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第1回全国在宅医療会議

2016年07月07日(木)

昨日、第1回全国在宅医療会議が開催された。→こちら
ネットでその様子や細かな数字をを知ることができる。
いろんな情報が公開され便利な時代になったものだ。
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今日、全国各地の地方紙にはその地の在宅死率が掲載されているが
これは昨日の会議を受けての新聞報道である。

ちなみに、わが町、人口45万人の尼崎市の在宅看取り率は、
17.7%で、全国一ではないものの、かなりの上位であった。

全国平均は、12.8%。

そして一票の格差ではないが、地域差が約5倍あることも判明。
在宅医療も、均てん化や質の担保を問われる時代に変わりつつある。→ こちら

決して忘れてはいけないことは、都市部では在宅死の約半数が
検死(在宅医の看取りではなく警察が入った死)であること。


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死亡場所の全国平均は自宅12・8%、病院75・2%。残りが老人ホームなどで、
病院で亡くなる人が圧倒的に多い。人口当たりの病院数が多い地域では、
在宅死割合が低い傾向もうかがえた。ただ、隣接する自治体で差が生じている例もある。

自治体の規模によって医療の状況が異なるため人口別に比較すると、道府県庁所在地や
東京二十三区など人口二十万人以上(百二十六市区)では、神奈川県横須賀市が22・9%でトップ、
鹿児島市が8・0%で最も低かった。

上位の九自治体を東京、千葉、神奈川の一都二県の市区が占めた。 
二十ある政令指定都市では神戸市(18・1%)が一位で、名古屋市は13・2%、北九州市(8・7%)が最下位。

人口五万~二十万人の自治体(四百二十八市区町)では兵庫県豊岡市が25・6%で最も高く、
最低は5・5%の愛知県蒲郡市。下位の十自治体のうち五市が九州地方だった。



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在宅医療にかかる地域別データ集(概要) →こちら

「在宅医療の推進について」のページ資料 →こちら


在宅医療にかかる地域別データ集(これに全国各地のデータが載っている) → こちら


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「家で臨終」地域で差 横須賀市2割超 鹿児島市8%
在宅医療体制、手厚さを反映 厚労省調査
日本経済新聞 2016/7/7
 
 自宅で亡くなる「在宅死」について、厚生労働省は6日、市区町村別の全国集計結果を初めて公表した。中核市など人口20万人以上の都市では、在宅死する人の割合に最大で約3倍の開きがあった。在宅医療の状況などが影響しているとみられる。多くの人が希望する「自宅での最期」がかなうかは地域ごとに異なる実態が明らかになった。
 厚労省は2014年の人口動態統計などから、在宅死や在宅医療に関する全国1741市区町村ごとのデータ集を作成。6日、同省のホームページで公開した。
 14年に在宅死した人の割合は全国平均で12.8%。市区町村別では、医療機関の少ない過疎地などで割合が高くなる傾向がみられた。全国で最も高かったのは伊豆諸島の東京都神津島村で54.8%、2番目は鹿児島県与論町で50%と、いずれも離島だった。
 中核市など人口20万人以上の都市では、神奈川県横須賀市が22.9%で最も高く、東京都葛飾区の21.7%が続いた。最も低かったのは鹿児島市の8.0%だった。
 厚労省によると、24時間対応で往診している「在宅療養支援診療所」がない自治体が28%あり、こうした在宅医療の体制が手薄な自治体で在宅死の割合が低くなる傾向がある。同省は今後、各地の「在宅みとり」の考え方の違いなども含め、詳しく分析する。
 一方、病院・診療所で亡くなる人の割合は、1951年の11.6%から14年に77.3%に上昇した。自宅で最期を迎えることを望む患者がいる半面、家族が自宅でみとれないとして入院の継続を希望するケースがある。入院の長期化は医療費の増加につながる。
 このため、厚労省は6日、有識者による「全国在宅医療会議」を設置。在宅医療と自宅でのみとりを進める方策を検討する。
 内閣府が12年度に行った意識調査では、最期を迎えたい場所で「自宅」と答えた人が55%を占めた。病院などの医療機関は28%にとどまった。
 
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在宅死割合、北海道内は低め 訪問診療体制が要因か
北海道新聞 7/6
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/health/health/1-0290258.html
 
