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グループホームと家族の連携
2017年10月12日(木)
グループホーム協会の雑誌「ゆったり」にも連載をさせて頂いている。
10月号には、「グループホームと家族の連携」について書いた。→こちら
いろんな工夫をして、9割以上の人をグループホームでお看取りしている。
10月号には、「グループホームと家族の連携」について書いた。→こちら
いろんな工夫をして、9割以上の人をグループホームでお看取りしている。
ゆったり9、10月号 「家族とどう連携するか」
(Q)いつも入所者さまのご家族とどのように連携するか悩みます。特に終末期になるとクレームが心配です。ご家族との連携に関して何かコツのようなものがありましたら教えて下さい。
(A)グループホーム入所者のご家族との連携は、私たち在宅医にとっても大きな課題です。毎日のように来て頂ける場合はコミュニケーションが取り易いかと思いますが、なかなか会えない家族の場合、とても困ります。遠方や多忙で来られない場合や、関係性が希薄な家族など様々な理由があるのでしょう。いずれにせよ、あまり連携できていな家族の場合の特徴を把握しておきましょう。1点目は「お金を払っているから充分にやってもらって当たり前」という意識が強いことです。2点目は「終末期になるとクレームや入院希望が出る」ことです。
1点目の「お金を払っているから」という上から目線の賀族には、普段からさまざまなツールで連絡を取ることが大切。よくデイサービス事業者が写真を添えた簡単な報告書を持たせて帰宅させますが、それを真似ましょう。普段の落ち着いている時の笑顔をしっかり写真に撮り、プリントアウトして簡単な手紙を添えて郵送してはどうでしょか。あるいは入所時にメールアドレスを聞いておき、こまめにメールで写真も添えて報告してみてください。一般の会社ではよく「ほうれんそう」と言われます。何かあれば上司に「報告、連絡、相談」することです。実はこれはグループホームと家族との連携にも言えることだと思います。なかでも「相談」が大切で、なにかとスタッフと主治医だけで決めてしまいがちですが、何事も家族に相談しているという実績を重ねることが大切です。認知症になっても本人の意思を尊重することが大切ですが、必ず自己決定できない状態に陥ります。それを見越して小さなことでもメールなどで相談をするというプロセスを重ねることで自然と連携が深まるのではないでしょうか。
次に2点目の「クレームや入院指示」についてです。遠方に住んでいて普段あまり来られない家族の心には必ず大なり小なり来ていないという「負い目」があります。それがイザ急変したり、徐々に看取り期に移行した場合などに「クレーム」や「なんとなく入院希望」という形で噴出してこちらも慌てます。クレーム回避はグループホームにとっての最大の課題でしょうが、1点目で述べた小さなコミュニケーションを地道に重ねていると介護訴訟も予防できるでしょう。
家族に「最近、徐々に口から食べる量が減った」と報告すると、必ず「入院」や『胃ろうや点滴』の希望が出てきます。これは医療の領域ですから主治医にしっかり相談に乗ってもらうしかありません。たまにしか来られない家族であっても来られた時には必ず、主治医にも会ってもらって下さい。できればケア会議のようなものをホームで開いてください。終末期の意思決定支援プロセスを行うためです。本人・家族の意思を尊重した終末期医療を提供するために必須のプロセスです。
最近、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が盛んに論じられています。アドバンスとは「あらかじめ、元気なうちに」という意味です。ギリギリになって話し合いの機会を持っても信頼関係が構築できていなかったり、パニックに陥っていたりで冷静な判断ができません。ですから比較的元気なうちから「もしも」の時のシミュレーションをみんなでしておくことが大切です。「もしも」とは老衰で口から食べられないとは限りません。「転倒して大腿骨を骨折した時」や「誤嚥性肺炎を繰り返して治療しても効果が無くなった時」や「安定しているが部屋に入ったら虫の息になっていた時」など様々なシチュエーションを想定して机上訓練のようなことをしておくことが大切です。「縁起でもない」と怒る家族もいるかもしれませんが、「いや、よくあることですから念のため想定しておかないと」と説明してください。当院では主治医が本人に様々な希望を聞いてそれを携帯のビデオに録画してDVDに焼いて家族に郵送しています。肝心なことはそうした予想される変化に対する対応策を平時から一緒に練っておくことです。
そして、こうしたやりとりこそしっかり記録に残してください。医療・介護はすでにACPの時代に入りました。みんなで複数回の話し合う機会を持ち、家族も主治医も、そしてグループホームも「覚悟」を持つことが大切です。目の前の雑事だけではなく、イザその時になってから慌てないための準備をしておくことも「家族との連携」に大切なことだと思います。私たちは在宅患者さんと普段からそうしていますが、ホームのみなさまも積極的に加わってください。もし可能ならICTを利用してみんなで情報を共有する工夫もしてください。そのような経過を経て「老衰での平穏死」にしっかり寄り添ってください。
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この記事へのコメント
グループホーム側の方たちの心配事がわかり、貴重な記事でした。患者家族との連携にかなり気を遣われているようですね。こういうグループホームはしっかりしている印象を持ちました。
Posted by CASIO at 2017年10月12日 06:38 | 返信
時々愛犬を連れてグループホームを訪問しています(アニマルセラピー)
犬をひざにのせて最高の笑顔になる利用者さんを、職員さんはせっせと写真に撮っています。
忙しい介護のあいまに家族さんにも気を遣う・・たいへんですね。
Posted by 森のゆりさん at 2017年10月12日 08:26 | 返信
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