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「オープンダイアローグ」という「魔法の鍵」
2017年09月11日(月)
医療拒否の統合失調患者さんを、2週間毎の日曜日に訪問診療している。
必ずご家族と待ち合わせて、一緒に食事やおやつを食べながら語りあう。
辻褄が合わない事を言ってもスルーして、一緒にギターを弾き歌を謳う。
必ずご家族と待ち合わせて、一緒に食事やおやつを食べながら語りあう。
辻褄が合わない事を言ってもスルーして、一緒にギターを弾き歌を謳う。
常に「オープンダイアローグ」を意識しながら、1時間以上そこで過ごす。
こんな地道な介入を半年続けているうちに、少しずつ信頼を得て変化する。
主治医がいないと、障害年金やホームヘルプなどの書類に困る。
実際、さまざまなトラブルが起こりその都度相談にのっている。
妄想出まくりでも他人に迷惑をかけなければ問題無い。
人間らしく笑って人生を楽しめれば、それでいい。
そんな言葉は使わないが、一緒に傾聴し家族とともに受け止める。
通院できない統合失調症の人には、こうした手法が効果的である。
訪問診療をする精神科医(アウトリーチという)は、全国でもほとんどいない。
だから御縁あって相談に来られた人と関わることになるが、波乱万丈ではある。
「オープンダイアローグ」は認知症の人にもがんの人にも使えると思う。
まさに「魔法の鍵」だと思って実践すると、思いがけない変化が表れる。
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http://www.huffingtonpost.jp/nobuto-hosaka/open-dialogue_b_8635268.html
「ひきこもり」に悩む当事者と家族を対象とした講演会や、若者支援をテーマにしたシンポジウム等でお会いしている精神科医の斎藤環さんの近著『オープンダイアローグとは何か』(2015年6月・医学書院刊・斎藤環著・訳) が大きく反響を広げています。私が手に取ったのは9月に入ってからでしたが、読み始めると止まりませんでした。11月の半ば、この本について、斎藤環さんに質問を交えてお話を聞く機会を得ました。ここに、紹介してみようと思います。
私はこれまで「いじめ」「不登校」等によって、子ども時代に深い傷を受け、長期にわたって苦しんでいる若者たちや、その親たちと会ってきました。教育ジャーナリストとして、少年少女の読む雑誌の連載で、繰り返しこうしたテーマを取り上げてきた時期が、80年代半ばからの約10年間でした。手紙や面談で相談に応じた若者たちの多くが長期にわたる精神科の治療を受けていましたが、それで苦悩や混乱した状態が緩和することはあっても、事態を好転させることは本当に難しいと実感してきました。
斎藤環さんの紹介する「オープンダイアローグ」は、そんな私を驚かせるに十分な内容でした。家族と共に専門家チームとの対話を重ねることで、治療の難しい統合失調症のクライアント(患者)でさえ危機的状況を抜けることが出来て快方に向かうというのです。
オープンダイアローグは「開かれた対話」と訳される。フィンランド北部・西ラップランド地方にある精神科病院で1980年代前半から行われ、主に統合失調症の急性期の患者を対象にした精神療法だ。公的医療制度の対象にもなっている。治療では、患者と主治医だけでなく、家族や友人・知人、看護師らを交えてミーティングを開き、対等に意見を述べ合う。統合失調症の症状である妄想や幻覚、意欲の低下などの体験を語ることもタブーにしない。(毎日新聞 2015年08月30日 精神科医・斎藤環さん「オープンダイアローグとは何か」 妄想、幻覚 対話で抜け出す)
