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公立豊岡病院のスタッフ4名が来院

2016年11月08日(火)

今日は、兵庫県の北部にある公立豊岡病院のスタッフ4名が勉強に来られた。
約2時間、病床再編や在宅医療推進について懇談してた後、患者さん宅を訪問。
豊岡市は人口5~20万人の428市区町で在宅死率25%と全国一になった市だ。
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なぜ、豊岡市が在宅死率で全国一になったのか。

このテーマだけで軽く1時間は話せる。
いろんな捉え方ができる。

ひとことで言うなら、医者があまりいないからか。
兵庫県の北部は医療過疎の傾向にある。

公立豊岡病院は500床を有する急性期病院である。
しかし慢性的な赤字に苦しむ自治体病院でもある。

分院の一部を解体して、無床診療所にする案があるという。
まさに「夕張モデル」そのものだが、夕張は財政破綻したが豊岡はしていない。

医療関係者だけでなく、政治家も全員、病院解体には反対である。
このあたりが、地域包括ケアの難しいところである。

豊岡の在宅医も高齢化しているという。
しかし訪問看護資源は比較的豊富だ。

訪問看護に従事する看護師は、全国平均は2.7%であるが、
豊岡では一部の病院を解体すれば、10%にすることができる、という。

せっかく全国一になったのだから、医者がいなくても訪問看護師が沢山いれば
在宅医療の推進が可能であることを証明できることなど、いろんなお話をした。










尼崎と豊岡は電車でも車でも2時間半もかかる。
同じ県内だけど、東京より遠いような距離感だ。

以下、少し前になるが全国の在宅看取り率に関する報道を並べてみたい。
医者があまりいない小さな離島の在宅看取り率が高いのはなんとなく分かる。

しかし人口5~20万人の428市区町で在宅死率25%と全国一になった
豊岡市がこれから目指そうとする方向に私はとても興味がある。

そんな豊岡市の公立豊岡病院のスタッフたちが、在宅医療や地域包括ケアの
勉強のためにわざわざ長尾クリニックに来て頂いたことをとても光栄に思った。

ところで、一番下に書いてある
「在支診の整備が進んでいる地域のほうが、自宅死の割合が低い」という不可解な状況になっている。
と、いう文章が気になっている。たしかにそう言われればそんな気がするし、大きな命題であると思う。


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「家で臨終」地域で差 横須賀市2割超 鹿児島市8%
在宅医療体制、手厚さを反映 厚労省調査
日本経済新聞 2016/7/7
 
 自宅で亡くなる「在宅死」について、厚生労働省は6日、市区町村別の全国集計結果を初めて公表した。中核市など人口20万人以上の都市では、在宅死する人の割合に最大で約3倍の開きがあった。在宅医療の状況などが影響しているとみられる。多くの人が希望する「自宅での最期」がかなうかは地域ごとに異なる実態が明らかになった。
 厚労省は2014年の人口動態統計などから、在宅死や在宅医療に関する全国1741市区町村ごとのデータ集を作成。6日、同省のホームページで公開した。
 14年に在宅死した人の割合は全国平均で12.8%。市区町村別では、医療機関の少ない過疎地などで割合が高くなる傾向がみられた。全国で最も高かったのは伊豆諸島の東京都神津島村で54.8%、2番目は鹿児島県与論町で50%と、いずれも離島だった。
 中核市など人口20万人以上の都市では、神奈川県横須賀市が22.9%で最も高く、東京都葛飾区の21.7%が続いた。最も低かったのは鹿児島市の8.0%だった。
 厚労省によると、24時間対応で往診している「在宅療養支援診療所」がない自治体が28%あり、こうした在宅医療の体制が手薄な自治体で在宅死の割合が低くなる傾向がある。同省は今後、各地の「在宅みとり」の考え方の違いなども含め、詳しく分析する。
 一方、病院・診療所で亡くなる人の割合は、1951年の11.6%から14年に77.3%に上昇した。自宅で最期を迎えることを望む患者がいる半面、家族が自宅でみとれないとして入院の継続を希望するケースがある。入院の長期化は医療費の増加につながる。
 このため、厚労省は6日、有識者による「全国在宅医療会議」を設置。在宅医療と自宅でのみとりを進める方策を検討する。
 内閣府が12年度に行った意識調査では、最期を迎えたい場所で「自宅」と答えた人が55%を占めた。病院などの医療機関は28%にとどまった。
 
