読者しんみなさま、よろしくお願いします。
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産経新聞・がんの基礎知識シリーズ第10回 胃がん、大腸がん、子宮がん
鉄欠乏性貧血ががん発見の契機に
検診や人間ドックで貧血を指摘される人がいますが、その多くが鉄欠乏性貧血です。たとえばヘモグロビン値が10以下で計算上の値であるMCVやMCHが低値であればたいてい鉄欠乏性貧血です。もし可能であれば血液中の鉄やフェリチン値も調べれば鉄欠乏であると確定できます。人体の鉄の出納は上手くできていて1日1mgの鉄が失われますが、日々の食物から1mgが補われています。しかし何らかの理由でマイナスバランスに傾いた時に鉄欠乏状態に陥ります。但し人体には鉄の貯金があるためそう簡単には貧血には至りません。しかしたとえば微量の出血でもその状態が長く続くと赤血球を造る原料となる鉄の貯金が底をついて、鉄欠乏性貧血になります。
鉄欠乏性貧血を診た時に大切なことは、治療もさることながらその原因を探ることです。生理がある女性であれば月経過多が原因かもしれませんし、極端な偏食が原因の人もいます。また1日数ml程度の微量な出血があればそれが長く続けば必ず鉄の出納が崩れます。経験的に多いのは胃腸や女性器からの慢性的な微出血です。つまり鉄欠乏性貧血の裏には大腸がんや胃がんや子宮がんなどが隠れていることが少なくありません。
胃がんは早期発見・早期治療で完治する人が増えているとはいえ、いまだに多く国民病です。一方、食生活の欧米化に伴い大腸がんも増えています。しかし自覚症状が無いのに検診や人間ドックでわざわざ胃透視や胃内視鏡検査を受けるのはイヤだ、という人が沢山おられます。大腸内視鏡検査も同様です。もし検診などで鉄欠乏性貧血を指摘された場合、放置せずかかりつけ医に相談してください。この貧血をきかっけに胃がんや大腸がん、そして時に子宮がんが発見されていることがあるからです。
ある日、ヘモグロビン値7の鉄欠乏性貧血の60歳台の人が来院されました。便潜血検査(2日法)を何度かしましたが陰性でした。CEAなどの大腸がんの腫瘍マーカーを調べましたがこれも陰性。しかし鉄欠乏性貧血が進行するため思い切って大腸内視鏡検査を行ったところ、果たして大腸の一番奥の盲腸に大きながんが発見され手術が行われました。その人は20年以上経過した現在も再発を認めず元気です。鉄欠乏性貧血をきっかけに大腸がんが発見され完治したのです。
それ以外の原因として痔核もあります。たとえチビチビの出血でも毎日続けば鉄欠乏性貧血に至ります。これは排便時に鮮血が出ますから便を観察すると分かります。子宮がんの不整出血も同様です。一方胃潰瘍からドバーと出血した時は便の色がコールタールのように真っ黒になります。こうした急性の出血は鉄欠乏パターンを示しません。貧血が高度であれば輸血をします。慢性腎不全の人に見られる腎性貧血は鉄欠乏と真逆のパターンなので今日の話とは別です。エリスロポエチンという造血を促すホルモン注射で治療します。
貧血を指摘されても「たかが貧血くらい」と放置しないで、かかりつけ医に相談して下さい。ただし以上は元気な人の話で、寝たきりの要介護者の場合の貧血は、検査の負担を考えて原因追究は諦めて治療だけを行うこともあります。
キーワード 便潜血検査
便の中に血液が混じっているかどうかを調べる検査。がん・潰瘍・ポリープ、炎症性腸炎、痔などが原因になる。陽性を指摘された場合、大腸内視鏡検査を行う。但し陰性であっても大腸がんが無いとはいえない。
主に、西日本の産経新聞の読者しんみなさま、よろしくお願いします。
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産経新聞・がんの基礎知識シリーズ第10回 胃がん、大腸がん、子宮がん
鉄欠乏性貧血ががん発見の契機に
