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橋田寿賀子さんが週刊新潮でも安楽死を語る

2017年01月19日(木)

脚本家の橋田寿賀子さんが月刊文藝春秋に続いて週刊新潮でも
「認知症になったら安楽死したい」と書いておられる。 → こちら
橋田さんのお気持ちが分かるが、申し上げたいことがたくさんある。
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どやら橋田さんは本気のようだ。


3点だけ、コメントしておきたい。

1 デイグニタスは日本人は受け付けていない。
  
  私はデイグニタスに行き、ちゃんと説明を受けた。
  おそらく日本人では、3~4人の1人である。

  彼らは日本人は門前払いであるし、心底、迷惑がっている。
  なぜなら、日本の国内法では尊厳死も許容されていないからだ。

  尊厳死も認められていない国の人が他国で安楽死(=日本では殺人罪)
  したらどうなるのか、素人でも想像できるだろう。

  スイスでも安楽死の後は、スイス警察が入り検視になる。
  遺体はスイス国内で焼いて骨にならないと祖国に帰れない。

  10mも泳げない人が10km泳ぎたいよう!と言っているのと同じ。
  だから「まずは10m泳げるようになろう!」と、「痛くない死に方」に書いた。

  「死を法律で決めてはいけない!」と声高に叫けぶ人はマスコミ受けするが、
  日本は法治国家なので、死も約200もの法律により規定されているのだ。

  以上のような基本的な知識も無いメデイアが、受けるネタとして扱っているのだ。


2 記事のなかにある、江原さんとの会話部分は極めて重要だ。

  相模原事件と一緒に議論するのはまったくの誤りだ。

  相模原は、死にたくない、生きたい人が殺された殺人だ。
  一方、橋田さんの主張は、死にたいという自由意思がある。

  すなわち、尊厳死や安楽死は、本人の意思=リビングウイルが大前提。
  
  そんな基本的なことすら分かっていない文化人やマスコミが多すぎる。
  江原さんもそのひとりだが、橋田さんは今回、それに反論している。


3 日本は、どこでも誰でも、自分の家で尊厳死(平穏死)できる世界で唯一の国。

  国民皆保険制度と在宅医療制度がある、世界で唯一の国。
  さらに緩和ケアも病院とまったく同様に、自宅で保険で受けられる。

  イギリス人やドイツ人はそれができないので、末期がんの人が家族・友人と
  飛行機で海を渡り、何百万円もかけてスイスで医者に殺してもらうのだ。

  彼らの方が進んでいるのではなく、日本のほうが進んでいるのだ。
  しかし肝心の日本人がそんな基本的事実を知らないし、知らされない。

  橋田さんは、いつかこう言われるだろう。

  「よく調べてみたら、日本は自宅で在宅医療を受けて尊厳死できるのね。
  デイグニタスに行くのはやめて、自宅で好きに生きて、自然に枯れて死ぬわ」

  きっと、橋田さんとそんなお話をする日が来るような予感がする。
  
  とってもチャーミングでお茶目な方なので、行けるものなら行ってあげたい位。
  しかし私より長生きしそうな感じだな。



行きすぎた安楽死報道、に警鐘を鳴らしたい。

その前に、尊厳死議論をしよう!と言いたい。

詳しくは、「長尾和宏の死の授業」を参照して欲しい。
日本中の医学介護関係の教職員何万人が、これを教科書に学生たちを教えることを強く望む。

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この記事へのコメント

先週のTVで、91歳・橋田さんの悠々自適ぶりを拝見。
3階建の自宅と2階建のレストハウスに、ひとり暮らし。
本や手紙類を捨て、ドラマ台本棚を背に、バランスボールや自転車漕ぎ。なんとも優雅なご様子。
「認知症」「恍惚」をテーマにしたドラマは、手がけられなかったのでしょうか。
それとも、当方が「忘却」しているのでしょうか。

滋賀県が、あのブラック企業を入札停止にしたそうですが、厚労省はじめ政府機関はどうするのでしょう。
振り返れば、JOCに2億円出させて東京オリンピックを誘致した際の仲介料。
かのブラック企業は、いかほど手にしたのでしょう。

われらの「健忘症」は、どこまで進むのでしょうか。
カリフォルニア工科大学の下條信輔教授によれば、
「膨れ上がったグレーゾーンを受け入れて、私たちは生きている。」
「私たち現代人の『ブラックボックスであっても受け入れる習性』はますます強まる。
 安保法制をめぐる駆け引きや、自衛隊の海外派遣と『駆けつけ警護』、東京オリンピック会場などの政治問題、あるいはアベノミクスにからむ経済政策論争。
 リボ払いをめぐり、知らない間に借金地獄にはまる被害。」
「現代人はこの『ブラックボックスを受け入れる習性』を介して、自身がブラックボックスになり果てようとしているのではないか。」
 トランプに夢を託した「心のブラックボック 」化!

