笹川良一さんとはこんな人。→こちら
とてもひとことでは言えない。

日本財団を造った造ったモーターボート協会の人。
５０歳以上の人なら誰でも知っているはず。

虎ノ門にある笹川平和財団ビルは、きれいな建物。
こんな場所で講演をする日が人生であるなんて・・・

３８年前の夏休み、苦学生の私は夏休みも家庭教師のアルバイトに明け暮れていた。
自民党の某・大物議員さんの子供さんの家庭教師のため都内一等地の邸宅に連日訪問。

今日のようなセミが鳴く暑い朝１０時くらいにその家を訪問すると、その大物議員さんと
笹川良一さんが向かい合わせになり真剣に碁（将棋？）を、酒を飲みながら打っていた。

その部屋を通らないと２階の家庭教師部屋に行けないので当然、挨拶をすることになる。

横を通ろうとすると、「先生も飲まんか？」と、
笹川さんからいつも誘われたが、まさか飲めるはずがない。

驚いたのは、朝１０時なのにもうウイスキーのボトルが１本空いていたこと。
朝一からロックでウイスキーを飲みながら親友と真剣に碁を打つ笹川良一さん。

当時はたしか「人類みな兄弟！」というCMで良一さんの顔を観ない日は無かった。
そんな有名人と朝一から挨拶する毎日は、当時２０そこそこの学生だったが緊張した。

夏休みは集中講義のような形で連日その家に伺ったが、何度が同じようなことがあった。
それにしても、碁を打っているだけだが、あの迫力、あの飲みっぷりは今も忘れない。

その家の家庭教師の謝礼は、相場の金額とヒトケタ違っていた。
大物議員さんからは、別室に呼ばれて「成功報酬」のような餌もぶら下げてもらった。

考えてみたら、自分で稼いで医学部を卒業できたのは、この家庭教師のおかげである。
今となっては、その子供さんとご両親に感謝しきれないくらい、よくして頂いた。

そこで何度かお出会いした笹川良一さんの遺産のような立派なビルでの講演を依頼された。
なんというご縁。

４０年近くたってご縁が巡ることもあるんだ。
そんな気持ちを話しながら、「平穏死」の話を財団関係者や厚労省関係者にさせて頂いた。

終了後は、東京ミッドタウンのニルヴァーナ（涅槃）というインド料理店で知人たちと会食した。
東京の夜風は関西と違って涼しくて心地よかった。

ここの屋外席は最高だった。
豪華な電子花火大会と神宮球場の花火大会を同時に観るという幸運にも恵まれた。

同時に２つの花火大会を観ることは普通はあり得ない。
天国の良一さんからのプレゼントなのかとも思った。

「人類みな兄弟！」
「一日一善」

いい言葉だ。
リオオリンピック後なのでなおさら感慨深い。

ネットで調べると朝からウイスキーのボトルを１～２本空けるような生活をしていた良一さんは
なんと９６歳まで長生きされていた。　　

何をしても生きる人は生きる。
生かされるのか。

私が開業した１９９５年に亡くなられている。
医者になってから一度でもお会いしたかったなあ。

そして良一さんが５９歳の時に、８２歳の母親を背負って金毘羅さんを上がったという。
私の母も金毘羅さんの隣の丸亀出身なので、なんとなく親しみを感じる。

私の母は母子家庭を支えるために、モーターボート協会や公営ギャンブルの
窓口で一生懸命に働きながら大きくしてくれたが、オーナーは良一さんだった。

毀誉褒貶の激しい良一さんであったが、素顔を知る人はもうそんなに多くは無いはず。
財団の人でさえ「一日一善」や「戸締り用心、日の用心」を生で観たかったと言っていた。