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2億円を超える賠償金が認められた
2017年05月27日(土)
三つ子緊急帝王切開訴訟で2億円を超える賠償金が命じられた。
危険性が高い三つ子妊娠でそのうちの一児が胎児死亡し残った二児を緊急で帝王切開後、
一児が脳性麻痺となり、医師の判断ミスが問われて2億円を超える賠償金が認められた。
危険性が高い三つ子妊娠でそのうちの一児が胎児死亡し残った二児を緊急で帝王切開後、
一児が脳性麻痺となり、医師の判断ミスが問われて2億円を超える賠償金が認められた。
高松地裁:帝王切開、判断不適切 日赤に2億円賠償命令(2015年4月22日)
「高松赤十字病院(高松市)が不適切な判断で帝王切開手術をしたことで、男児(12)に重度の障害が残ったとして、男児と両親が同病院を運営する日本赤十字社(東京都)に損害賠償を求めていた訴訟の判決が22日、高松地裁であり、福田修久裁判長は原告の請求通り約2億1100万円の支払いを命じた。
判決などによると、2003年2月3日、三つ子を妊娠し、妊娠30週目だった母親(当時29歳)が腹痛を訴え入院。同7日の診察で胎児1人が死亡していることが判明した。医師から「他の胎児に毒素が回る。至急手術する必要がある」などと説明を受け、その日のうちに帝王切開手術を受けた。生まれた2人のうち、1人は脳室周囲白質軟化症(PVL)と診断され、脳に重度の障害が残った。
裁判で、両親らは「胎盤の元となる『絨毛膜(じゅうもうまく)』がそれぞれ分かれている三絨毛膜の三つ子で、1人が死亡しても他の胎児に悪影響はなく、緊急に帝王切開をする必要はなかった」と主張。病院側は「三絨毛膜での子宮内で胎児が死亡した場合のガイドラインはなかった」と反論していた。
判決で、福田裁判長は「ただちに生存児の分娩(ぶんべん)を推奨する文献は見当たらず、様子を見るべきだった」と指摘。「帝王切開に踏み切ったことによる早産が理由で男児がPVLを発症し重度の障害が残った」と医師の注意義務違反を認め、日本赤十字社に賠償を命じた。(毎日新聞)
三つ子のうちの一児が胎児死亡した場合に、どういう方針を取るかについてのガイドラインはない。双胎のうち一児が死亡した場合で、特に胎盤が二つある双子である場合には、妊娠を続けることに問題がなければ、そのまま妊娠を続けさせるべきとされています。しかし妊娠30週で残った二児の救命のために緊急帝王切開することは十分に選択されるべきでしょう。脳に重度の障害が残った出生児は緊急帝王切開しなければ、体内で低酸素血症のため死産となった可能性があります。これでは周産期センターに勤務する産婦人科医は安心して日々の診療を行えないでしょう。
羊水塞栓症訴訟
常位胎盤早期剥離で胎児の心拍が確認できず帝王切開後、羊水塞栓に起因するアナフィラキシーによるショックの可能性があるが、妊婦死亡のため約7千5百万円の賠償命令が下った事例です。
妊婦死亡7千万円賠償命令 医師の過失認定、東京高裁 (2016年5月27日)
2008年に静岡厚生病院(静岡市)で帝王切開手術を受け死亡した妊婦=当時(24)=の遺族が、病院を運営する「JA静岡厚生連」(同)と医師らに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、請求を退けた一審静岡地裁判決を変更し、約7490万円の支払いを命じた。
富田善範裁判長は医師の過失を認めた上で「妊婦の死亡との因果関係があった」と判断した。
JA静岡厚生連の担当者は取材に「判決を確認しておらず、コメントできない」としている。
控訴審判決によると、妊婦は08年4月、陣痛を訴え来院。医師の診察で、胎盤が子宮壁から剥がれ、胎児は死亡していると分かった。帝王切開手術をしたが、妊婦は大量に出血し死亡した。
判決は「医師らは正確な出血量を把握しておらず、実際に輸血した量は極端に少なかった」と認定。その上で「妊婦は死亡率が高いと当時考えられていた羊水塞栓(そくせん)症を発症していた可能性があるが、適切に治療すれば救命できた」と判断した。
青山弁護士(原告弁護士)は「羊水塞栓症が関係する訴訟では、病院側に過失があっても患者側の訴えは退けられてきた」と説明する。発症すれば呼吸困難や意識低下に陥ることもあり「過失の有無にかかわらず、救命は難しい」と考えられてきたからだ。
過去には根拠を明示せずに死亡率を8割としていた文献もあったが、控訴審判決は「根拠がはっきりした全国調査の結果では、手術当時でも死亡率は20~30%にとどまる」と認定。その上で、今回の妊婦は、中でも治癒しやすいケースだった可能性があるとした。(共同通信社の記事より抜粋)
医療側に不利な判決が続出。(第一審の弁護士選定がカギ)
●三つ子緊急帝王切開訴訟の担当医はすでにお産のない施設に移っているようです。ガイドラインもない三つ子の一児死亡時の判断について、ここまで強引に責任追及されたら辞めたくなってもおかしくないでしょう。
