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心房細動の治療法

2017年04月09日(日)

産経新聞・不整脈シリーズ第3回は「心房細動の治療法」。
アブレーションと抗凝固薬という治療法、について書いた。→こちら
字数の関係で抗凝固薬の「やめどき」については書けなかった。
 
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産経新聞・不整脈シリーズ第3回  心房細動の治療法
                 アブレーションと抗凝固薬
 
 不整脈には3つのタイプがあります。脈がとぶタイプ、速いタイプ、遅いタイプです。脈が速いタイプの不整脈のひとつに心房細動があります。複数の電気信号がまったく不規則に発生し心臓の上半分の心房が細かく震えるように動くタイプで、脈拍数は1分間に60~100回です。自覚症状としては脈の乱れや動機やめまいがありますが無症状のことも多くあります。このタイプの患者さんは日本に約200万人とされていますが自覚症状が無い隠れた患者さんも相当数いると推定されています。加齢とともに心房細動の割合は増加します。町医者として長く同じ患者さんを診ていると、ある日突然、「あれっ、知らない間に心房細動になっているぞ」と気がつくことがよくあります。

 心房細動そのものは命に直結しませんが、心房細動がある人は無い人に比べて脳梗塞が5倍、心不全が4倍起こり易いとされています。心房細動があると心房内の血液がよどんで血栓ができて大きくなりがちです。この血栓が心臓から脳に流れ出てそこで詰まると脳梗塞(脳塞栓)を起こします。動脈硬化による脳梗塞と心房細動の血栓による脳梗塞(心原性脳塞栓)は、似ているようで病像がかなり異なります。心原性脳塞栓は一般の脳梗塞に比べて重症であることが大きな特徴です。半数は亡くなり、2割は要介護状態になり、社会復帰できる患者さんは3割程度しかいません。ですから悪性脳梗塞という言われ方もします。また長期間心房細動を放置していると、脈拍数が増加した状態が続くため心臓のポンプ機能が低下した慢性心不全に至り易くもなります。ですから心房細動と診断されたらまずは専門医を受診して適切な治療やアドバイスを受けることが大切です。

 心房細動の治療方針は大きく2つあります。ひとつは薬やカテーテル治療で心房細動をできる限り起こらないようにすること。心房細動が起こりにくくする抗不整脈薬を使い症状をやわらげます。あるいはカテーテル・アブレーションを行います。脚の付け根の静脈からカテーテルを挿入して左心房内の異常な電気信号の発生源に先端を当てて高周波電流で焼くという根本的治療法です。2015年からは高周波電流ではなく冷凍凝固を用いる方法も使えるようになり治療時間の短縮が可能になりました。ただし発作性心房細動に限られています。従来カテーテル・アブレーションは発作性心房細動に有効だが、慢性心房細動には有効では無い場合があるとされてきました。しかし最近は慢性心房細動に移行して1年以内であれば治療を試みることが増えてきました。高周波電流によって発作性心房細動を治癒せしめる確率は1回の治療で5~6割、2回の治療で8~9割です。かかりつけ医として診ている患者さんでも2回目でやっと成功した、という人が何人かおられます。

 さてもうひとつの心房細動の治療は心房細動を受け入れて心拍数を減らす薬や脳梗塞を予防する薬で管理することです。心房細動から脳梗塞を起こす危険性が高い人は75歳以上で心不全や高血圧や糖尿病のある人、そして脳梗塞の既往のある人です。これらに該当する人は抗凝固薬を飲んで脳梗塞を予防します。従来から使われてきたワルファリンに加えて2011年以降、新たに4種類の抗凝固薬が登場して広く使われています。
 
 
キーワード  抗凝固剤
現在ワルファリンに加えてダビガトラン、リバーロキサチン、アピキサバン、エドキサバンの4種類が使われている。脳出血のリスクが低く食事制限が不要などワルファリンの問題点が改善されるが薬価はワルファリンより高い。

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この記事へのコメント

尊厳死協会のLiving Will4月号 No.165で、密着リポート「介護難民43万人がさ迷う「2050年問題」を危ぶむと題する龍野哲郎氏のお話を読みました。お父様はかって新聞記者をなさっていた方で、83歳のころに大病を患って以降、脳梗塞の後遺症というパーキンソン症状に苦しんでいらっしゃるという一文が目に飛び込んできました。
私の母も祖母も不整脈に悩まされて、祖母もパーキンソン病になったと聞いていました。
母はペースメーカーを装着する事を拒否していましたし、ワーファリン等のお薬も胃が悪くなりました。父の葬式が済みますと2度めのヘルペスが出て、抗ヘルペス剤でダウンしてしまったことがきっかけで又しても介護保険のお世話になってしまうハメになりました。それで不整脈から脳梗塞になるとNHKの今日の健康で聞いていたので内科の在宅医に相談したことろ、市内に一軒しかなかった脳神経外科を紹介されました。
その脳神経外科で母は「あんたはアルツハイマーだ!」と頭ごなしに言われました。在宅医は「アリセプト3mgを飲んで10日服用したら5mgを飲んで貰う」と仰いましたが、胃が悪くなって3mgをハサミで切って1/4を時々服用していました。
その在宅医とは、私が「母は要介護1になったので、好きなケアマネジャーに代わって貰って良いですね?」お伺いしたところ「要介護1は地域包括支援センターのケアマネジャーです」と仰ったことから、話がこじれて、他のお医者さんに代わって頂きました。
その後私が介護支援専門員の資格更新研修を受けなければいけないので母をモデルにレポートを書きたくて市役所に母の主治医の意見書を取り寄せて頂きました。すると最初の主治医は快く「主治医の意見書」を送ってくださいました。それによると(母の主な病気)は「多発性脳梗塞」と書いてありました。その診断が、脳神経外科の診断だとすると「あんたはアルツハイマーだ!」と脅されないで、脳梗塞のお薬だけ出してくださっても良かったのにと思いました。
長尾先生のこのブログの通り、母は不整脈から多発性脳梗塞になったのでしょう。
そして母のパーキンソン症候群は、脳梗塞とアリセプトの両方が原因で徐々にひどくなったものでしょう。
祖母も晩年は認知症になっていたと叔父の後妻が言っていました。
私はその頃高校3年生の受験期で祖母の介護は母が一日おきに通いでしていましたので、よく知らないのです。祖母は1970年の秋に80代後半で亡くなりました。
人間陽明胃経と言いますか、一病息災とも申しましてまだまだ元気な状態を言いますけれど、厥陰心包経というと、もう人生の末期の病でありとあらゆる臓器が機能不全になるという事なのだなあと実感しました。

Posted by 匿名 at 2017年04月10日 02:17 | 返信

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