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インフル診断キット市販を

2017年01月22日(日)

インフルが猛威をふるっている。
産経新聞・呼吸器シリーズ第1回はインフルについて書いた。→こちら
また、MRICに掲載された坂根先生の意見に大賛成である。
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産経新聞・呼吸器シリーズ第1回  インフルの季節
                咳エチケットで周囲にうつさない
 
インフルエンザが流行する季節になりました。当院においても日々、患者さが増えてきています。地域差がありますが本格的な流行期に入りました。しかし今からワクチンを打ってももう遅いし市場にはありません。今後はかからないようにする予防しか手はありません。今日はインフルに関する基本的知識を復習しておきましょう。

インフルの潜伏期間は1~2日ですが早い人では感染後半日位で症状が現れます。インフルは突然の38度以上の発熱と全身倦怠感や筋肉・関節痛が特徴です。長年町医者をしていると歩き方や表情ですぐに分かります。インフルを疑うとのどや鼻の粘液を採取して迅速診断キットにかけます。しかし感染後時期が早すぎるとまだウイルス量が少ないので陽性に出ないことがあります。また本当にインフルでもキットの性能で陽性に出ない「偽陰性」もあります。だから迅速検査を過信せずに臨床症状とあわせて総合的に診断します。

インフルの治療薬としては抗ウイルス薬であるタミフルの内服薬、リレンザやイナビルなどの吸入薬、ラピアクタの点滴などを使います。発熱期間を短縮して重症化を防ぐことが目的ですが、発熱後48時間以上経過していると既に自然治癒モードに入っているので意味がありません。タミフルは10代の子供さんには稀に異常行動が現れることがあるので慎重投与になっています。あるいは葛根湯や麻黄湯や麻黄附子細辛湯などの漢方薬も使われます。私自身は、よく寝ることが一番大切だと考えます。風邪やインフルのウイルスは過労や睡眠不足による免疫能の低下に乗じて入って来るので、休養が一番の薬なのです。

学校の場合は「発症5日を経過しかつ解熱後2日を経過するまで」、幼稚園や保育園の場合は「かつ解熱後3日まで」が出席停止と法律で定められています。発症後5日間は排出量が多く感染力が強いのです。その後も咳が残っていれば収まるまで休んでください。会社の場合には特に法律はありませんが学校に準じて考えて下さい。1回の咳で約10万個のウイルスが2~3mの範囲にまき散らされます。他人にうつす可能性があるのは発症前1日~発症後5~7日です。だから感染者はマスクなどの咳エチケットを心がけましょう。飛沫感染を防ぐには高性能マスクで口と鼻を横に隙間が無いようにしっかり覆い下さい。ウイルス粒子はとても小さいので通常の布マスクは通過するので不十分。マスクはもちろん毎日変えてください。またウイルスはドアノブなどに付着して接触感染もするので手洗いも励行して下さい。さらに部屋の湿度も50~60%を目標に保って下さい。

インフルが怖いのは特に小児や高齢者では引き続いて細菌性の肺炎(二次性肺炎)を併発する可能性があるからです。また集団感染に至れば社会システムに影響します。だから自分だけではなく家族や会社などの周囲のことも考えて対処することが大切です。これから受験シーズンです。抗ウイルス剤の予防投与が自費診療で認められていますが、不摂生があると免疫能が下がるかかり易いのも事実。どうか大切な日々をインフル感染で損をしないことを願っています。
 
 
キーワード インフルエンザ
インフルエンザウイルスによって起こる呼吸器感染症で小児と高齢者で重症化しやすい。咽頭ぬぐい液や鼻汁材料を用いた検出キットで短時間に判定ができA・B型の判別も可能。

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これではインフルエンザ・パンデミック推進国だ ~新型インフルエンザに備えて、感染を広げない教育を~
 
つくば市 坂根Mクリニック
坂根みち子
 
2017年1月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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インフルエンザが猛威を振るっています。
日本では、公休と出席(出社)停止期間の関係から、インフルエンザが疑わしければ必ず医療機関の受診を勧められてしまいます。
治療のための受診ではなく、実態は診断のための受診であることが多いのです。
そして、たとえ軽症であってもひとたびインフルエンザと診断されれば、大抵は抗インフルエンザウイルス薬が処方され、そのために抗インフルエンザウイルス薬の使用量は世界一と推測されます。安易な処方での薬剤耐性の問題も心配されています。
 
今年は鳥インフルエンザも多発しており、新型インフルエンザの出現につながらないか懸念が広がっています。
現在のやり方では、この先予想される新型インフルエンザに対応できず、パンデミックを誘発します。治療に専念すべき医療機関が診断を求める人でパンクし、医療関係者からまず多くの犠牲者が出るでしょう。
 
通常のウイルス感染症で大事なのは、
1.ウイルスを自分の体内で増殖させないこと。
2.人にうつさない行動をとること。
の2点です。
喉が痛い、熱が出た、節々が痛い、体がだるい。そういった症状が出たら、何かしらのウイルスが体に侵入して闘っているということを意味します。
それが、インフルエンザウイルスなのか、風邪のウイルスなのか(場合によっては細菌感染なのか)は、軽症の場合は区別がつきません。
要は、軽いうちに自力で抑え込めればいいわけです。
まめに水分を摂って、ウイルスの侵入経路である喉を潤すこと、よく休みウイルスを増殖させないこと、これにつきます。
併せて大切なのが、人にうつさない行動です。
先日来院した患者さんは、発熱し医療機関受診、通常診断のためには発熱から12時間は待ったほうが良いのですが、それ以前の受診となりインフルエンザ検査は陰性、医師にインフルエンザは否定できないと言われたものの、風邪薬を飲んで(見た目は解熱)学校の試験へ。
その後さらに熱が出て当院受診、インフルエンザと診断されました。
「ウイルスまき散らしましたね」といっても、ピンとこないらしく「はあ、僕はどうすればいいのですか?」という返事でした。「軽かったのでインフルエンザとは思わなかった」から仕事に、学校に行っていた、という患者が大勢います。結果として大流行の原因となっています。ウイルスはある程度体内で増えないと検査で陽性となりません。軽く済む人(不顕性感染)の人はたくさんいるのです。この人達も感染源となりますが、検査キットが出来たからと言って根掘り葉掘り検査するのは本来意味がありません。
 