この治療法を導入した西ラップランド地方では、「今までの常識がひっくり返る数字が明らかになった」「これらの数字が事実なら、それはほとんど『魔法のような治療』と呼んで差し支えない」(斎藤環さん)といいます。「これらの数字」とは以下のようなものです。
統合失調症の入院日数は19日間短縮されました。薬物も含む通常の治療を受けた統合失調症患者群との比較において、この治療で服薬を必要とした患者は全体の35%、2年間の予後調査で82%は症状の再発がないか、ごく軽微なものにとどまり(対照群では50%)、障害者手当を受給していたのは23%(対照群では57%)、再発率は24%(対照群では71%)に抑えられていたというのです。(「オープンダイアローグとは何か」11ページ)
オープンダイアローグは、フィンランドの西ラップランド地方にある精神科病院であるケロプダス病院で、すでに80年代の前半から公的医療として提供されています。いったいどのような治療法なのか、先の斎藤環さんのインタビューに戻ってみましょう。
オープンダイアローグの特長は、「比較的誰にでも実践できるシンプルな方法で、薬物や入院などの強制的処遇の必要性を減らせること」と説明する。「妄想というのは『モノローグ(独白)』。頭の中で一人で考えを膨らませていく」。患者を「独白」から抜け出させるのが、周囲との対話だという。
例えば、妄想を語る患者に、周囲が「私たちは想像がつかない。みんなに分かるように説明してもらえませんか」と語りかけ、患者は自分の体験を日常用語で説明しようと試みる。その話に、周囲がまた応じていく。一方的ではない「ダイアローグ(対話)」を重ねること自体が、症状の改善につながるという。斎藤さんは「妄想という強固な建築物が、みんなで共有しようとした瞬間に崩れ去ってしまう。私自身も、そうした例を見てきている」と話す(前出 毎日新聞)
妄想はモノローグ(独白)によって構築され強化され、ダイアローグ(対話)を通じて共有をはかり解消に向かうという構図にハッとさせられました。妄想という構築物を外側からガンガン否定し攻撃するのではなく、その骨組みを対話の場に提出してもらうことで変容が始まる...私にもいくらか思い当たる経験があります。
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昨夜は、ひと晩じゅう携帯が鳴った。
看取りも2件。
帯広に行く前日もひと晩中、往診などで寝ていなかった。
なぜに出張の日は、あまり携帯が鳴らないのか不思議だ。
睡眠不足でその理由を考える力が無い。
しかし夜、暗くなると目が覚めてくる。
要は、昼夜逆転。
問題行動だなあ。
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この記事へのコメント
『「オープンダイアローグ」は認知症の人にもがんの人にも使える』
まったく同感です。
認知症は、健常人が、本人と同じ目線で対話を継続できれば、薬物を使用するよりはるかに進行を遅らせることが可能だと思います。
でも、誰が、患者本人と対峙するのですか?
医師がそんなことに時間を割くのですか?
長尾先生も、同様の患者さんが増えて来たら困るでしょう?
2週間に一度、30分も1時間も、一人の患者のために時間を割いて、10人、100人になったらどうなさいますか?