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在宅死割合、北海道内は低め 訪問診療体制が要因か
北海道新聞 7/6
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/health/health/1-0290258.html
 
主な死亡場所の割合の推移
 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合が、道内は都道府県別で5番目に低いことが6日、厚生労働省の集計で分かった。道内179市町村のうち171市町村が全国平均の12・8%を下回った。このうち在宅死ゼロは9町村。面積が広く訪問診療の体制づくりが難しいことなどが要因とみられ「住み慣れた自宅で逝きたい」という望みをかなえるには不十分な現状が浮き彫りになった。
 厚労省が2014年の人口動態統計のデータを基に初めて全国1741市区町村別に在宅死の割合を公表した。
 道内の死亡場所の割合は自宅8・9%、病院82・6%。残りが老人ホームなどで、病院で亡くなる人が圧倒的に多い。
 道内市町村で在宅死の割合が高いのは宗谷管内幌延町18・2%、上川管内当麻町17・9%、夕張市と十勝管内上士幌町14・7%の順。一方、在宅死ゼロは後志管内の真狩村と赤井川村、空知管内の雨竜町、北竜町、妹背牛町、上川管内の上川町、比布町、音威子府村、オホーツク管内小清水町の9町村。
 札幌市は10・8%で、20ある政令指定都市の中で3番目に低かった。
 
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在宅死割合、沖縄でも地域格差 訪問診療の態勢で開き
琉球新報 2016年7月7日
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-311894.html
 
 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合に大きな地域差があることが6日、厚生労働省が公表した全市町村別の集計で分かった。沖縄県内では市部ほど自宅で亡くなる人の割合が高く、町村部で低い傾向が出た。訪問診療を手掛ける医療機関の充実と、在宅死の割合との関連性が浮き彫りになった。
 
 調査は2014年の人口動態統計を基に、データを集計した。
 自宅で亡くなる人の割合を市部で見ると、南城市(8・1%)以外の10市はいずれも10%以上あった。那覇市(15・2%)、浦添市(15・4%)、石垣市(17・6%)、宮古島市(18・1%)など。町村部は久米島町(2・7%)、大宜味村(5・5%)、伊平屋村(5・9%)、座間味村(6・3%)など、割合の低い自治体が多かった。
 県内で最も割合が低かったのは渡名喜村(0%)で、高かったのは北大東村(40%)だった。人口が少ない地域は、その年に自宅で亡くなった人が多いといった事情で数値が変動するため、渡嘉敷村と粟国村(各20%)も割合が高かった。
 県保健医療政策課は「特に離島は医療機関が少なく具合が悪くなると、本島に移り住み、地域に戻ることが難しいことが、(在宅死が少ない)一つの要因ではないか」と話した。
 伊平屋村は、村内に訪問介護を手掛ける事業所がなく、通所で利用する「デイサービス」も1カ所で、在宅生活や介護予防が難しい事情を説明。1人暮らしの難しい高齢者が共同で暮らす支援ハウスは定員いっぱいで、担当者は「医療が必要になったら村外に出るしかない」と話した。
 沖縄を含め全国的に病院で亡くなる人が圧倒的に多く「住み慣れた地域で逝きたい」という多くの国民の希望をかなえるには不十分な現状もにじみ出た。
 
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在宅死割合、地域で大差 中規模自治体は5倍の開き
中国新聞 2016/7/7
http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=262433&comment_sub_id=0&category_id=256
 
