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『神になりたかった男』が問い掛けるもの
2017年12月03日(日)
彼が目指した医療とは、そしてALSと闘病中の今、彼は何を考え何を目指すのか。
医学生の時、一度お会いしたことがあるが、もし機会があれば会って聞いてみたい。
『神になりたかった男』が問い掛けるもの
日経メディカル 2017年11月30日 色平哲郎
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201711/553792.html
日々病院で働いていると、病院という空間になじみ、染まっていく。病院内の常識が世
間の常識のように思うこともある。
しかし、病院というのはかなり特殊な空間だ。白衣に象徴される「聖性」と、感情を持
つ人間がまとう「俗性」。二つが混じり合い、組織としての病院は独自の動きをする。
だからこそ、病院のアイデンティティーが大切になる。「何のために私たちはこの場に
いるのか」という問いだ。
11月に発刊された『神になりたかった男 徳田虎雄』(山岡淳一郎著、平凡社)は、こ
の当たり前のことを鮮烈に再認識させてくれた。徳田虎雄氏が創業した徳洲会は、いま
や病院数71、職員数3万人超、年商4200億円を超える、日本最大、世界屈指の民間病院
グループ。1970年代に大都市近郊の医療過疎地で、「年中無休・24時間診療」「患者か
らはミカン1個ももらわない」「生活に困る患者の医療費自己負担は猶予する」と謳っ
て病院を建て始め、瞬く間に巨大化した。
http://www.heibonsha.co.jp/book/b314288.html
進出先では地元医師会と壮絶な闘いを繰り広げる。1985年の医療法改正で地域医療計画
制度が導入され病床規制が始まると、駆け込み増床に動き、「個人病院」として開設す
る。それが、現在、徳洲会の旗艦病院といわれる湘南鎌倉総合病院の始まりとは、全く
知らなかった。
本書には、当時の交渉の模様が描かれている。県の医療審議会が徳洲会の新設計画を「
不可」とする中、県庁の幹部が徳洲会の担当者に打ち明けた。「一つだけ、県でもね、
断れない方法があるんですよ」「個人病院です。現在の法律では、個人病院の開設まで
はノーと言えないんです」。
徳洲会の礎をつくった「アメリカ帰り」、加えて「全共闘世代」の医師たち、戦地への
従軍体験を持つ看護師、そして事務幹部たち……。彼らは徳田氏の命令一下で集まった
わけではない。徳田氏が掲げる「生命だけは平等だ」という理念の向こうに、医療変革
の「社会運動」を透視し、馳せ参じた。いわば共同幻想としての徳洲会に、それぞれの
自己実現を託し、病院づくりに打ち込んだ。急成長の要因はそこにあった。
一方で徳田氏は、医師会とのバトルを通し政治力の必要性を痛感、国会に議席を得る。
政界での徳田氏の存在感を高めたのは、ずばり「資金力」だった。本書で紹介される札
束飛び交う激しい選挙戦、グループの関連会社を介して「裏金」をつくる手口には、思
わず「そこまでやるか……」とため息の一つも出る。
選挙となれば職員に大動員をかけ、公認候補が落ちても、落ちても、突っ込んでいく。
権力の魔性であろうか。
しかし、徳田氏のALS(筋萎縮性側索硬化症)発症で巨大組織は大きくきしむ。親族と
事務方の大幹部が衝突。欧州の外資系銀行を巻き込んだ資金調達上の危機や、徳田氏が
設立した政党「自由連合」の政治資金処理で、亀裂が深まり、やがて政界を巻き込んだ
大騒動「徳洲会事件」として明るみに出る。
大量の選挙違反者を出し、政治とカネの問題で揺れた徳洲会は、グループ解体の危機に
瀕した。果たして、この危機をどのようにして乗り越えようというのか……。
病院と人間のドラマを描いた本書を読了し、改めて自問した。医療は、いったい誰のも
のなのか――。願わくは、もう少し医療制度面の変遷に関して詳しい解説があってもよ
かったかと思うが、強烈なリーダーに率いられた病院グループの数十年の歴史を通して
、医療や病院経営、組織のあり方を問いかける好著であることは間違いない。
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AERA 日本の医療制度と徳州会(上)
変革を求めた米国帰りの医師 →こちら
AERA 日本の医療制度と徳州会(中)
医療過疎の解消、日本医師会の壁 →こちら
これらの記事も必読だ。
こんなこと書いたら怒られるかもしれないが、書いておこう。
私は零細企業の経営者だが、虎雄先輩を反面教師にしてきた。
虎雄氏の医のスピリットは見習い、経営理論は見習わない。
経営拡大とは金儲け。欲望は無限である事は仏陀の教えだ。
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この記事へのコメント
いつも、先生ごくろうさまです。
私は若かりしころ湘南鎌倉病院に修業をかねて
従事しておりました。忙しいながらも大変良い
病院でした。
Posted by 尾崎 友宏 at 2017年12月04日 04:28 | 返信
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