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睡眠不足で痩せる?太る?
2016年04月20日(水)
産経新聞・睡眠シリーズ第二話 レプチンとグレリン
睡眠不足で痩せる? 太る?
昔から「寝る子は育つ」と言われてきました。よく眠ると脳下垂体からよく成長ホルモンが分泌されるからです。しかしスマホやコンビニの普及により子供たちには睡眠不足をはじめさまざまな健康障害が出てきます。そのひとつが“子供の肥満”です。同様に過重労働やストレスに伴う“大人の肥満”も増えています。つまり睡眠不足は肥満の原因になります。睡眠時間が4時間以下が続く生活は太る確率が7割高まります。「えっ?寝ないと太る?反対じゃないの?」直感的にそう思った人も多いかもしれません。
どうして睡眠不足になると太るのでしょうか。睡眠時間が短いほど痩せそうな気がしますが実際は逆なのです。2004年、シカゴ大学の研究チームは睡眠不足と食欲に関する画期的な成果を報告しました。食欲をコントロールしているホルモン分泌が睡眠不足によって異常をきたすことを明らかにしました。コロンビア大学は平均7時間睡眠を基準とした場合、6時間だと23%、5時間だと50%、4時間以下だと73%も肥満になる確率が高まることを報告しました。
人の食欲は、「レプチン」と「グレリン」という相反する働きをするホルモンでコントロールされています。レプチンは食欲を抑えてエネルギー消費を増やす働きです。一方、グレリンは成長ホルモン分泌を刺激するホルモンとして発見されました。胃粘膜で作られ脳の奥にある視床下部に作用して食欲を増進させて肥満をつくるホルモンです。スマートにするホルモンであるレプチンと太らせホルモンであるグレリンという2つのホルモンのバランスは、睡眠時間で決まります。その分水嶺は6時間であり、それより睡眠時間が短いと相対的にグレリン優位に傾き太ることが分っています。
スタンフォード大学の研究では、睡眠時間が5時間の人は9時間の人に比べてレプチンの分泌量が15%減り、一方太らせホルモンであるグレリンの分泌量が15%増加すると報告しました。またシカゴ大学も健康な成人の睡眠時間を4時間に制限した生活を続けるとグレリンの分泌量が増え、レプチンの分泌が減ることを報告しています。どうも私たちの脳は「睡眠不足になると消耗しないようにもっと食べろ!」という指令が出る仕組みになっているようです。なんとか痩せようと、必死でカロリ―制限や炭水化物制限をしても睡眠不足が続けば、せかっくの努力も水の泡となるわけです。
よく寝ないと太るもうひとつの理由は、睡眠不足により基礎代謝が下がるためです。一般に成人の基礎代謝は1200~1600キロカロリーとされ、基礎代謝が高いほど太りにくいということになります。基礎代謝は睡眠中に分泌される成長ホルモンで上がるのですが、ぐっすり寝ないと成長ホルモンの分泌が下がり、その結果太ってしまうのです。
不景気が続くので仕事を2つも3つも掛け持ちしながら頑張っている人を診ていると年々太ってきます。また夜勤が多くて慢性の睡眠不足に悩まされている介護職員たちも年々太ってきます。寝ないと太るのは単に夜食のせいだけではありません。その背景には睡眠不足によって増えるグレリンというホルモンと低下するレプチンや成長ホルモンの仕業であることが分ってきました。というわけでダイエットの第一はぐっすり寝ることです。
キーワード グレリン
胃粘膜で産生される消化管ホルモン。下垂体に働き成長ホルモンの分泌を促すとともに視床下部にも働き食欲を増進させる働きを持つ。1999年、国立循環器病センターの児島将康・寒川賢治らにより発見された
睡眠不足で痩せる? 太る?