 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合に大きな地域差があることが6日、厚生労働省が公表した全市区町村別の集計で分かった。人口20万人以上の都市で8・0~22・9%と差は約3倍。人口5万人以上20万人未満の中規模自治体では5倍近い開きがあった。
 在宅みとりを支える訪問診療のマンパワーの違いや、自治体の取り組みの濃淡などが要因とみられる。「住み慣れた自宅で逝きたい」という多くの国民の希望をかなえるには不十分な現状が浮き彫りになった。
 1741市区町村別の在宅死の割合が明らかになるのは初めて。2014年の人口動態統計のデータを基に集計した。</p><p> 死亡場所の全国平均は自宅12・8%、病院75・2%。残りが老人ホームなどで、病院で亡くなる人が圧倒的に多い。人口当たりの病院数が多い地域では、在宅死割合が低い傾向もうかがえた。ただ、隣接する自治体で差が生じている例もある。
 自治体の規模によって医療の状況が異なるため人口別に比較すると、道府県庁所在地や東京23区など人口20万人以上(126市区)では、神奈川県横須賀市が22・9%でトップ、鹿児島市が8・0%で最も低かった。上位の9自治体を東京、千葉、神奈川の1都2県の市区が占めた。
 20ある政令指定都市では神戸市(18・1%)が1位で、北九州市(8・7%)が最下位。
 人口5万~20万人の自治体(428市区町)では兵庫県豊岡市が25・6%で最も高く、最低は5・5%の愛知県蒲郡市。下位の10自治体のうち5市が九州地方だった。
 
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在宅死割合、地域で大差 14年集計、訪問診療態勢が影響か
中日新聞 2016/7/7
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016070702000073.html
 
 病院ではなく、自宅で最期を迎えられるよう国が「在宅みとり」を推進する中、自宅で亡くなる人の割合に大きな地域差があることが六日、厚生労働省が公表した全市区町村別の集計で分かった。人口二十万人以上の都市で8・0~22・9%と差は約三倍。人口五万人以上二十万人未満の中規模自治体では五倍近い開きがあった。
 在宅みとりを支える訪問診療のマンパワーの違いや、自治体の取り組みの濃淡などが要因とみられる。「住み慣れた自宅で逝きたい」という多くの国民の希望をかなえるには不十分な現状が浮き彫りになった。
 千七百四十一市区町村別の在宅死の割合が明らかになるのは初めて。二〇一四年の人口動態統計のデータを基に集計した。
 死亡場所の全国平均は自宅12・8%、病院75・2%。残りが老人ホームなどで、病院で亡くなる人が圧倒的に多い。人口当たりの病院数が多い地域では、在宅死割合が低い傾向もうかがえた。ただ、隣接する自治体で差が生じている例もある。
 自治体の規模によって医療の状況が異なるため人口別に比較すると、道府県庁所在地や東京二十三区など人口二十万人以上(百二十六市区)では、神奈川県横須賀市が22・9%でトップ、鹿児島市が8・0%で最も低かった。上位の九自治体を東京、千葉、神奈川の一都二県の市区が占めた。
 二十ある政令指定都市では神戸市(18・1%)が一位で、名古屋市は13・2%、北九州市(8・7%)が最下位。
 人口五万~二十万人の自治体(四百二十八市区町)では兵庫県豊岡市が25・6%で最も高く、最低は5・5%の愛知県蒲郡市。下位の十自治体のうち五市が九州地方だった。
         ◇
 愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀の中部六県の市町村で一番高かったのは、合掌造りの世界遺産白川郷で知られる岐阜県白川村の43・3%。いずれも長野県南部の宮田村の37・6%、平谷村の37・5%が続いた。最低は平谷村の北隣の阿智村で1・1%。同県天龍村の2・2%が二番目、滋賀県甲良町の4・8%が三番目。岐阜市は12・8%、津市は10・1%だった。
 
 <在宅死の割合> 死亡者のうち、医師による死亡確認場所が自宅だった人の割合。在宅療養を続けていたが死亡間際に病院搬送されたような人は除外される。厚生労働省の人口動態統計を基に集計され自然死だけでなく事故死や自殺も含む。在宅死の割合は1950年前後まで8割を超えていたが徐々に低下。70年代後半には病院・診療所での死亡割合が上回った。90年代前半以降の在宅死は1割台で推移している。欧州各国は様相が大きく異なり、スウェーデンは約5割、オランダは約3割、フランスでは2割超が自宅で亡くなる。厚労省は2025年までに全国の病院ベッド数を削減して医療費抑制を図る方針で、患者30万人程度の受け皿が必要となることから、在宅医療の態勢整備が急務となっている。
 
