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睡眠薬と依存性
2016年05月13日(金)
産経新聞睡眠シリーズ第5話 メラトニンとオレキシン
高齢者は依存性の少ない睡眠薬を
「眠れない」と訴える高齢者が増えています。しかしよく聞くと長い昼寝をしていたり、頻尿があったりストレスのために不安やうつがあったりで不眠の背景はさまざまです。本当に寝ていない状態が続くるなら昼間の顔は本当に眠たそうですがそんな人はそう多くはありません。もしスッキリしたお顔であればあまり心配しませんが、患者さんは納得しません。「先生、睡眠薬を!」とねだられた時、どんな対応をするか悩むことがよくあります。というのも最近、睡眠薬の依存性などの副作用が報道されるようになり、眠剤を処方しなくても処方しても不安になる高齢者が増えています。
まず高齢者は8時間寝なくても大丈夫です。個人差はあるものの、65歳の平均睡眠時間は6時間半、75歳では5時間半程度です。8時間という数字は20歳までの話。大切なことは高齢者の睡眠は量より質であること。しかし日中に眠気や集中力低下や全身倦怠感やイライラが週に3回以上、3ケ月以上続けば“不眠症”の疑いがあります。「眠くなってから布団に入ってね」とか「毎朝歩いてね」とか「夕方以降のコーヒーは控えてね」と生活習慣のアドバイスをしたうえで、睡眠薬を処方するケースが現実にはあります。
日本で使われている睡眠薬は4系統あります。従来よく使われてきた薬は“ベンゾジアゼピン系”と呼ばれる系統です。しかしこれは認知機能の一時的な低下やふらつきという副作用があり高齢者にはお勧めできません。やはり一番の問題は依存性です。薬を中止した時に不眠や発汗などの離脱症状も心配です。しかし最近は、そうしたマイナス面が少ない睡眠薬も登場してきました。近年よく使われている“非ベンゾジアゼピン系”の睡眠薬は依存性や離脱症状が少ないとされています。ゾルピテム(商品名マイスリー)、ゾピクロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)などは、寝つきをよくする薬です。
さらに最近登場した睡眠薬として、メラトニン受容体作動薬であるラメルテオン(ロゼレム)とオレキシン受容体拮抗薬であるスポレキサント(ベルソムラ)があります。いずれも睡眠薬を一度も飲んだことのない高齢者にお勧めです。高齢者は依存性に加えて転倒→骨折が懸念されるので少しでもそのような可能性の低い薬剤を選択したいものです。
メラトニンは光を感知すると減少し夜になると急速に増加する睡眠誘発物質です。朝に5分でも光を浴びるだけでメラトニンのリズムができます。ですからメラトニン受容体作動薬を飲む前に、毎朝光を浴びることがなにより大切。一方、オレキシンは1996年に日本人が発見した物質でギリシヤ語で「食欲」を意味する「オレキシス」(orexis)という語に由来しています。オレキシンは注意や行動のために必要な覚醒を安定化し、これに注目した睡眠薬がスポレキサントなnです。ただし、すでに長期間ベンゾジアゼピン系睡眠薬を飲んでいる人がある日からこれらの薬に変更してもなかなか上手くいきません。徐々に“ベンゾジアゼピン系”を減薬しながら“非ベンゾジアゼピン系”にスイッチする方法があるのでかかりつけ医とよく相談してください。なお今春から3種類を超える抗精神薬の処方ができなくなったことも知っておいてください。
キーワード オレキシン
覚醒の維持に重要な役割を担う神経ペプチド。摂食行動の制御や覚醒制御に関係し睡眠・覚醒調節機構だけでなく、情動や報酬系そして摂食行動の制御など統合的な機能を担って
高齢者は依存性の少ない睡眠薬を
「眠れない」と訴える高齢者が増えています。しかしよく聞くと長い昼寝をしていたり、頻尿があったりストレスのために不安やうつがあったりで不眠の背景はさまざまです。本当に寝ていない状態が続くるなら昼間の顔は本当に眠たそうですがそんな人はそう多くはありません。もしスッキリしたお顔であればあまり心配しませんが、患者さんは納得しません。「先生、睡眠薬を!」とねだられた時、どんな対応をするか悩むことがよくあります。というのも最近、睡眠薬の依存性などの副作用が報道されるようになり、眠剤を処方しなくても処方しても不安になる高齢者が増えています。