主な死亡場所の割合の推移
 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合が、道内は都道府県別で5番目に低いことが6日、厚生労働省の集計で分かった。道内179市町村のうち171市町村が全国平均の12・8%を下回った。このうち在宅死ゼロは9町村。面積が広く訪問診療の体制づくりが難しいことなどが要因とみられ「住み慣れた自宅で逝きたい」という望みをかなえるには不十分な現状が浮き彫りになった。
 厚労省が2014年の人口動態統計のデータを基に初めて全国1741市区町村別に在宅死の割合を公表した。
 道内の死亡場所の割合は自宅8・9%、病院82・6%。残りが老人ホームなどで、病院で亡くなる人が圧倒的に多い。
 道内市町村で在宅死の割合が高いのは宗谷管内幌延町18・2%、上川管内当麻町17・9%、夕張市と十勝管内上士幌町14・7%の順。一方、在宅死ゼロは後志管内の真狩村と赤井川村、空知管内の雨竜町、北竜町、妹背牛町、上川管内の上川町、比布町、音威子府村、オホーツク管内小清水町の9町村。
 札幌市は10・8%で、20ある政令指定都市の中で3番目に低かった。
 
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在宅死割合、沖縄でも地域格差 訪問診療の態勢で開き
琉球新報 2016年7月7日
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-311894.html
 
 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合に大きな地域差があることが6日、厚生労働省が公表した全市町村別の集計で分かった。沖縄県内では市部ほど自宅で亡くなる人の割合が高く、町村部で低い傾向が出た。訪問診療を手掛ける医療機関の充実と、在宅死の割合との関連性が浮き彫りになった。
 
 調査は2014年の人口動態統計を基に、データを集計した。
 自宅で亡くなる人の割合を市部で見ると、南城市(8・1%)以外の10市はいずれも10%以上あった。那覇市(15・2%)、浦添市(15・4%)、石垣市(17・6%)、宮古島市(18・1%)など。町村部は久米島町(2・7%)、大宜味村(5・5%)、伊平屋村(5・9%)、座間味村(6・3%)など、割合の低い自治体が多かった。
 県内で最も割合が低かったのは渡名喜村(0%)で、高かったのは北大東村(40%)だった。人口が少ない地域は、その年に自宅で亡くなった人が多いといった事情で数値が変動するため、渡嘉敷村と粟国村(各20%)も割合が高かった。
 県保健医療政策課は「特に離島は医療機関が少なく具合が悪くなると、本島に移り住み、地域に戻ることが難しいことが、(在宅死が少ない)一つの要因ではないか」と話した。
 伊平屋村は、村内に訪問介護を手掛ける事業所がなく、通所で利用する「デイサービス」も1カ所で、在宅生活や介護予防が難しい事情を説明。1人暮らしの難しい高齢者が共同で暮らす支援ハウスは定員いっぱいで、担当者は「医療が必要になったら村外に出るしかない」と話した。
 沖縄を含め全国的に病院で亡くなる人が圧倒的に多く「住み慣れた地域で逝きたい」という多くの国民の希望をかなえるには不十分な現状もにじみ出た。
 
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在宅死割合、地域で大差 中規模自治体は5倍の開き
中国新聞 2016/7/7
http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=262433&comment_sub_id=0&category_id=256
 
 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合に大きな地域差があることが6日、厚生労働省が公表した全市区町村別の集計で分かった。人口20万人以上の都市で8・0~22・9%と差は約3倍。人口5万人以上20万人未満の中規模自治体では5倍近い開きがあった。
 在宅みとりを支える訪問診療のマンパワーの違いや、自治体の取り組みの濃淡などが要因とみられる。「住み慣れた自宅で逝きたい」という多くの国民の希望をかなえるには不十分な現状が浮き彫りになった。
 1741市区町村別の在宅死の割合が明らかになるのは初めて。2014年の人口動態統計のデータを基に集計した。</p><p> 死亡場所の全国平均は自宅12・8%、病院75・2%。残りが老人ホームなどで、病院で亡くなる人が圧倒的に多い。人口当たりの病院数が多い地域では、在宅死割合が低い傾向もうかがえた。ただ、隣接する自治体で差が生じている例もある。
 自治体の規模によって医療の状況が異なるため人口別に比較すると、道府県庁所在地や東京23区など人口20万人以上(126市区)では、神奈川県横須賀市が22・9%でトップ、鹿児島市が8・0%で最も低かった。上位の9自治体を東京、千葉、神奈川の1都2県の市区が占めた。
 20ある政令指定都市では神戸市(18・1%)が1位で、北九州市(8・7%)が最下位。
 人口5万~20万人の自治体(428市区町)では兵庫県豊岡市が25・6%で最も高く、最低は5・5%の愛知県蒲郡市。下位の10自治体のうち5市が九州地方だった。
 