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在宅死 最大4.65倍の差 人口5万人以上の自治体
毎日新聞2016年7月6日
http://mainichi.jp/articles/20160707/k00/00m/040/088000c
 
 自宅で死を迎える人が死亡者全体のうちどの程度を占めているかについて、厚生労働省が初の市区町村別統計をまとめ、6日公表した。人口5万人以上の自治体では、在宅死の割合が5.5〜25.6%と、最大4.65倍の差があった。地域の病床数や在宅医療の受けやすさ、孤独死の発生数などが関係しているとみられる。
 日本では1970年代に病院で死を迎える割合が自宅を上回り、2014年の人口動態調査では病院死が75.2%、グループホームやサービス付き高齢者住宅を含む在宅死は12.8%。一方、内閣府の12年度調査では、55%の人が「最期を自宅で迎えたい」と望んでおり、厚労省は「自宅でのみとり」の推進を図っている。
 在宅死はこれまで都道府県別のデータしかなく、在宅医療を進める基礎資料として、14年調査を基に初めて全国1741市区町村別にまとめた。
 人口5万〜20万人の自治体で在宅死率が最も高いのは、兵庫県豊岡市(25.6%)、東京都中央区(21.5%)の順。20万人以上の都市では神奈川県横須賀市(22.9%)、東京都葛飾区(21.7%)と続いた。5万人以上で高かった10自治体では、1市を除いて「在宅療養支援診療所」が15カ所以上あり、訪問診療や訪問看護の体制が充実していた。政令市では神戸市の18.1%が最高だった。
 人口5万人以上で低かった自治体は、愛知県蒲郡市(5.5%)、佐賀県武雄市(5.7%)、群馬県沼田市(6.4%)の順だった。
 医療問題に詳しい宮武剛・日本リハビリテーション振興会理事長は「都市部では病院で終末期の患者を引き受ける余力がなく、在宅医療の充実が在宅死の割合に大きく関わる。それに加え、東京23区に限れば孤独死が数を押し上げ、在宅死の約35%を占める」と指摘。病院の再編で25年までには地域で療養する高齢者が今より約30万人増えるとして「介護と接点のある市町村単位で、在宅でどこまでみとれるか検討する必要がある」と話す。
 データは、厚労省のウェブサイト内の「在宅医療の推進について」のページに掲載されている。
 
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在宅医療を「見える化」、臨床評価指標の策定へ 厚労省が検討開始、在宅医療の普及啓発が狙い
M3.com レポート 2016年7月6日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)
 
 厚生労働省の「全国在宅医療会議」の第1回会議が7月6日に開かれ、在宅医療の特性を踏まえた臨床評価指標と、在宅医療に関する国民への普及啓発のあり方などについて検討を開始した。座長には、大島伸一・国立長寿医療研究センター名誉総長、座長代理には、新田国夫・日本在宅ケアアライアンス議長がそれぞれ就任した(資料は、厚労省のホームページ)。
 この9月にワーキンググループを設置、これら二つを含め、在宅医療推進のための検討課題を「重点分野」として絞り込み、具体的な対策を議論する。在宅医療は、医療計画の「5疾病・5事業および在宅医療」として位置付けられているが、時間的には間に合わないため、2018年度からの医療計画策定の基本指針に盛り込まない。
 在宅医療は、地域医療構想と地域包括ケアシステムの推進のカギとなる。診療報酬などでも在宅医療を推進してきたが、厚労省は、本会議発足の背景として、「国民に対して、在宅医療が生活の質の向上に資する具体的な効果を必ずしも示すことはできなかった」などを挙げた。臨床評価指標などを策定し、在宅医療を「見える化」し、利用する国民にとって、どんなメリットがあるかについて普及啓発していくことが、本会議の主たる狙い。
 厚労省の医政担当審議官、椎葉茂樹氏は、会議の冒頭、「在宅医療に絞って議論するのは、厚労省としては初めて」と述べ、「人生の最期を迎える場所として、在宅を希望しても、必ずしも実現しない中、社会全体で在宅医療を推進していくことが目的。在宅医療の提供者、学識経験者、行政が、三位一体となり、在宅医療の推進と国民への普及啓発に取り組んでいく」とあいさつ。
 
