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ケアマネも医者も色々

2018年01月07日(日)

きらめきプラス12月号の連載は、「ケアマネも医者も色々 
遠慮せず希望・本音をぶつけて」で書いた。→こちら
まあ、なんでもそうだろうけど。
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きらめきプラス 1月号 ケアマネも医者の色々
 
今回は母子家庭で17歳になる娘さんと71歳のお母さん(認知症・要介護3)の三人で生活している盛岡市在住の女性(45歳)からの質問です。
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【質問】現在、母は半年前から認知症が進み、幻視・幻聴がひどくなり精神科の
認知症専門病院に入院しています。母の退院後のことについてケアマネと相談しているのですが、ケアマネはいつも「在宅で頑張っている人は沢山います」「お母様を優先に考えましょうね」というようなことばかり言われます。以前からケアマネはとても熱心な人だと分かっていますし、申し訳ないと思うのですが、介護する私たちの生活はどうなるんだろうと時々心が折れそうになります。私は、去年まで訪問介護などを利用しながらなんとか正社員として働いていましたが、母の自傷行為などいろいろな事があり、今は会社を辞め、パート勤めをしています。私自身「母を可能な限り自宅で」と考えていますが、母と娘と共に生きていくためには働かなければなりません。最近ケアマネとどう接していいのか悩んでいます。病気と直接関係のない質問で申し訳ないのですが、先生が介護家族にかけておられる言葉や、アドバイスなどがありましたら、どんなことでも結構ですので、お聞かせいただけないでしょうか。よろしくお願い致します。

 
【回答】
貴方が45歳でお母さんが71歳で娘さんが17歳。そして母子家庭。生きていくためには、たとえパートでも働かないといけないし。たしかに要介護3の認知症のお母さまの在宅介護は大変なことだと推察します。しかし貴方と同じように施設か在宅かの狭間で悩んでいる人はこの世にたくさんおられます。
 
結論から言えば、無理してまで在宅で頑張らなくていいのでは、です。そして在宅か施設かの2者択一ではなく、折衷案がいくつかあるということです。
 
そのケアマネさんはもしかしたら私の本「ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで」や「家族よ、ボケと闘うな」(いずれもブックマン社)を読みすぎたのかもしれません。しかしよく読んで頂ければ分かるように私は決して在宅原理主義者ではありません。そこは誤解しないでくださいね。無理をして在宅療養しても本人も家族も幸せではありません家族の介護族負担を考えた時、療養病床や介護施設を勧めることがよくあるのが実情です。
 
しかし決して2者択一ではないことも知っておいてください。つまり在宅と施設を「行ったり来たり」というサービスがいくつかあるのです。具体的にはデイサービスやショートステイのフル活用です。家に帰るのは月に数日だけで「ほぼショートステイ」という在宅患者さんもおられます。あるいは、「月~土曜日の毎日デイサービス」という方も。あるいはデイサービスにプラスして自費のお泊り、つまり「お泊りデイ」を使いながら考えている人もいます。自費分は1泊3~5千円くらいかかるので経済的に大変かもしれませんが、緊急避難的に使うには便利です。あるいは不定期に行ったり来たりできる「小規模多機能」もお勧めです。数は多くはありませんが、国がずっと力を入れているので少しずつですが各地で増えています。もしお母さまにいろんな医療処置が必要なら夜間もずっと看護師さんもいる「看護師つきの小規模多機能」もいいでしょう。これらは施設のように見えますが、主体は自宅で、あくまで通いです。
 
お母さまのような場合、療養の場はかなりの多様性があります。あなたの気持ちを良く聞きそれらの選択肢を提示した上で上手に組み合わせるのがケアマネの役割です。担当のケアマネさんは親切でそう言っているのでしょうが、貴方の本音にまだ踏みこめていないのでしょう。偉そうに書いていますが、実は私自身もそのケアマネさんのように知らず知らずの間に家族に「在宅プレッシャー」をかけ過ぎて、ある日突然、「施設に入れます」と宣言されて自分の至らなさを反省したことがあります。
 