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在宅死割合、地域で大差 14年集計、訪問診療態勢が影響か
中日新聞 2016/7/7
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016070702000073.html
 
 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合に大きな地域差があることが六日、厚生労働省が公表した全市区町村別の集計で分かった。人口二十万人以上の都市で8・0~22・9%と差は約三倍。人口五万人以上二十万人未満の中規模自治体では五倍近い開きがあった。
 在宅みとりを支える訪問診療のマンパワーの違いや、自治体の取り組みの濃淡などが要因とみられる。「住み慣れた自宅で逝きたい」という多くの国民の希望をかなえるには不十分な現状が浮き彫りになった。
 千七百四十一市区町村別の在宅死の割合が明らかになるのは初めて。二〇一四年の人口動態統計のデータを基に集計した。
 死亡場所の全国平均は自宅12・8%、病院75・2%。残りが老人ホームなどで、病院で亡くなる人が圧倒的に多い。人口当たりの病院数が多い地域では、在宅死割合が低い傾向もうかがえた。ただ、隣接する自治体で差が生じている例もある。
 自治体の規模によって医療の状況が異なるため人口別に比較すると、道府県庁所在地や東京二十三区など人口二十万人以上(百二十六市区)では、神奈川県横須賀市が22・9%でトップ、鹿児島市が8・0%で最も低かった。上位の九自治体を東京、千葉、神奈川の一都二県の市区が占めた。
 二十ある政令指定都市では神戸市(18・1%)が一位で、名古屋市は13・2%、北九州市(8・7%)が最下位。
 人口五万~二十万人の自治体(四百二十八市区町)では兵庫県豊岡市が25・6%で最も高く、最低は5・5%の愛知県蒲郡市。下位の十自治体のうち五市が九州地方だった。
         ◇
 愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀の中部六県の市町村で一番高かったのは、合掌造りの世界遺産白川郷で知られる岐阜県白川村の43・3%。いずれも長野県南部の宮田村の37・6%、平谷村の37・5%が続いた。最低は平谷村の北隣の阿智村で1・1%。同県天龍村の2・2%が二番目、滋賀県甲良町の4・8%が三番目。岐阜市は12・8%、津市は10・1%だった。
 
 <在宅死の割合> 死亡者のうち、医師による死亡確認場所が自宅だった人の割合。在宅療養を続けていたが死亡間際に病院搬送されたような人は除外される。厚生労働省の人口動態統計を基に集計され自然死だけでなく事故死や自殺も含む。在宅死の割合は1950年前後まで8割を超えていたが徐々に低下。70年代後半には病院・診療所での死亡割合が上回った。90年代前半以降の在宅死は1割台で推移している。欧州各国は様相が大きく異なり、スウェーデンは約5割、オランダは約3割、フランスでは2割超が自宅で亡くなる。厚労省は2025年までに全国の病院ベッド数を削減して医療費抑制を図る方針で、患者30万人程度の受け皿が必要となることから、在宅医療の態勢整備が急務となっている。
 
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在宅死 最大4.65倍の差 人口5万人以上の自治体
毎日新聞2016年7月6日
http://mainichi.jp/articles/20160707/k00/00m/040/088000c
 