在宅医療は関係者が多いことから、本会議の構成員は34人と多数。
 医療側への普及啓発も必要
 ワーキンググループで取り上げる「重点分野」の例として、厚労省は、(1)在宅医療の特性を踏まえた評価手法の検討、(2)在宅医療に関する普及啓発の在り方の検討――の二つを提示。
 在宅医療は、小規模の医療機関で実施されることが多く、在宅医療に関するデータやエビデンスは少ない。既存のデータ等を集積するほか、新たにデータを収集・分析、在宅医療の普及啓発に当たっての課題を整理し、効果的な表法発信の方策を検討していく。
 6日の会議は、フリーディスカッションが中心。在宅医療は、関係する施設・事業所、職種が多岐にわたることから、多様な視点からさまざまな意見が出た。
 「重点分野」として、厚労省は在宅医療の普及啓発を念頭に置いたテーマを掲げたが、それだけにとどまらず、在宅医療の提供側に関するテーマも取り上げるべきとの意見も多かった。
 日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、在宅医療を独立して考えるのではなく、かかりつけ医が外来の延長としての捉えるのがふさわしいとし、「かかりつけ医の在宅医療を支援する仕組みを、地域で作って行くことが必要」と求めた。日本プライマリ・ケア連合学会副理事長の草場鉄周氏も、「在宅医療は、外来、在宅というプライマリ・ケアの文脈で捉えるべき。それを地域でいかに支えていくか、という観点からデータを収集することが必要」と指摘した。さらに草場氏は、個々の在宅関連の施策を整理し、在宅医療の全体像が見えるようにすることも重要だとした。
 普及啓発の関連では、国民に限らず、医療者の在宅医療についての理解を深める必要性も指摘された。日本医療社会福祉協会の早坂由美子氏は、病院の勤務医らが、在宅のイメージを持ち、患者に選択肢として提供できるか、と問題提起。
 そのほか、「重点分野」として挙がったキーワードは、小児や精神障害者の在宅医療、在宅医療の専門医、訪問看護、ショートステイ、ターミナルケア、看取り(特にへき地、過疎地域)、緩和ケア、健康サポート薬局、在宅療養支援歯科診療所、在宅医療を提供する施設等のデータベースなど多数。
 
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在宅医療の臨床指標を構築し、国民に「在宅医療のメリット」などを周知―厚労省・全国在宅医療会議
MedWatch 2016年7月6日
http://www.medwatch.jp/?p=9553
 
 地域医療構想の実現や地域包括ケアシステムの構築において、「鍵を握る」と言われる在宅医療だが、必ずしも国民に正しい情報が伝わらず、十分に推進できていない。そこで在宅医療の全体像が「見える」ようにし、在宅医療のメリットなどを国民に分かりやすく情報提供していく―。
 こういった目的で設置された「全国在宅医療会議」の初会合が6日に開催されました。
 
 比較的長期なスパンで「在宅医療の臨床指標を構築。それに基づいて在宅医療のメリットを可視化し、国民に適切に情報提供していく」ことなどが目指されます。
 
ここがポイント!
 1 エビデンスに基づく「在宅医療のメリット」などが明確に情報提供されていない
 2 9月にWG設置し、「在宅医療の臨床指標設定」などの重点分野を整理
 3 第2回会合は年明け(2017年)3月、重点分野の確認など行う
 4 在宅医療研究を進めるため、厚労省ホームページで関連データを公開
 
