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在宅死の割合は全国12.8%、神戸市18.1%、豊岡市25.6%

2016年07月15日(金)

産経新聞・親の介護シリーズ第5回は在宅死の割合について書いた。→こちら
兵庫県は在宅死の割合が多い県であり、尼崎市は17.7%であった。
しかし都市部では、在宅死の約半数が孤独死(検視)と言われている。
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産経新聞・親の介護シリーズ第5回  在宅死の割合
                 全国12.8%、神戸市18.1%、豊岡市25.6%
 
いきなりの猛暑で室内で熱中症に陥る高齢者が急増しています。クーラーが壊れていたり冷房と暖房のスイッチを間違って押していたりで、訪問すると干上がりかけている高齢者を何人か見ました。子供さん世代は是非親の部屋のクーラーのチェックをお願いします。

さて、今日は人生の最期の場所に関する話題です。国は自宅でも人生の最期を迎えられるよう在宅医療を推進してきましたが、その成果が7月6日公表されました。全国1741の市町村すべての統計によると、死亡場所の全国平均では自宅12・8%、病院75・2%で残りが老人ホームなどでした。人口20万人以上の都市でみると8・0~22・9%と約3倍の地域差が、人口5万人以上20万人未満の中規模自治体でみるとさらに5倍近い地域差がありました。

人口当たりの病院数が多い地域では在宅死割合が低い傾向がありました。また自治体の規模によって医療状況が異なるため人口別で比較すると、道府県庁所在地や東京23区など人口20万人以上(126市区)では、神奈川県横須賀市が22・9%でトップで、鹿児島市が8・0%で最低でした。上位の9自治体を東京、千葉、神奈川の1都2県の市区が占めていました。20ある政令指定都市では神戸市(18・1%)が1位で、北九州市(8・7%)が最下位でした。

人口5万~20万人の自治体(428市区町)では、兵庫県豊岡市が25・6%で最も高く、最低は5・5%の愛知県蒲郡市でした。下位の10自治体のうち5市が九州地方でした。ちなみに私のクリニックがある尼崎市は17.7%と神戸市に近い数字でした。在宅医療を支えるマンパワーや自治体の熱意などが在宅看取り率に影響すると考えられています。いずれにせよ依然として病院で亡くなる人が圧倒的に多いのが日本の現状で、国民の希望をかなえるにはまだまだ多くの課題があります。しかし神戸市や豊岡市といった名前が全国レベルでトップにあがっている兵庫県は日本有数の“在宅医療先進県”と言ってもいいでしょう。

私は全国在宅療養支援診療所連絡会の近畿ブロックからの唯一の理事ですが近畿の数字が全国レベルで高いという結果にひと安心しました。
そもそも「在宅死の割合」とは、死亡者のうち医師による死亡確認場所が自宅だった人の割合です。在宅療養を続けていたが死亡間際に病院搬送された人は除外されます。厚生労働省の人口動態統計を基に集計され自然死だけでなく事故死や自殺も含みます。また都市部では在宅死の約半数が警察が介入した「死体検案」であるという指摘もあり、上記の数字=かかりつけ医による在宅看取りでは無いことは知っておいて下さい。

在宅死の割合は1950年前後まで8割を超えていましたが徐々に低下。1976年に病院・診療所での死亡割合が在宅死を上回った状態が続いています。そして90年代前半以降現在まで、在宅死は1割台で推移しています。ちなみに欧州各国では様相が大きく異なり、スウェーデンは約5割、オランダは約3割、フランスでは2割超が自宅で亡くなっています。日本では現在年間120~130万人が亡くなりますが、2030年台には170万人まで増加します。ですから実は今日の死に場所の話は、親の問題というより子供世代の自分自身の問題なのですが、それに気がついている人はまだ少いようです。
 
 キーワード 死体検案
医師死体に対し、死亡を確認し、死因、死因の種類、死亡時刻、異状死体との鑑別を総合的に行うこと。異状死体と判断した場合は医師法第21条に基づき24時間以内に警察に届出なければならない。死体検案書と死亡診断書の様式は同一で死因統計作成の資料としても用いられる。

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この記事へのコメント

残念ながら、私の母も在宅介護は、したものの、在宅死ではありませんでした。
知り合いの未亡人も、糖尿病からくる心筋梗塞で、一旦は回復したものの、二度めの発作が起きて、前日に担当医に「肺に水が溜まっている」と言われて、当日は朝の10時にケアマネジャーに電話して「気分が悪いから、午後の1時に来てください」と言った。ケアマネジャーが1時に到着したが、テレビの音は聞こえて、居間の明かりは付いているのに、応答が無い。困ったケアマネジャーに頼まれて、自治会長が消防署に電話してレスキュー隊と救急車に来て貰った。しかし頸動脈は触れなかったとのことで、救急病院で「心肺停止」と診断されました。
子供さんがが近くに住んでいたのに、これも経済的な問題から、アルバイト先で、携帯電話の栓を切っていたそうです。
しかし、亡くなってから、直ぐに発見されたので、その家は「事故物件」とは認定されなくて済んだそうです。
亡くなってから何日も経って発見されると、その家は「事故物件」にされて値段が半減されるそうです。
厳しい一面を考えさせられました。
担当医に「肺に水が溜まっている」と診断された時に病院に入院していたら、助かっていたのではないのでしょうか?
何とか助けてあげたかったと思います。

Posted by 匿名 at 2016年07月16日 10:04 | 返信

80歳過ぎたら…
自立の方も 24時間診てくださる先生がいいですね

大病院からクリニックそして在宅専門医とうまく移行できるといいんですが
関わる方のそれぞれの考え 思いがあり そう簡単にはいきません

選択の自由があるはずなのに…
24時間診てくださる先生にたどり着けつける方は
本当に選ばれし者です

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年07月17日 08:32 | 返信

ひとりの力量のあるお医者さんに、24時間診て貰いたいとしたら「病院に入院した方が良いのでは」なんて、思っちゃいますけど。
長尾先生なんて、いつまで持つのかしらと、心配です。
昔の大金持ち、大政治家、王侯貴族なら、名医が24時間ついてたようですけど。
お医者さんが居なくても、友人や家族がいれば、良いと私は思いますけど。

Posted by 匿名 at 2016年07月17日 05:43 | 返信

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