 自宅で死を迎える人が死亡者全体のうちどの程度を占めているかについて、厚生労働省が初の市区町村別統計をまとめ、6日公表した。人口5万人以上の自治体では、在宅死の割合が5.5〜25.6%と、最大4.65倍の差があった。地域の病床数や在宅医療の受けやすさ、孤独死の発生数などが関係しているとみられる。
 日本では1970年代に病院で死を迎える割合が自宅を上回り、2014年の人口動態調査では病院死が75.2%、グループホームやサービス付き高齢者住宅を含む在宅死は12.8%。一方、内閣府の12年度調査では、55%の人が「最期を自宅で迎えたい」と望んでおり、厚労省は「自宅でのみとり」の推進を図っている。
 在宅死はこれまで都道府県別のデータしかなく、在宅医療を進める基礎資料として、14年調査を基に初めて全国1741市区町村別にまとめた。
 人口5万〜20万人の自治体で在宅死率が最も高いのは、兵庫県豊岡市(25.6%)、東京都中央区(21.5%)の順。20万人以上の都市では神奈川県横須賀市(22.9%)、東京都葛飾区(21.7%)と続いた。5万人以上で高かった10自治体では、1市を除いて「在宅療養支援診療所」が15カ所以上あり、訪問診療や訪問看護の体制が充実していた。政令市では神戸市の18.1%が最高だった。
 人口5万人以上で低かった自治体は、愛知県蒲郡市(5.5%)、佐賀県武雄市(5.7%)、群馬県沼田市(6.4%)の順だった。
 医療問題に詳しい宮武剛・日本リハビリテーション振興会理事長は「都市部では病院で終末期の患者を引き受ける余力がなく、在宅医療の充実が在宅死の割合に大きく関わる。それに加え、東京23区に限れば孤独死が数を押し上げ、在宅死の約35%を占める」と指摘。病院の再編で25年までには地域で療養する高齢者が今より約30万人増えるとして「介護と接点のある市町村単位で、在宅でどこまでみとれるか検討する必要がある」と話す。
 データは、厚労省のウェブサイト内の「在宅医療の推進について」のページに掲載されている。
 
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在宅医療を「見える化」、臨床評価指標の策定へ 厚労省が検討開始、在宅医療の普及啓発が狙い
M3.com レポート 2016年7月6日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)
 
 厚生労働省の「全国在宅医療会議」の第1回会議が7月6日に開かれ、在宅医療の特性を踏まえた臨床評価指標と、在宅医療に関する国民への普及啓発のあり方などについて検討を開始した。座長には、大島伸一・国立長寿医療研究センター名誉総長、座長代理には、新田国夫・日本在宅ケアアライアンス議長がそれぞれ就任した(資料は、厚労省のホームページ)。
 この9月にワーキンググループを設置、これら二つを含め、在宅医療推進のための検討課題を「重点分野」として絞り込み、具体的な対策を議論する。在宅医療は、医療計画の「5疾病・5事業および在宅医療」として位置付けられているが、時間的には間に合わないため、2018年度からの医療計画策定の基本指針に盛り込まない。
 在宅医療は、地域医療構想と地域包括ケアシステムの推進のカギとなる。診療報酬などでも在宅医療を推進してきたが、厚労省は、本会議発足の背景として、「国民に対して、在宅医療が生活の質の向上に資する具体的な効果を必ずしも示すことはできなかった」などを挙げた。臨床評価指標などを策定し、在宅医療を「見える化」し、利用する国民にとって、どんなメリットがあるかについて普及啓発していくことが、本会議の主たる狙い。
 厚労省の医政担当審議官、椎葉茂樹氏は、会議の冒頭、「在宅医療に絞って議論するのは、厚労省としては初めて」と述べ、「人生の最期を迎える場所として、在宅を希望しても、必ずしも実現しない中、社会全体で在宅医療を推進していくことが目的。在宅医療の提供者、学識経験者、行政が、三位一体となり、在宅医療の推進と国民への普及啓発に取り組んでいく」とあいさつ。
 
