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イギリスの家庭医と日本のかかりつけ医

2018年09月17日(月)

日本における「総合診療」や「かかりつけ医」議論は始まったばかり。
40年前、僕は家庭医になりたくて医学の道を志したのだがまだまだ。
何でも外国がいいという訳ではないがイギリスの家庭医に憧れていた。
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以下、佐々木淳先生のフィールドから引用させて頂く。


■英国の家庭医の仕事

●診療所につき平均4~5人の家庭医が勤務
●患者登録制:GP一人につき1800人程度
●平均1人10分で2.5個の主訴に対応
●日常的な疾患・子供から大人まですべて 避妊から更年期障害まで
●予防医学:がん検診・ワクチンなど
●非医学的疾患:離婚の危機などの家庭内トラブルなど

医療的・非医療的な線引きはあまり重要でない。
問題を解決すること、解決できないのであれば患者に寄り添う。

■地域医療のハブとして機能する家庭医

家庭医=ゲートオープナー:適切なタイミングで、適切な医療機関へ。
できるだけたくさんの問題(プライマリケア的な)を解決できるほど満足度は上がる。
そのためには連携が重要になる。▶地域の薬剤師が禁煙指導やワクチンに関与する。主訴の30%がメンタルヘルス関連→状況に応じて地域精神科チームがサポートできる、薬だけに頼らない(精神科医・看護師・心理士・心理学的治療・認知症専門看護師)、ホスピス(緩和ケア専門看護師の役割が大きい。緩和ケア専門医とリエゾンで)、専門看護師(心不全、糖尿病、呼吸器、一部医師がやるような仕事まで)、その他の専門職のワンポイント支援、緊急ケアなど・・

■多職種連携、診療所でのタスクシェア

●GP forward view 2016:2020/2021年までに5000人の医師以外の専門職の増員、1500人の臨床薬剤師の増員
●連携によりプライマリケア全体の労働力をアップする
●家庭医がさらにニーズの高い患者にフォーカスできる

※ナースプラクティショナー
3~5年の卒後学位取得が条件。処方権もコースを受ければ可。
看護師の医療相談の割合21%(1998年)→10年で35%に
ワーファリンのモニタリング、避妊用ピル、予防接種、生活指導、高血圧などの慢性疾患外来を独立して行える。

※クリニカルファーマシスト
リフィル処方を処方権のある薬剤師が担当。
退院後のリフィル処方の変更や院内処方マネジメントも。
電子処方サービスは英国では普及している。家庭医診療所で93%、薬局で99%が対応可能。これで毎年60億円の節約になっている。

■タスクシェアによりニーズとリスクの程度に応じたサービスを提供できる!

たとえば・・
●いつもの血圧の薬が切れた→薬剤師または医師が電子リフィル処方(0分)診察は6か月~1年の単位。
●予防接種→看護師外来(2分)
●アトピーがかゆい→電話・動画診察(5分)+電子処方
●咳が出て息苦しい→医師の外来10分
●膝が痛い+親の介護+うつ→医師の外来20分

「平等なシステム」→「ニーズに応じた公平・公正なシステム」

■なぜ英国では家庭医がかかりつけ医なのか?

地域に根差した専門研修をする。

スタンダードが確立した地域密着型専門医師の養成ができる。(これは簡単ではない。きちんとした教育が必要)

プライマリケアと専門家の機能分担が明確に。
医療が効率的に機能。

■家庭医教育

●かつては英国ではかかりつけ医は二流の医師と呼ばれていた。
●1981年、3年間のGP研修プログラムが英国全土で制度化。
●2007年、専門試験の義務化
●家庭医専門研修では84%が満足。満足度の高いプログラム。

●人気は内科と同等
●世論調査ではもっとも信頼度の高い職業(87%)
●家庭医は病院の専門医と相補的な関係
●今後、日本で家庭医が根づくためには、地域に根差した質の高い家庭医・総合診療医の研修・実績を積むことがカギ


@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

僕はこれからの10年間を、日本型家庭医の育成の力になりたい。

日本型というのは
・ある程度のフリーアクセスを担保して
・ある程度の検査機器も許容、という意味である。

社会保障費がひっ迫する中、医学教育の中で最も力を
入れるべきは「家庭医育成」ではないのだろうか。

数から言えば
家庭医>専門医、となるべべきだが、現状は家庭医はごく少数。

在宅医療は、もちろん「家庭医」に含まれるもの。
そして病院に家庭医が沢山いても全然いいと思う。


だから、余生を医学を志した動機のために使いたいと思う。
還暦の誕生日以来、それをずっと考えて、悶々としている。

秋の三連休、楽しんでいますか?
僕は、読書と仕事と休養です。


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※本ブログは転載・引用を固くお断りいたします。

この記事へのコメント

 先生、おはようございます!!昨夜はダイアリー見ましたよ。自分自身に置き換えて考えてしまいます。わたしも仕事です、秋の夜長、読書もいっぱいしたいです。いよいよ今週は先生の国立大学です、今週は仕事が溜まって残業が続きますが、先生や皆さんに会えるのを楽しみに張ってきます!

Posted by ふーちゃん at 2018年09月17日 07:45 | 返信

医療はピラミッド型…お医者さまが一番上です
看護師は医師の指示のもと 診療のの補助と療養上のお世話ができます
在宅では 療養上のお世話が 主になってきますが
お医者さまの中には 療養上のお世話を看護の仕事だと理解されなく 「介護だからヘルパーさんでしょ」とおっしゃる先生もいらっしゃいます

イギリスのように それぞれの職種がチームとして 関わることができれば 本当にいいですね
日本だって地域包括システムって言ってるじゃん!って思っていらっしゃる方もみえますが
実際は厳しいです 日本は これからですかね…

Posted by 宮ちゃん at 2018年09月17日 08:16 | 返信

先生 樹木希林さんの生き方をどう思われますか?
こんな唐突な質問では答えようがないと思いますが
どう生きるかを教えていただいたように思います
どこかで何かを講演するよりも その生きざまが物語る

Posted by にゃほ at 2018年09月17日 07:21 | 返信

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