療養の場を決定する時に大切なことは本人の意思です。お母様の気持ちもあるでしょうから上手に聞き出してください。そのスキルがある人こそが認知症を在宅で診る医者だと思います。意志がよく分からない場合は、家族に決めてもらうことになりますが、決して在宅療養を押し付けてはいけません。だから勇気を出して、そのケアマネさんに貴方の想いを伝えてください。また貴方には兄弟がおられるのでしょうか。もしおられるならしっかり家族会議で決めないと後で兄弟間の争いごとになるのでくれぐれも気をつけてください。
本人の意思を尊重しながらも家族の都合や意見も入れて総合的に決めてください。要はケアマネさん一人やケアマネさんと貴方だけで決める問題ではないということです。そのケアマネさんにお願いしてケア会議(サービス担当者会議)を開いてもらってください。その場で必ず主治医の意見もよく聞いてください。ケアマネさんと全く違った意見が出るかもしれません。いずれにせよ医療と介護の両面からの検討が必要であると考えます。
 
要介護3ですから、要介護5までまだ相当な時間があるように思います。だからとりあえずショートやお泊まりデイに“逃げ”ながら情報収集してじっくり考える時間が必要です。もし貴方が家に最期までいさせたい、と願うのであれば、上手に療養の場を使いこなすいことで可能だと思います。ひとくちに在宅医と言っても実績や得意分野は様々です。がんが得意な在宅医がいれば、認知症が得意という在宅医もいます。ちなみに私は来るものを拒まないので両方やっているのですが、医師によって様々です。できれば認知症の在宅医療に造詣の深い医師を主治医を選んでください。医者選びには週刊朝日ムック「さいごまで自宅でみてくれるいいお医者さん」(980円)を是非購入して熟読しておいてください。全国約2000人の在宅医の実績が公開されています。同時にそんな美談だけでは情報不足ですから、在宅医療のリアルを描いた近著「痛い在宅医」(ブックマン社)も併せて参照してください。
 
いろいろ書きましたが、ケアマネもいろいろ、医者も実にいろいろです。大切なことは自分の希望を遠慮なくぶつけることです。決して遠慮しないで本音で相談してください。そしてもし相性が悪いと思ったら「チェンジ!」してください。万人に合うケアマネや医師なんてこの世に存在しません。「地縁」と「相性」から、貴方が選んでください。
 
最後に「特養に入所」という選択肢も悪くありません。要介護3で資格ありですからとりあえず申し込んでもいいのでは。しかし都市部では長期間待つことが多いのでそれまでをどう繋ぐか、という問題かもしれません。またひとくちに特養と言っても内容は様々です。ケアの良し悪しは口コミだけでなく、それこそケアマネに聞いてください。特養に関してもいろんな情報を持っているはずです。
 
貴方は貴方自身の人生をお母さまと娘さんの人生を支えながら生きていかなくてはいけません。これは大変なことですが、嘆いていても仕方ありません。何事もいい経験だと、常に前向きに捉えて笑顔が絶えない毎日を送ってください。貴方自身が幸せでないと、そこは親子の以心伝心で必ずお母さまにも伝わり、経過が悪くなります。決して“無理をせず臨機応変”という言葉を忘れないで下さい。そのためにも仕事と介護のほかになにか気分転換できる趣味や娯楽を持ってください。貴方の幸せとお母さまの幸せを両立させる方策を諦めずに探してください。私の周囲の方がたも様々な試行錯誤の上、落ち着くところに落ち着いています。決して頑張りすぎないでください。
 

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この記事へのコメント

最近、痛い方がいっぱいで怒り爆発!でも我慢!

痛いお医者さま、痛いケアマネさま、痛い行政さま、痛い訪問看護さま…
痛い〇〇さま…

ありえへん!

やっぱり どこまでいっても
最後は人 人 人…ひとです

いい人に出会えなかったわたしに運がなかったってことかしら?
じゃなくて
いい人に出逢えるように わたし自身がいい人になろうっと!

Posted by 訪問看護師 宮ちゃん at 2018年02月01日 10:14 | 返信

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