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療養形態は実に多様

2018年03月25日(日)

連日、在宅医療の講演をしているが、たくさん来て頂き、ありがとうございます!
今や病院か在宅か施設かではなくて療養形態は実に多様であることを言い忘れた。
月刊公論の4月号にそのあたりを事情を書かせて頂いたので参考にして。→こちら

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公論4月号  介護大国・日本の多様な療養形態
       施設か在宅の二元論ではない
 
実に多様な療養形態

 私は今年還暦を迎える。同世代の親はだいたい80台くらいであり、丁度平均寿命と重なる。だから同世代が集まると必ず「介護」の話題になる。あるいは配偶者が脳卒中やがんになった、と「介護」に関する相談を毎日のように受ける。電車や喫茶店でも聞こえてくるのは「介護」の話題ばかりだ。超高齢化が加速する日本は、介護大国でもある。

 はたして身近な人が長期間にわたる介護が必要な状態に陥った時に、どのような選択肢があるのだろうか。こんな時代だからこそ一般常識として知っておきたい。よく施設か在宅と思われがちだが、決して単純な二元論ではない。地域差もあるが、本人と家族の希望や介護力や経済力などにより種々の療養形態が選べる。在宅療養を選んだために介護離職を考える人がいるが、自宅と施設を「行ったり来たり」という療養形態もあることをお知らせしたい。

 介護保険制度下の施設として、介護療養病床、介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)の介護三施設が知られている。特養の入所条件は原則、要介護3以上である。しかし増え続ける要介護者に対してとても介護三施設だけではまったく足りないということでサービス付高齢者向け住宅や有料老人ホームが続々と建てられている。それ以外に小規模多機能(小多機)やお泊りデイサービスもある。最近は訪問看護ステーションを併設する小規模多機能である看護・小規模多機能(看多機)も増えてきた。ここは夜間も看護師がいるので医療依存度の高い人に好評である。「お泊りデイ」とは、文字どおり自費で宿泊もできるデイサービスである。ショートステイが満員の時など、自由度が高い「お泊りデイ」に受け入れてもらうことも多い。また「小多機」や「看多機」は、なんといっても自宅と施設を行ったり来たりできることが最大のウリである。その時々の家族の介護力に応じて自由にアレンジできるのが特徴だ。
 
 
小室哲哉氏は介護離職?

 音楽プロデューサーの小室哲哉氏(59歳)が引退した。その会見を聞きながら、奥さんの介護疲れからの「介護離職」のようにも思った。KEIKOさん(45歳)は2011年10月、くも膜下出血で倒れた。現在、在宅療養中であるというから小室さんの介護生活は6年以上に及ぶ。高次脳機能障害という後遺症があるため小学校4年生レベルのドリルでリハビリをしているという。高齢の親の介護とはまた違う性質のストレスに悩んできたことが容易に想像できる。私も高次脳機能障害の在宅患者さんを何人か診ている。易怒性や暴力への対応に疲れ果て、介護者がかなりイラついている場面に遭遇する。なかには「虐待」が疑われるケースもある。小室さんはおそらく奥さんのためという判断で、施設や病院ではなく在宅という療養の場を選んだのだろう。KEIKOさんの脳血管疾患は特定疾患なので、65歳未満であるが介護認定の対象者になる。要介護認定を受けているはずなので、介護保険下のサービスとして上述した様々なサービスの援助を受けられるはずだ。

 在宅介護を長期間続けるコツはデイサービスとショートステイをフル活用することだ。ショートステイを2~4週間と長く続ける「ショートステイのロング利用」というものもある。1ケ月の半分が自宅で半分が施設のショートステイという人もいる。あるいは1割が自宅で9割がショートステイという人もいる。両者の割合は自由にアレンジできる。また介護保険の限度枠を超えたサービスは自費で賄える。我慢や無理は禁物である。そのためには本音で相談できるケアマネさんと在宅主治医を見つけることが肝要だ。

 
 
要介護5の在宅介護と就労

 要介護5の人の在宅介護とはどんな感じだろうか。仕事と両立できるのだろうか。たとえば子供がフルタイムの仕事をこなしながら要介護5の両親を数年間にわたり自宅で介護している例がある。難病で気管切開と胃ろう栄養中の要介護5の親を子供がフルタイムで就労しながら数年以上、介護している例もある。胃ろうや気管切開など医療依存度が高い要介護5でも工夫次第では就労しながらの在宅介護は可能である。ただし介護と就労の両立には、介護に理解がある就労環境でないと難しい。一方、まったく身寄りがいない独居の要介護5でも本人の希望で数年以上、在宅療養されている人がいるのも現実だ。

 一方、小室さんのように男性が若い配偶者を介護している例は多くはない。しかし難病のため気管切開と胃ろう栄養の要介護5の妻を一人で介護している自営業者がいる。このようにとにかく介護保険サービスや福祉サービスを上手く使いこなすことに尽きる。在宅主治医選びで決まるが、患者数や看取り数など在宅医の実績は公表されている。咋年11月に発売された週刊朝日ムックの「さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん」(朝日新聞出版社980円)がとても参考になる。一方、ケアマネ選びには情報が乏しく口コミや主治医からの紹介に頼ることが多い。

 介護者の孤立を防ぐ取り組みも全国各地で始まっている。西宮市のNPO法人「つどい場さくらちゃん」の活動はそのさきがけである。市民が在宅療養に求めている情報とは美談ではなく、リアルなローカル情報である。介護保険制度が誕生して18年が経過したが、介護者の都合で臨機応変に療養の場を選べる時代へと成熟しつつある。生活の質や満足度が高い長期介護の場を選んで欲しい。このメッセージが小室さんにも届いて欲しい。
 
 

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この記事へのコメント

小室さんについて「介護保険下のサービスとして上述した様々なサービスの援助を受けられるはずだ」とありますが、福祉課の担当業務の一部である介護保険は、高額所得者を後回しにし、「症状重い、カネなし、身寄りなし」を優先します。小室さんほどになると、担当者から面と向かって言われないだけで、実際には後回しにされていて、救いの手が差し伸べられていない可能性があります。

Posted by 通行人 at 2018年03月26日 02:34 | 返信

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