エビデンスに基づく「在宅医療のメリット」などが明確に情報提供されていない
 いわゆる団塊の世代(1947-51年の第1次ベビーブームに生まれた方)がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、医療(とくに慢性期医療)・介護ニーズが飛躍的に高まります。そのため、政府は病院・病床の機能分化・連携を推進するための地域医療構想や、地域包括ケアシステムの構築を進めています。地域包括ケアシステムでは言わずもがなですが、地域医療構想でも「療養病棟に入院する医療区分1の患者の70%が在宅に移行する」こととされるなど(関連記事はこちらとこちら)、今後「在宅医療」をいかに充実させていくかが重要なポイントとなります。
 しかし、現実を見ると▽エビデンスに基づいた「在宅医療のメリット(QOLの向上など)」が明確に示されていない(つまり国民がメリットを感じていない)▽医療者側には「在宅医療の推進は医療費削減にある」という誤解がある▽在宅医療は小規模な組織体制で提供されており、さまざまな考え方や手法が存在する(標準化されていない)▽国民の多くは自宅で最期を迎えたいとの希望を持つが、家族の負担を考慮し、実際の入院から在宅への移行は多くない―といった課題があります(関連記事はこちら/a>とこちらとこちら)。
 厚生労働省は、こうした課題を解消することが必要と考え、▽在宅医療を実効性のあるものとして推進する▽国民の視点に立った在宅医療の普及啓発を図る▽在宅医療に関するエビデンスを蓄積する―ことを目的とした「全国在宅医療会議」を設置したのです。厚労省の椎葉茂樹審議官(医政担当)は、「医療提供者、学識者、行政が三位一体となって在宅医療の体制整備・普及啓発に向けた議論をしてほしい」と期待を寄せています。
 
9月にWG設置し、「在宅医療の臨床指標設定」などの重点分野を整理
 6日の初会合では、会議の下部組織となるワーキンググループを9月以降に設置し、そこで「在宅医療を推進するための重点分野」を策定することが決められました。
 上記のように在宅医療にはさまざまな課題があり、これらをすべて一度に解決することは困難です。そこで優先順位をつけ、「重点分野」に絞った具体的・効果的な対策を立てていくことにしたものです。
 では「重点分野」とは、具体的にどのようなテーマなのでしょう。厚労省医政局地域医療計画課在宅医療推進室の伯野春彦室長は、(1)在宅医療の特性を踏まえた適切な臨床指標の設定(2)効果的な情報発信方法―の2項目を例示しています。
 構成員からは、例示以外にも「ターミナルケアの定義明確化」(武久洋三構成員:日本慢性期医療協会会長)、「訪問看護師の人材確保」(齋藤訓子構成員:日本看護協会常任理事)、「人工栄養(胃瘻など)の妥当性」(太田秀樹構成員:全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長)、「小児や若年成人に対する在宅医療」(宮田章子構成員:日本小児科学会副会長)なども重点分野とすべきとの意見が出されました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。伯野室長は、ワーキンググループで議論しながら、また会議の大島伸一座長(在宅医療推進会議座長、国立長寿医療研究センター名誉総長)とも相談し、重点分野を固める考えです。
 ところで、例えば(1)の臨床指標を設定すると仮定した場合、「在宅医療にふさわしい指標はどのようなものか」を設定→「指標に基づき、在宅医療の効果はどこにあるのか」を研究→「在宅医療の効果・メリットを国民に適切に周知する方法」の検討、などを行う必要があると伯野室長は見通します。これには一定の時間が必要になると見られ、新田國夫座長代理(日本在宅ケアアライアンス議長)は「2年程度かけてつくり上げることになるのではないか」との見解を示しています。
 なお、2018年度から第7次医療計画がスタートし、「5疾病5事業+在宅」の内容も見直されることになります(関連記事はこちらとこちら)。医療計画策定指針を厚生労働大臣が示すのは2017年度中であり、会議の議論は、2018年度からの医療計画に直接には反映されない(時間的に間に合わない)模様です。
 
