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歩行が海馬の神経新生を促進

2016年12月08日(木)

産経新聞の歩行シリーズ第5回は、海馬の神経新生について書いた。
歩くと海馬の神経が増えることエビデンスを、多くの人に知って欲しい。
今は汗をかかないので歩きやすい。雪があれば別だが。
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産経新聞・歩行シリーズ第5話  運動と認知症
               歩行が海馬の神経新生を促進
 
 認知症が進むとさっき飯を食べたことは忘れますが、子供の時の記憶は鮮明に覚えていています。実は直前に食べたご飯という新しい記憶と、子供時代の古い記憶は保存場所がまったく違うのです。よく「物忘れ」が認知症の症状と思われがちですが、正確には認知症とは「忘れる」というよりも記憶の保持ができない状態、つまり短期記憶の障害と考えたほうがいいでしょう。直前にご飯を食べた記憶はとりあえず左右の脳にあるタツノオトシゴのような形をした海馬という部位に保存されます。海馬には1億個の神経細胞があり短期記憶を司っています。記憶の仮置き場といってもいいでしょう。アルツハイマー型認知症はこの海馬の萎縮や機能低下から始まります。夜間睡眠中に海馬の記憶情報は脳ミソの表面である大脳皮質に転送され、固定・強化されます。大脳皮質には100億個以上の神経細胞があるので、海馬と大脳皮質の関係はパソコンと会社の大型ホストコンピューターに喩えられます。昔から受験勉強はよく寝ないといけない、寝ないで一夜漬けをしても成果が出にくいと言われていますが、本当なのです。

 脳は神経細胞により構成される臓器です。神経細胞同士が電気信号を発し、神経伝達物質による情報伝達で学習や運動などの高度な情報処理が行われています。歳をとると脳内に何千億個もある神経細胞は減る一方だと従来は考えられていました。しかし最近、歳をとってもある行為により脳内で新たな神経細胞が生まれる「神経新生」が盛んになることが分かってきました。特に海馬は神経新生と深い関わりがある場所で、1日当たり700個の新しい神経細胞が生まれるといわれています。しかし認知症だけでなくうつ病においても神経新生は低下しています。ちなみにうつ病の実験動物に抗うつ薬を投与すると、神経新生が活発になることが確認されています。

 実は特定の行為により神経新生を盛んにすることが可能です。具体的には学習、セックス、そして運動です。これらは神経新生を活性化します。反対にストレスや睡眠不足は神経新生を不活性化します。回し車が設置されたかごにいたネズミの方が、運動をしないネズミよりはるかに多くの神経再生が起こることがわかっています。つまりランニングやウオーキングが神経新生と深く関わっているかが証明されています。運動習慣こそが神経新生を促す最も簡便な方法です。しかし高齢者には膝への負担や不整脈の誘発リスクの観点からランニングはお勧めしません。自分のペースで心地よいと感じるスピードで背筋を伸ばしてのウオーキングがお勧めです。以上、歩行が認知症の予防や改善に深く関連することは脳科学的に明らかになっています。うつ病も同様です。しかし歩く人は歩きますが、歩かない人はいくら説いても歩きません。町医者という立場で歩かない人を20年間というスパンで観察していると徐々に認知症やうつ病になっていき、残念でなりません。最後にどんなもの食べるのか、いかに咀嚼してから食べるかも海馬の神経新生と関係していることも忘れないでください。詳しくは拙書「認知症は歩くだけで良くなる」(山と渓谷社)を参照ください。汗をかかない初冬はウオーキングに最適の季節です。
 
 
キーワード 海馬
脳の中にあり、唯一細胞分裂を繰り返す神経細胞が集まる器官。入力された情報の整理、取捨選択や記憶を司っている。形状がタツノオトシゴに似ていることからこの名がついた。

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この記事へのコメント

長尾先生の「歩行シリーズ」は、助かります。
ただし、斜め読みです。
「斜め読み」というのは、自分流に読みこみ、追体験で軌道修正していくこと。
寝る前にビデオで確認、翌朝公園で再現というのも、脳神経ネットのたまもの。
記憶の彼方に追いやりたいものや、なんとかベータは、
脳血管に流入の脳髄液で吸いとり、排出。

テレビからの音声情報を、勝手に漢字変換してるぞ、
手記文字にあたって訂正せよと、
「ゆめ」の中で迫られた。
「いままでなんかいも死のうとおもった。
でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけど
ぼくはいきるときめた。」(小5のときの手記)

Posted by 鍵山いさお at 2016年12月08日 07:23 | 返信

頭の良い人は良く歩く人、頭のあんまり良く無い人は、あんまり歩かない人なのか!
ウーン、観察してみます。

Posted by 匿名 at 2016年12月09日 07:11 | 返信

ウオーキング中の「思索」は、別名、「哲学の道」に通じるのでしょうか。
「1909年」といえば、日露戦争(1904ー05年)の直後。
この年、漱石が、「満韓」を訪れていたとか。
2016年の今年。姜尚中が、その漱石訪れし、
旅順塹壕やミンピ埋葬地などを追尾するドキュメントが、ありました。
漱石は、安重根の裁判記録も読んでいたとか。
東アジアの近代をめぐる「思索」が、小説の背後にあったのですね。

「(満州日本人)諸氏の精神状態は、restless(休息なし)に、烈しく落ち付きがない。
 兎に角多忙で次から次に移て行く。 
 事物を能く含味する暇がない。
 物と物との関係を味ふと云ふがごとき、落付きある事は先づ出来まい。」
「同時に、余は支那人や朝鮮人に生れなくつて、まあ善かつたと思った。
 勝者の意気込み・・・・」
  (「韓満所感」満州日日新聞)

「高麗百済新羅の国を行けば
 我行く方に秋の白雲」
魯迅、イ・ガァンス(李光沫)の先達と言われる、漱石の近代思索は、なんとも悩ましい。
100年前の予言。「亡(ほろ)びるね。」『三四郎』か。

Posted by 鍵山いさお at 2016年12月10日 04:05 | 返信

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