Posted by 鍵山いさお at 2017年01月19日 05:20 | 返信

脚本家・橋田寿賀子さん : 週刊新潮 記事「認知症になったら安楽死したい」
の最下段にあります、「皆さん苦しんで長く生きるより、楽に死にたいんです。」とは
暴論だと思います。前半にある、橋田さんが思う、認知症者への印象と理解が、現実を
知らない想像だと思いますし、ある種の偏見さえ感じます。
「役立たずな人は死になさい。」のような風潮を招いてしまいそう。
天下の大脚本家であり、庶民の生活をドラマに仕立てた方が、人の晩年をドラマチックに
思うことはできないのでしょうか。

>その前に、尊厳死議論をしよう!と言いたい。
>詳しくは、「長尾和宏の死の授業」を参照して欲しい。
>日本中の医学介護関係の教職員何万人が、これを教科書に学生たちを教えることを強く望む。
と、ブログの締め括りにありますのは、時に控えめな書き方をなさる長尾先生には珍しく
『望む!』と強く言い切ったことに安心しました。

Posted by もも at 2017年01月19日 10:15 | 返信

長尾先生、お忙しい中ブログの更新有難うございます。

安楽死と尊厳死は、違います。
尊厳死はもう寿命がきまり、これ以上は治療がないと言われて、積極的治療をしないということ

安楽死は、自殺と同じです。苦しみから逃げることですから


人は、価値があるから生きるのではなく、生き抜くことに価値があるのです。

我々は普段生きるために、動物など命を頂いて生きているのです。自分が自分勝手に自分の都合で命を絶つのは傲慢に思います。

与えられている 生かされている感謝、理解が足りないのです。

相模原の障がい施設の殺人事件。

安楽死を望む人は、あの事件を非難する権利がありません。


この世の中には、生まれながら寝たきりの人もいるのです。

自分が自分の考えで自分が必要ないから安楽死するといことは、そういう人は生きる価値がないというのと同じです。 相模原の犯人と同じです。

世の中のお荷物だから殺したと相模原の犯人は言っていましたね。

自分も風邪をひくからそういう人がいた時に優しくできる。寝たきりの人がいてくれるからお世話をさせていただいて愛を学び、また寝たきりの人もお世話をして頂くという愛を学んでいるのです。

結局のところ想像力が欠如しすぎているように思います。


優しい子に育てたいという人が多いですが、どうしたら優しい子になるでしょうか?

そうです。なんでもさせて、どんどん転ばせて、転ばせて、そこでいろんな経験と感動をして、想像力を学ぶことです。そうすれば、必ず優しい人になれますよね。

この世の中に一人として愛されていない人はいないし、必要ない人などいないのです。

1パーセントの愛に気づけない人は、100パーセントの愛に気づけないのです。


やはり、意思表示をしておくと言うことは大切ですよね。

Posted by ゆう at 2017年01月20日 10:17 | 返信

父が生活している老人ホームに、日本尊厳死協会の会報を「こういうのがあるんですよ」と言って差し上げてきました。小泉さんと長尾先生の対談が載ってる号です。・・・捨てられちゃったかな?
少なくとも何人かの職員は「知って」はくれたと思う。
自分の周囲の人達にそれとなく紹介していくってことが大事です。
それとなくっていうのがムズカシイ。

Posted by 匿名 at 2017年01月21日 02:27 | 返信

smapを解散に追い込んだ90歳の方もいらっしゃる。
つまり、
「超高齢の方は案外利己的」
なのだと思う。
それまでの経歴から、公正で誠実で間違いがないと思われる方も、
かたくなになっている部分はあるんじゃないかなと、思います。
橋田さんにわかっていただくのは難しいのかも・・・。

Posted by 匿名 at 2017年01月22日 07:25 | 返信

橋田さんは、「尊厳死」についてのリビングウイルについては承知のうえで、
「安楽死」の法制化を望んでおられるようですね。
ですが、「認知症になったと思ったらすぐ教えて」「一筆書くから」というようには、ことはうまく運びません。
生まれながらの「ぼけて寝たきり」の人は、意思能力がない。即処刑ですか。
「私は仕事もたくさんし、人生に後悔や遣り残したことはない」。
この達成感が本音なのか。ならば、他人をまきこみ優生保護法につながりかねないそんな法制化より、
あなた自身の意思で、象や空海のように「入滅」する作法など、いくらでもあるではないですか。

昨夜再放送のドキュメント『原発に一番近い病院。ある老医師の2000日』。
週一、81歳の院長に栄養ドリンクとせんべい1枚を渡す91歳の女性入院患者がいる。
「先生、大丈夫?」「大丈夫!」 
避難命令拒否、入院患者100人。近年は原発労働者の救急も受け付けているという。
院長。「検案書」ファイルをひらきながら、
「住み慣れた自宅で縊死するために避難先から還ってくる人がふえている」
と、つぶやく場面がある。
つい最近、火事で亡くなった。

橋田元脚本家にたずねてみたい。

Posted by 鍵山いさお at 2017年01月22日 03:42 | 返信

1月23日のお昼の2時くらいにBS1を見ていたら、韓国の現在の状況をレポートしていました。65歳以上の高齢者の自殺が多発しているそうです。それも大きな河に身投げをするので、海上警察が、常に見張っているそうですが、冬場は、亡くなられる方が多いそうです。
なんでも、十数年前に韓国経済が、大変な危機状態に陥って、IMFの指導を受け入れることになってから、物凄い福祉の切り捨てが始まり、経済格差がひどくなったそうです。
当てにしていた年金がもらえなくなり、生活保護も受けられず、何より軽蔑されることに耐えられない儒教精神から自殺する方がおおいそうです。
何やら日本人も、同じ道をたどることになりそうです。橋田寿賀子さんの「安楽死」も自殺の勧めの様にも取れるし、私自身も貯蓄が無くなれば、自殺するしかないなあと思っています。
尊厳死は平穏死であって、自殺や安楽死ではないと強調したいです。

Posted by 匿名 at 2017年01月25日 07:57 | 返信

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