会社も学校もとても休みにくいのは確かです。
インフルエンザに罹ったという証明、医療機関にかかったという証明がないと、追試や公休は認められないところも多いようです。
 
当院では、人にウイルスをうつさない対応を具体的に指導しています。
鼻水やくしゃみなど、自分から出る分泌物には、ウイルスがたくさん含まれていること、使用中のマスクも同様であること。それを触った手は、アルコールをしっかり擦り込んだ手で消毒してからでないと、人とのやり取りでウイルスをうつしてしまうこと、部屋は加湿して、ウイルスが宙を舞わないようにすること。あちこちに付いたウイルスは、それほど長時間感染力を持つわけではないが、しばらくは感染力があることなどです。特に子育て中の親は、家族内での接触が0に出来るわけではありません。具体的なウイルス対策を知らないために家族内感染が多発しています。
 
深刻なのは、医療関係者です。
医療の現場は人手が足りず、微熱がある、節々が痛いくらいで休めません。このくらいならと、無理して勤務することが多いのです。ですから医療機関での集団感染も後を絶ちません。
いくら「疑わしい時は休め」という建前論を唱えていても現状と解離しています。次善の策として、体調が今一つの時に出勤した時は、インフルエンザウイルスを体内に持っている前提で、マスクと清潔操作(一動作一消毒)を徹底させることです。これは一般の軽症患者にも通じることです。
 
今年のインフルエンザは、典型的な咽頭のインフル濾胞を認めることもほぼなく、ウイルスというのは少しずつ変異しているのだということを感じさせます。
今回の大流行は、ウイルス感染パンデミックの予兆かもしれません。
危機をチャンスととらえ、それに備えなければいけません。
 
診断については、大きな転換が必要です。
開業医の過剰地域では、この次期のインフルエンザの診断処方で、経営が成り立っているところもあるでしょう。日本医師会が動かないのも同じ理由かもしれません。薄利多売の医療システムに問題があるのは確かです。でも今は近い将来かなりの確率で訪れる致死性の高いウイルスに対するパンデミック対策の方がどう考えても重要です。
 
出来ることははっきりしています。
厚労省と日本医師会は、速やかに、インフルエンザ検査キットを市販するよう関係諸機関に働きかけて下さい。
診断は自分で、治療が必要なレベルの人だけ医療機関をご利用する、これだけでも医療機関の負担と感染のリスクはかなり減ります。会社と学校が求める「インフルエンザのお墨付き」も得られます。本来なら軽症で医療機関に受診する必要がない、検査する必要がない人はこれで用が済みます。
病を抱え、インフルエンザをうつされる恐怖を感じながら医療機関に通院せざるを得ない患者にも朗報でしょう。
 
学校、会社で早めの受診を勧めることは止めましょう。他の先進国では、インフルエンザが疑われる場合は受診を控えるように呼びかけているところも多いのです。
それより、自分の感染を悪化させないことためにどうすべきか(水分と休養)、感染拡大を防ぐためにはどのような行動をとるようべきかの教育をお願いします。私たちは日々患者さんへの啓蒙に努めておりますが、とても間に合いそうにありません。医療現場からの危機感を知って頂きたいのです。よろしくお願いします。

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この記事へのコメント

確かに…
どうして 市販のインフルエンザ検査キットがないのか不思議です
妊娠検査なんて 随分 前からありますよね

ほんとに…
病院の中は、いろんな菌とウイルスで いっぱいですね

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2017年01月23日 12:21 | 返信

こんにちは。
インフルで私のお友達のお子さんの小学校も
学級閉鎖のクラスが出始めているそうで登校時にも
マスクはマストアイテムになっている
との事。ママ達の間では今年は薬が
効くらしいという噂になってるそうです。

Posted by 匿名 at 2017年01月25日 01:04 | 返信

インフルエンザ検査キットは各社から多数の商品が発売されていますが、薬局では買えません。
数年前より臨床検査薬協会などがOTC化を目指して関係団体や行政に働きかけをしていますが、多くの商品の感度や特異度などの基本性能に差があったり、測定するタイミングや手技によっても偽陽性・偽陰性が見られます。これらのことが技術的に改善され誰がどの商品で測定してもほぼ同じ結果が得られるレベルにならないと実現は難しいと思います。同時にインフルエンザ薬のOTC化がされると更に効果は高いと思いますが、医薬連携や色んな問題が絡んで来ますので一朝一夕にはなかなかだと思います。

Posted by 匿名 at 2017年01月26日 02:11 | 返信

こんなに毎年大流行するのに、予防接種で重症化を防ぎましょうってのが不思議でなりません。どの型に感染しても使う薬は同じなら、自宅で検査してドラッグストアで薬も買いたいです。そして、予防薬としても使いたい。

Posted by なお at 2019年01月15日 12:12 | 返信

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