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第二の認知症、レビー

2015年12月30日(水)

産経新聞・認知症の基礎知識シリーズ第二回目は
レビー小体型認知症について書かせて頂いた。→こちら
結構、よくあるので、お薬などに注意が必要だ。
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産経新聞・認知症の基礎知識シリーズ第2回    第二の認知症
                                レビー小体型認知症を知ろう
 
 いよいよ年の瀬ですね。今年はインフルエンザの流行が例年より遅いようです。さて今日は第二の認知症と呼ばれている「レビー小体型認知症」の話です。これは認知症全体の2割程度を占めると言われ決して稀な病態ではありません。このタイプの認知症の一番の特徴は幻視です。見えるものは虫や動物や人間など。本当にそこに居るようにありありと見えるのが特徴で、本人にはそれが現実か幻視であるのか分かりません。画像診断を行うと視覚の中枢である脳の後頭葉の萎縮や血流低下が見られます。次に歩行障害です。パーキンソン病のように徐々に歩行障害が出現します。さらに薬剤過敏性が特徴。風邪薬を飲んでも効きすぎて翌日まで眠気が残るという人が時々おられますが、それを薬剤過敏性といいます。レビー小体型認知症の人はさまざまなお薬が効きすぎるので注意が必要です。

 レビー小体型認知症はパーキンソン病との重なりが大きいことが分っています。小刻み歩行、ふるえ、仮面様顔貌などのパーキンソン病に特徴的な諸症状はレビー小体型認知症においても多く見られます。また初期では、幻視が前面に出て認知機能障害があまり目立たないこともあります。時にはうつ病やパーキンソン病と間違われることもあり、この病名に辿りつくまで時間がかかることも。教師や会社の経理係など、社会規範をしっかり守る生真面目な職業歴の方に多いと言われています。ならば不真面目な私は大丈夫!(笑)むしろ前頭葉や側頭葉の血流が低下する前頭側頭葉型認知症(ピック病など)のほうを秘かに危惧しています。これは万引きや高速道路を逆走するタイプの認知症です。以下は私見ですがレビーは真面目なサラリーマンタイプの人に、ピックは自由きままな自営業の人がなり易いような気がします。つまり気質や病前性格も認知症のタイプに関係するのではないかと。専門医は問診だけでもアルツハイマーかレビーかピックかだいたいの見当がつきますが、診断には脳の画像診断や血液検査や種々の認知機能検査が必要です。

 2014年からレビー小体型認知症においてもドネペジルという抗認知症薬が保険適応になりました。5ないし10mgの使用が許可されていますが興奮や歩行障害が強くなる人がいます。私自身は少量の抗認知症薬で調子が良いレビー小体型認知症の人を多数経験しています。すなわちレビー小体型認知症においては抗認知症薬に限らず薬剤のさじ加減が大切。一方、アルツハイマー型認知症には現在、4種類の抗認知症薬が保険適応になっていますが、4種類とも少量から開始して階段を上るように徐々に増量することになっています。しかしその規定に従って増量すると怒りっぽくなったり歩行障害が現れる人がいます。ですから抗認知症薬はその人の病状に合う量を主治医と探し出す作業が大切かと思います。

 私は先週「認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?」(現代書林)という書籍を上梓しました。実際、抗認知症薬を減量ないし中止すると怒りっぽさが消えて穏やかになる人が沢山おられるのです。今日はレビー小体型認知症という病態があり薬のさじ加減が大切だということだけでも知ってください。では穏やかな新年をお迎えください。
 
キーワード  幻視
実際にはないものがあるように見えること。幻覚のひとつ。アルコール依存症や覚醒剤中毒や各種精神病などで見られる。病気以外でも集中治療室などに閉じ込められると見られることがある。

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この記事へのコメント

九州大学の久山町研究で、認知症の剖検データが公表されています。
このデータを、診断基準に当てはめると、レビー小体型認知症薬30%・アルツハイマー約25%と言う結果に成っています。
アルツハイマーに関しては、長谷川式などを住民健診で繰り替えし行っているようですので、見落としは無いと思います。
レビーに関しては、認知症の症状が目立たないケース・長谷川式で高得点を取るケースなど、かなり見逃されているのでは?と思います。
レビーのパーキンソニズムは、パーキンソン病とおなじ中脳の黒質領域のドパミン減少によるものと、進行性核上背麻痺などと共通する領域(前頭葉~大脳基底核領域・友人とフロンタルパーキンソニズムと呼んでいます)の障害によるものとがあるようです。レビーが寝たきりになる理由は、後者のフロンタルパーキンソニズムが原因と考えています。このようなケースで多くは「廃用症候群」・「廃用性拘縮」などと誤診されています。
またレビーの症状出現に、脳の血流不全が大きく関与していると考えています。この血流不全により脳幹部および小脳・側頭葉・前頭葉(特に眼窩面)・大脳基底核領域・視床近傍などが障害されると考えられます。レビーに前頭側頭型認知症が合併しやすいのも、このような理由が考えられます。このように考えると、脳血管性認知症の多くはレビーと重なっていると考えられます。

以上のように考えると、レビーの頻度は、相当高いと考えています。
幻視がレビーの特徴的無症状と言われていますが、頻度は多くはないようです。幻視の存在が確認できないケースが多いです。またレビーノ場合、アルツハイマーと違い短期記憶障害が軽度な方がおり、認知症と客観的に確認できないケースも多いです。

Posted by 小関 洋 at 2015年12月31日 02:57 | 返信

レビーの誤診?過剰診断のほうがはるかに多いと思いますけどね。そもそもレビーって何?
幻視が出たらレビーなのか?認知の変動(せん妄)が出たらレビーなのか?たぶん違うでしょ。
動作が遅いのがレビーだと思っていたけど、動作が速いのもレビーとか言われると正直訳わからないです。
そもそも幻視と認知変動がレビー診断の必須項目みたいになってるのがおかしいと思います。
幻視がある動作が速い老人は結構多い。レビーとかいう診断名は病理診断名だけにしてほしいというのが個人的な意見です。あまりにも臨床ぞうに統一性がなさすぎるし、どの薬使ったらいいかわからんので。病理でレビー小体が確認されたらレビー今はそれで十分だろうと。

Posted by マッドネス at 2015年12月31日 12:39 | 返信

「認知能力の障害」って、「脳内血流の不全」が、大きく関与しているのですね。
となると、加齢には勝てないので、なすすべはないということでしょうか。
年末の日野原先生の講演で、神経や筋肉は百歳超えても再生し鍛えられるとのこと、日々新しいことに挑戦することが肝腎とも、お聞きしました。
わが地域の老人クラブは、医療にはまったくの素人集団。
呼吸による肩甲挙筋ストレッチ、背骨ゆらしによる脳脊髄液循環、リズム呼吸による腹脳・頭脳セロトニン放射など、おためし中といったところ。
なんとか、未病または軽度の段階で、「不可逆」ではなく、「可逆」「初期化」できないものかと、妄想する年の瀬です。

鍵山いさおから小関 洋への返信 at 2015年12月31日 01:32 | 返信

要支援のおばあちゃま…
とっても しっかりされてます お一人暮らしです

壁に息子さんの字で なにやら書いてある…
「白いおばあさん そんな人はいません」と…
ご本人に聞くと 時々 お義母さんが 現れるそうです

これって レビーなんでしょうか?

きちーっと お一人でお暮らしになっているので…いいと思います

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2015年12月31日 08:17 | 返信

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