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歩行が認知症の診断と予防の鍵

2015年11月17日(火)

NKHスペシャル「シリーズ認知症革命」を見逃した方へ。
歩行が認知症の診断と予防の鍵であることが紹介されていた。
来週発売の拙書「病気の9割は歩くだけで治る」を参照して頂きたい。(予約中)

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11月14日(土)21時00分~21時50分/NHK総合

 将来認知症になるかどうかをいち早く見きわめるカギは「歩き方」にあることがわかってきた。歩く速さをはかることで将来認知症になる危険性が判定できる。最近、脳の中に特別な「ネットワーク」があり、それが衰えると認知症につながることがわかってきた。そのネットワークの衰えは歩き方に現れるという。衰えを早期発見し、ある対策をとれば認知症を予防できる可能性が明らかになってきた。さらに認知症の発症を食い止められる薬も登場しようとしている。認知症はもはや防ぎようのない恐ろしいものではない。最新科学で認知症を予防する確かな道が見えてきた。認知症の予防に挑む最前線に迫る。

 日本の認知症の将来推計を紹介。2015年は525万人、2050年は1016万人とされている。今全世界で認知症の研究が進み、これまでの認知症のイメージを覆す事実が次々にわかってきている。

 

その”もの忘れ”は認知症の前ぶれ?



 雑誌記者の山本朋史さんは63歳。事件報道から文学の特集まで30年、出版の世界の第一線で働いてきたが、61歳を過ぎたころから自分の物忘れが気になり始めた。親しい友人の名前が出てこなくなり、頻繁に物を無くすようになった。歳のせいだと思っていたが、半年後に取材をダブルブッキングしてしまった。30年の記者生活で初めてだった。心配になり専門病院を受診し認知症かどうかを調べる検査を受けた。医師に告げられたのは「MCI(軽度認知障害)」だった。通常、歳とともに認知機能は徐々に衰えるが、これが急速に進むとある水準を下回って認知症となる。MCIは正常と認知症の境目で、認知症の予備軍と呼ばれる段階。MCIと診断された山本さんは「このままでは認知症となる可能性がある」と指摘されショックを受けたが、その後に対処によっては治ると聞いて安心したという。

 

認知症予防のラストチャンス



 アメリカのミシガン大学ではMCI(軽度認知障害)と診断された高齢者600人がその後、どのくらい認知症となるのか追跡調査を行った。それによると5年間で約5割が認知症を発症、約4割はMCIの状態を維持していた。残りの1割は正常レベルにまで戻っていた。ジュディ・ハイデブリンク准教授はMCIは認知症を予防するラストチャンスだと話している。

 

認知症の前段階「MCI」の見つけ方



 スタジオには認知症の前段階にあたる「MCI」と2年前に診断された雑誌記者の山本朋史さんが登場。現段階で日常生活に支障を来していないといい、記者としての仕事も続けている。浦上克哉教授によるとMCIでは物忘れの増加が見られるといい、加齢はあまり関係しないという。このMCIが認知症に発展すると、生活に支障が出るほどの記憶障害となる。このMCIを発症している人は日本に400万人いると推定され、MCIの段階で医療機関を受診する人は少ないという。更にMCIの精確な診断も難しく、MCIを知らない医師は正常範囲だと誤判することもある。

 

これで見分ける!認知症のリスク



 アルツハイマー型の認知症になった患者の脳の断面を映したレントゲン写真を見ると、全体的に萎縮し黒い隙間ができている。特に記憶を司る分野が顕著。一方、認知症の前段階にあたるMCI(軽度認知障害)の人の脳ではほとんど萎縮が見られない。そこで科学者が着目しているのが脳内ネットワークで、我々の脳内では何をするときにも離れた複数の場所で同じ活動をしている。この離れた部分の繋がりが脳内ネットワークと呼称されている。ワシントン大学を中心とする研究チームは脳内ネットワークの結びつきの強さに注目したところ、正常段階、MCI、認知症を経る事に結びつきが弱まっていくことが分かった。更にアルバート・アインシュタイン医科大学では日常生活における歩行を見るだけで、脳内ネットワークの弱まりを検知できるという。

 

