かつては私も「医療は病院を中心に回っている」と思っていた。
しかし今は「かかりつけ医」を中心に回ろうとしていると感じる。

地域住民にとっては、頼りにしていた地域の病院の倒産は悲劇に映るだろう。
しかしそれは国策によって意図された倒産である。

社会保障経済から見れば、病院は金食い虫なのだ。

急性期病院に患者が一人寝ているだけで、１日６万円かかる。
しかし慢性期病院であれば、その半分の３万円で済む。
そして在宅であればさらにその半分以下で済む・・・

治せる病気が減り、
治らない「老い」が急増する、超高齢化社会。

私もいくつかの病院に１１年間務めた。
そのころの病院には、活気があった。

開業して、白衣を着なくなり、おそらく１０年くらいになる。
外来と在宅の境が無くなってから白衣が必要無くなったのだ。

「かかりつけ医」になりたくて医者になったのだから、希望どおりに進んでいる。
「町医者」になりたかったので「町医者」を名乗っていたら、仲間が増えてきた。

かかりつけ医にとって通えなくなった人への在宅医療は当たり前だと思う。
しかし入院からの在宅提案に賛成する医師が３割しかいないのが、現実だ。

夕張は病院の倒産で、市民は幸せになったという。
豊岡市も病院が減ったので相対的に在宅看取り率が日本一になった。

病院淘汰のあとは、診療所淘汰の時代が来ることは間違いない。
地域包括ケアに参画する病院と診療所だけが生き残ることができる時代はすぐだ。

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急性期中小病院の倒産や公立病院の赤字増大
に関する報道が相次いでいる。


●群馬循環器病院が倒産、負債総額約14億円
　医療法人群馬循環器病院　群馬県高崎市
　　2017年7月1日 (土)配信東京商工リサーチ


●県立病院、赤字６６億円　小児センター移転が影響
　　埼玉県立４病院（循環器・呼吸器病センター、
　　がんセンター、精神医療センター、小児医療センター）
　　 2017年7月3日 (月)配信埼玉新聞

●東京の病院、再度の資金ショート　負債総額7億円
　（医）社団桃栄会　東京都板橋区
　　　2017年7月4日 (火)配信東京商工リサーチ

●医療法人社団誠広会
　平野総合病院・岐阜中央病院を運営
　岐阜市北西部地域の有力医療機関
　民事再生法の適用を申請
　2017/06/20（火）
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4339.html

負債87億円

医療法人社団誠広会（資産の総額0円、岐阜市黒野176-5、理事長平野恭弘氏）は、
6月19日に岐阜地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。


当法人は、1970年（昭和45年）10月創業、80年（昭和55年）9月法人改組した。
岐阜市内の「平野総合病院」（199床）、「岐阜中央病院」（372床）の運営を主体に、
「介護老人保健施設岐阜リハビリテーションホーム」「岐阜中央病院訪問看護ステーション」
「岐阜市在宅介護支援センター平野」「岐阜市地域包括支援センター岐北」といった
老人介護保健施設の運営のほか、訪問看護や在宅介護なども手がけていた。
長年にわたって岐阜市北西部地域における有力医療機関として認知され、
地域に根ざした医療および介護サービスを提供、
2011年3月期には年収入高約88億5700万円を計上していた。

しかし、医療機器の導入などの設備投資によって金融依存度の高い運営が続くなか、
近時は地域病床数の増加や医師不足の影響もあって業容は低迷。
2016年3月期の年収入高は約76億4200万円まで落ち込み、2期連続の最終赤字を余儀なくされていた。
年商を上回る有利子負債の負担が重荷となり、債務超過に陥っていたことから自力再建を断念した。

負債は約87億円。

なお、金融機関からの資金支援や医療コンサルティング会社からの人的支援を得て、
再建を目指す方針。事業は通常通り継続中。