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大学生に終末期医療の講義

2016年06月24日(金)

今日は関西学院大学で学生さん相手に今年2回目の講義をしていた。
今回のテーマは、「親や祖父母の穏やかな最期を叶える」で、産経新聞に
今まさに連載中の内容や「平穏死」について学生向けに解説した。
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正直、大学でこんな内容の講義はやり辛い。
相手はみんな18歳のピチピチの大学1年生。

経済学部の1年生と兵庫医科大学の1年生たち。
たぶん、明日には、今日話したことの1%も覚えていないだろう。

しかし一生心に心に残る講義をしようと一生懸命工夫はした。
先日の夜間高校の講義と同様に、持てる力を120%出した。

非常勤講師の給与はとても安いもので、たしかヒトコマ2千円程度で
最低賃金以下で交通費も出ない。つまりボランテイア。

交通費にも満たないのだが、100円くらいの源泉徴収票は送られてくる。
10年続けている夜間高校の授業も完全なボランテイアである。

なぜこんなセコイ話を書くかというと、「講義をした」と書くと必ず
「そんなに儲けやがって」と批難されるのが常だから。

先週の六本木での近藤正臣さんとの対談の壇上でも、近藤さんに
「長尾さんは本ばかり書いて印税を儲けて、舛添さんみたいだね」と言われた。

この「舛添さんみたいにセコイ!」は一番傷つく言葉なのだが、敢えて反論をしなかった。
全額寄付しているのだが、これを言ったらそれが「セコい」と言われるかなと直感したから。

そんなことより、高校や大学での終末期医療の講義は完全アウエイでの試合に相当する。
だからそんな環境で話をする自分自身の勉強でもあると思い引き受けている。ただそれだけ。

次は近畿大学医学部で平穏死の講義を依頼されている。
今年から近畿大学医学部でも教えることになった。


今日は、昼から尼崎市医師会の代議員会があったり、
夜は「尼崎睡眠セミナー」の特別講演の座長を務めたりで、忙しい1日だった。

講師の渥美先生はは実にすばらしいDRだった。
こんなDRの講演の座長を拝命した幸運に感謝。

以下、自分のメモ。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

特別講演「目の覚めるような睡眠薬のはなし」
上島医院 院長 渥美正彦先生
 
3つのキーワード
1 15分
2 表と裏
3 眠りの美女
 
苦痛と習慣にしっかりアクセズして、よく「聴く」こと。
 
 
「睡眠薬をもう1錠飲んでしまいました」
 
「辛いんですね」
「そりゃ辛かったですね」
 
受容・関心・共感が大切。
すると相手も素直になる。
 
「何時に寝ます?」
 
「なるほど、工夫されてるんですね」
 
相手の言い分を受け入れて、意味を考える。
 相手の習慣をぶった切ってはダメ。
 
睡眠制限療法(認知行動療法のひとつ)は普及しない
→ひとつだけ習慣を見直させてあげる
 
ひとつ見直すならこの習慣だ
・早寝  これ!!
・早起き ダメ
・朝ごはん ダメ
 
10時に寝て眠るまでに1時間かかっていた人が
9時に寝ることにしたら、苦しみが2倍になる!
=間違った思い込み
 
「15分だけ遅く寝よう!」と提案してみる。(専門医のおすすめ)
 
15分以上寝られなければ、いったん布団から出てやり直すといい
 
 
1902年 バルビツール酸が開発
それまでは抱水クロラールだったが、乱用されていた。
水に溶けない点で画期的だった。
バルビツール酸の登場は、乱用のリスクが低下した点で画期的だった。
ただし臨床量と致死量が近かったのが欠点だった。
 
1956年にベンゾジアゼピン系が開発された
これは、飲みすぎても死なない点で画期的。
現在30種類ある(そのうち睡眠薬が13種類ある)
作用時間から分類すると、実は4種類しかない
しかしたくさんあると混乱する。こんなに要るのか。
 
日本の睡眠薬処方は世界2位(ベルギーが一位)という統計は、嘘!
日本59 イタリア28、米国8
この統計には、「デパス」が入っていないのだ。
「デパス」を入れると、実は日本は世界ダントツの一位である!!
 