第2回会合は年明け(2017年)3月、重点分野の確認など行う
 また6日の会合では、構成員から在宅医療全般に関してさまざまな意見が出されました。
 鈴木邦彦構成員(日本医師会常任理事)は、「在宅医療は『かかりつけ医』の延長であるべき」とし、日医として在宅医療に携わる医師向けの研修や、在宅医療そのものの支援を行っていくことを強調しました。
 また城谷典保構成員(日本在宅医療学会理事長)は、「在宅医療は独立したものではなく、プライマリ・ケアの一つである」とした上で、「診療報酬、医療提供体制、かかりつけ医、総合診療専門医などの議論がそれぞれで動いているが、全体像が見えるように整理する必要がある」と指摘。在宅介護のコーディネータ役を担っている鷲見よしみ構成員(日本介護支援専門医協会会長)も同旨の考えを述べています。これは冒頭に示した会議の設置目的とも合致する内容です。
 一方、在宅医療を継続するためには、急変時の後方病床の整備や家族のレスパイト(息抜き)も欠かせない視点です。この点について折茂賢一郎構成員(全国老人保健施設協会副会長)は「緊急ショート」の整備・充実を進めるべきと訴えています。
 第2回目の全国在宅医療会議は年明け(2017年)3月頃に開かれ、前述のワーキンググループで整理された「重点分野」の確認などを行います。そこでも在宅医療の推進に関する基本的な議論が行われると見られますが、委員から出された意見の中には「中央社会保険医療協議会で議論すべきもの」「社会保障審議会・介護給付費分科会で議論すべきもの」などもあり、すべての項目が本会議で議題となるわけではありません。
 
在宅医療研究を進めるため、厚労省ホームページで関連データを公開
 ところで、厚労省は在宅医療の推進に向けた研究を行いやすい環境を整備する一環として、ホームページ上で在宅医療関連データの公開を始めました(6日スタート)(厚労省のサイトはこちら)。
厚労省は7月6日から、ホームページにおいて在宅医療関連データの公開を開始。在宅医療研究の推進が期待される
 そこでは、市区町村別に▽在宅療養支援病院数(単独機能強化型、連携機能強化型、従来型)▽在宅療養支援診療所数(同)▽訪問診療を行う診療所数と実施件数▽看取りを行う診療所数と実施件数▽訪問看護ステーション数と職員数▽介護保険3施設の数▽小規模多機能型居宅介護事業所数▽自宅死の割合▽老人ホーム死の割合―などが整理されています。
 この点について川越雅弘構成員(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部長)は「在宅医療・介護連携が市町村の事業となった。これまで医療提供体制の整備にタッチしてこなかった市町村が、どのように活用すべきなのか、どのように対策に結びつけていけば良いのかなども示す必要がある」と指摘。伯野室長も、「会議の意見を踏まえて、データを充実していく」考えを示しています。
 なお、厚労省公開データの一部を見ると、「在支診の整備が進んでいる地域のほうが、自宅死の割合が低い」という不可解な状況が見てとれます。自宅死の割合には、「在支診の整備状況」以外にもさまざまな要素が関係していると考えられ、これを機に、こうした点を明確にしていく総合的な研究が行われることが期待されます。
 
厚労省の公開データを見ると、「在支診の整備が進んでいる地域のほうが、自宅死の割合が低い」という不可解な状況になっている。このため、より総合的な研究が求められている。
 
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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

公立病院の方が、学ぶための外出時間を与えられているという事実に安心感を覚えます。
隔たりを無くする交流は市民にとっても、ありがたいことだと思います。
現実には、どちらの公立病院も実務に追われていて、てんてこ舞な状況だと思いますが、
改革・前進する姿勢に良心を感じるのではないでしょうか。
お写真から察するに、長尾クリニック前での記念写真が、いつも温かな雰囲気を醸していて、
クリニック オーラなのでしょうか。学びの充実感が伝わります。

Posted by もも at 2016年11月08日 08:17 | 返信

以前お医者さんが「現代医学、保険診療は、何時でも、どこでも、誰でも同じ医療が受けられるというのが前提です」と仰っていました。
外来診療であればある程度同じ内容で治療できると思います。
また介護に関しても施設介護の内容はある程度ビッグデータが取れると思います。
でも在宅介護の内容のビッグデータなんて徴収できるのかなと疑問におもいます。
ケアマネジャーによるアセスメントとケアプランで、いろいろなサービスを受けたとして、家族や利用者本人はどう思ったかというアンケートは、取られた事は、皆無です。
ケアマネジャーの態度は良かったのか、ヘルパーはどうだったか、家族は休息をとれたのか、福祉用具は適切だったのか、訪問看護師はどうだったか、利用者は満足したのか、家族は利用者をどう見送ったのか、などアンケートは取られた事はありません。
そんなアンケートを取られたら、ケアマネジャーやヘルパーのなり手が居なくなるかもしれません。
でも玉石混合ではないでしょうか。ケアマネジャーは社会福祉協議会は皆同じ均一のレベルのように感じられました。でも(一人ケアマネ)ではお互いに研究討論できないのではないかと思いました。
へルパーさんも優しい人と厳しい人がいます。看護師さんも優しい人と厳しい人といます。
どちらがいいのか、死んでいく利用者にしてみれば、お勉強はできなくても優しい人がいいのではないでしょうか?でも危篤状態を見抜けるひとでないと困るときもあります。
そんなビッグデータができるのでしょうか?患者さんのためには作るべきでしょうね。
壮大な未来ですね。

