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親の老いを受け入れる

2018年09月18日(火)

「親の老いを受け入れられない」50代、60代に医療は翻弄されている。
「私の親は偉大なので絶対に死にません!」と、真顔で言い放った娘さん。
命に終わりがある事や、長生きすれば「老いる」ことを習わなかった世代。

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「きらめきプラス」10月号にそのあたりのことを書いた。→こちら

老いを受け入れるのは難しいかもしれなが、受け入れて欲しいな。

私の詩の朗読を聞いて欲しい。→こちら
何かが変わるかも、しれない。

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今回のご相談は、群馬県桐生市にお住まいの女性(60歳)からです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現在、実母(86歳)と夫、息子の4人暮らしです。
大工をしていた父は4カ月前に癌で亡くなりました。
父は職人気質の頑固なひとでしたが、とても家族を大切にしていて、
5年前に母が転倒して大腿骨を骨折した時も、手術した後に、
リハビリがこなせず病院のベットで寝てばかりいる母を見て、
「ここにいたら母さんが死んでしまう。母さんのリハビリは俺がやる」と言って
(病院からは、今退院すると後の責任は持てませんと言われましたが)、
ほとんど強引に母を退院させてしまうようなひとでした。
でも父のおかげで退院後母は歩けるようになるまで回復、外出が出来るまでに
なりました。しかし、その母も父が亡くなってからはほとんど寝たきりの状態で、
最近では突然泣き出したり、「もう死にたい」と何度も大声で叫ぶようになって
しまいました。
母の姿を見るのが辛くて、先日友人の勧めで物忘れ外来に母を連れて行ったところ、
先生からは「脳の画像では、年齢的な萎縮程度ですね。様子を見て、
もっと進んだら来てください」と言われました。
素人考えで大変申し訳ございませんが、このまま何もせず、
お医者さんにもかからずただ進行するのを待つというのには
どうも納得がいかないのですが。
夫も息子も日々弱っていく母のことをとても心配しています。
何かご意見をいただければ嬉しく思います。よろしくお願いいたします。
 
 
A)
私と同じ年、つまり同級生からの質問、ありがとうございます。とても優しいお父さまだったのですね。最愛の夫を失ったお母さまの悲しみは計りきれないものだと想像します。数あるストレスの中で最大のものが大切な人との永遠の別れです。死別というストレスに反応してお母さまは「うつ」状態に陥っているのです。物忘れ外来の医師に「認知症」のレッテルを貼られなくてまずは良かった、と思いました。画像診断で異常が無くてなによりでした。
 
しかし突然泣き出したり、「もう、死にたい」という言葉を発するお母さまは今、生きる希望を失っている状態です。結論から申しますと、「時間」が一番の薬になります。人にもよりますが配偶者の死に接した人の多くは、半年~1年程度で大きな悲しみを乗り越えています。なかには、あれほど泣きじゃくっていた人が、たった3ケ月後には別人のように明るい笑顔で挨拶に来られることも経験します。一般に、夫を失った妻よりも妻を失った夫のほうが、悲しみからの回復に時間がかかる傾向にあります。まずは、お父さまの死後3ケ月~半年間程度は、静かに様子を見ることでしょう。4人家族であることが何よりも救いです。独居だとかなり心配です。なによりもお孫さんと同居していることが大きな希望です。お孫さんが生きる元気を回復させるキーパーソンです。
 
 
「時間が解決」なんて言うとなにか無責任なアドバイスに感じるかもしれません。しかしどんな人でも心に大きな傷を負った時に必要なものは「時間」です。もし有名人なら病院に入院することもありますが、安静にして「時間」の経過を待つことがその目的です。もちろん入院する必要は全くありませんが、静養の意味を考えてください。静養は一見、無駄な時間に思えるかもしれませんが、心身の回復にもっとも有効です。転んで脛を擦りむいても、「待つ」ことで勝手に傷は癒えます。このように「待つ」ということは、一見、消極的だったり後ろ向きな行為に思えるかもしれませんが、決してそうではありません。かなり「前向き」で、とても「創造的」な態度であると認識してください。人間には心の自然治癒力が備わっています。
 
そうは言っても日々をどう過ごせばいいのか。少しは気を紛らわすために、まずは気分転換を考えてください。豊かな自然環境と美味しい料理がお勧めです。朝夕に10分間でも一緒に散歩するだけでもかなりの効果が期待できます。大腿骨骨折でリハビリを要した既往もあるので、悲しみの中にあっても少しはリハビリ的な時間を持つべきです。一番簡単な方法が、ゆっくりでもいいから毎日少しずつ「歩く」という行為なのです。最悪なのは精神科に行き、「うつ病」と診断されて「抗うつ剤」や「睡眠薬」を処方されることです。焦ってそれらの薬に頼ると、それこそ本当に認知症傾向に向かいますので、くれぐれも気をつけてください。その点、受診された医師は良心的な対応であると思いました。
 
大切な人との死別を経験しない人はいません。人は必ず死ぬからです。しかし今、お母さまにそんなことを申し上げても何の意味もありません。その人にとって何事にも変えられないものを失った時、励ましの言葉や薬は無力です。必要なものは、家族や友人の「寄り添う」という行為です。近くにいて何気ない会話を交わす。たったそれだけでも大きな力があります。これは末期がんなどの不治の病を宣告されて落ちこんでいる人も同様です。安易な励ましや押しつけは逆効果です。「死にたい」と言われたら、「死にたいくらい辛いよね」と共感して呟いてください。お母さまは自分の悲しみを理解して共感してくれる家族がいつもそばにいると感じるだけで癒されます。
 
医学的な内容でなくて申し訳ありません。しかし避けることができない悲しみに医療は無力です。宗教や芸術のほうがずっと力があります。でも、なによりもお母さまには「家族がいる」ことが、最大の薬であると思います。
 
おそらくお母さまは徐々に心の元気を回復されることでしょう。しかし86歳という年齢を考えると長い目で見ると、今後遠からず「親の老い」と対峙しなければいけないのでしょう。年齢相応に認知機能や運動機能が徐々に低下します。その時、要支援状態から要介護状態に移行しないためには知恵が必要です。日々の歩行や体操やレクレーションが大切です。そして私と同じ年代の子供世代が「親の老い」を受け入れる「覚悟」についても勉強しておいてください。You Tubeに「親の老い」と入力してください。私の詩の朗読が出てきますので時間のある時に一度聞いておいてください。
 

PS)

群馬県の人からの質問だったけど、10月13、14日に群馬県に行くよ。

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