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「小多機」や「看多機」への訪問診療はどうなる?
2018年02月04日(日)
国は、「小多機」や「看多機」を強く推進している。
病院の地域連携室もそれに呼応してそこに紹介する。
しかし医師がそこに訪問診療することは許されない。
病院の地域連携室もそれに呼応してそこに紹介する。
しかし医師がそこに訪問診療することは許されない。
なぜ「訪問診療」できないのか。
それは「小多機」や「看多機」は、介護保険下のショートステイ、だから。
介護保険下の「ショートステイ中」には医療保険下の「訪問診療」はダメ。
但し、「往診」のみはいい。
投薬のためには、医師法20条に基ずいて医師の診察が必要だ。
だから「往診」しなければならない。
定期投薬のためには、「定期的な往診」をすることになる。
また24時間管理しているが、介護保険もそうなので医療保険では算定できない。
つまり、「小多機」や「看多機」は介護保険事業者にはいい制度だろうが、
医療機関にとっては、「サッパリ理解不能」な存在なのである。
「小多機」や「看多機」とは、ショートステイ施設なので自宅と施設を
「行ったり来たり」する人が対象だが、実態はそこに「住んで」いる人が大半。
ショートステイのロング利用やお泊りデイも同様な理由で訪問診療禁止だが
実態はそこに住む人達ばかりなので、「定期的な往診」の連続となる。
「定期的」な「往診」??
定期的でないものが往診なので、違和感がある。
多くの医師からこのおかしな制度を正して欲しい、という意見を頂いた。
私は厚労省の担当官に2度陳情したが、「絶対ダメ」とのことであった。
なぜか。
それは一言でいうなら、厚労省の部局間の連携ができないためである。
私に言わせれば、「連携しない」ことが省庁間の暗黙のルールなのだ。
私たちには多職種連携を呷りながら、自らは「連携しないことを省是」
とする、律令制度以来、脈々と続く「官」の掟に従っているのである。
介護保険=老健局
医療保険=保健局
私は自分の利益のために、こんな損な役を担っているわけではない。
多くの医師の苦情を受け、そこに入っている患者さんのために陳情。
しかし省庁間の連携など、まったくできないことを肌で知ってしまった。
6年ぶりの医療介護の同時改定だが、ただ同時というだけで連動は無い。
ではどうすればいいのか。
実は結論は最初から分かっている。
政治家にお願いするしかないのだ。
しかし事情を理解できる、いや理解しようという政治家がいない。
こんなことをやっても、なんの「票」にならないからである。
こんな問題はマスコミも興味がなく市民は誰ひとり知らない。
医師会や医師の政治集団にお話ししても、理解されない。
だから諦めるしかなく、これ以上行動を起こす気もない。
一生懸命に働きかけをしてきたが、
残ったものは、虚無感だけ。
病院からの看多機に帰る在宅主治医の依頼は、どんどん断る傾向にある。
他のクリニックは、違法と知りつつ「訪問診療」で算定しているという。
そろそろ還暦。
こんな損なお役は卒業しよう。
ややこしい事に首を突っ込むエネルギーが勿体ない今日この頃。
PS)
昨日は愛知県半田市で、2時間の講演をさせて頂いた。
沢山の人に来て頂き、本当にありがとうございました。
知多半島の美しい自然に癒された。
また行きたい場所である。
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この記事へのコメント
昨日は貴重なご講演ありがとうございました。
2時間があっという間に過ぎ聞き入ってしましました。
介護の方法やリビングウイルなど日本の慣習が阻んでいること改めて考えさせられました。
また著書も参考にさせていただきます。
Posted by くぴ at 2018年02月04日 07:27 | 返信
おつかれさまでした。
Posted by 尾崎 友宏 at 2018年02月04日 09:25 | 返信
>私たちには多職種連携を呷りながら、自らは「連携しないことを省是」
とする、律令制度以来、脈々と続く「官」の掟に従っているのである。
介護保険=老健局
医療保険=保健局
長尾先生、東久留米在住のかやまと申します。コロナが始まってからも外でもほぼノーマスクを貫き、家族一同ワクチンを打っていません。家族で調べ、決断した上でその選択をしました。
長尾先生のことはイベルメクチンを調べている時に知りました。
その頃からずっと長尾先生を応援しています。
ショートステイ、お泊り付きデイサービスを利用している際に、往診や訪問診療を受けたいのに受けられない、日本の制度は本当におかしな制度です。本人、家族主体ではない、他の別の何かが主体であると思えてなりません。
わたしはスウェーデンの福祉、医療を調べてまいりましたが、スウェーデンでは医療も福祉の一部としてとらえ、横の連携ができており、市民が収めた税金の使い方、制度、市民の考えがしっかり反映されています。
なぜ北欧やヨーロッパの良いところを日本も取り入れられないのかと悔しく思います。
(因みにスウェーデンでは、学校を作ること、道路を直すことなど、生活にかかわることすべてを福祉としています)
わたしは票にならないといわれた動物福祉をテーマのひとつにかかげ、この4月に市議会議員になりました。
票になるから支援する、ならないなら支援しない、それは本当に恥ずかしい考えと思います。
東京の小さな町の新人議員ですが、母の介護を17年継続し、いろいろなステージを経験しました。
動物福祉をはじめ、いくつか成し遂げたいテーマがありますが、
福祉についても、本気で制度を変えたいと思っています。
本人も家族も納得がいく人生の終盤を過ごせるよう、私の場所で頑張っていきます。
Posted by かやま at 2023年06月03日 10:48 | 返信
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