●羊水塞栓症訴訟について、最高裁判所第二小法廷は病院側の上告を退ける決定をしました。病院側に約7千5百万円の支払いを命じ、2審東京高裁判決が2017年4月28日付けで確定しました。その当事者である病院は2016年の春についに産科の分娩取扱いを中止しました。
高額な賠償金のための準備が必要。
多胎などの2億円を超える賠償金のケースがこれからは増えていく可能性が高くなりました。
2億円以上の賠償金のために他の賠償保険に加入することが必要な時代となりました。
複数の医師賠償責任保険に加入が可能になりました。
『診療所賠償保険』に加入すれば他の同様な保険に、カルテを届ける必要がなく、弁護士を自分で指名できます。
『診療所賠償保険』
正式名称:「医師賠償責任保険(診療所賠償保険)」 保険会社:「東京海上日動火災保険株式会社」
賠償1事故2億円で保険期間1年で事例数は問わず、支払合計6億円までです。
*補償金額
開設者様(法人の場合には、法人も対象) 対人賠償:1事故2億円/期間中6億円(自己負担なし)
勤務医師 対人賠償:1事故1億円/期間中3億円(自己負担なし)
施設(病棟など) 対人賠償:1事故2億円/期間中6億円(自己負担なし)
施設(病棟など) 対物賠償:1事故5千万円(自己負担1000円)
医療従事者 対人賠償:1事故1億円/期間中3億円(自己負担なし)
優位性は以下の点です。
*医師会等の同様の保険に重複加入をしていても、万一の際には優先的に保険対応が可能で、第三者に情報が漏れることなく保険会社から直接アドバイスを受けることが出来る
*保険会社提携の医療事故に強い弁護士の斡旋を受けることが出来、弁護士選びがスムーズ。弁護士については、ご自身の顧問弁護士を使用することも可能
*診療所全体の包括した賠償保険であるため、勤務医はもちろんスタッフ全員を賠償事故から守ることが出来る
*診療所における施設管理における賠償案件も補償対象となっている
*医師協の保険は「勤務医師の往診は対応不可」であるが当該「診療所賠償保険の場合には、往診も対応可能」
*高額な補償金額(1名2億/期間中6億・保険料は184,480円)を設定できる
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たいへんな時代である。
訴えられた医者は逃げ出すしかない。
私も訴えられたら、逃げ出すだろう。
裁判になると医者の仕事ができないからだ。
医者を懲らしめて美味しい商売になるのは弁護士さんだ。
数年前、安楽死法を作ったオランダの弁護士さんと食事をした時、
彼はこう呟いた。
「医者と弁護士は協力して社会正義に貢献する存在だ」と。
日本の弁護士は社会正義というより目の前の利益を優先させている。
また日本の法律は「医療の不確実性」を知らないし考慮していない。
「そして、誰もいなくなった」
ではないが、
「そして、誰も危険なことには手を出さず、シミ取りかサプリ販売しかしなくなった」
という時代がすぐそこに来ていることを市民は知らない。
産みたくても産む病院が無い、という時代が来るかも。
ちなみに日本の産科医療のレベルは世界一だ。
しかし成功率100%には、絶対にならない。
現代の医者は患者さんのことももちろん大切だが、
「訴えられないこと」を第一に考えながら診療していることを、
患者さんはまったっく知らない・・・・
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この記事へのコメント
本件も裁判官の想像力の欠如ですね!
事後的に「様子を見るべきだった」と言われてもねぇ。
その場の判断が「明らかにおかしい」か「手技に尋常ではないミスがあった」とか。
あっ、ミスでも責任問題になるのはおかしいか?
医療関係者がリスクを取らなくなって、困るのは国民なんですけど。
Posted by トクメイ at 2017年05月27日 04:27 | 返信
産婦人科は、特に裁判で訴えられるのが、原因でお医者さんの数が少なくなっているそうです。
昭和の終わり頃は、経験豊かな助産婦さんと共同で経営している産婦人科もありましてけれど、現代は、不妊治療による多胎出産等、難しい問題もあるのでしょうね。
昔は、お産で亡くなられたお母さんが多かったですね。訴えるなんて話は聞かなかった。
命がけで生んでも、母親の地位は尊ばれているように思えなかった。
でも子供さんが障害を持って生まれて、長く生きていくのであれば、それは国家行政の支援が無ければだれも子供を産まなくなるでしょう。難しい問題ですね。
Posted by 匿名 at 2017年05月31日 11:22 | 返信
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