現在、睡眠薬は2種類まで。
 
共通点=GABA刺激=中枢神経全体を抑制=意識レベル鎮を落とす=鎮静剤
 
睡眠薬の魅力
・すぐ眠くなる 鎮静作用      健忘、異常行動
・肩こりが治る 筋弛緩作用     ふらつき、転倒
・安心する  抗不安作用     依存、反張性不眠
 
ベンゾは悪い薬ではないかもしれない
 
「安全で良い薬なんだけど」
「心配なところもあって」
「すっと飲み続けたいですか?」
 
 
「試したい薬があるんです」
 
ベンゾの魅力(表)とリスク(裏)を知ろう
 

3 眠りの美女
 
オレキシン受容体拮抗剤
 
オレキシンとは
・日本人が発見(柳沢先生と桜井先生)
・目覚まし作用
・視床下部だけで生産される
 
オレキシンが無くなると=寝まくる(寝たり起きたり)=ナルコレプシーになる
情動脱力発作(笑うと力が抜ける)
 
ベルソムラ(目覚まし物質)=オレキシンを邪魔する
夜だけナルコレプシーを作る、
・鎮静剤ではない!
・物忘れやふらつきが無い
・不安には効かない

寝る1時間前に飲む。

ベンゾは、65歳以上の人には、転倒リスクは28倍高める。
ベンゾからの切り替えはダメ。
→ベルソムラを上乗せして、ベンゾを四分の1づつ減量(2~4週毎)

ベルソムラは
・若い人、睡眠相後退症候群、睡眠時無呼吸症候群にいい
・中途覚醒に良い
・睡眠の質は、ベンゾほど変えない
・悪夢はある(REMが少し伸びる?) ロゼレムか抑閑散を併用?
・やめる時はやめやすい
・早めに、追加例では切り替えではなく上乗せで置き換える







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この記事へのコメント

精神の不調は、まず睡眠の不調から訪れるようです。
眠れない病に薬、が薬漬けの第一歩のようです。
飲み続けていても、どんどん眠れなくなりますよ。
睡眠不足解消は、やはり動くこと、歩くこと、人に会うこと
かも知れません。

Posted by もも at 2016年06月24日 06:11 | 返信

私の場合は、毎晩神棚にお供えした、お下がりのお酒と、芋焼酎10ccに梅酒を少しに水を入れて一杯飲んで、冷や奴か、キャベツと豚肉の炒めたのか、ダンドリ‐チキンくらいを食べて、直ぐ寝てしまいます。
夜中に起きてしまう事も多いのですけど、その時は、パソコンで”長尾先生のブログ”か、BIGLOBeのプロバイオダー仲間のブログを見て、返事を書いているだけで、疲れて寝てしまいます。
歳を取ったのかなあ。
でも経済的な問題や、気になる事はあるとなかなか寝付けませんね。
今の日本や世界中の経済態な問題や政治的な不安感が、平和的に、解決してくれたら良いのですけど。
夜眠れない時は、ミルクを温めて飲んで満腹感が出たら、眠くなります。
関学の講義は、偶には若い人達のパワーを貰って良いんじゃないですか。

Posted by 匿名 at 2016年06月24日 11:19 | 返信

ある動物番組で、ライオンの水牛狩りを観ました。
雌ライオン1頭の追撃・逃亡作戦で、群れから誘い出された300キロもある1頭の水牛が、ライオン5,6頭に囲まれ、牡ボスに地面に倒されるまで、両眼を見開いたまま、静かに屹立していました。
「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子)ではなく、「置かれた場所で散りなさい」(五木寛之)を、魅せられました。
「シュウマツキ」という言葉は、直線的な「死」の響きを感じ、他人事です。
「林住期・遊行期」「白秋期・玄冬期」「涅槃期」ならば、空間意識・宇宙的浪漫(ロマン)を感じるのですが。

ここで、イギリス「EU離脱」(自主独立)のニュースが。
「移民」「難民」をめぐり、「栄光の帝国を取り戻せ!」という大衆運動が、ヨーロッパ各地でも勢いをまし、国境を越えて互いに連携するという風景も。
いよいよ、「トランプ時代の世界的到来」なのでしょうか。
そして、日本版は、「道半ば」。

