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「転倒」で国家財政が破綻!?
2016年12月09日(金)
毎日毎日、在宅患者さんの誰かが転倒して周囲は大騒ぎになる。
「転倒したら必ずその日のうちにCT検査」なんて]変な規則がある施設があるし
「転倒したら無条件に救急車を呼ぶ」ことにしている家族もいるなど大変な国だ。
「転倒したら必ずその日のうちにCT検査」なんて]変な規則がある施設があるし
「転倒したら無条件に救急車を呼ぶ」ことにしている家族もいるなど大変な国だ。
「転倒」に関して、施設は過剰になっている。
「無条件にCT撮影」と決めている株式会社があるかと思えば、
家族に電話して「転倒したけど、CT検査をしましょうか?」聞く習慣の施設もある。
そう聞かれた仕事中や遠くの家族は、100%、「ではそうして下さい!」と答える。
「本人」ではなく、「家族」のために行うのが、日本の高齢者医療・介護という世界。
往診して大した傷ではないのに、施設側は「家族の希望ですから」と有無を言わせない。
あるいは、「この会社の決まりですから」と言って、医者のいうことばど聞かない。
本来、検査や救急搬送や入院は、在宅主治医と本人・家族の話し合いで決まるはず。
しかし介護施設が在宅医療スタッフを無視して勝手に決めているのが一部の実情である。
医師の立場から言うと
・無駄な搬送やCT検査は意味が無い
・その日に撮っても意味が無い
・2週間目あたりに、慢性硬膜下血腫を除外するためなら意味があるかもしれない。
のであるが、そんな基本的なことさえ、伝える機会もなければ信用もされていない。
どうしてそうなるのか?
介護訴訟の増加が理由である。
転倒事故専門で儲けている弁護士さんがいる。
転倒→打撲か骨折→救急搬送→入院→要介護4~5にアップ→胃ろう、と
悪循環のは始まりは転倒である。
1回の転倒に関わる医療・介護費はおそらく、十万~何百万円に及ぶのだろう。
そんな費用を、いったい誰が負担するのか。
そもそも家であろが、あろが、病院であろうが、施設であろが転倒する時は転倒する。
それを「管理責任」として施設を「管理」しようという発想自体が悪循環の根源である。
生きることは、なにをしてもリスクが伴う。
歩行も外出も旅行も。
食事も入浴も、リスクだらけだけど、やるしかない。
そのリスクを施設に全部被せる発想は、
高齢化40%になれば、国家財政が破綻することは必至。
いつも思うのだが、転倒でここまで大騒ぎするのは日本だけではないのか。
発熱で大騒ぎ。
転倒で大騒ぎ。
肺炎で大騒ぎ・・・
これはら急変ではない。
要介護者に予想される変化である。
こうした基本的なことを伝えたくて、国立(こくりゅう)かいご学院を開設している。
きっと同じような試みが各地であるだろうから、大河の一滴になれれば幸いだ。
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この記事へのコメント
CT と言わず、せめてレントゲンでいいんじゃないのか?
精密なCT検査を自費で試してごらんなさい、と言いたくなります。
転倒が命取り。転んだ先に待ち受ける道筋は、本当に坂道を転げ落ちるような
機能低下を招く下降線を選ばざるを得ない、重大アクシデントだと思います。
けれども、転ばない日常とは難題だと思います。
施設側の "責任回避" な気持ちは分からなくはないですが、
家庭用プリンターのスキャナ機能とは違うのですから、常識的なレベルを考え
なくてはなりません。医師の判断なくして、CTを当然と考える安易さは、逆に
危ういものがある判断であり、親身な心の通い合いが抜け落ちていることに気が付く
べきでしょう。常識を持ち合わせていたいものです。
Posted by もも at 2016年12月09日 10:50 | 返信
自宅介護している身としては転んでもいいと思うのです。けれど、
訴訟が怖いから転倒させるのを心底嫌がる施設や病院ばかりですよね。
少しでもヨロヨロしているとスタッフがすっ飛んできて車椅子を勧めてきます。
自宅で看ている家族としてはわずかに残っている脚力を失いたくないから転ぶのを覚悟で歩かせているのに…。
脚力を失いだすと、自宅介護の場合、イッキに寝たきり&オムツ生活に陥ってしまいがちになる。
少しくらい転びながらでもヨロヨロでも歩いていればトイレもいけるし人間らしい生活を少しでも長くできると思うのですけどねえ。家族以外が転倒させると厄介なことになるのは重々承知してはおりますが難しいところです。
Posted by まる at 2016年12月11日 01:54 | 返信
またしても、私の父の件で申し訳ありませんが、タバコを吸っていたので、骨粗鬆症になっていたのに、気がつきませんでした。耳下腺腫瘍の手術とその後の放射線治療を一ヶ月受けて、退院した日に尻もち転倒して胸椎腰椎の圧迫骨折で、寝たきりになりました。
以前から、円背亀背でした。それは、実家の中小企業の貿易会社に転職してから、仕事がうまくいかず、胃潰瘍で胃穿孔になって、神戸の金沢病院で緊急手術をしたことで、腹部に縦の大きな手術痕があったからです。そのうえ80歳代になってから上行結腸癌になってさらに、縦の手術痕が並走してできたので、そういう人は、円背亀背になりやすいそうです。円背亀背は脊髄圧迫骨折の前段階なのだそうです。
父は、高齢になってから、レビー小体型の認知症のような症状はありました。夜中に「泥棒が入って来た」と大声で怒鳴ったり、歩くときは身体が右に傾いて歩いていました。椅子から立ち上がった時に多々羅を踏んでいるときがよくあったので「転ばないでね」と頼んでいたのに。ケアネットに「レビー小体型認知症は喫煙する人に多いのでは?」と言うブログがありました。全員が喫煙しているわけでは無いと思いますけど。
長尾先生のブログに良く投稿していた梨木さんがお勉強している、武藤芳輝先生の転倒予防医学研究会の活動も活発にやっていらっしゃるようです。もっと運動しなければと思っているのですけど、ついつい車で、出かけてしまいます。右膝の痛みが、なかなか取れなくて、と言いながら何の治療もしないで、過ごしています。
Posted by 匿名 at 2016年12月12日 04:26 | 返信
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