在宅医療は関係者が多いことから、本会議の構成員は34人と多数。
 医療側への普及啓発も必要
 ワーキンググループで取り上げる「重点分野」の例として、厚労省は、(1)在宅医療の特性を踏まえた評価手法の検討、(2)在宅医療に関する普及啓発の在り方の検討――の二つを提示。
 在宅医療は、小規模の医療機関で実施されることが多く、在宅医療に関するデータやエビデンスは少ない。既存のデータ等を集積するほか、新たにデータを収集・分析、在宅医療の普及啓発に当たっての課題を整理し、効果的な表法発信の方策を検討していく。
 6日の会議は、フリーディスカッションが中心。在宅医療は、関係する施設・事業所、職種が多岐にわたることから、多様な視点からさまざまな意見が出た。
 「重点分野」として、厚労省は在宅医療の普及啓発を念頭に置いたテーマを掲げたが、それだけにとどまらず、在宅医療の提供側に関するテーマも取り上げるべきとの意見も多かった。
 日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、在宅医療を独立して考えるのではなく、かかりつけ医が外来の延長としての捉えるのがふさわしいとし、「かかりつけ医の在宅医療を支援する仕組みを、地域で作って行くことが必要」と求めた。日本プライマリ・ケア連合学会副理事長の草場鉄周氏も、「在宅医療は、外来、在宅というプライマリ・ケアの文脈で捉えるべき。それを地域でいかに支えていくか、という観点からデータを収集することが必要」と指摘した。さらに草場氏は、個々の在宅関連の施策を整理し、在宅医療の全体像が見えるようにすることも重要だとした。
 普及啓発の関連では、国民に限らず、医療者の在宅医療についての理解を深める必要性も指摘された。日本医療社会福祉協会の早坂由美子氏は、病院の勤務医らが、在宅のイメージを持ち、患者に選択肢として提供できるか、と問題提起。
 そのほか、「重点分野」として挙がったキーワードは、小児や精神障害者の在宅医療、在宅医療の専門医、訪問看護、ショートステイ、ターミナルケア、看取り(特にへき地、過疎地域)、緩和ケア、健康サポート薬局、在宅療養支援歯科診療所、在宅医療を提供する施設等のデータベースなど多数。
 
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在宅医療の臨床指標を構築し、国民に「在宅医療のメリット」などを周知―厚労省・全国在宅医療会議
MedWatch 2016年7月6日
http://www.medwatch.jp/?p=9553
 
 地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築において、「鍵を握る」と言われる在宅医療だが、必ずしも国民に正しい情報が伝わらず、十分に推進できていない。そこで在宅医療の全体像が「見える」ようにし、在宅医療のメリットなどを国民に分かりやすく情報提供していく―。
 こういった目的で設置された「全国在宅医療会議」の初会合が6日に開催されました。
 
 比較的長期なスパンで「在宅医療の臨床指標を構築。それに基づいて在宅医療のメリットを可視化し、国民に適切に情報提供していく」ことなどが目指されます。
 
ここがポイント!
 1 エビデンスに基づく「在宅医療のメリット」などが明確に情報提供されていない
 2 9月にWG設置し、「在宅医療の臨床指標設定」などの重点分野を整理
 3 第2回会合は年明け(2017年)3月、重点分野の確認など行う
 4 在宅医療研究を進めるため、厚労省ホームページで関連データを公開
 
エビデンスに基づく「在宅医療のメリット」などが明確に情報提供されていない
 いわゆる団塊の世代(1947-51年の第1次ベビーブームに生まれた方)がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、医療(とくに慢性期医療)・介護ニーズが飛躍的に高まります。そのため、政府は病院・病床の機能分化・連携を推進するための地域医療構想や、地域包括ケアシステムの構築を進めています。地域包括ケアシステムでは言わずもがなですが、地域医療構想でも「療養病棟に入院する医療区分1の患者の70%が在宅に移行する」こととされるなど(関連記事はこちらとこちら)、今後「在宅医療」をいかに充実させていくかが重要なポイントとなります。
 しかし、現実を見ると▽エビデンスに基づいた「在宅医療のメリット(QOLの向上など)」が明確に示されていない(つまり国民がメリットを感じていない)▽医療者側には「在宅医療の推進は医療費削減にある」という誤解がある▽在宅医療は小規模な組織体制で提供されており、さまざまな考え方や手法が存在する(標準化されていない)▽国民の多くは自宅で最期を迎えたいとの希望を持つが、家族の負担を考慮し、実際の入院から在宅への移行は多くない―といった課題があります(関連記事はこちら/a>とこちらとこちら)。
 厚生労働省は、こうした課題を解消することが必要と考え、▽在宅医療を実効性のあるものとして推進する▽国民の視点に立った在宅医療の普及啓発を図る▽在宅医療に関するエビデンスを蓄積する―ことを目的とした「全国在宅医療会議」を設置したのです。厚労省の椎葉茂樹審議官(医政担当)は、「医療提供者、学識者、行政が三位一体となって在宅医療の体制整備・普及啓発に向けた議論をしてほしい」と期待を寄せています。
 
