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介護認定審査の愚

2016年09月15日(木)

介護認定期間が平成30年から最大3年に延長されることが決まった。
しかしそんな小手先の改定ではとても2025年問題は乗りきれない。
介護認定審査には無駄が多すぎる。
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医療費が41兆円を超えたという。
年間3500万円もするオプジーボなど使い放題なので当然の帰結だろう。

介護費も10兆円を目指して順調に延びている。
営利企業は大喜びだが、いったい誰が経済的負担をするのだろうか。

抜本的にメスを入れないといけないと現場にいて、強く感じる。
無駄な介護費にジャブジャブ公的資金が投入されている。

甘やかされすぎて、王様状態→モンスター化した人が沢山いる。
一方、制度から見放された可哀そうな人もたくさんいて不均衡が激しい。

さて、以前から「介護認定は松竹梅の3段階で充分」と主張してきた。
実は台湾の要介護認定は、3段階だ。→こちら

日本のお役人さんもそろそろ気が付いてくれないかなあ。
7段階なんて意味が無い。

審査会では、上げて、下げて、また上げる。
まるで昔の昔の手あげゲームないしアップダウンクイズのようだ。

あと、
入院中に認定調査をしたら要介護5で、家に帰ったら自立、という人がいる。
病院では縄で縛られていたので要介護が上がるのは当然のことだが。

「入院中は2階級特進」と勝手に呼んでいるが、考えてみれば
ずいぶんと不公平なことだ。

あと、
「アリセプト5mg(10mg)を飲ませているが、暴れて困るので上げて欲しい」という
「アリセプト2階級特進」もまだまだあり、「実現する会」もさらに頑張ろう!と思う。

あと、
どう見ても「自立」なのに、申請をしてくる人が多くて、審査員はいつも悩む。
近所の悪徳ケアマネがキャッチセールスみたいなことをして申請したのだろうか。

認定調査員の項目に「なんのために申請したのか」、「なぜ区分変更なのか」を
明記する欄を設けないと、悩みまくることになり、時間も無駄になる。

ケアマネッジメントも大幅に簡素化できる。
蛇足ながら集中減算は抗議が認められて廃止されたが、これも無駄な施策だった。

医療・介護行政はなぜここまで筋違いな愚策が相次ぐのか。
それは現場を知らない人たちが机上の空論で制度を作っているからだ。

あと、
介護認定の半分以上は、認知症がらみであり、いっそ認知症保険に改名した
ほうがいいと思うことが多いが、悪い認知症医療→介護需要増大、がとても多い。

医療と介護の連携と誰でも気軽にいうが、なかなか前に進まない。
むしろ逆行しているようなところもある。

愚痴ばかりになりそうなので、少しはいい話も。

お泊りデイに助けられる日々だ。
彼らがいなければどうなっていたか、という患者さんが多い。

小規模多機能も凄くいいが、ケアマネを変わらないといけない分、敷居が高い。
いずれにせよ、お泊りデイと小規模多機能とカンタキ(看護付き)が、今後の有望株。

あと、話が飛ぶが
特定検診も無駄の巣窟だ。

当院にかかっている40歳以上の人の多くがこの検診を受け指されるが
すでにさまざまな病気で検査しているのに、また公費で無駄な検査をする。

本来、検診とは医療機関にかかっていない人を対象にするものだ。
しかしすべては、担当役人さんの「受診率」を上げるためで、住民のためではない。

余命1週間の在宅患者さんの家に何度も市役所から特定検診受診の電話がかかる。
ここまでくると喜劇を通り越して、悲劇である。


無駄を無くせば、、医療費も介護費も半分に減らせる。
ただし、多くの医療・介護従事者は泣き、恨まれ、殺されるかも。

だから役人や御用学者は恨まれずに美談で誤魔化す手法で切り抜けようとする。
豊かな時代ならそれで良かったかもしれないが、今後を考えると、そうもいかない。

小池・都知事は、都政に大きなメスを入れそうな気配だ。
同様に社会保障政策にも抜本的な見直しが必要だと思う。





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この記事へのコメント

ケアマネジメントの本質を理解していると、介護認定にそもそも介護区分は必要ないのです。必要な人に必要な介護サービスをマネジメントするだけですから。

Posted by 社会福祉士河本健二 at 2016年09月15日 06:50 | 返信

「台湾の要介護認定」と仰るからてっきり、長尾先生の書かれた記事かと思いましたら、白澤政和先生の記事で意外でした。
台湾の現金給付制度である家族介護手当があり、低所得世帯で、要介護度が重度で、同居家族が介護しており、就業していない事が条件と言うことが目につきましたが、月額5000元で、1元が3円というと、15000円。これで暮らしていけるのでしょうか?
就業していない事が条件と言うと、自給自足で畑で作った野菜でも食べるしかないですね。ウーン。