まず高齢者は8時間寝なくても大丈夫です。個人差はあるものの、65歳の平均睡眠時間は6時間半、75歳では5時間半程度です。8時間という数字は20歳までの話。大切なことは高齢者の睡眠は量より質であること。しかし日中に眠気や集中力低下や全身倦怠感やイライラが週に3回以上、3ケ月以上続けば“不眠症”の疑いがあります。「眠くなってから布団に入ってね」とか「毎朝歩いてね」とか「夕方以降のコーヒーは控えてね」と生活習慣のアドバイスをしたうえで、睡眠薬を処方するケースが現実にはあります。
日本で使われている睡眠薬は4系統あります。従来よく使われてきた薬は“ベンゾジアゼピン系”と呼ばれる系統です。しかしこれは認知機能の一時的な低下やふらつきという副作用があり高齢者にはお勧めできません。やはり一番の問題は依存性です。薬を中止した時に不眠や発汗などの離脱症状も心配です。しかし最近は、そうしたマイナス面が少ない睡眠薬も登場してきました。近年よく使われている“非ベンゾジアゼピン系”の睡眠薬は依存性や離脱症状が少ないとされています。ゾルピテム(商品名マイスリー)、ゾピクロン(アモバン)、エスゾピクロン(ルネスタ)などは、寝つきをよくする薬です。
さらに最近登場した睡眠薬として、メラトニン受容体作動薬であるラメルテオン(ロゼレム)とオレキシン受容体拮抗薬であるスポレキサント(ベルソムラ)があります。いずれも睡眠薬を一度も飲んだことのない高齢者にお勧めです。高齢者は依存性に加えて転倒→骨折が懸念されるので少しでもそのような可能性の低い薬剤を選択したいものです。
メラトニンは光を感知すると減少し夜になると急速に増加する睡眠誘発物質です。朝に5分でも光を浴びるだけでメラトニンのリズムができます。ですからメラトニン受容体作動薬を飲む前に、毎朝光を浴びることがなにより大切。一方、オレキシンは1996年に日本人が発見した物質でギリシヤ語で「食欲」を意味する「オレキシス」(orexis)という語に由来しています。オレキシンは注意や行動のために必要な覚醒を安定化し、これに注目した睡眠薬がスポレキサントなnです。ただし、すでに長期間ベンゾジアゼピン系睡眠薬を飲んでいる人がある日からこれらの薬に変更してもなかなか上手くいきません。徐々に“ベンゾジアゼピン系”を減薬しながら“非ベンゾジアゼピン系”にスイッチする方法があるのでかかりつけ医とよく相談してください。なお今春から3種類を超える抗精神薬の処方ができなくなったことも知っておいてください。
キーワード オレキシン
覚醒の維持に重要な役割を担う神経ペプチド。摂食行動の制御や覚醒制御に関係し睡眠・覚醒調節機構だけでなく、情動や報酬系そして摂食行動の制御など統合的な機能を担って
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この記事へのコメント
メーカーが事実を隠して、販売しているのは抗認知症薬と変わりません。
超短時間型と呼ばれるハルシオン・アモバン・マイスリーなどは、アメリカのFADから「高齢者には、せん妄を起こしやすいので、使用しない事」と勧告が出ています。
この事実を隠し、「作用時間が短いので高齢者にも安全だ。」と宣伝しているメーカーがあるようです。私もアモバンとリスミーが同時発売された時、アモバンの方が作用時間が短いので、高齢者にはアモバンの方が良いと考えアモバンを使用しました。そうしたら夜間せん妄を起こすケースが増えたのです。アモバンからリスミーに変えたら、せん妄を起こすケースは激減しました。
Posted by 小関洋 at 2016年05月13日 05:45 | 返信
眠れない…
わたしは すぐに眠ってしまい 夢も見ないので 眠れない人の気持ちがわかりません
きっと
夜間 真っ暗の中 不安が強くなって 眠れない…眠れないと気持ちが高ぶってしまうんでしょうか
睡眠…
人生の3分の1の時間を大事にしたいですね
Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年05月13日 09:04 | 返信
私の父は、不眠症でした。ハルシオンをアメリカ人が飲む量を飲んでいました。
若い頃は不眠症ではありませんでした。でも大企業に就職していたのに、復員してくると、戦機を作っていた企業だったので、人員整理があって、上役の苛めもあって、同僚も沢山辞めたそうです。結婚して母も私を妊娠していたので、祖父の作った小さな貿易会社に再就職したものの、未だ貿易ができるほど経済が回復しなかったので胃潰瘍で神戸の金沢病院で緊急手術をして助かりました。その後朝鮮戦争や、アメリカや中南米や中近東の貿易もできるようになって、うつ病も一時的に消えました。