9月にWG設置し、「在宅医療の臨床指標設定」などの重点分野を整理
 6日の初会合では、会議の下部組織となるワーキンググループを9月以降に設置し、そこで「在宅医療を推進するための重点分野」を策定することが決められました。
 上記のように在宅医療にはさまざまな課題があり、これらをすべて一度に解決することは困難です。そこで優先順位をつけ、「重点分野」に絞った具体的・効果的な対策を立てていくことにしたものです。
 では「重点分野」とは、具体的にどのようなテーマなのでしょう。厚労省医政局地域医療計画課在宅医療推進室の伯野春彦室長は、(1)在宅医療の特性を踏まえた適切な臨床指標の設定(2)効果的な情報発信方法―の2項目を例示しています。
 構成員からは、例示以外にも「ターミナルケアの定義明確化」(武久洋三構成員:日本慢性期医療協会会長)、「訪問看護師の人材確保」(齋藤訓子構成員:日本看護協会常任理事)、「人工栄養(胃瘻など)の妥当性」(太田秀樹構成員:全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)、「小児や若年成人に対する在宅医療」(宮田章子構成員:日本小児科学会副会長)なども重点分野とすべきとの意見が出されました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。伯野室長は、ワーキンググループで議論しながら、また会議の大島伸一座長(在宅医療推進会議座長、国立長寿医療研究センター名誉総長)とも相談し、重点分野を固める考えです。
 ところで、例えば(1)の臨床指標を設定すると仮定した場合、「在宅医療にふさわしい指標はどのようなものか」を設定→「指標に基づき、在宅医療の効果はどこにあるのか」を研究→「在宅医療の効果・メリットを国民に適切に周知する方法」の検討、などを行う必要があると伯野室長は見通します。これには一定の時間が必要になると見られ、新田國夫座長代理(日本在宅ケアアライアンス議長)は「2年程度かけてつくり上げることになるのではないか」との見解を示しています。
 なお、2018年度から第7次医療計画がスタートし、「5疾病5事業+在宅」の内容も見直されることになります(関連記事はこちらとこちら)。医療計画策定指針を厚生労働大臣が示すのは2017年度中であり、会議の議論は、2018年度からの医療計画に直接には反映されない(時間的に間に合わない)模様です。
 
第2回会合は年明け(2017年)3月、重点分野の確認など行う
 また6日の会合では、構成員から在宅医療全般に関してさまざまな意見が出されました。
 鈴木邦彦構成員(日本医師会常任理事)は、「在宅医療は『かかりつけ医』の延長であるべき」とし、日医として在宅医療に携わる医師向けの研修や、在宅医療そのものの支援を行っていくことを強調しました。
 また城谷典保構成員(日本在宅医療学会理事長)は、「在宅医療は独立したものではなく、プライマリ・ケアの一つである」とした上で、「診療報酬、医療提供体制、かかりつけ医、総合診療専門医などの議論がそれぞれで動いているが、全体像が見えるように整理する必要がある」と指摘。在宅介護のコーディネータ役を担っている鷲見よしみ構成員(日本介護支援専門医協会会長)も同旨の考えを述べています。これは冒頭に示した会議の設置目的とも合致する内容です。
 一方、在宅医療を継続するためには、急変時の後方病床の整備や家族のレスパイト(息抜き)も欠かせない視点です。この点について折茂賢一郎構成員(全国老人保健施設協会副会長)は「緊急ショート」の整備・充実を進めるべきと訴えています。
 第2回目の全国在宅医療会議は年明け(2017年)3月頃に開かれ、前述のワーキンググループで整理された「重点分野」の確認などを行います。そこでも在宅医療の推進に関する基本的な議論が行われると見られますが、委員から出された意見の中には「中央社会保険医療協議会で議論すべきもの」「社会保障審議会・介護給付費分科会で議論すべきもの」などもあり、すべての項目が本会議で議題となるわけではありません。
 
