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その市民フォーラム、本当に意味ありますか?
2018年02月10日(土)
医療タイムス2月号 その市民フォーラム、本当に意味ありますか? 長尾和宏
年度末の2~3月になると予算消化のためだろう、道路工事と同様、地域連携フォーラムが全国各地で開催される。美しいチラシには「在宅医療」や「終末期医療」や「認知症」などのキーワードが躍っている。壇上でスライドを操る人は医師や看護師やケアマネなどの医療・介護の専門職ばかりで一般市民はあまり見かけない。時に病院の地域連携室のスタッフが講演することもあるが、各方面に遠慮してか萎縮した内容に留まりがちだ。どうせ登壇するなら本音をぶちまけて驚かして欲しい、なんて願うのは私だけか。
参加者の割合を見ると医療・介護提供者のほうが市民より多いという会もある。極端な例では8割が関係者、という市民フォーラムもある。単に関係者同志の出来レースでは、とても市民フォーラムとは呼べない。そもそも会場に足を運ぶ市民は比較的元気で関心が高い人達である。地域連携の情報を一番届けたい相手はなかなか来てくれないものだ。たいていアンケートが取られるが、概ね「良かった」という評価で総括される。主催者は「この地域の医療連携がグッと前進した」と胸を張るが、「ほんまかいな?」と思う時がある。
質疑応答の時間がたっぷり用意されている時、市民から実に様々な質問が飛び出してくる。なかには司会者が慌てて口を塞ぎに行くようなブッチャけ質問も混じっていて実に面白い。多くの市民は「地域」や「連携」への興味は薄い。もっと原始的な「そもそも」というレベルの現世利益的な情報に飢えている。つまり主催者側の意図と市民が求める情報の差が気になる会が多い。市民との間に横たわる情報格差に寄り添うのが市民フォーラムの目的だろうが、ややもすれば上から目線のご高説になりがちである。私自身もそうならぬよう気をつけているつもりだが、気がつけば上から目線からの舌足らずな説明に終始していることがある。
専門職にとっては当たり前のことが市民や非専門職にとっては決して当たり前ではない。以前、大病院が主催する地域連携フォーラムで座長を務める大先生が発した質問とは「ケアマネさんとヘルパーの違いはなんですか?」であった。彼は本当に知らないので素直にそう質問した。腰を抜かしそうな質問であるが、このくらいのレベルまで落としたほうが市民には意外に好評であることが多い。たとえばITCという言葉で一生懸命に説明しても、スマホも持っていない市民にはチンプンカンプンという時もある。
複雑なスライドや専門用語をいくら並べても自己満足にすぎない。せっかくの市民フォーラムや連携講演会を本当に意味あるものにするにはどうすればいいのだろう。ここ数年、悩んだ結果、動画や寸劇という手法を積極的に取り入れるようになった。映像は言葉よりもずっと力を持つ。地域包括ケアという概念を市民に理解してもらうためには、フォーラムの映像を地元のケーブルテレビで繰り返し放映してもらうと効果的だ。どうせお金を使うのであれば対費用効果の高い方法を探求すべきだ。時には形式主義を排し、市民もプロもごちゃまぜになりワールドカフェ方式で意見交換するのもいいだろう。それくらい柔軟な発想で企画しないとあまりにもモッタイナイない。「地域包括ケア」とはちゃぶ台返しである、と理解している。
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毎日、いろんな所から講演依頼を受けるが、予算消化のものはすぐに分かる。
体はひとつだし仕事もあるので、「やりたい」と思う講演しか受けられない。
日本中で、あまり意味のない市民イベントが多すぎるような気がする。
そろそろ市民啓発セミナーの「対費用効果」も考える時代ではないか。
今日は劇団「ザイタク」の第二回公演。
そのテーマは「独居の看取り」である。
PS)
まだ寒い。
大雪で大変な皆さまを想うと胸が痛む。
私は、超元気。
アホ、やから。
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この記事へのコメント
市民フォーラムというのは、医療産業従事者が、一般市民が納めた税金を使って、医療産業従事者のために、医療産業がよどみなく発展することを目的として開催されるものである。
市民フォーラムというのは、国家資格を得たエライ専門家である医療産業従事者が、アホな一般市民をいかにしてもっとアホ扱いするかを話し合うものなのだ。
エライ専門家である医療産業従事者が、一般市民をコントロールして文句言わさず指示通りに検査を受けさせクスリを飲ませ手術に同意させ、「治療のために」身体拘束にも同意させる、そのテクニックを研究する場が、市民フォーラムなのだ。
なぜって、医療産業従事者だって市民でしょ?
医療産業従事者はとってもエライ市民だから、ね。
Posted by 匿名 at 2018年02月10日 02:58 | 返信
以前参加した市民フォーラムでは、講師の医師が学会で使用した英語のパワーポイントが使われてたことも。
Posted by 匿名 at 2018年02月10日 07:44 | 返信
平成16年頃でしたか、台糖ファイザーのプロパーが「認知症患者を見つけたら、直ぐ通報してください」と言っていたので驚きました。
早速、ある医師夫人(ライオンズクラブで、やっぱりプロパーの教育を受けている)が、教会で知り合ったお年寄りが、ショートステイで疲れてマンションで倒れたら「あの人は痴呆症だから、施設に入れないとキケンだ」と騒いで、救急病院に留め置いて、結局死んだ主人の姪が出て来て、財産は姪に盗られて、施設に放り込めらて、死にました。
最近もあるセミナーで「デイサービスに来たお年寄りの中で、認知症の人がいたら、通報してください」と言っていました。結局、早く「認知症」にして管理しようという方針なのでしょう。
何故、そのようにお年寄りを「認知症」にしたがるのかは不明です。
丸岡さんの主催する「つどい場さくらちゃん」だったら、逆に「認知症呼ばわりする人をブっ飛ばせ!!」と言われると思います。
Posted by にゃんにゃん at 2018年02月11日 08:12 | 返信
2月11日、北九州市で開催された「フェルラ酸サプリメント使い分けの提言」と題するセミナーに参加してきました。
講演が1時間、症例検討が1時間の、実に有益な内容のセミナーでした。
症例検討では、私も2症例ほど介護現場で直面している困難症例を呈示して、具体的な対症法をご教示いただきました。症例は、予め私自身が鑑別しておきましたが、その鑑別は正しかったです(症状としては、大脳皮質基底核変性症。但し、これは厳密には病理解剖しないと確定診断はできませんが)。
どんなにたくさんの参加者があろうと、著明な先生が講演しようと、具体的ですぐに役立つ内容でない限り、何の意味もありません。 “お役所仕事”よろしく、“ただ開催しました“という「実績つくり」だけの内容では、現実と乖離するだけなのです。
現在我が国が直面している医療制度と介護保険制度の危機的状況から抜け出すためには、市民すなわち介護家族・介護従事者もかしこくならないといけません。医師は当然の義務です。
Posted by YOSHIKI at 2018年02月11日 11:39 | 返信
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