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国民皆保険制度の末期症状

2016年10月13日(木)

末期がんの在宅患者さんにモルヒネなどのオピオイドを使用することは
当然のことだと考えるが、保険診療ではそれも認められなくなってきた。
保険診療、つまり国民皆保険制度も、そろそろ末期症状が現れてきた。
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病名欄に
○○がん(末期)
と骨転移
とちゃんと書いて、医療用麻薬を適切に使用した。
もちろん平穏死を見届けた。

しかしその数ケ月後に、
すべての麻薬の「査定」通知が届いた・・・


・オキノーム
・オキシコンチン
・フェントステープなどの緩和薬が
すべて「過剰」であると認められないのが現実である。

これは在宅緩和ケアに対する死刑宣告でもある。

もはや国民皆保険制度も末期状態に入ったのだと呆れるばかりだ。
麻薬無しで、痛みは我慢しなさい、と厚労省は厳しい制裁を課した。

あるいは、コムラ返りに適応がある芍薬甘草湯の何十円も査定される。
私は査定する事務員さんの時給のほうがずっと高いと思うのだが。


一方で、年間3500万円のオプジーボや800万円のC型肝炎治療薬は
フリーパスであるので、不公平感を通り越して「???」という感じだ。

ちなみに柔道整復師の9割が不正請求しているという。→こちら
「柔道整復師はなぜ逮捕されないのか」→こちら

あるいは大阪府池田市の市会議員は、接骨院の不正請求に関与した。→こちら
要は政治献金で免罪される職能団体が現在でも存在するということだ。

国民皆保険制度のガバナンスが効いていないのは明らかだ。
末期症状があちこちに見られる。

もはやどこかの国を笑っている場合ではない。
その国以上の不正が中央政府や警察・検察では日常化していることをお知らせしたい。

だから市民としては、できるだけ医者にかからないための養生法を学び実践すべきだ。


以下はm3からの引用であるが、柔道整復師の世界は私たちの世界とは
かけ離れたところにあることがよく分かる。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

「不正請求が多発、横行している。これは最近のことではなく、昔から山ほどある。
柔道整復療養費の在り方を根本的に見直す必要がある。
さもなければ、国民の保険診療に対する信頼を相当損なう」

10月12日の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の席上、
語気を務めて問題視したのは、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏。

白川氏は、「今までの厚生労働省の療養費についての基本的な考え方が、違っていたのではないか」と指摘。
保険医療機関や保険薬局については、診療報酬や調剤報酬の施設基準や算定基準が厳格に設定され、
レセプト審査も行われている。

これに対し、柔道整復療養費については、「施設基準はなく、請求書の様式もバラバラ。
各都道府県の柔整審査会は、請求書の4分の1か、5分の1くらいしか審査していない。
目で見て審査していることもあり、不正請求が多発している」(白川氏)・・・・

 
柔道整復療養費、医療費の約1%

「議論の整理」は、不正請求が問題視されていることを受けた、2016年3月以降の
「柔道整復療養費専門委員会」の議論をまとめたものだ。

白川氏は、「議論の整理」内容以前の問題として、「根本的なところを見直してもらいたい」と述べ、
冒頭の発言を続けた。他の委員からも、柔道整復療養費に加え、あん摩マッサージ指圧、
はり・きゅう療養費について、問題視する声が相次いだ。

2013年度の場合、柔道整復療養費は、国民医療費約40兆円の約1%に当たる約4000億円。
日本医師会副会長の松原謙二氏は、この点を踏まえ、「約4000億円が適切に使われているかどうかは、
国の責任でもある。一生懸命に仕事をしている柔道整復師も同じような目で見られる。

どこが問題かを抜本的に検証し、不正を正すべき」と白川氏の意見を支持。

全国健康保険協会理事長の小林剛氏も、「悪質な不正請求事案があり、保険者としてもその対応は
喫緊の課題」と指摘。「保険者が不正請求を把握した場合、地方厚生局に対して、情報提供し、
指導・監査を依頼するしかないが、迅速かつ十分な指導・監査が行われている状況ではない」と問題視・・・

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
 


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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

何かおかしいですね。でもどうしてよいのかわかりません。
世界中の社会保障、医療保険で、問題がありながら、どうしてよいのか分からないみたいです。
イギリスでは、歯科治療は保険ではなくて、実費だそうです。接骨治療も現金治療で治療してほしい。
鍼灸治療も、平成5年くらいまでは全部、現金治療だったのです。だから勉強した鍼灸師だけが食べていけたのです。今は一部の親族に医療関係者(医師)がいて同意書を書いて貰える鍼灸師だけが保険で治療しているようです。平成5年以前に戻りたいです。
医療保険は、事故による傷病とか、癌とか命に係わる病気や、発熱とか小児の急患だけに保険が使えるようにすべきですね。
先日、西宮北口で買い物をしていたら、ティッシュペーパーを配っていたのでつい受け取ったら、強制的に「保険組合」と言う民間医療保険の窓口に連れて行かれて、もう少しで、その医療保険に加入させられるところでした。最近日銀が「マイナス金利政策」を導入しているため、銀行も生命保険会社や医療保険会社も、血眼になってお金をかき集めています。銀行へ行くと、投資信託を強要されます。その時は逃げたのですけど、「また来い!」と言われています。銀行もヤクザになってしまいました。税理士さんの話では、お年寄りが、銀行の「元本保証に無い投資信託」で、ずいぶん泣かされている方達が多いそうです。
凶悪事件や遺体バラバラ事件ばかり続きます。子供のいじめや自殺も多いです。何とかしたいものです。