Posted by 匿名 at 2016年09月15日 09:54 | 返信

> 甘やかされすぎて、王様状態→モンスター化した人が沢山いる。
> 一方、制度から見放された可哀そうな人もたくさんいて不均衡が激しい。
この部分が、最も介護保険制度の矛盾を表現していると思います。特に上段にある
モンスターによって、疲弊させられる介護職員は数多く居ると思います。
世の中のどこの、どの場面でもクレイマーは存在していて、周囲を混乱させることが
多々あると思いますが、介護現場での、その類の人= 困ったちゃん には、
「介護職ってなんだろう?」と疑問を感じさせられ、働く意欲を失わせている、そういう
現状は介護職の誰もが知っていると思います。
それよりは、重篤な状態であったり、恵まれない境遇の方であったり、を
お引き受けする方が、職業意識としては、プライドを持って介護職を全うできるような
気もします。
また、ひとつ前のブログトピックにもありますが、リスク、リスクに縛られて、
神経を削る日々では、前向きな職業意識を持てという方が無理があります。
誰もが、はつらつとした気持ちで、やり甲斐を感じた仕事をしていきたいと思っていると
思います。介護職のなり手が居ないのではなくて、制度の見直しが必須なのだと思います。

Posted by もも at 2016年09月15日 11:56 | 返信

言いたいこと書きたいこといっぱいあるのですが、やっぱり老人の甘えが問題です。

現代のいろんな衝突は、どれもある意味、カルチャーショックです。
一番の考え方感じ方の違いは、男尊女卑思考が崩れつつあること。
女に日常生活の世話をさせて男がやりたい放題やる、男を立てて女は我慢する、老人の世話も女性家族の役目、そういった常識が変わりつつある。
以前は妻が介護要員だったけれど、今は実子に介護責任があり義理親の介護責任は無い。
にもかかわらず、いまだに嫁に介護させようとするから、そういう親付きの男は結婚できない。

私は、このカルチャーショックは、イスラム国問題と共通していると思います。
イスラム過激派が西洋化を憎む理由は、女性が自由になると困るからです。
宗教自体が男尊女卑、あるいは男と女の役割分担思想、に基づいているのです。
外出時はベールで肌を隠し旅行も夫の許可証が必要など、女は男の財産であるという思想、これは日本だって大差なかったのです。日本は表向きだけ一夫一婦制だっただけです。
イスラム国問題と日本の介護問題の根っこが同じだって話すと、???という反応を示す人がいますけど、女性解放が根っこにあるのです。インドの性犯罪も同じだと思います。宗教というのは、もともとの発想がそうではなかったとしても、国体を維持していくために為政者によって利用されて発展してきたわけですから、為政者にとって都合よく解釈され広まってきたのです。その「都合よい解釈」は、「女は男の所有物であり子供をたくさん産んで育てて家庭を守るのが役目だ、女は男が作る社会の銃後の守りである。」

私は、アメリカがすべて好きなわけではありません。しかし、今は形骸化しているかもしれないが、「万民の自由」を国是に掲げている国であるから、やはり尊敬します。

介護問題は、私の世代(60歳代前半)が後期高齢者になる15年後には、ずいぶんとさま変わりすると思います。自分の親の介護でさんざん辛酸をなめつくして、あんな老人にはなりたくないって、みんな思ってます。自分の子供にはこんな思いをさせたくない。

逆に、親の介護にかかわらずに済んだ人たちはアブナイかもしれませんね。

Posted by 匿名 at 2016年09月16日 02:55 | 返信

わがままなお年寄りというよりも介護保険というシステムそのものの不備が多いです
誰が こんなややこしいことを考えて
こと細かく 作り出したのか?

本当に必要な時に 必要なサービスが入らない
今でしょ!っていう緊急事態に対応できない

末期がんの方は 急激な悪化に 認定結果が出る前に亡くな〜
お一人暮らしの認知症の方は 一人で暮らしてているからと…何度 区分変更をしても介護度が上がらない〜

悲しいです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年09月17日 06:57 | 返信

現状の介護保険審査・等級を云々するには、大鉈(おおなた)を振るう覚悟が必要とされ、
実際に今、過ごされている日々を変革することとなると、生身の人間が対象である以上
慎重さが求められます。なので、緩やかに変化していくことが必要であるとは思います。
役所が定める規格=等級 は、認定時の見解の差や、コネクションが物を言う場面がある
ことも考えられるので、細かい分類は余り意味を成していないようにも見えます。
介護保険費用充当の無駄を省いていく点に、問題点を絞って考えた時には、デイサービス
利用者の対象(該当)を吟味していくことで、大幅な削減が見込まれるのではないでしょうか。
雨後の筍のように乱立され、大小様々な事業所が競って利用者を獲得している様子は、正に
介護ビジネスです。新な展開を考えた時に、事業所単位での独自性に任せるだけでなく、
行政的メスを入れるのは、介護内容によって利用者を分けていく整理も一案かと思います。
その介護内容の充実を図ることにより、施設側が、ある種の専門性に特化していくことも
可能になると思います。それにより社会的な単位での経費重複(無駄)を減らすことにも繋がる
のではないでしょうか。
大きく分けて、医療的措置対象者・認知症者・運動機能訓練者・軽度(予備群)の憩い 等に
施設を分類していくことで、少なくとも、介護保険利用者が好みの施設を求めて梯子するとか
「お客様は神様です」的な待遇を求めることを、減らしていくことが可能になると思います。
予備軍的対象者への対応は、学生やボランティアで補う、ということもできそうだと思います。

Posted by もも at 2016年09月17日 07:52 | 返信

9月16日2:55の匿名様、中東のアジアが、欧米に反発するのは、欧米が中東アジアをバカにするからだと思っていましたけれど、アジアにも「男尊女卑」やインドのカースト制などの遅れた文化がありますね。そんな遅れたところから欧米に反発している面もあるのかもしれませんね。

Posted by 匿名 at 2016年09月18日 05:38 | 返信

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