在宅医療研究を進めるため、厚労省ホームページで関連データを公開
 ところで、厚労省は在宅医療の推進に向けた研究を行いやすい環境を整備する一環として、ホームページ上で在宅医療関連データの公開を始めました(6日スタート)(厚労省のサイトはこちら)。
厚労省は7月6日から、ホームページにおいて在宅医療関連データの公開を開始。在宅医療研究の推進が期待される
 そこでは、市区町村別に▽在宅療養支援病院数(単独機能強化型、連携機能強化型、従来型)▽在宅療養支援診療所数(同)▽訪問診療を行う診療所数と実施件数▽看取りを行う診療所数と実施件数▽訪問看護ステーション数と職員数▽介護保険3施設の数▽小規模多機能型居宅介護事業所数▽自宅死の割合▽老人ホーム死の割合―などが整理されています。
 この点について川越雅弘構成員(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部長)は「在宅医療・介護連携が市町村の事業となった。これまで医療提供体制の整備にタッチしてこなかった市町村が、どのように活用すべきなのか、どのように対策に結びつけていけば良いのかなども示す必要がある」と指摘。伯野室長も、「会議の意見を踏まえて、データを充実していく」考えを示しています。
 なお、厚労省公開データの一部を見ると、「在支診の整備が進んでいる地域のほうが、自宅死の割合が低い」という不可解な状況が見てとれます。自宅死の割合には、「在支診の整備状況」以外にもさまざまな要素が関係していると考えられ、これを機に、こうした点を明確にしていく総合的な研究が行われることが期待されます。
 
厚労省の公開データを見ると、「在支診の整備が進んでいる地域のほうが、自宅死の割合が低い」という不可解な状況になっている。このため、より総合的な研究が求められている。
 

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この記事へのコメント

在宅医療会議:記念すべき第一回ですね。長尾先生が携わる団体や会議には、初回が付き物ですから
必要とされる新しい事に取り組んでいらっしゃる、その会合:顔合わせであり、何事も第一回の内容
は重き・意味ある内容と拝察します。
在宅看取りに関して、離島を除く第一位の看取り件数である横須賀市にも、誇らしい出来事であり
朗報だと思います。横須賀市の有名人と言えば、小泉さんを筆頭に、百恵ちゃん etc.アーティスト
も沢山輩出していますけど、現市長さんも若き獅子の如く敏腕です。知人が同窓生なので、受け売り
ですが、差し障りなくWikipedia を引用します。
・・・・・・
「媚びない政治、裏切らない政治、つたえていく政治」が政治信条。旧態依然の依存型政治の枠組みを
打ち破り、自らの力で立ち、自分の力で律動する「自立・自律」の出来る世の中にしていくという
政治理念のもとに活動している。横須賀市長として初登庁した2009年(平成21年)7月10日、
横須賀市職員らに対し「職員の尻ぬぐいができる市長に、太陽のように温かい心を持った市長に、
厳しい批判にも山のようにどっしりと構えて誠実に対応していけるような市長になりたい」と挨拶した。
・・・・・・
かつての市長選挙も草の根活動であり、有志市民である後援会のバックアップも強固であり、現在も
継続されている、市民と一体の市政だそうです。勧められて、ITが媒体する発信情報を読んでいます。