認知症患者にとって「快適な」「心地よい」「自分を認めてもらえたと感じる」対話を継続することは、通常の健常人には苦痛です。
認知症患者が親や夫で、健常人が子供や妻である場合には、悲劇となる。
認知症であっても、親の子に対する(夫の妻に対する)「支配欲」はむしろ強くなるから、子供は(妻は)、まるで認知症の親や夫の奴隷のように彼らの機嫌を損ねないように生活しなければならない。
認知症や精神病は遺伝だとか、感染するなんてアホなことまで言ってる人達がいるけど、遺伝でも感染でもなく、家族介護を押し付けられた健常な家族が、懸命な介護をすればするほど自らの精神を壊していくだけのことなのです。私の母も、そうでした。そういう生き方を、教え込まれた世代。
患者に寄り添う仕事を、どうか、家族に押し付けないでください。
現在の制度で、オープンダイアローグに一番近いのは「カウンセリング」と言われている行為だと思います。
これは臨床心理士が対応していることが多いようですが、保険対象ではないので50分で1万円程度が相場だとか。
毎週お願いすると月に4万円を支払うことになる。
一般人には簡単に払える金額ではありません。
私は、父の症状が意味性認知症ではないかと感じています。
でもやはり、おクスリ大好きな精神科医に診せるつもりはありません。
もう90歳なので、認知症が進行するより心不全が進行してほしい。
クスリを使わずに次のような対応を保険内で実行している組織があればいいな、と、心から思います。
大阪市のHPからSD(意味性認知症)ケアのポイント
『認知症の医療・介護に関わる専門職のための「前頭側頭型認知症&意味性認知症」こんなときどうする!』 9ページ目
http://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/cmsfiles/contents/0000212/212765/ftd.2016.pdf
① 減っていく言葉の数にとらわれないで、感情をのせた声かけを大切にしましょう
病気が進行していくと「わかりません。わかりません。 ・・」と同じ語の繰り返しが多くなります。
たとえ話の内容がわかりにくくても、本人の発話意欲を尊重して、周囲はそれに全身で応えようとする姿勢が大切です。言葉そのものよりも声の調子や表情で伝わるものが大きいので、場面を共有しながら、感情のこもった声かけを続けていくことが、コミュニケーション意欲を維持し、発話行為そのものを引き出す手段となります。
② 大いにしゃべりましょう
話すことと食べることは、同じ口腔内器官を使います。舌や唇などは、発話と食事に共通したとても細かい動きをしています。動かさないと足腰が弱るように、使わないために口腔内器官が弱ることがないよう声をかけておしゃべりを促しましょう。
③ 時間や内容を示すイラストや写真入りカードを活用しましょう 得意な活動を探り日課にして習慣化することが大切です。手続き記憶を用いた活動や、計算・パズ ル・音読・模写・歌などに集中できる方も多く、継続することで生活の安定を図れます。言語を利用 した活動の促しは理解が得にくいので、イラスト・写真などで視覚認知に訴える工夫も必要です。
クスリを使わずにこのような「病状の進行を遅らせる治療」を行ってくださる機関が、できればいいな。
Posted by やっぱり匿名 at 2017年09月11日 03:09 | 返信
オープンダイアローグ、「開かれた対話」。
圧力、圧力、最強の圧力。
メキシコ政府が、核実験に抗議して、北朝鮮大使を追放。
日本の被爆者とともに、国連核禁止条約を推進した国です。
半世紀もまえに、南米核禁止条約を成立させました。
今、巨大地震に襲われ、多数の人々が埋まったまま。
日本は、ただちに国際救援部隊として自衛隊を派遣したいところです。
かつてキューバ危機のとき、
嘉手納、那覇、辺野古の3基地に、1300発の核ミサイルがあり、
ホワイトハウスから、発射準備命令がくだった。
いま、どうなっているのか。
アヘ・トランプの日米同盟は、「核戦争」をもてあそんでいる。
保育園児に防空頭巾をかぶせて、ほくそ笑んでいる。
46都道府県に、パック3配置、
イージスなんとかを、価格不詳で、来年度予算に計上。
いよいよ「戦時国債」の時代か。
国民は、もっぱらお上の「指示待ち」。
「憲法という岩盤」にドリルで穴を開ける、絶好のチャンス到来。
近代の日本で、国家により民の命が守られ、尊厳されたことは、いちどもない。
Posted by 鍵山いさお at 2017年09月11日 06:21 | 返信
過去の著名人…
どんな方も みなさま命がけですね
長尾先生も歴史的偉人としてノコル先生だと信じています
ですが…
そう簡単に潰されないでくださいね…
お願いですから 身体を大事にしてください
Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2017年09月11日 10:49 | 返信
オープンダイアローグの効果について検索していたら、こちらの先生のブログにたどり着きました。
50歳にして臨床心理を学んでおりますが、オープンダイアローグには注目をしておりました。高次脳機能障害からアルツハイマー型に移行している母の介護をして6年目、どう対応してたらいいのか、疲れています。
Posted by ゆっきー at 2020年03月05日 02:40 | 返信
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