検診や人間ドックで貧血を指摘される人がいますが、その多くが鉄欠乏性貧血です。たとえばヘモグロビン値が10以下で計算上の値であるMCVやMCHが低値であればたいてい鉄欠乏性貧血です。もし可能であれば血液中の鉄やフェリチン値も調べれば鉄欠乏であると確定できます。人体の鉄の出納は上手くできていて1日1mgの鉄が失われますが、日々の食物から1mgが補われています。しかし何らかの理由でマイナスバランスに傾いた時に鉄欠乏状態に陥ります。但し人体には鉄の貯金があるためそう簡単には貧血には至りません。しかしたとえば微量の出血でもその状態が長く続くと赤血球を造る原料となる鉄の貯金が底をついて、鉄欠乏性貧血になります。
鉄欠乏性貧血を診た時に大切なことは、治療もさることながらその原因を探ることです。生理がある女性であれば月経過多が原因かもしれませんし、極端な偏食が原因の人もいます。また1日数ml程度の微量な出血があればそれが長く続けば必ず鉄の出納が崩れます。経験的に多いのは胃腸や女性器からの慢性的な微出血です。つまり鉄欠乏性貧血の裏には大腸がんや胃がんや子宮がんなどが隠れていることが少なくありません。
胃がんは早期発見・早期治療で完治する人が増えているとはいえ、いまだに多く国民病です。一方、食生活の欧米化に伴い大腸がんも増えています。しかし自覚症状が無いのに検診や人間ドックでわざわざ胃透視や胃内視鏡検査を受けるのはイヤだ、という人が沢山おられます。大腸内視鏡検査も同様です。もし検診などで鉄欠乏性貧血を指摘された場合、放置せずかかりつけ医に相談してください。この貧血をきかっけに胃がんや大腸がん、そして時に子宮がんが発見されていることがあるからです。
ある日、ヘモグロビン値7の鉄欠乏性貧血の60歳台の人が来院されました。便潜血検査(2日法)を何度かしましたが陰性でした。CEAなどの大腸がんの腫瘍マーカーを調べましたがこれも陰性。しかし鉄欠乏性貧血が進行するため思い切って大腸内視鏡検査を行ったところ、果たして大腸の一番奥の盲腸に大きながんが発見され手術が行われました。その人は20年以上経過した現在も再発を認めず元気です。鉄欠乏性貧血をきっかけに大腸がんが発見され完治したのです。
それ以外の原因として痔核もあります。たとえチビチビの出血でも毎日続けば鉄欠乏性貧血に至ります。これは排便時に鮮血が出ますから便を観察すると分かります。子宮がんの不整出血も同様です。一方胃潰瘍からドバーと出血した時は便の色がコールタールのように真っ黒になります。こうした急性の出血は鉄欠乏パターンを示しません。貧血が高度であれば輸血をします。慢性腎不全の人に見られる腎性貧血は鉄欠乏と真逆のパターンなので今日の話とは別です。エリスロポエチンという造血を促すホルモン注射で治療します。
貧血を指摘されても「たかが貧血くらい」と放置しないで、かかりつけ医に相談して下さい。ただし以上は元気な人の話で、寝たきりの要介護者の場合の貧血は、検査の負担を考えて原因追究は諦めて治療だけを行うこともあります。
キーワード 便潜血検査
便の中に血液が混じっているかどうかを調べる検査。がん・潰瘍・ポリープ、炎症性腸炎、痔などが原因になる。陽性を指摘された場合、大腸内視鏡検査を行う。但し陰性であっても大腸がんが無いとはいえない。
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この記事へのコメント
先生、皆さんこんばんは。
貧血って軽く見たらいけないんですね。
知りませんでした。軽く見ていました。ありがとうございました。
Posted by 匿名 at 2015年11月05日 06:20 | 返信
我が子も幼い頃から貧血気味でした。親として当然気に掛けていた時期がありました。
成人して親の範疇外となり久しいですが、ありがたい初耳情報です。
Posted by もも at 2015年11月06日 06:23 | 返信
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