祖父も商業高校は優秀な成績で卒業したけれど、上の学校の入学試験に落ちてノイローゼになって慌てて祖母と結婚させられて治ったそうです。
そういう気の小さい家系ですから、父は貿易会社を退職して、株の売買で何とかおこずかいを作ろうとしていたら、平成元年の株の大暴落ですっかり不眠症になりました。私が首の後ろに乾湿型の吸い玉をしてやると、よく眠れると言って喜んでいました。
でも、死ぬまでタバコを止めなかったので、心筋梗塞、腰椎ヘルニア(骨粗鬆症)、上行結腸癌、耳下腺腫瘍になり、関西労災病院を退院したその日にハルシオンを飲んでから、新聞を畳の上に捨てて、その上を歩いて、尻もち転倒をして、胸椎腰椎圧迫骨折で一年近く寝たきりとなって、インフルエンザにかかって、肺炎になり40度の高熱があるのに、在宅医がスキーに行ったので、母親の看護師の命令で入院したらMRSA(院内感染)で死にました。
河野和彦先生の本を読むと(夜中に大声で喚く、病院のカーテンに地図が書いてあると言う、歩くと右に偏っている)などレビー小体型症候を表わしていました。
ですから、不眠症の原因には、タバコ、将来に対する不安感、家族関係特に夫婦関係などが関係しているのかなと思います。これは私の個人的な意見なので恐縮です。
Posted by 大谷佳子 at 2016年05月13日 11:10 | 返信
睡眠導入剤はラメルテオン以外はどれもリスクがありますね。ゾルピデムやゾピクロンがせん妄を起こしやすいのは当然の常識として、ベンゾジアゼピンも高齢者とか脳神経疾患の方には呼吸抑制、誤嚥を誘発しやすいので、要注意ですね。米国では州によってはベンゾジアゼピンは禁止されてます。
エチゾラムを何の抵抗もなく、高齢者とか神経変性疾患の患者に処方してるこの国はおかしい。
ベンゾジアゼピンの使用を大幅に制限すれば高齢者の肺炎は激減し、医療費は大幅に削減されて、抗生物質の使用頻度は減少、抗生物質耐性リスクも下がり、MRSA死亡例も減るはず。
薬の不適切使用、乱用こそがさらなる医療費のムダになっているので。
Posted by マッドネス at 2016年05月14日 01:48 | 返信
こんにちは。
私は高齢者ではありませんが、よく眠れる薬と言われてデパスとマイスリーを処方されたことがあります。
デパスは依存になりかかりましたが、ネットを調べまくって害と止める方法を模索し、無事やめることができました。
先生の記事はとてもためになるので、私のブログにリンクを貼らせていただいてよろしいでしょうか。よろしくお願いします。
Posted by ゆま at 2016年05月14日 09:22 | 返信
「眠れない、眠れない」と言いながら、昼間に爆睡している入院患者の光景、会話は
よくある話です。仕事に携わる人が「明日は朝が早くてオチオチ寝ていられないケド」とか
「頭が疲れ過ぎて寝付けない」とかも、緊張感ある生活をしていると、それも
割りとある話です。その後、どこかで睡眠不足は解消しているのでしょうね。
睡眠障害は、思い切り、連日の深夜のスポーツ観戦に費やす勇気を持って試してみると、
健全な睡眠サイクルに戻ることもあります。
「寝なくちゃ、寝なくちゃ」と強迫観念を持ってしまうことが、一番良くないらしいですね。
Posted by もも at 2016年05月15日 12:21 | 返信
マッドネス様
え!ハルシオンで、誤嚥性肺炎やMRSAに感染しやすくなる可能性があるのですか?
タバコもハルシオンも父は大好きでした。自分から、きつい薬を出してくれと頼んでいました。
病人は毒を食らうと言いますけれど、本当ですね。
父が苦しんで死んだ様子は長年目に焼き付いていましたけれど、母が大動脈解離で死んだショックで、ちょっと忘れかけました。
お医者さんや看護師さんは日ごろから患者さんの生死に関わっていらっしゃるのですけれど。
Posted by 大谷佳子 at 2016年05月15日 08:22 | 返信
野球界の元スーパースター:清原さん裁判に纏わる報道を見ていると、依存とは何かな、と
ふと物思いしました。犯罪である麻薬使用を思う時に、考えようによっては、処方される薬の
如何も大差ないような、そんな気持ちになりました。
自然でない物を、安易に体内に取り込まない方がよさそうですね。
自分の意思とは別物の作用を、安易に使用しない、という心構えは覚悟した方が懸命かも知れません。
Posted by もも at 2016年05月17日 09:46 | 返信
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