Posted by 匿名 at 2016年11月10日 10:54 | 返信

 こんにちは。

 神戸新聞に大々的に在宅死率一位と出ていましたが、こちらの福祉関係者は豊岡の医療や福祉がいかにすばらしいかという欺瞞的アピールととらえる向きが多かったです(まあ事実を記事にされただけなのですが、そう取れてしまうのが内情を知っている但馬の福祉関係者・・・)。
 週刊ダイヤモンドの病院格付けもありましたが、あれも実態とはかけ離れています(Dr.ヘリはそれなりに評価しますが、他が明らかに低水準)。あれを病院にコピーして貼ってありますからね。全国民に対する欺瞞でしょう。

 豊岡は非常に医療(特に入院病床)に関しては厳しい地域です。高齢者になると大方入院ジプシーになり、最終的には入院するなら阪神間しかないよ、と突き放される・・・。在宅医療を勧めるなら、かかりつけ医を中心としたサポートが必要なのに全く足りません。家族に対する指導もサポートも不足。

 療養病床はあるのですが、基本なくしたいのが医療福祉行政。こちらの地域は社会的入院もできなくて(推奨しているわけではありませんが、必要な人もあるのです)、特養も医療的処置がある人の受け入れはなかなか受け入れしてくれません(ベッド数が決まっているそうです)。
 つまり、望んでの在宅での死ではなく、そうならざるを得ないのです。

 開業医さんに訪問診療をお願いしても、理想の在宅医療にはならないですね。何かあったら結局すぐ豊岡病院に送る先生多いです。かかりつけ医とは何ぞやといつも思っております。

 中間的地域のための病院がないんです。必要なのは地域の総合病院なのに。本来は豊岡病院が地域の総合病院のはずなのに、二言目には救急病院なので!と。

 訪問看護も確かに過疎地域としてはある方なのかもしれませんが、竹野など全く訪問看護STがないので、片道30分以上かけて旧豊岡市所在の訪問看護STが行っている状態です。なのに、社協は訪問看護STなくしてしまうし・・・。(こちらの社協、行政の下請け的存在で、お金にならないことはあまりやりたがらないというか、採算重視というか・・・。もちろん法人としては採算は考えないといけないんですが、でも、社協って補助金とかもらってるリッパな社会福祉法人・・・。社協がやらずにどこがやるのか・・・)
 訪問リハビリSTは基本的に少なく、週2回以上のリハビリをケアマネや家族が必要と考えても、医師やPTなどから、「優先順位をつけられて」来てもらえないです。

 そもそも、医師から訪問看護や訪問リハビリがいるんじゃないかな?などという声掛けはほぼありません。(特に豊岡病院)
 リヴィングウィル、インフォームドコンセントなど、わかっているのかわかっていないのか知らんふりをしているのか、これについても認識が感じられないです。いつも家族さんが右往左往されています・・・。
 独居天涯孤独(または老々介護)の場合、もうどうしようもないです。ケアマネさんが走り回ってます。ただし、入院が長い人で在宅は考えられない方に関しては、MSWさん中心で動いてもらうようにお願いします。(この頃はさすがに、入院時の転院や洗濯等、お金の処理、特養の申込など、居宅ケアマネさんに頼むのはおかしいと思ってきてらっしゃるみたいです。看護師さんや医師(総合病院)は退院支援にかかわってないと全く知らないようです。)
 
 
 う~ん、やるせなくなってきました。

 
 

 

Posted by 通りすがりの但馬市民 at 2016年11月18日 04:38 | 返信

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