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ショート先からの救急搬送

2017年10月22日(日)

ある夜、一睡もきないまま、翌日の業務にがんばっていた。
午前3時からある特養のショートステイ担当ヘルパーからの
電話が続き、睡眠リズムから完全に逸脱してしまったからだ。
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最近の特養は、「何かあれば全て全て119番」と内部で決められている。
嘱託医の負担軽減と訴訟回避のためであるが、救急側の疲弊が心配である。

ショートステイ中の患者さんも、なにかあれば自動的に119番である。
患者や家族の意向ではなく、あくまで特養内部での決めごと、だという。


そもそも、在宅患者さんだけがショートステイとは限らない。
外来患者さんがショートステイや、ロングショートになることも珍しくない。

在宅患者さんは在宅医が搬送先を探して交渉しないといけない。
しかしショート中のかn患者さんは119番をするだけで搬送先を探さなくていい。

以下、午前3時の電話のやりとり。

ショート先「○○さんの様子がおかしいので、119番するかが許可を頂きたい」


私「はあ、救急搬送は誰の判断ですか?」

ショート先 「施設の方針だし、施設の看護師からの指示です」


そもそも、外来患者さんなのに、なぜ私の携帯を知っているのか?

その特養の壁に「長尾クリニックは救急搬送にうるさいので」
と貼ってあるからだ、と聞き複雑な気分になった。

「うるさい」とではなく、医療の世界では、「単に119番」はなくて、
病気に応じて病院の連携室や医師と連絡を取り、診療情報を提書するのが大原則。

だから「救急搬送は誰の意思か?」を確認するのは当然と考えていた。
しかしよく考えてみると。

開業医や在宅医は、搬送先との交渉が義務づけられているが、
介護の世界は、「なにかあれば119番」でいいのだ。

まるでドラエモンのポケットのように、なんでも119番が介護の常識で
「誰の権限?責任?」という発想は一切無いと聞き、とっても驚いた。

ケアマネさんが主治医に連絡せず、勝手に119番することもいくらでもある。
医療と介護、さらに言うと医師とケアマネの連携ができていないためである。

また施設と救急医療の連携も大切な課題、と感じた。
「救急搬送というい医療行為」の意思決定プロセスが無いことも課題だ。

それを議論するために在宅救急研究会を作ったのだが、
残念ながら救急医学会の関心がないのがとても残念だ。

再び、眠りに入りかけると

午前4時に
「長尾クリニックさんに搬送したのですが・・」という電話が、施設のヘルパーから。

「そりゃあかん、うちは開業医や。 おたくの目の前にあるm○○病院が搬送先や」

「それどこにあるのですか?」

「おたくの前の大きな病院やないですか!」

「そんなのあったのかなあ・・・」

長尾クリニックが心筋梗塞疑いを、午前4時に受けるはずなんか無い
ということすら知らない介護スタッフが、当直をして要るのが現状だ。


結局、その後、心臓がドキドキした眠れなかった・・・

深夜の電話の大半は介護施設からである。

酸素飽和度が下がりました。
血圧が100しかありません。
眠れません。
微熱があります。
おしっこが近いです。
便秘が3日続いています。
ふらふらする、と言っています・・・

こんな対応を真面目にやれば、数日で「過労死」するであろう。
施設のスタッフはにスタッフは二交代だが、こちらは死ぬまで交代無し。

国会は長時間労働禁止としながら
在宅医には、法定基準の何倍もの過重労働を強いている。

しかもこんな介護師からの電話にプライベートタイムも睡眠時間も奪われる。
真面目な開業医が在宅から撤退していくのは当然かもしれない。

施設の在宅は、はやく「介護医療院」に担って欲しい。
介護施設から電話がかからなくなる4月が待ち遠しい。

そして日慢協で頑張っている地域の中小病院に在宅医療を担って欲しい。
この動きは、間違いなく加速するであろう。

今のままなら、在宅医療に従事する開業医は絶滅貴種となろう。
その代わりに在宅療養支援病院や地域包括ケア病棟に期待する。

厚労行政に期待したいのだが、一番連携が出来ないのがここ。
結局、行政を改革できるのは政治だけなのだ。

ということで、今日はいい政治家を選ぼう!

くれぐれも、台風に注意して穏やかな休日をお過ごしください。


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この記事へのコメント

私の勤務先・特養では、救急の場合、帰宅していようが、深夜であろうが、必ず一番に看護課長に連絡するようになっています。次いで隣の病院(精神科)です。当直の看護師がとりあえず応援に駆けつけます。


夜間、その病院から駆けつける医師は、アルバイトの若い医師です。勤務医も院長も来ることはありません。ですから、カタチだけ診て結局のところ、救急搬送になることが多いです。
それで時には、救急搬送の後に死亡というケースにも遭遇します。

「介護職の質の向上は、医師の負担軽減につながる」なのですが、その質の悪い私共の施設でさえも、介護職がすぐに医師に連絡することはないです。
何故か?! 誰も隣の病院を信頼していないですし、当てにもしていないからです。これまた、悲しい現実です。


長尾先生のお人柄で、気軽に連絡するのかもしれませんが、迷惑ですね。
お疲れ様です。

Posted by YOSHIKI at 2017年10月22日 08:05 | 返信

昼間まで待って問い合わせしたら良い内容まで、深夜に問い合わせするって何なんでしょうね。
それだけ、深夜は不安が大きいってことなんでしょうか。。。
相談する相手が居ないからかもしれませんが。。。

やはり、介護職の知識の底上げが急務ですね。
意識の高い人は良いですが、そうでない人をどうすればよいか。。。

Posted by ふじ at 2017年10月24日 11:58 | 返信

いつも不思議に思うのですが、何で直接先生の緊急電話に施設から電話が入るのでしょうか?
施設に入所しているのであれば、まず施設の看護師に連絡が行き、それでも判断ができなければ施設の医者に連絡が行って、指示が出るのが筋ではないのでしょうか?

 ショートステイであれば、利用している施設看護師で判断がつかなければ訪問看護に連絡して、それでも判断がつかなければ看護師から在宅医に連絡をすることになると思うのですが? 長尾クリニックとしてはどのように連絡体制を整えているのですか? それは施設職員に伝わってますか?

 介護士は介護のプロであって病気を深く理解する必要はありません。深く理解して勝手な行動をとってしまうと迷惑でしょ? それが正しくても。。。医療者の指示なく勝手に判断することは許されるものでは無いので。
 だから連絡順序をしっかりさせておかないといけません。「血圧が100なんです。」っていう電話が看護師に入れば、看護師の時点でそれは問題ないと返答して先生まで電話が回らないですよね? そうやって順序を守ってやっていけば先生も起こされずに済むのではないですか?

 でも普段から訪問看護を必要としないような元気な人が急変した場合は救急搬送で仕方ないと思います。

Posted by みるく at 2017年10月25日 11:17 | 返信

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