Posted by 鍵山いさお at 2016年06月24日 03:55 | 返信

長尾先生おつかれさまでございます。
睡眠ですね。学生時代から非常にすくないですね
その癖でいまだに寝るのが下手です。ほっとけば
数日寝てない時があります。

Posted by 尾崎 友宏 at 2016年06月25日 12:36 | 返信

イギリスの独立問題は、よくわかりませんけれど、EUにも問題があったのでしょう。
ギリシアが、観光立国なのに公務員だらけで、赤字なのに、それを隠して、嘘をついてEUに潜り込んだ。
ヘッジファンドがそれをかぎつけて、ギリシャの国債や株を売り浴びせて、世界的暴落にして、儲けた。
そのギリシアをドイツやイギリスが助けなければEUがやっていけない。
その他、政治的難民は受け入れなければいけないけれど、経済移民が、どんどんフランスやドイツ、イギリスと言う先進国に、家族ぐるみで、言葉も通じないのに、流入する事を阻止できないなどの問題は、労働者、低所得者には税金等で不満が出るのでしょう。
EUの構想は良いとしても、細かいところで、法律や条約ができていなかったのではないでしょうか?
すみません。これくらいしかわかりません。浜矩子氏が「崩壊するEU」と言う本を出していますけど、「嘘だろう」と思って読んでいませんでした。

Posted by 匿名 at 2016年06月25日 08:57 | 返信

現在の仕事に就いてから知った、気が付いたのは、平常時に様々な痛みや症状があったとしても
「"自分の身体” なのである」という自覚を持つことは必要だと思います。
お腹が痛い、頭が痛い、眠れない、など色々あるけれど、それを含めて「生きている」ということだと
自覚を持つことが必要と感じる日々です。自分の身体を他人事のように「どうにかして下さい」と
お願いするよりも、自分を信じ自分の身体の声に耳を傾け、空.大地.海 風や光 緑の自然エネルギーを
享受しているありがたさを実感することで、生命力が湧いてくるのではないか?と思う日々です。

長尾先生が講義というボランティアをなさるのは、第一に人が好きだから、そして若いエネルギー
に刺激を受ける喜びがあるから、そして御自身が抱えておられる熱き思いや信念を発信し、
それを理解・共感してくれる人に出会うことが糧となるから、と私は理解しています。

Posted by もも at 2016年06月25日 11:57 | 返信

コメント中に、重大ニュースが飛び込んできたので、中途半端になりました。
「眠りの鬼女」を求めて、年中「頭部冷却冬眠療法」を実験している者として、参考になりました。

伊勢志摩サミットで、せっかく伊勢神宮に集団参拝したのに、「英のEU離脱」をはばめませんでした。
伊勢神宮に史上初めて参拝した天皇は、明治天皇。歴代天皇家からは、忌み嫌われていた「聖地」だったのです。
古代先住民は、山、河、海を畏怖し、風雨雷、地震噴火をしのぎ、自然の恵みをいただいてきました。
高床式クラは造っても、社(ヤシロ)は造らなかったと言われます。

今回の「英・国民投票」は、さまざまな観点から、くわしく分析されるでしょう。
なかでも、フランス「国民戦線」の動きは、見逃せません。
フランスは戦勝国として振舞っていますが、日本と同じように「敗戦を総括」していません。
ナチスドイツに協力したヴィシー政権派と、「私はシャルリ」デモ参加者は、深層意識で重なっていると言われます。
ある対談が興味深いです。

内田樹さん。
「彼ら(失敗の責任者)は、『済んだことはもういいじゃないか。過ぎたことを掘り返しても、失われたものは帰ってこない。それより、未来の希望について語ろう』というようなレトリックを使います。でも、それはかなり危険なことなのです。失敗について吟味する習慣を失うと、まっさきに知性が鈍麻してしまう。」
姜尚中さん。
「反ユダヤ、反移民という、排外主義的な人々の層が連綿と続いているということですね。
 2005年に、ジャン=マリー・ル・ペンにインタビューしたんです。最後に彼は僕にこう言ったんです。
『この国をフランス人に! さもなくば死を!』と。
 歴史の流れは別に極右の支配に向かっているわけではない。逆に、彼らが自分たちの存在根拠だと信じたものが消滅しつつあることへの不安と絶望が彼らをより過激にしているんだと思います。」
内田樹さん。
「フランスの場合だと、『自由・平等・博愛』のフランス革命の理念と、ヴィシー政権が掲げた『労働・家族・祖国』の理念がまっすぐに衝突する。」

