このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

医療保険と介護保険にまたがる訪問看護制度

2016年06月22日(水)

産経新聞の連載「親の介護シリーズ第三回」は、医療保険と介護保険の
両方にまたがる訪問看護制度、について書いてみた。→こちら
書きながら、分かりやすく書くのは難しいなあ、と感じた。
2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 

産経新聞・親の介護シリーズ第3回  訪問看護制度
                 医療保険と介護保険の両方ある

 
 「在宅医療は医師が行うものだ」。おそらく多くの人がそうイメージしているはず。しかし多くの在宅医が口を揃えて言うのは「在宅医療の主役は訪問看護師です!」。おそらく在宅医療を受けたことがある人ならこの言葉の意味が理解できるでしょう。訪問看護師とは、文字通り家に来てくれる看護師さんのこと。あまり知られていないことですが、日本で初めて訪問看護を受けた人は奈良の都の光明皇后だったそうです。1300年前、シルクロードを渡って来た介護ベッド(のような椅子)に横たわり訪問看護を受けたと。訪問看護に従事する看護師は全体の約3%と少数ですが、今後、在宅医療の普及とともに増えると予想されています。とっても古いのにどこか新しいのが訪問看護です。

 さて、親の介護をしていて「訪問看護師さんに来て欲しいな」と感じた時は、どうすればいいのでしょうか。それは“かかりつけ医”にその旨を相談することから始まります。「看護なのになぜ医者?」と思う人がいるかもしれません。ひとつは日本の法律では看護師さんは医師の指示のもとでしか医療行為ができないから。医師が書いた「訪問看護指示書」がなければ看護師は出動できないのです。

 現在、訪問看護制度は、医療保険制度下で提供される場合と介護保険制度下の場合の2通りがあります。要介護認定がなければ医療保険しか利用できませんから話は単純です。しかし既に要介護認定がある場合は少々複雑。そもそも訪問看護には「介護保険優先の法則」があるので、要介護認定があればケアマネージャーさんを通じてケアプランに組み込んでもらう必要があります。ただしいくつかの例外規定があります。末期がんや神経難病など医療需要の高い人は医療保険下で訪問看護を提供できます。ケアプランと関係なく、必要なら毎日でも訪問看護を提供できる仕組みになっています。もうひとつは医師の特別指示書がある場合です。週に4回以上の訪問看護が必要になった時は、2週間を限度に(場合によっては最大4週間)、医療保険下で訪問看護を提供できることになっています。

 私の法人の場合、介護保険制度下の訪問看護と医療保険下のその割合は、7:3です。市民の皆様に知っておいて欲しいことは在宅医療の主役である訪問看護は、医療保険下で提供される場合と介護保険下で提供される場合の2通りあること。そして両者は細かな規則で区別されていること。患者負担は介護保険は1割(高額所得者は2割)で医療保険は1~3割なので、どちらの保険を使うかで最大3倍の差が出る可能性があること。筆者はこんなに複雑な訪問看護制度をもっと簡素化しよう、叶うならば2000年以前のように「すべての訪問看護を医療保険制度下に戻そう!」と活動してきました。しかし残念ながら現実は真逆で、制度は年々複雑化し訪問看護の普及の阻害因子になっています。いずれにせよ現実には、訪問看護制度に詳しいかかりつけ医やケアマネージャーに相談して下さい。

 介護中の親が夜中に高熱にうなされた時にまず電話するのは在宅医か訪問看護師です。そして実際に家に来て助けてくれるのは訪問看護師です。ですから訪問看護について制度は少々複雑ですが理解できる範囲で結構ですので知っておいてください。
 
 
キーワード  訪問看護指示書
医療保険でも介護保険でも訪問看護サービスを受けるためには医師が書く指示書が必要。週3回まで利用できて有効期限は6ケ月間。病状が急に悪化し頻回の訪問が必要になった場合は、原則14日以内を限度に「特別訪問看護指示書」が交付される。
 
 

2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

この訪問看護制度は 働いている訪問看護師ですら 理解できない保険制度です
わたしは…
この医師がお書きになる訪問看護指示書を何とかして欲しいです

訪問看護にも
居宅療養管理指導で限定2回に限り 訪問看護指示書なしで伺える制度があったと思うんですが
これを勧めていこうとしている訪問看護ステーションを聞いたことがありません
たった2回のお試し訪問で
その後 継続しようとすると 新たに契約をしたり
訪問看護指示書が必要であったり
結局は あまり 意味のない支援ってことだと思います

訪問看護ステーションに依頼があり 主治医にお願いしても
「看護師が行って 何をするんだ
医療は必要ない…介護でしょ!」と末期がんの方なのに
おっしゃる先生がいらっしゃいます
看護でしょ!と声を大に言ってます

看護師も国家資格です
〜看護師とは、疾病者や褥婦(じょくふ、=出産後の女性)などの療養上の世話 または診療の補助などをすることを業とする人のこと〜
なんですが 療養上のお世話にも訪問看護指示書がいるっていうのは 納得できないです

ですが
点滴する場合などの医療に関することに関しては 指示をいただかなければ
怖くてできません

訪問看護指示書が必要な方は
具体的には 特別管理指導加算を算定している方 麻薬を投与されている方でいいような気がします

な〜んて 言ってたら 叱られますかね〜

この訪問看護指示書 一つを取っても ある意味、戦いです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年06月24日 12:35 | 返信

親しくしているケアマネジャーさんからの相談から始まり
サービスの利用までの至らないかもしれないけど
一緒に同行訪問してくれませんか〜という話になりました

今日のお昼からケアマネさんと伺って
2時間…
息子さんご夫婦とお話して
お話しがいったりきたり…
穏やかな最期を迎えるお手伝いは 時間を費やします
それは
今まで 経験したことがないことなので
迷うのは 当然です
(入院は 簡単に決めることができる…
…ですが
入院したいと思っても
すぐには 入院もできない情勢になっているのもおかしい)

80代 男性 胃がん(末期)開腹手術をしたが 手術ができなかった
余命1年 年内には…と診断されているようです

あれよ〜あれよと動けなくなり 食べることができなくなったようです
眠っている時間も長くなったようです

お一人暮らしをされていますが
息子さんご夫婦が頻繁に来てくれています

大病院の先生が主治医です
月1回の外来受診で 次回の受診が再来週です
肩呼吸をしているご本人をみると…
本当に再来週の受診で大丈夫なのか心配です

つまり
気がつかないうちに亡くなってしまうんではないか…
そうなると 警察沙汰になるかもしれないです
突然の状態悪化で 救急搬送されて
延命処置になるのではないか…

穏やかな死を迎えるための提案をさせていただきました

訪問看護でできることをお話したところ
「ぜひ 看護師さんに 来ていただきたい…」と息子さんから依頼されました

…なんですが
医師が書く 訪問看護指示書がないと 訪問に伺うことができないんです

今日は土曜日…
緊急なのに、大病院の医師から訪問看護指示書をいただくことは
とても ハードルが高いです
なぜならば
常時 主治医がいないからです

では…
24時間365日 診てくださる在宅医に依頼しようとしても
大病院からの情報提供書がないので
大手を振って 訪問診療に行きますとは言えないんだよね〜と言われました
(医師の世界の不思議なルールですよね…)

なんとか
訪問看護師だけでも関われないのか〜と思っても
どうにもできないこの現実…
本当に情けないです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年09月03日 11:07 | 返信

コメントする

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

ひとりも、死なせへん

安楽死特区

糖尿病と膵臓がん

病気の9割は歩くだけで治るPART2

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