歩き方でわかる!あなたの脳の衰え



 健常者とMCI(軽度認知障害)の疑いがある人の歩き方を比較したところ、後者は足腰に問題を抱えているわけでもないのに歩くスピードが遅くなっていた。また、歩幅も狭く、ふらつきやすかった。我々が歩いている時に脳内では視覚や空間認識に関わるネットワークが働き、刻々と変化する状況を瞬時に判断している。更に体の感覚や運動に関わる脳内ネットワークも同時に働く。MCIの人では脳内ネットワークの結びつきが弱まり、歩くスピードの遅さ、バランスの不安定に繋がるという。アメリカの研究グループは17ヶ国2万7000人の歩行データと認知症を発症するリスク関係を調査したところ、歩く速さが遅いと認知症になる人の割合は1.5倍、記憶力の低下を自覚していると2倍に増えることがわかった。
 

歩く速さで見きわめる認知症のリスク

 

スタジオでは桂文枝の歩行速度を解析システムで測定したところ、秒速105.79cmだった。仮に歩行速度が秒速80cm以下は要注意で、認知症になるリスクが高いという。足腰が悪くないのに、青になった横断歩道を赤になるまでに渡りきれない人は脳内ネットワークの衰えの兆候。


 

認知症の前段階「MCI」のサインとは

 国立長寿医療研究センターの島田裕之部長は、膝などに異常がないのに歩行速度が遅くなったら脳内ネットワークに異常があると語った。2年前に認知症の予備群とされるMCIと診断された山本朋史さんは、知らず知らずのうちに歩行速度が遅くなっていたと明かした。またMCIの人に見られる変化の例として外出が面倒、服装に気を使わなくなった、手の込んだ料理を作らなくなった、同じことを何回も話すことなどが挙げられる。山本さんの場合は、小銭での計算が面倒でお札で払うようになったといい、他にも外出が億劫になったり、服装にも気を使わなくなったと明かした。

 

認知症は予防できる!世界の最新対策




 脳内ネットワークを結びつけているのは情報を電気信号で伝達する神経細胞で、周囲の血管から栄養と酸素を貰って活動している。この神経細胞や血管に異常が起こることは脳内ネットワークの衰えに繋がり、脆くなった細い血管からの微小出血でも周辺の神経細胞が死滅しネットワークが損傷する。MCI(軽度神経細胞)から認知症へと進行するにつれて微小出血が増加する傾向にあることがわかった。

 こうした中、イリノイ大学のアート・クレイマー教授は脳内ネットワークを回復させる効果的な方法を見つけ出した。それは息がはずむ程度の早歩きを1回1時間、週3回行うことで、血液中に血管内皮細胞増殖因子という物質が放出されて、新しい血管を作るように促すという。更にBDNFという神経栄養因子が増え、脳内で新たな神経細胞が生み出されるのを促す。フィンランドではMCIの疑いがある1260人の協力を得て、認知症を予防するフィンガー研究を行った。研究では被験者に早歩きなどの有酸素運動を1日30分程度行わせ、軽い筋力トレーニング、食生活の改善を取り入れた。そして神経衰弱のような記憶力トレーニングも週3回、10分程度行うといったライフスタイルを2年間続けたところ、認知機能の向上が平均25%も上昇。年齢とともに低下する認知機能を上向かせることに成功した。


 

今すぐできる!認知症 最新予防法



 国立長寿医療研究センターの島田裕之部長は、認知機能は加齢とともに徐々に落ちるが、認知機能を向上させることができたフィンランドの研究は、非常に大きなインパクトだとコメント。その内容は早歩きや筋トレ、食事の改善、記憶力ゲームといった認知トレーニング、健康管理といったライフスタイルの改善などを組み合わせたもので、MCIと診断された山本朋史さんも脳の訓練、社交ダンスなどを行っている。

 桂文枝は公演のネタを口に出しながら散歩をしているなどと語り、島田部長は認知症予防に繋がっているとコメント。考えながら運動することは脳内ネットワークの活性化に繋がり、脳機能の向上に効果があるという。島田部長は脈拍を120程度に上げるような効果的な運動を1日10分でも良いので、3回以上行うことを勧めた。日常生活においては歩幅を5cm広げて大股で歩くこと。


 

実用化が近づく 認知症の予防薬




 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学などでは認知症を予防する薬の開発が進んでいる。また、てんかんの治療薬であるレベチラセタムに脳内ネットワークを改善する働きがあることが分かり、2016年に最終の臨床試験が予定されている。また、脳梗塞の再発予防薬とされるシロスタゾールは脳の血管からの出血を防ぐため、神経細胞・脳内ネットワークを守る効果が見込まれている。今年の夏から臨床試験を開始し、2021年には日本国内で実用化の見込み。国立循環器病研究センターの猪原匡史さんは、早期介入というのが常識になる時代が来てほしいとコメント。

