このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

中庸論

2015年12月06日(日)

近藤誠医師がまた新刊を出した。
「がん医療の95%は間違い」という本で、また相当に売れている。
まだ読んでいなが、相変わらず多くの市民の支持を集めている。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 
私は、歩く本での「9割治る」とうタイトルで叩かれているが、
近藤氏は「95%間違い」と言って大きな拍手を受けている。


さて、私は、「近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」と、半分含みを持たせているが、
近藤氏は「・・・は間違い!」と、相変わらず断定調である。



昨日、大場大先生の「がんとの賢い闘い方」を再度読んだ。
このサブタイトルは、「徹底批判」であり、たいてい断定調である。

もうお気づきだろうが、
近藤氏も大場氏も断定調で、私は柔らかい中庸論を意識して説いている。


大場氏の本に書いてあることは、ほぼ全て正しいと思うし、同じ医師としてよく理解できる。
もし私が抗がん剤専門医であれば、きっと同じようなことを書いたであろう。

この本はよくできた本で、医者がちゃんと読んでおくべき本だと思う。
詭弁に対してどう反論すべきか(しなくてもいいのが)、という教科書になる。

しかしどこまで行っても、これは医者側の論理であり、そのまま患者さんに通用しないからこそ、
近藤医師の役割が、この数年大きくなり、現場も無視できなくなってきているわけである。

みなさまや多くのがん専門医にも読んで欲しいのは、
大場大医師の本に対する、一般市民からのすさまじい攻撃文だ。→こちら

星ひとつのレンビューのひとつひとつをじっくり読んで欲しい。
ほとんどが間違い、曲解で、同業者同士であれば、話にならないレベルである。

しかし優秀な医師がどれだけ説明を尽くしても、彼らを納得させることは、到底無理だろう。
これが、洗脳の怖さであり、宗教と言われる所以であり、その実態を万人に晒している。


極論Aに極論Bで反論、に見える。
どちらも、我が極論こそが正しいと言い張る。

しかし極論Bが行きすぎだからこそ、極論Aが生まれて大きな支持を得ているのだ。
誰かがコメントしていたが、もはや極論Aが多少、間違っていても読者は一向に構わないのだ。

極論Aが生まれて支持され、それで極論Bが変わることを市民は期待しているのだ。
そのあたりの空気を読まずに極論で返そうとすると、壮絶な返り血を浴びてお気の毒である。


とにかく、極論Aの星五つと
極論Bの星一つだけを、全て並べて論理学的に検証すれば面白い結果が導かれる。

極論Aはエビデンスの形体をまとっているが、本質はナラテイブである。
一方、極論Bは、ナラテイブの形体を装っているが、本質はエビデンス主義である。

そもそも、ナラテイブ(NBM)には、エビデンス(EMB)を包含している。

つまり、両者の闘いは、NBMとEBMの闘いと言い換えることもできる。

医者からは、EBMしか見えない。
しかし患者が望むのは、常にNBMである。

だから近藤理論に、アマゾンで勝つのは土台無理なこと。

そんな視点で、お二人のアマゾンのレビューを楽しんで欲しい。


私は、そんな不毛な闘いを見越したうえで、中庸論を説き前進させたかった。
しかし、間違いだけはここが間違っている!と指摘はしておくべきだと思った。


近藤医師の詭弁ぶりは大場氏の本でも丁寧にちゃんと説明されておりそのとうりである。
しかしそれだけでは、がん医療への不満は到底、みなが納得するレベルではないのだ。



「宝島ムック」という本が、「近藤誠検証」という特集を組み(来年発売予定)先日取材を受けた。
一時期、近藤医師を持ちあげたメデイアが、今本気で検証するのであれば、素晴らしいと思う。

文藝春秋は20年間、近藤誠がドル箱だったので、いまさら自己批判は期待できない。
たいへん残念ながら、がん医療に関しては、ジャーナリズムとして死んでいる。

そして、新潮社は大場大という新人を立てて代理戦争に望んでいるが今のところ分が悪い。
他のほとんどのメデイアは近藤医師を神様扱いしてきたので、今さら落とすことができない。

要は広い日本で、宝島ムック以外に、真実を報道するメデイアは無い。
さらに論争を前向きに昇華させようというメデイアなど皆無、という大変お寒い現状にある。


だから、私は、「長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか?」という本を書いた。
相手にしているのは近藤誠理論であり、近藤医師ではない。(お会いしたこともない)

求めるものは、両極論の溝を埋めて、がん医療を患者中心にして、納得・満足医療にすること。
そのためには、極論ではなく、中庸論しかない。

本書はお陰さまではや5刷りになり、多くの方に読んで頂き、この場を借りて御礼を申し上げる。
がん医療で迷っている方に、特にお勧めだ。

もし、「長尾先生、近藤誠理論のどこが正しいのですか?」を書けというオファーがあれば
書いてみないのだが、そんなことを聞いてくれる賢いメデイアなどいない。


今日は、ある高名なお坊さんとお会いする。

「善人でも天国に行けるのだから、悪人はもっと天国に行ける」と聞き。
当時は、みんな驚き、現在も人気絶頂が続いている。

近藤医師に多くの大衆が期待するのも、どこか似たような側面が有る気がする。
99.9%の医師は、近藤医師の活動は、残念ながら宗教活動だと認識している。

しかしそこが問題なのだ。
なぜこんな現象が生まれたのかを検証し、そこにメスを入れないと、論争は解決しない。

がん医療には、まだまだ検証すべき点が多い。
100年後には、全く全く違ったことになっているだろう。


拙書が、現在のがん医療の諸問題の解決の糸口になれば幸いだ。























2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

ナラティブ(NBM)対 エビデンス(EBM)の闘いである、というDr.長尾解説がとても
分かり易かったです。もはや 単なる医療論争ではなく、国家的市場が孕む利害関係の闘いである、
ということが明白です。お金の匂いがプンプンします。
熱しやすい国民を煽り立てる先導者、仕掛け人が見え隠れしているような気がします。
長尾先生のお人柄そのもの、と思われる「中庸」スタンスが感じとれる文章でした。
「長尾先生ノッテますね!! 好調ですね!」と声を掛けたくなりました。

Posted by もも at 2015年12月06日 02:02 | 返信

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