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「あなたのリハビリは間違っていませんか」

2016年12月23日(金)

日慢協の武久洋三会長が今度はリハビリの本を書かれた。
「あなたのリハビリは間違っていませんか」
たしかにヘンなリハビリ入院が多いのでタイムリーな一冊。
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武久先生は、リハビリにも熱心だ。
「24時間リハビリ」を実践していると聞いた時は、鳥肌がたった。

日本は急性期リハには手厚いが、
慢性期リハには冷たい。

厚労省は、慢性期リハは介護保険でやってね!と言っている。
果たして訪問看護同様、そうはならないのが制度の不備である。

先日、介護保険事業の調査があった時、調査官がこう聞いていた。

「なぜ、訪問看護も入っていないのに、訪問リハビリが入っていないのですか?」
「訪問看護が入っていないと、訪問リハビリは入ってはいけないのですよ」

横で聞いていたが、倒れそうになった。

ケアマネさんがそうはさせてくれないのだ。
せめて訪問リハビリだけでも、と泣く泣くリハビリだけになっているケースだった。

介護保険の調査官は介護保険事業しか分からないし
医療保険制度についての知識はほとんど無いようだ。

ケアマネが悪いわけではない。

制度が悪いのだ。

2000年に介護保険制度を作った時に、訪問看護と訪問リハビリを
介護保険制度下に入れ、ケアマネッジメント下に置いたことが諸悪の根源。

現場は、制度に振り回されている。
ケアマネとて同様だ。

いずれにせよ、あまりにも軽視されているリハビリに危機感を感じる。
成熟日本、長寿国日本の名が泣くようなリハビリ制度の不備が続く。

それでも、いいリハビリは、病院にも在宅にもある。
そして、どんなリハビリがいいのか、を忘れているのだ。

この本は、リハビリの原点、そして展望を教えてくれる本だ。


最後に最近の話題を2つほど。

1例目は、転倒して救急車を呼ぶと・・・という話。
家の前で転倒した在宅患者さんの家族が慌てて救急車を呼んだ。

上腕骨骨折とのことで、数日後にボルト固定手術を受けたとのこと。
しかし1週間後にそのボルトが皮膚から出てきた、と家族が大騒ぎ。

違う病院に転院してボルト抜ぬ手術を受けたい、との相談だった。

上腕骨骨折が予想されたのでもし転倒しても私に連絡するように
口を酸っぱくして言っていたのに、慌てて救急車を呼んだのだ。

実はボルトで固定しなくても、2ケ月ほど待てば、骨は勝手につく。
問題は、待てるかどかだけ、と何度も説明していたのに・・・

入院して抑制されているので認知症が一気に進みエライことになっていると。
よくあるパターンなのだが、入院している患者さんには私は手が出せない。

「入院させられて、手術された」と家族はわめくが、それも違う。
入院承諾書や手術承諾書にサインしたからやったはずである。

なんやかんやで、こんな相談には1時間はかかるが、筋を通して話す。
結局、ボルトを抜いてもらい、早期に脱北しかないケースなのか。

2例目は、これまた転倒して指の付け根の骨にヒビが入ったケース。
これも段ボール固定か三角帯でつるして待てば勝ってに治るのだ。

しかし病院に行くと、しーネ固定された、そうだ。
認知症の患者さんはそのままで顔を掻いて、血が出たそうだ。

それを病院の先生に言うと、今度はギブス固定になったとのこと。
事情を理解できない患者さんはさらに激しく手を動かし、介護スタッフは困っていると。

結論から言えば、ギブスを外せばすべてが解決する。
骨折は待つだけで、勝手に治る、のである。

治す、ではない。
治る、のである。

それも自然に治る、のだ。
しかしそれを知らないと、どんどん逆方向に行く。

以上は笑い話のようで、決して笑い話しではない。
なぜならそれが原因で死んでしまうかもしれないから。


全ては、慌てて救急搬送を要請したことに起因する。
常日頃からそんなことを言って、そんな本も渡しているのだが、みんな忘れている。


リハビリから話がそれた。
まとめてみよう。

転倒・骨折は仕方がないものとして、
救急搬送や固定・抑制することの意味を、このブログの読者は知って欲しい。

多くの骨折は自然治癒する。
それを知っている医師に相談して、「後悔しないリハビリ」をしよう。

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親指の根元の骨にヒビが入った(骨折)だけで、ここまで要るのか?
利き手の右手でご飯が食べられない。

このギブスを外してくれ!と騒ぐ患者さんと、「外してはならぬ」とかなくなな医師と
どちらが理屈にかなっているか、素人のみなさんも一緒に考えてみよう。

骨折治療学は、若年者と要介護者・認知症の人で分けて考えるべきだと思う。
過剰医療が、不要な廃用萎縮や麻痺や周辺症状や抑制の原因になっていないか。

20161223004747.jpg

















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