Posted by もも at 2016年07月07日 09:41 | 返信

buglobeブログに載っている毎日新聞2015年11月10日付け「在宅死、最大4.65倍の差、人口5万人以上の自治体」の記事がある。
内閣府の12年度の調査では、55%の人が「最後を自宅で迎えたい」と望んでおり、厚労省は「自宅でのみとり」の推進を図っている。医療問題に詳しい宮武剛.日本リハビリテーション振興会理事長は「都市部では病院の患者を引き受ける余力が無く、在宅医療の充実が在宅死の割合に関わる。これに加え、東京23区に限れば孤独死が数を押し上げ、在宅死のやく35%を占めている」と指摘。病院の再編で25年までには地域で療養する高齢者が今より約30万人増えるとして「介護と接点のある市町村単位で、在宅でどこまでみれるか検討する必要がある」と話す。と言う記事でした。
ところが、同じ毎日新聞で「強化型診療所」(九州、4割減「在宅看取り」国が要件厳格化、医師に負担、地域医療後退も)との記事もあります。
複数の診療所が連携し充実した在宅医療の提供を目指す「機能強化型在宅療養支援診療所」から脱落する診療所が相次ぎ、昨年以降、九州全体で4割も減少したことが、長崎県保険医協会の調べで分かった。2014年4月の診療報酬改定で「強化型」として認められるには、医師による在宅の看取り件数を増やすことが求められ、多くの診療所が要件を満たせなくなったのが理由だ。(樋口岳大)
国がざいたく医療への移行を促す背景には、増大する高齢者の入院医療費を抑制する狙いがあるが、診療所からは必ずしも患者や家族が望んでいない在宅も看取りの件数に国が”ノルマ”を課すことに批判が出ている。連携によりいったんは充実した地域医療の後退にもつながりかねず、来春の診療報酬改定を見据え見直しを求める声が強まっている。
在宅療養支援診療所は、24時間態勢で往診や訪問看護婦等ができる診療所。複数の同診療所が連携し、在宅医療担当の常勤医を3人以上配置するなどの態勢を整備すれば12年から「強化型」として認められ、在宅医療の診療報酬が高く算定されるようになった。患者側のとっても、万が一かかりつけの診療所が対応できない時でも、情報共有している同じ「グループ」の診療所で対応できるようのなるなど、より万全な医療が可能になった。
ところが、国は14年の診療報酬改定で「強化型」になるための在宅看取りの要件を強化。診療所同士が連携した場合「1グループで年2件以上」だったのが「各医療機関2件以上」などとなった。厚生労働省の12年調査では1グループは平均3.6機関で構成している。
ただし、長期にわたり在宅医療を続けた患者でも、容体が急変し、家族が救急車を呼んで搬送先の医療機関で死亡した場合は在宅看取りろは認められない。また、当初は在宅看取りを希望していても、死期が近づくと、病状の厳しさや家族による介護の難しさから入院を希望するケースが多く、要件を満たせない診療所が相次いだ。
長崎保険医協会によると。連携による「強化型」診療所は九州.沖縄8県で、診療報酬改定後に一定の経過措置があった14年7月時点で449ヶ所あったが、今年10月には267ヶ所に減少。大分では22ヶ所から10ヶ所に減り、福岡、佐賀、長崎、鹿児島沖縄各県でも4割以上減った。
長崎市内で33年間、在宅医療に取り組む佐藤辰夫医師(70)の診療所は要件の厳格後「強化型」から外れた。佐藤医師は「死期が近づいた患者の排泄や入浴、口腔のケアなどの介護を、家族が24時間態勢でするのは大変。私の患者の中で在宅での看取りを望む一はほとんどいない」と指摘する。
長崎保険医協会の本田孝也会長は「複数の連携で機能が強化去れた診療所が減れば、患者が手厚い在宅医療サービスを受けられる機会が減る」と強調。九州各県の保険医協会なども在宅看取りの要件撤廃を求めている。厚労省医療課の担当者は「要件については問題意識を持っている。中央社会保険医療協議会で議論される予定だ」と話している。
=~=~=~=~=~以上毎日新聞2015年11月10日より=~~=~=~=~
でも、この話、「集中減算」の話と真っ向から対立してるような感じがします。厚生労働省って、色々な考えが「八岐大蛇」みたいに上から降ってくるみたいです。
患者さんの病気も看取りも色々なのに、ワンパターンにハメようとするからおかしくなってるのでは?

Posted by 匿名 at 2016年07月08日 11:02 | 返信

たった一度の人生…
あなたの最終章を どうしますか

やり直しは できません

お国が…
どんなにデータ化させても
決めるのは自分です

おうちがいいならおうちがいいし
病院がいいなら病院
施設だいいなら施設

支える側が
最期の願いを叶えて欲しいです

まだまだ
自分の願い通り 最期を迎えられる方は
選ばれし者のようです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年07月09日 11:30 | 返信

今日は参院選の投票日。
蛇足ですが、横須賀市長に纏わるエピソードを思い出しました。
ITを駆使して果敢に情報発信なさる吉田市長さんですが、以前に何かのイベントで
自ら棺桶に入った寝姿の写真を記事と共に公表していらっしゃいました。
LWとか終活の勧めに関して、市民に向けて啓発していたと記憶しています。
いきなりのその写真は流石にギョッとさせますが、私は直ぐに数年前に台湾で
入棺体験した長尾先生を思い出しました。もしかして長尾ブログもお読みでしょうか。
横須賀市は身寄りの無い方が、、お亡くなりになったあとの埋葬に関しても
LWのような生前の意思表示によって、故人の遺志を尊重し対処して下さる政策を
実行しています。

Posted by もも at 2016年07月10日 12:34 | 返信

愛知県の鍵の救急車の気づかれていないを梱包容器。ごっこいいな。

Posted by 愛知県の鍵の救急車 at 2016年10月12日 09:54 | 返信

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