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待ってくれていたんだ・・・

2016年12月04日(日)

昨日も朝起きてから診療や会議でフル回転で、今に至る。
そんな中、お看取りがあった。
また、待ってくれていたんだ・・・

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新大阪での尊厳死協会関西支部の理事会が終了し
エレベーターのボタンを押した瞬間に電話が鳴った。

あの在宅患者さんの呼吸が止まったと。

急いでご自宅に駆けつけて、ハグした。
「ありがとう!」と心の中で数回叫んだ。

その人は、数ケ月間に外来に現れた。
まだまだ元気そうだが、末期がんとのこと。

抗がん剤のやめどき、の相談だった。
いいところで来てくれたので、「上手くやめる」ことができた。

2ケ月後には痛みが出てきた。
医療用麻薬を使い使い始めた。

その1ケ月後には、自然に在宅医療に移行した。
しかしまだまだお元気で、外食もできていた。

私が行くたびに大喜びして泣いてくれる。
ハグして欲しい、というのでハグしていた。

介護ベッドは入れたが、ポータブルトイレは
結局、最期まで一度も使わなかった。

徐々に徐々に弱っていった。
食べ物も徐々に細っていった。

それでも旅立つ前日までトイレ歩行していた。
亡くなる3時間前でも、私と会話ができた。

そして電話が鳴った瞬間、
まるでテレパシーのように旅立ちが分かった。

なんと私にとって、「その時しかない」という瞬間に旅立たれた。

在宅期間は、ピッタリ1ケ月半だった。
絵に書いたような、その人が望んだ、穏やかな最期だった。

家族は落ち着いていた。
すべては不眠不休で最高の在宅緩和ケアを提供してくれた看護師たちのおかげ。

大急ぎで忘年会に戻るも挨拶だけして新幹線に飛び乗った。
新大阪駅での時間はたった9分間、その間にひと仕事した。

東京で3時間かかる打ち合わせがあるので、タクシーを飛ばした。
会議室での作業は深夜まで及んだが、全然終わらないので明日も延長線だ。

列車事故もあり、都内から大宮駅の手間まで1時間以上もかっかった。
明日の朝、大宮での透析医学会で終末期医療の話をするためにここにいる。

さいたま新都心駅から「ラフレさいたま」ホテルに至る道は真っ暗で誰もいない。
お化けが出そうだし、オヤジ狩りに遭えば絶対に誰も助けてくれない都会の闇。

先週も、東京ビッグサイトでの講演前夜のサンルートホテルまでの道も真っ暗だった。
今夜も迷いに迷い、しかし誰ひとり会うこともなくホテルに着くとフロントも無人である。

深夜1j半にホテルに入っても、そこに居る時間は7時間くらいか。
まあ、少し寝られたらそれで充分。

それにしても、数ケ月、私だけを慕って、
まるで私を気使って旅立った人を想っている。

ありがとう。

待っていてくれたんだ・・・

こんなに慕ってくれて、オジサンも町医者冥利につきるよ。

私よりずっと若い男の子の人生を振り返りながら、
明日の医学会でどんな話をするか考えながら寝る。












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この記事へのコメント

待ってくれる人が一人でもいると、ホッとします。そんな人間になりたい。そんな風に思いながら今日も夜勤に励みます。

Posted by 社会福祉士河本健二 at 2016年12月04日 05:11 | 返信

こんばんは。
少し前のブログで書かれていた患者さんかなと
思いながら読ませて頂きました。
きっと辛い痛みの中、先生が来られるのを
首を長ーくして待たれていたんでしょうね。

先生もお忙しそうですが、無理されません様に。
遅くまでおつかれさまでした。

Posted by 匿名 at 2016年12月04日 06:49 | 返信

年若い男性のお看取りだったのですね。
安心して旅立てたのですね。
私も、近づいたら、尼崎に行きたいな。

Posted by 匿名 at 2016年12月04日 08:15 | 返信

最期の大事な時に誰に出逢うかって
本当に大事だと思います


…膵臓がん末期がんで入院の患者さんのことです
先週木曜日に某病院へ退院前カンファレンスに行きました
主治医は 在宅医をつけるつもりはないと言い放ち、
何かあれば病院へ救急搬送するように…と言われる
病院の何かってなんですか…と地域連携室看護師さまにお尋ねすると
呼吸苦や疼痛がひどくなったたきでしょう…とのこと
救急搬送された先が某病院ならまだ納得がいきます
でも救急外来が混んでいたら 全く知らない遠くの病院に搬送されることって 少なくないんです
そこんとこは 全く考えていない某病院さまです

末期がん…まもなくお迎えがくる方です
何かあったらの何かって…言われたら
私の何かは、突然、お亡くなりになることです
病院みたいにモニター管理してるわけじゃないんです
そんなものはいらないです
亡くなることがわかっているなら
できるだけ 早く在宅医療にスイッチを切り替えて欲しいです

やっとの思いで ご家族にお話し ご家族から主治医に在宅医のお願いを強く 懇願していただき
今日、2度目の退院前カンファレンスに行きました

主治医からは 週単位日単位でしょう…と言われ

わたしは このやろ〜!と心の中で叫んでいました

先週は まだ 歩けたじゃん!
今は 傾眠ですか
薬が効き過ぎてんですか

何やってくれんの!!って言いたいです

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2016年12月05日 11:28 | 返信

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