Posted by 匿名 at 2016年10月14日 05:42 | 返信

なるたけ、
医者に、かからない、
(^o^)^_^
養生
いい、
ですね、、、
(^o^)^_^
笑って、
さよなら、
これが、
信条
おぎようこ
おこらんど
墨あそび詩あそび土あそび

Posted by おこ at 2016年10月14日 07:23 | 返信

肺炎の諸問題も鎮痛用麻薬の問題も、現場で本気で在宅医療に取り組んでいる医師ならば同様な経験をなさっていることと推察します。
現場を知らないお役人って、何のために税金で食わせてもらっているんだろう?
医療に必要な鎮痛のための麻薬使用を監視するヒマがあれば、裏社会の薬物使用取り締まりを強化すべきです。
それとも・・・おバカなお役人は、癌の痛み緩和のために使用する麻薬と、向精神薬を混同しているのかな?   
向精神薬にほんのちょっとだけ規制をかけたので、鎮痛用麻薬も厳しくしないと、なんてアホなこと考えてるのかな?
ため息出ます。

Posted by 匿名 at 2016年10月14日 02:07 | 返信

国は在宅医療を推進しているのかと思いきや、痛みの中で末期患者は死んでいけということでしょうか。保険で痛みの処置がして貰えないなら、かつてのアメリカの様に(今もかどうかは知りませんが)医療用麻薬、もしくはそれに代わる物を患者や家族が、
裏市場で買い求める社会が出現するかも・・・(想像で終わりますように)
製薬会社の儲けの薄い所から削られる????(まさかね?)

Posted by 樫の木 at 2016年10月14日 06:24 | 返信

ちょっと 柔道整復師さまのことについては 勉強不足でわかりませんが…
末期がんの疼痛コントロールに関しては たいへんおかしな話です

大きな声で物申していいのかわかりませんが…
病院へ入院すると
みなさん デロンデロンにさせられちゃいます
病院看護師時代は それが 当たり前だと思っていました

おうちの看護師になってみて
うまく 疼痛コントロールができると
お亡くなりなる当日の朝まで 食べていたり
ほんの さっきまで お話ししていたり
本当に奇跡のような素敵な最期を迎える場面に 何度も立ち会います

病院の中にいるお医者さまがた 看護師さまがた…
そんな箱の中に 入ってないで 世の中を見渡してください

お国の医療を考えてくださっているお役さまがたもしかり…


最近…
おかしな制度ばかりで いやになっています

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年10月14日 07:23 | 返信

ハァ~(ため息""):::(~_~;)~

Posted by もも at 2016年10月14日 09:50 | 返信

疼痛コントロールのための麻薬を査定されるとはおかしな話ですね。
ちなみにまっとうな疼痛コントロールを行っているのは在宅医だけではありません。
大きな声で病院の終末期医療を、根拠もなく否定するのはいかがなものかと思います。
終末期医療に情熱を傾け、真摯に、そして親身に仕事をしている医療者は大勢いるのですから。

勤務医から訪問看護師 宮ちゃんへの返信 at 2016年10月16日 06:55 | 返信

勤務医さんへ

私は医療関係者ではない一般人であり宮ちゃんとは面識ありませんすが、コメントします。

宮ちゃんは、病院勤務医の方々が、みなさん「治療する」ことだけに一生懸命で平穏死に至る穏やかな日常を無視している、と断じているわけではないと推察します。

長尾先生もブログで取り上げておられますように、慢性期病院という分類に入る病院は、死に至る過程を本人にとって少しでも楽なようにサポートしてくださるようです。

しかしながら、やはり、病院は医師を頂点とする組織であり、医療収入で存続している組織です。きわめて少数の医師を除いて、人の心を失った医師が多いと感じています。自分の家族には施さない医療処置を他人の患者には行う、そういったアンケート結果は多々あります。(アンケートに正直に答えるだけマシかもしれません。)

明治女の祖母の代から、ぶらぶらとクダをぶら下げて死ぬのや嫌だ、というのが私の家族の意思です。入院させられるとクダだらけになるから絶対に入院は嫌だ、と。

どのように進歩的な病院でも、やはり、しなくてもよい検査をしたがり、飲まなくてもよい薬を飲ませようします。
そのような「病院の本能」と闘うことは、本人および家族にとってものすごく大変なことです。入院していれば、「そのような検査はしません、このお薬は飲みません」とは、言えません。100%のアウェイに身を置いているのですもの。
自宅や老人ホームなら言えます・・・これも対等の立場で会話できる医師を見つけ出せた場合のことですが。