昔から「寝る子は育つ」と言われてきました。よく眠ると脳下垂体からよく成長ホルモンが分泌されるからです。しかしスマホやコンビニの普及により子供たちには睡眠不足をはじめさまざまな健康障害が出てきます。そのひとつが“子供の肥満”です。同様に過重労働やストレスに伴う“大人の肥満”も増えています。つまり睡眠不足は肥満の原因になります。睡眠時間が4時間以下が続く生活は太る確率が7割高まります。「えっ?寝ないと太る?反対じゃないの?」直感的にそう思った人も多いかもしれません。
どうして睡眠不足になると太るのでしょうか。睡眠時間が短いほど痩せそうな気がしますが実際は逆なのです。2004年、シカゴ大学の研究チームは睡眠不足と食欲に関する画期的な成果を報告しました。食欲をコントロールしているホルモン分泌が睡眠不足によって異常をきたすことを明らかにしました。コロンビア大学は平均7時間睡眠を基準とした場合、6時間だと23%、5時間だと50%、4時間以下だと73%も肥満になる確率が高まることを報告しました。
人の食欲は、「レプチン」と「グレリン」という相反する働きをするホルモンでコントロールされています。レプチンは食欲を抑えてエネルギー消費を増やす働きです。一方、グレリンは成長ホルモン分泌を刺激するホルモンとして発見されました。胃粘膜で作られ脳の奥にある視床下部に作用して食欲を増進させて肥満をつくるホルモンです。スマートにするホルモンであるレプチンと太らせホルモンであるグレリンという2つのホルモンのバランスは、睡眠時間で決まります。その分水嶺は6時間であり、それより睡眠時間が短いと相対的にグレリン優位に傾き太ることが分っています。
スタンフォード大学の研究では、睡眠時間が5時間の人は9時間の人に比べてレプチンの分泌量が15%減り、一方太らせホルモンであるグレリンの分泌量が15%増加すると報告しました。またシカゴ大学も健康な成人の睡眠時間を4時間に制限した生活を続けるとグレリンの分泌量が増え、レプチンの分泌が減ることを報告しています。どうも私たちの脳は「睡眠不足になると消耗しないようにもっと食べろ!」という指令が出る仕組みになっているようです。なんとか痩せようと、必死でカロリ―制限や炭水化物制限をしても睡眠不足が続けば、せかっくの努力も水の泡となるわけです。
よく寝ないと太るもうひとつの理由は、睡眠不足により基礎代謝が下がるためです。一般に成人の基礎代謝は1200~1600キロカロリーとされ、基礎代謝が高いほど太りにくいということになります。基礎代謝は睡眠中に分泌される成長ホルモンで上がるのですが、ぐっすり寝ないと成長ホルモンの分泌が下がり、その結果太ってしまうのです。
不景気が続くので仕事を2つも3つも掛け持ちしながら頑張っている人を診ていると年々太ってきます。また夜勤が多くて慢性の睡眠不足に悩まされている介護職員たちも年々太ってきます。寝ないと太るのは単に夜食のせいだけではありません。その背景には睡眠不足によって増えるグレリンというホルモンと低下するレプチンや成長ホルモンの仕業であることが分ってきました。というわけでダイエットの第一はぐっすり寝ることです。
キーワード グレリン
胃粘膜で産生される消化管ホルモン。下垂体に働き成長ホルモンの分泌を促すとともに視床下部にも働き食欲を増進させる働きを持つ。1999年、国立循環器病センターの児島将康・寒川賢治らにより発見された
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この記事へのコメント
昨日、八代の知人と話した所、震災の被害は少ないけれども
夜は皆、公民館、保育園か車で休まれているので
睡眠不足と言われていました。
余震も続いているので早くおさまってほしいです。
Posted by 匿名 at 2016年04月20日 05:24 | 返信
新人類、と呼ばれた20歳代=ピカピカの社会人だった頃に、図らずも太った時代がありました。
食欲とか新陳代謝とかのバランスが崩れているのを実感しながらも、制御が利かないアンバランスな
時期でした。生涯でも記念すべき "ぽっちゃり" な時代でした。ストレスの仕業と分かっていました。
これまでにない動きにくさを感じていましたが、どのようにして解消したのかは覚えていません。
そして今..社会人となって久しい我が娘ですが、最近、急に、そのような状況に陥っている気配。
責任感にストレスがあるのでしょう。かつて、学生服を仕立てる時に「太らない家系だから」と店の方
に言われたりした細身であったのに、最近..???..指摘したくなるような...。
心の平穏が健康体、適正スタイル、を維持してくれるのは確かです。
Posted by もも at 2016年04月20日 09:16 | 返信
レプチンとグレリン なるほど。
昔、週5日通勤往復3.5時間で残業しょっちゅうの仕事をして土日祝は寝だめの生活だったころ、働いてる5日間はむくんでいて連休など休みが続くと痩せるのはwhy?と思ってました。
たぶん「寝方」というか寝る環境も大切なのでしょう。避難先の体育館や車の中でごろ寝は良質の睡眠がとれないから疲れがたまりますね。
早く皆さんがゆっくり眠れるようになってほしいです。
Posted by 匿名 at 2016年04月21日 01:34 | 返信
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