このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com

誤嚥性肺炎や窒息訴訟にどう向き合う

2017年10月03日(火)

医療タイムス10月号は『誤嚥性肺炎や窒息訴訟にどう向き合う』で書いた。
今、日本中でたいへんな事が起きている。→こちら
裁判官には、少しでも医療や介護について勉強して欲しい。

2つの応援
クリックお願いします!
   →   人気ブログランキングへ    →   にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ
 
 


医療タイムス10月号   誤嚥性肺炎や窒息訴訟にどう向き合う
 
 介護施設や病院における誤嚥性肺炎や窒息に関する訴訟が増えている。自分で食べて窒息した場合や嘔吐物の窒息や食事介助時の窒息などがある。80代、90代の高齢者が誤嚥性肺炎死や窒息死して訴えられると1500~2500万円程度の賠償命令ないし和解金が報じられている。では自宅で誤嚥性肺炎や窒息した場合はどうだろうか。思わず在宅スタッフが訴えられる「在宅訴訟」という言葉が浮かんでしまう。

 最近、全国各地で老衰や認知症終末期における摂食嚥下ケアに関する講演会が開催されている。徐々に口から食べることができなくなった時、人工栄養の是非が話し合われる。具体的には胃ろう栄養や高カロリー栄養などの適応であるが、そうした延命治療を望まない高齢者が増加している。しかしリビングウイルとして文書に書き残していないと本人の意思に反して家族の意思で人工栄養が実施される場合が少なくない。なかには親の年金に依存している子供世代もいる。望まざる家族介護やその基盤となる経済状況を考慮したとき、親の年金に依存する子供世代を責めることができないケースもある。つまり人工栄養の増加の根は想像以上に深い。一方、「平穏死」や「尊厳死」という言葉の意味を理解している子供世代はまだまだ少数だ。だから親が亡くなれば、犯人探しが始まる・・・

 老衰や認知症終末期における誤嚥性肺炎や窒息への対応が具体的に議論される場は意外に少ない。倫理的検討も必要なので、医療界も介護界もこうした微妙な命題を避けてきたようだ。「最期まで口から食べる」ことの推奨は、とりもなおさず誤嚥性肺炎や窒息リスクの許容しているはずだ。しかし敢えてその点に触れないまま美談に終始してきたのではないか。誤嚥性肺炎や窒息は本当に医療・介護スタッフの過失なのか、それとも生命の終焉として仕方が無いことなのか。筆者は後者と考えるが、こうした議論はまだ決して充分ではない。いくら厚労省や老年医学会が「延命治療の非開始」を容認するガイドラインを提示しても、医療・介護の現場では家族の希望や訴訟圧力に屈しざるを得ない。誤嚥性肺炎や窒息で子供から訴えられた時に、終末期ガイドラインは医療・介護スタッフを決して守ってくれない。大きな和解金額はそのまま、終末期ガイドラインと司法判断の解離を物語っている。最期まで口から食べるという美談は、医療・介護の現場においてはかなりハードルが高いと感じているのは私だけか。

 人生の最終段階の医療に関する勉強会においては、アドバンス・ケア・プラニング(ACP)花盛りである。高齢者が10人集まれば10人ともが「最期まで口から食べたい。延命治療は希望しない」と答えるのが昨今の傾向である。しかしご家族や多職種やご近所さんの同意を何度も得ておかないとACPはとうてい叶わない。このような状況の中、在宅医療に参画している医師は摂食嚥下裁判の判決結果を吟味すべきではないだろうか。地域包括ケアを謳う医師会は率先して、たとえリスクがあっても最期まで口から食べる喜びや尊厳を啓発すべきではないだろうか。「最期まで食べる」という文化の醸成に参画することが今後の診療所経営のひとつの柱になると考える。自分が医業を営む地域を安心して食支援ができるという文化に変容させることも開業医の仕事だろう。
 
 

2つのランキングに参加しています。両方クリックお願い致します。皆様の応援が日々ブログを書く原動力になっています。

お一人、一日一票有効です。

人気ブログランキングへ ← 応援クリックお願い致します!

(ブログランキング)

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ ← こちらもぜひ応援クリックお願い致します!

(日本ブログ村)

※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

介護施設で生活している父の身上に、最近、
明らかに看護師の怠慢というべき出来事があった。
看護師の怠慢であるが、施設の体制、隠蔽体質の問題でもある。
看護師や施設側に、謙虚な反省の色は、まったく見られない。

小さなことの積み重ねが、訴訟に発展するのだと思う。

医療機関も介護施設も、それなりの保険をかけているはずなので、
賠償金や和解金は、施設側のふところが痛むわけではないけれど、
高額賠償金が当然となってくると、保険会社も保険料を上げるだろうし、
施設側と家族がつるんで高齢入居者を窒息死させる保険金詐欺のような犯罪も出てくる。
賠償金や和解金無しで、施設側が、
新聞やTVなどの公共媒体に経過報告、謝罪広告、ならびに今後の業務改善計画、
その業務改善計画の進捗状況を一定期間、掲載するというのはいかがでしょうか?

