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認知症の初回受診
2016年02月25日(木)
産経新聞認知症の基礎知識シリーズ第10回 認知症の初回受診
子供の仮病に付き添ってもらう
「親が認知症のようだが、どうすれば病院に連れて行けるのか?受診を勧めるとものすごく嫌がるのですが・・・」。最近、そんな相談をよく受けます。たいていの親は子供に「認知症では?」と言われると怒り出します。親としてのプライドがあるので当然と言えば当然です。あちこちに「もの忘れ外来」ができたものの、最初にそこに連れていくまでが結構高いハードルでなる場合が稀ではない。なかには認知症を発症して2~3年経過してからはじめて医療機関を受診させることができた、という子供さんもいます。
嫌がる親を医療機関に連れていく方法がいくつかあります。一つは風邪をひいた時がチャンスです。ついでに健康診断という口実で検査を促します。あるいは、子供が風邪(実は仮病)で受診するが不安なので付き添って欲しいとう嘘を使う方法もあります。子供のカルテを造る必要はありません。ただし診察室に呼び込む時に、子供さんの名前で呼び込むよう受け付けに頼み、子供さんの胸に聴診器を当ててもらいます。横で見ている親に安心を与えることが大切です。私はおもむろに「お母さんは元気ですか?物忘れなんかしませんか?私は最近ひどくてね」など笑いながら世間話を始めます。話しているうちに不安が解けて「じゃあ、私もついでにもの忘れテストを受けて帰るわ」と言い出す人もいます。
そんな方法を試そうにも頑として医療機関に行こうとしない親御さんもおられます。そんな場合は、最初にこちらから家に押しかけることがあります。あくまで「子供の友達が家の遊びに来た」という設定にします。決して病気の話などせず友人同士の世間話に徹します。それを聞いている親御さんに挨拶をします。そして実は、「私、医者もやっているんです」なんて告白し、「お母さん、何か困っていることはありませんか?」と聞いてみます。1回では無理でも、2、3回訪問を繰り返すうちに徐々に警戒心が解けてきます。そして「私も一度健康診断を」となることが何度もありました。認知症の受診は初回のハードルが高くても一度それを越えてしまえば、後は案外スムースに進むことが大半です。
働き盛りのがんなら“早期発見・早期治療”が大切ですが、80歳を過ぎた親のボケを早く“診断”することにどれだけの意味があるのか?と思う人がいるかもしれません。またそもそも子供が親の認知症を疑った時、医療機関に連れていく意味は何でしょうか。ひとつは本当に認知症なのかどうかをはっきりさせるためです。さらに、どんなタイプの認知症かを知っておけば不可解な行動も受け入れられるようになります。頭部CT,甲状腺ホルモン検査、MMSEは認知症の診断に最低限必要な検査です。なかには子供が勝手に認知症だと思っていても頭部CTを撮ると「慢性硬膜下血腫」であることも。即日、血腫を除去する手術を受けると嘘のように認知機能が回復した人を何人も経験してきました。あるいは甲状腺ホルモンを補充するとこれまた嘘のように良くなった人もいました。やはり最低限の検査は必要です。また介護が必要ならば、介護認定の申し込みをしなくてはなりません。その際、必ず「主治医の意見書」が必要ですが、病院の専門医でも構いませんが、可能ならば生活を知っている近所のかかりつけ医にお願いして下さい。
キーワード 慢性硬膜下血腫
脳の外側に血液が貯まり、もの忘れ、歩行障害、尿失禁などの症状を示す病態。頭部を打撲してから数週間も経過してから発症する場合もあれば打撲の既往がはっきりしない場合もある。
子供の仮病に付き添ってもらう
「親が認知症のようだが、どうすれば病院に連れて行けるのか?受診を勧めるとものすごく嫌がるのですが・・・」。最近、そんな相談をよく受けます。たいていの親は子供に「認知症では?」と言われると怒り出します。親としてのプライドがあるので当然と言えば当然です。あちこちに「もの忘れ外来」ができたものの、最初にそこに連れていくまでが結構高いハードルでなる場合が稀ではない。なかには認知症を発症して2~3年経過してからはじめて医療機関を受診させることができた、という子供さんもいます。
嫌がる親を医療機関に連れていく方法がいくつかあります。一つは風邪をひいた時がチャンスです。ついでに健康診断という口実で検査を促します。あるいは、子供が風邪(実は仮病)で受診するが不安なので付き添って欲しいとう嘘を使う方法もあります。子供のカルテを造る必要はありません。ただし診察室に呼び込む時に、子供さんの名前で呼び込むよう受け付けに頼み、子供さんの胸に聴診器を当ててもらいます。横で見ている親に安心を与えることが大切です。私はおもむろに「お母さんは元気ですか?物忘れなんかしませんか?私は最近ひどくてね」など笑いながら世間話を始めます。話しているうちに不安が解けて「じゃあ、私もついでにもの忘れテストを受けて帰るわ」と言い出す人もいます。
そんな方法を試そうにも頑として医療機関に行こうとしない親御さんもおられます。そんな場合は、最初にこちらから家に押しかけることがあります。あくまで「子供の友達が家の遊びに来た」という設定にします。決して病気の話などせず友人同士の世間話に徹します。それを聞いている親御さんに挨拶をします。そして実は、「私、医者もやっているんです」なんて告白し、「お母さん、何か困っていることはありませんか?」と聞いてみます。1回では無理でも、2、3回訪問を繰り返すうちに徐々に警戒心が解けてきます。そして「私も一度健康診断を」となることが何度もありました。認知症の受診は初回のハードルが高くても一度それを越えてしまえば、後は案外スムースに進むことが大半です。
働き盛りのがんなら“早期発見・早期治療”が大切ですが、80歳を過ぎた親のボケを早く“診断”することにどれだけの意味があるのか?と思う人がいるかもしれません。またそもそも子供が親の認知症を疑った時、医療機関に連れていく意味は何でしょうか。ひとつは本当に認知症なのかどうかをはっきりさせるためです。さらに、どんなタイプの認知症かを知っておけば不可解な行動も受け入れられるようになります。頭部CT,甲状腺ホルモン検査、MMSEは認知症の診断に最低限必要な検査です。なかには子供が勝手に認知症だと思っていても頭部CTを撮ると「慢性硬膜下血腫」であることも。即日、血腫を除去する手術を受けると嘘のように認知機能が回復した人を何人も経験してきました。あるいは甲状腺ホルモンを補充するとこれまた嘘のように良くなった人もいました。やはり最低限の検査は必要です。また介護が必要ならば、介護認定の申し込みをしなくてはなりません。その際、必ず「主治医の意見書」が必要ですが、病院の専門医でも構いませんが、可能ならば生活を知っている近所のかかりつけ医にお願いして下さい。
キーワード 慢性硬膜下血腫
脳の外側に血液が貯まり、もの忘れ、歩行障害、尿失禁などの症状を示す病態。頭部を打撲してから数週間も経過してから発症する場合もあれば打撲の既往がはっきりしない場合もある。
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