勤務医さんが、患者と対等の立場で会話なさる医師であることを祈っています。
また、勤務病院(≒組織)の方針と、患者の希望が対立した場合、患者の希望を叶えるべく身を賭して患者のために奔走してくださる医師であることを祈っています。

Posted by 匿名 at 2016年10月16日 04:31 | 返信

たまたまこのうブログに行き着きました。

父を食道がんから肝臓転移、骨転移の後見送り、母を悪性リンパ腫を含めて高齢発症の多くの病を経て見送りました。今は、米国在住の姉が肺がんの治療をしているので米国に滞在しています。

こちらでは、疼痛管理はとても重要視されていて、医師も痛みは患者の大きなストレスになるので良くないとはっきり言っています。
オキシコドンやハイドロコドン、アセトアミノフェンとの合剤、モルヒネなどもきちんと処方されます。
手術後の神経の痛みにはガバペンチンが処方され、ひどい痛みにはリドカインのパッチが処方されます。

日本の保健制度と異なり、こちらはすべて民間の保険会社の保険を利用するのですが、医師の処方箋に対して保険会社がレビューをしてオーソリゼーションを出します。
その後に患者が薬局で薬を受け取ります。
保険会社のレビューが通らない場合、理由が患者に説明され、患者は医師と相談して医師から保険会社へ連絡をします。
診療期間の都合から、処方が過剰(短期間に過剰に処方されている)という説明を受ける場合もありますが、その場合は一定期間経過後処方されます。
そして、過剰の理由がとても明確に示されます。

これは在宅の場合の大雑把な流れですが、とても良いシステムだと思います。

疼痛管理が必要ないと厚労省も保険者も考えてはいないと思いますが、日本には我慢が美徳という美意識が根底に少しあるのかなと思います。
ストレスを取り除くことが患者のQOLを上げることだときちんと認識すべきだと思います。

Posted by himy at 2016年10月17日 05:02 | 返信

日本ブログ村クリック 最高記録 7200 も凄かったですが、
このトピック 現在 1308 いいね! クリック 。
これもまた凄くないですか? これまでの 最高記録 と思います。
Face Book Japan から ご褒美マークは届きましたでしょうか。
やはり不正請求や、矛盾する審査に反応されたのでしょうか。
国民皆保険制度の破綻を想像すると、それもまた「世の終末期」
世も末です。危機感一杯です。

Posted by もも at 2016年10月18日 12:24 | 返信

エコノミストの今週号(2016・10.25)に、p82エコノミストリポート;緊急の薬価引き下げ
「オプジーボを狙い撃ち、社会保障費抑制で、高齢者負担増も」と題してメディカルライター田中尚美と言う方が書いています。
「日本発」の画期的な新薬であるオプジーボが、海外と比較して国内での薬価が高いことは医療関係者の間では知られていた。しかし具体的な金額を突き付けた報告書がその「常識」の異常さを白日の下に曝した。
開業医らでつくる全国保険医団体連合会(保団連)は9月6日、独自に米英でのオプジーボ価格について審査した結果を発表した。オプジーボの薬価(100mg)は、日本で72万9000円なのに対し、米国29万8000円、英国15万円である事を明らかにした。しかも日本の1/5の価格の英国で、現在値下げが検討されていると指摘。「さらに引き下がることにより、10倍の価格差に及ぶことも想定される」とまとめた。
医療費を国庫負担で賄う英国では、薬が効果に見合った価格になっているかを評価する機関「英国立医療技術評価機構(NICE)」がある。NICEは、薬を安全性や有効性だけでなく費用対効果の観点から評価し、保険の対象とするかどうかを政府に提言する。国民の税金で賄う医療費の公平性や公正性を保つためだ。
また米国は製薬会社が薬価を自由に設定でき、政府の規制はない。
日本の薬価が、(受給など市場により価格が決まる米国)の2倍以上になっていることに「正常性」を見出すのは困難だ。報告をまとめた保団連の小藪幹夫氏は「日本は厚労省の担当者の裁量が大きいのに、議論がブラックボックスになっている。途方もなく高い薬価を一刻も早く正常化するひつようがある」と批判した。この報告の後、塩崎恭久厚労相は10月6日の参院予算委員会で「米国が約30万円、英国が約14万円、ドイツが約20万円であるようだ」と、オプジーボの価格が海外で、日本の半値以下であることを認めた。
以上エコノミストより抜粋しました。
介護支援専門員協会からも、介護保険値上げに関して、「リバースモーゲージや、成年後見人制度を活用する努力をしてほしい」との通達がありました。
来年一月に、衆議院解散の後、社会保障費の一斉値上げになる可能性が大です。

Posted by 匿名 at 2016年10月22日 07:52 | 返信

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