父の件について、私が求めているのは施設の体質改善であります。


Posted by 匿名 at 2017年10月04日 01:53 | 返信

自分の口から食べる、には二通りある。
一つ目は、箸やスプーンを使って、あるいは手づかみでもいいけど、自分で食べ物をキャッチして自分の口へ運ぶ。
二つ目は、自分以外の人に食べ物を口の中へ入れてもらって、口の中に入れてもらった飲食物を(噛める人は噛んで)飲み込む。
この二つ目にはまた二通りある。
アタマはしっかりしていて意思疎通もできるが腕や指の機能に問題があって自分で食べ物をキャッチして口まで運べない場合、これは、食事介助する側もそれほど神経質にならずに済む。
問題は、食べ物をキャッチできず意思疎通も怪しい、けれども、食べ物を口に入れてあげると食べ物だとわかって「食べる意欲がある」場合。これは、上手に食事介助しないとムセたり誤嚥したり窒息したり、する。⇒ 欧米ではこの場合には、もう、食事介助しないのだと聞いています。

どう、なのでしょうか。
呆けていて自分一人では食べないけれど、口の中に入れてあげると食べる、状態の人への食事介助に人員を割くことが、将来的に可能なのでしょうか? その、食事介助のテクニックを磨くことが、税金を使って為すべき医療・介護なのでしょうか?

それ以前に、老衰ではないにもかかわらず自力で食べる能力が衰える理由は、向精神薬・抗認知症薬・睡眠薬・鎮痛剤等々をたくさん服用してきたからです。
多剤大量処方が、老衰ではないにもかかわらず自力で食べる能力が衰える悲しき末路へ導きます。

Posted by 匿名 at 2017年10月04日 02:26 | 返信

老父が介護施設で生活しています。
最近、施設側の業務怠慢について話し合うことが多いです。
埒が明かないので市役所の介護保険担当職員に経過を話しました。
「問い合わせることはできる」というので問い合わせてもらいましたが、
「中に入ることはできない」。
理由は「改善の努力をしている」ので、それ以上を要求しようがない。
具体的にどういった「改善の努力をしているのか」を明示してほしいと言ったところで、
経営上・運営上の内容を公開する義務は無い。

増え続ける「訴訟の芽」は、日常介護の些細な「手抜き」に存します。
日常生活介護の些細な「手抜き」をする前提で、人員配置を決め、その分を利益計上に組み入れている。
この経営姿勢が変わらない限り、医療・介護訴訟は増え続けます。

現在、医療・介護業界は経営者側のやりたい放題。
医療・介護業界の経営者は保険が生きている間にむさぼりつくす思惑。「今のうちに稼いでおこう。」
入居者の安心安寧はどうでもよい奴らが経営している。
末端の直接介護職員は低賃金重労働で疲弊しいなくなる。
経営者のような頭でっかちばかり残って給料の奪い合い。
その給料には血税が含まれているのに。

市役所の職員も同じ。
自分の給料のために役人になる。
サ高住と介護付き老人んホームの違いさえわからない低レベルの高齢課職員ばかり。
すべて他人事。
困っているのは他人。
自分は給料さえ取れれば良いと。

Posted by 匿名 at 2017年10月05日 07:57 | 返信

看護師資格を持った人が、目やにべっとりの上から点眼しているのを目撃しました。思わず、それじゃ駄目でしょ、あなたはどこの学校の何先生に習ったのか?と単刀直入に質問してしまいました。彼女は慌てて私から逃げていきました(笑)。国家試験に合格し、一応どこかの病院で初期訓練を受けたはずですが、実際の勤務態度など、この程度です。

知らぬ間に多剤投与になっていました。同じ作用を持つ薬を3種、4種と併用しており、しかも効果が現れていない。直ちに止めるよう申し入れをしただけでなく、今後、実行したかどうか、厳しくチェックしていく予定です。

その後、複数の介護士、ケアマネ、生活相談員いろんな方々とお話しする中で、ずっと以前から小さな事故(and/or本人の老化)を繰り返していた事実が判明しました。しかし、私には何一つ伝わっていないかった。施設側の公式説明は、全く違うストーリーに仕上がっている。

以前は信用して預けていて=放置プレーしていたのですが、もっと頻繁に訪問し、たくさん質問して相手に答えさせ、介入しなければいけないという考え方に変わりました。頻繁に介入するためには、自宅か職場近くの施設を選ぶ必要があります。

Posted by 通行人 at 2017年10月07日 01:58 | 返信

コメントする

                                               

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

このたびURLを下記に変更しました。
お気に入り等に登録されている方は、新URLへの変更をお願いします。
新URL http://blog.drnagao.com


過去の日記一覧

男の孤独死

痛い在宅医

歩き方で人生が変わる

薬のやめどき

痛くない死に方

医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣

認知症は歩くだけで良くなる

がんは人生を二度生きられる

親の老いを受け入れる

認知症の薬をやめると認知症がよくなる人がいるって本当ですか?

病気の9割は歩くだけで治る!

その医者のかかり方は損です

長尾先生、近藤誠理論のどこが間違っているのですか

家族よ、ボケと闘うな!

ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!

抗がん剤 10の「やめどき」

「平穏死」10の条件

胃ろうという選択、しない選択

  • 長尾クリニック
  • Dr.和と一緒に仕事をしませんか?
  • 長尾クリニックメールマガジン まだまだ知らないDr.和情報がてんこもり!
  • にほんブログ村 病気ブログ 医療・医者へ

  • 尼崎市の訪問看護ステーション

  • ケアマネセンターながお

  • 一般社団法人日本尊厳死協会関西支部