イギリス、フランス国内の社会的緊張の歴史的背景と今後に、無関心でいられません。
「明治75年」「戦後75年」。この「150年」を大づかみにつかんで、「今、ここ」のマインドフルネス(立禅よし坐禅よし)が求められているようです。

Posted by 鍵山いさお at 2016年06月25日 02:01 | 返信

今朝NHKの「あさいち」で、秋野暢子さんが、お母様が尊厳死協会に入っていらっしゃって、「延命治療はしないでね」と言われていたので、お母様の希望通り延命治療はしなかったけれど、いかに親の希望通りしても、母親に死なれると、これで良かったのかと思うと仰っていました。
親の介護って、どう介護してもこれで良かったのかと思いますね。
近藤正臣さんは、まだまだ色気のある人だから、男性とみると、攻撃したくなるんじゃないかな(笑)。

Posted by 匿名 at 2016年06月27日 11:25 | 返信

すっかり忘れていましたけど、イギリスのキャメロン首相は、たしかタックスヘブンでケイマン諸島に財産を隠していた事が、このほど告発されたんでした。
アイルランドの首相はサッサと辞任したのに、キャメロン首相は、この度のEU離脱問題にカコつけて辞任したフリをしている。
大体半日で国民投票して(EUを離脱するか、継続するか)を、決めるのが、おかしい。
キャメロン首相は、自分の脱税問題を隠す為に、イギリスをメチャクチャにして、EUも、世界経済も崩壊させるつもりなのでしょう。

Posted by 匿名 at 2016年06月28日 12:39 | 返信

ご存知の方もおられるかと思いますが、福岡伸一さんのコメントを紹介します。
「国境という人工の線をなくし、人々の往来と交流を促進し、共存を目指したのがEUの理念であったのなら、それは遺伝子の束縛から一歩を踏み出した生命観にかなっていた。」
「争うのではなく協力し、奪うのではなく分け与え、縄張りをなくして交流し、自分だけの利益を超えて共生すること、つまり遺伝子の束縛からの自由こそ、新しい価値を見出した初めての生命体がヒトなのである。言葉をかえていえば、種に奉仕するよりも、個と個を尊重する生命観。」
「押せば押し返し、沈めようとすれば浮かび上がる。そうして本来のバランスを求めるのが生命の動的平衡だから。」(2016.6.30)

あれこれの自称国際政治学者の言よりも、生物学者の言は、さすが傾聴に値します。
もちろん、EC政府の政策を無条件で支持するものではありません。
先日のEC議会では、ルペンら各国極右の発言に見られるように、「ブルテンが第一」「栄光ある祖国回復」に共鳴し、移民・難民の排除、劣情に訴えるデマゴギーがヨーロッパを席巻しつつあります。
また、超格差社会の日本やアメリカでも、聞き飽きたワンパターンのデマゴギーで人が欺かれる風潮も、見逃せません。

Posted by 鍵山いさお at 2016年07月01日 03:29 | 返信

生物学の事は難しくて分かりません。
日本人も、移民になりました。朝ちゃんの三井三池炭鉱が、落盤事故が多くて、日本政府は、石油を輸入するエネルギー政策に転換しました。炭鉱夫の方達はどうなったのか存じませんでしたけど、多くは、ブラジルやペルーに移民として渡ってゆかれたそうです。都会の直ぐぞばだからと騙されて行ってみたら、前人未到の未開の地だったそうです。でも諦めずに、黙々と耕して、広大な大農園にしたり、商業的にも工業的にも成功して、地元の人々に尊敬された方も、多かったようです。
戦前にアメリカに渡った日本人移民の方達もいました。戦争中は、収容所に入れられたり、若い男性は「アメリカに忠誠を尽くす」と言う理由で、ヨーロッパの各地の前線に派遣されて、亡くなられた方達も多かったようです。
対日本戦略に於いては(日本の戦争を早く終わらせるように)地形や風土気象等のアドバイスもしたそうです。東京大空襲で主都が全滅したのは、日系アメリカ人が、関東大震災時に、大火災に依って、大きな風力が発生する事を、アメリカ軍に進言したそうです。
そのように、同じ日本人でもアメリカ国籍を取るために、日本を攻撃するアメリカ軍に協力することが、求められました。
「移民」と言うのは、移民したその国に殉じる事なのです。
観光旅行ではありません。

Posted by 匿名 at 2016年07月02日 09:57 | 返信

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