 

ついに登場! 認知症予防システム



 愛知・高浜市と国立長寿医療研究センターは市内の60歳以上1万人を対象に、認知症のリスク検診をスタート。歩行速度やリズムの乱れを計測し、MCIや認知症のリスクをいちはやく見つけ出そうというもので、全員には活動量計がプレゼントされる。これで予防に効果的な早歩きを促し、家に閉じこもりがちな高齢者が思わず歩いて訪ねたくなるようなスポットを設けた。そのスポットでは囲碁やダンスなど認知症予防に期待できるプログラムが実施され、活動量計を端末にかざすと認知症予防に必要な運動ができているかを楽しみながら知ることができる。

 

ついにわかった!認知症予防への道



 島田裕之部長は認知症予防の機会を地域の人達にも享受してもらいたいと考えていて、浦上克哉教授は高血圧対策で心臓病や脳血管障害などを防いできたように、MCIを早期発見できる専門医を増やすといった取り組みを続けるとコメント。

 一方で、認知症検診に関しては国の整理が必要だという。2年前にMCIと診断された山本朋史さんはガンの早期発見のように、認知症の前段階であるMCIで発見できてよかったと思える社会ができればいいと期待を寄せた。桂文枝は認知症をクリアできる方法はいくらでもあり、山本さんの姿に勇気づけられたと語った。

 

テレビ放送ログデータ提供Webサービス「Live on TV」の情報より。

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この記事へのコメント

ゆネコの銭湯アニメ
https://www.youtube.com/watch?v=uloHk9zblh8

ジェットバスがアルツハイマー領域の脳波を正常へ戻してくれるとか。

一人で銭湯へ来てジャグジー風呂に浸かって身体も髪も洗って足首と肩のジェットバスに入ってから出る86歳のおばあさんは、私の顔を見るといつも「こんばんは」とにっこり話しかけてくれます。耳は遠いけど、足元はしっかりしていて転ぶ気配は全く無し。アルツハイマーのことを気にしていたので、「大丈夫ですよ。お風呂に来てれば、呆けませんよ。」と話しました。

Posted by 銭湯大好き at 2015年11月17日 01:10 | 返信

本、予約しました。
ウォーキング効果と気持ちの良さは、理屈抜きにして歩いてみれば、すぐに実感し納得できます。
朝は特に、気候や鳥のさえずり、雑草までにも気を配るようになり、心身ともに軽やかになります。
  ..と..言っても今は歩けていませんが..。
いい靴は長持ちします。そして、歩く時に身体をサポートしてくれる事、必然です。
気にして街を見渡すと、朝に夕に、夜にでも、ウォーキングしている人々はたくさんいます。

Posted by もも at 2015年11月17日 10:06 | 返信

アルツハイマーの方達が、物凄く歩いていらっしゃいますね。
やはり、歩くと気持ちがいいと言うか、血の巡りが良くなるのでしょうか?
私は、以前頭頸部に鍼をするとその晩は、ぐっすり眠れるし、翌朝は、気分が良い上に、頭もよく働くように思いました。最近、母の状態が悪くなって、やたらと手が掛かって睡眠不足で、鍼治療も全くしていません。
だからかもしれませんが、以前にもまして、頭が悪くなったような気がします(笑)。
血のめぐりと言うか、特に頭の血のめぐりが良いと、頭がすっきりするのは道理ですね。
歩くと言うのは、足の筋肉特に下腿三頭筋の運動は第二の心臓と言われていますから、全身の血のめぐりが良くなるのでしょう。

Posted by 大谷佳子 at 2015年11月17日 10:38 | 返信

長尾先生の新書が どんどん 出版されますね〜♪

追っつかない宮ちゃん…
がんばります

Posted by はみんぐ 宮ちゃん at 2015年11月17日 11:08 | 返信

純粋なアルツハイマーとピックの方々は終末期まで歩けます。
認知症がすべて寝たきりになるというのは大ウソ。人為的に歩かせないようにしていくから。
施設側や介護者の都合で抗精神薬で過剰鎮静された挙げ句動けなくなる、過剰鎮静薬により誤嚥して肺炎
肺炎で長期入院して、入院中にせん妄で暴れるからとまた抗精神薬で鎮静される。この悪循環でしょうか。
たぶんアルツハイマーとピックに関しては鎮静薬を使わなければ、寝たきりはいないはず。

Posted by マッドネス at 2015年11月20日 08:50 | 返信

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